マンションの大規模修繕とは?費用や周期、注意点、工事内容などを徹底解説!

大規模修繕

マンションの大規模修繕とは?費用や周期、注意点、工事内容などを徹底解説!

マンションは経年と共に徐々に劣化していきます。

この劣化を少しでも和らげるためには、適切な周期で大規模修繕を行なう必要があります。

 

そこでこの記事では、マンションの大規模修繕について徹底解説していきます。

効果的に大規模修繕を行なうとマンションの資産価値も高まりますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

マンションの大規模修繕とは

 

マンションの大規模修繕とは、マンションを大幅に修繕・改修する工事のことを言います。

一般的には、マンションの周囲に足場を設置して行なうような大掛かりな工事を行ないます。

 

大規模修繕を適切に行なうことにより建物の劣化を防げて、耐震性や気密性なども向上します。

 

建物の状態や施工箇所により工事内容も異なりますが、数か月の長期に渡って工事が行われるのが一般的です。

 

またマンションは一戸建てとは異なり、多くの住民の利便性についても考える必要があるので、計画には1年以上かかるでしょう。

修繕と改修の違いは?

修繕と改修は似た言葉ですが、次のような違いがあります。

 

修繕…新築当時に近づける工事

改修…バリアフリーなど新たな機能も付加する工事

 

マンションの大規模修繕では、修繕だけでなく改修を一緒に行うケースも多いです。

改修工事で防犯性能を付加するなど利便性が高まれば、入居率も向上させることが可能です。

なぜ大規模修繕が必要なの?

 

マンションは紫外線や風雨、排気ガス、空気中の酸素などが原因で徐々に劣化していきます。

 

そのため大規模修繕を行わずにいると、どんどん建物が劣化していきます。

その劣化部分からさらに劣化が広がっていくので要注意。

 

通常は徐々に劣化していくコンクリートでも、内部に水や空気が入り込むと劣化スピードが加速します。

外壁がひび割れるのはもちろん、内部の構造に大きなダメージが及ぶことも。

 

こうした状態になるのを防ぐために大規模修繕が行われます。

劣化が少ないうちに修繕しておけば後々、必要以上に大掛かりな工事をしなくて済みますよ。

大規模修繕の費用や期間、周期について

 

ここでは大規模修繕の費用や期間、周期について解説していきます。

費用は?

大規模修繕では、1戸あたり100万円前後の費用がかかると言われています。

 

といっても100万円をまとめて徴収されるわけではなく、基本的に修繕積立金が使われます。

一気に修繕費用を徴収しようとすると支払いが難しい人が出てきやすくなるので、少しづつ徴収していくのです。

 

面積で費用を計算した場合は、1㎡あたり1万3,100円前後の費用がかかるのが一般的です。

 

ちなみに外部のコンサルタントに相談する場合は、コンサルティング費用も発生します。

コンサルタント会社によって報酬金額は異なりますが、数十戸程度のマンションでも100万円単位で費用がかかります。

数百戸のマンションともなると、1,000万円以上のコンサルタント費用がかかるでしょう。

期間は?

大規模修繕の計画をスタートしてから工事が着工するまでには、1~2年ほどの期間がかかります。

実際の工事には、50戸以下の小規模なマンションなら3~4か月、50戸以上なら4か月以上はかかるでしょう。

 

工事が長期に渡るので、マンション住民への説明会をかなり前から開催するなど、住民の同意を得るための活動が必要です。

工事期間中は洗濯物がバルコニーに干せなくなったりもするので、事前にしっかりと住民との意思疎通を図っておきましょう。

周期は?

大規模修繕は12年に1度行なうのが良いと言われています。

新築時の建材の保証期間が10年程度なのも、12年という周期が提示されている理由の1つです。

 

ただし近年では建材の耐久性が向上してきているので、必ずしも12年周期で行なう必要はありません。

実際には新築から15年以上経過してから工事が行われるケースが多いです。

 

また具体的にいつ大規模修繕を行なうかは、詳細な建物診断を行なってから決定する必要があります。

新築から10年ほど経過した頃に大規模修繕の計画を本格的に初めると、いざ工事が近くなってから資金問題や業者選びなどで焦ったりする必要がなくなりますよ。

工事の流れ

 

大規模修繕の工事は、次のような流れで行われます。

 

  • 体制づくり
  • 現状の調査
  • 施工業者の選定
  • 説明会の開催
  • 仮設工事
  • 下地補修工事
  • タイル補修工事
  • シーリング工事
  • 塗装工事
  • 防水工事
  • その他の工事

体制づくり

まずは大規模修繕を行なうための体制づくりをします。

管理会社ではなく、マンションの管理組合や理事会が主導しましょう。

 

また修繕委員会を設置する場合もあります。

修繕委員会は、大規模修繕の計画から工事完了までを行ない、大規模修繕が終了したら解散する臨時チームです。

 

修繕委員会のメンバーは、大規模修繕に詳しい人でなくてもOKです。

意見が偏らないように、できる限り幅広い世代や家族構成のメンバーを選ぶと良いでしょう。

現状の調査

次に、具体的に大規模修繕の計画を立てていきます。

 

「どんな工事が必要か」「どのくらいの資金が必要か」といったことを検討します。

 

しかし初めて大規模修繕を行う場合、工事内容を全て把握するのは難しいものです。

そこで専門家を招いてアドバイスを受けながら計画案を立てていきましょう。

 

設計~施工までを管理会社や施工業者に一括で依頼する「責任施工方式」や、コンサルティング会社にも依頼して工事の監理をしてもらう「設計監理方式」など、施工方式なども具体的に決めていきます。

施工業者の選定

施工業者の選定も重要です。

管理会社が指定した業者は費用が高くなる傾向があるので、できれば管理組合で選びましょう。

 

施工業者を選ぶ際は業界紙やインターネットを使って公募を行い、それぞれの業者からヒアリングを行ないます。

説明会の開催

施工業者が決まったら、住民への説明会を行います。

工事内容の説明はもちろん、工事期間中の注意点なども詳しく説明します。

 

着工後も、月に1度は工事の進捗状況を住民に報告する「定例会議」を実施しましょう。

 

丁寧に住民に説明することにより、工事中や工事後のクレームを減らすことができます。

 

仮設工事

着工したら、まずは仮設工事を行います。

足場や現場事務所、資材倉庫などの仮設設備を設置します。

 

足場の周囲は、塗料の飛散や落下物を防止するシートで覆います。

下地補修工事

下地補修工事では、外壁や天井、床などの劣化箇所を補修します。

ひび割れやシーリングなどの補修を行います。

 

下地補修工事がしっかりと行われていないと、建物が劣化しやすい状態が続いてしまいます。

タイル補修工事

タイルが使われているマンションの場合は、タイルの補修も行います。

タイルの剥がれや浮き、ひび割れがある部分を補修していきます。

 

またタイルが綺麗でも、下地のモルタルは劣化している可能性があります。

目視や打診によりしっかり補修箇所を確認しましょう。

 

タイルが落下すると通行人へ危害が及ぶこともあるので、タイル補修は特に慎重に行われます。

シーリング工事

外壁の継ぎ目や窓枠などにシーリング工事を行います。

シーリングは経年劣化しやすい特徴があります。

 

わずかな劣化でも建物の気密性が低下し、雨漏りなどの原因になるので要注意です。

塗装工事

外壁や鉄部の塗装工事を行います。

塗装が剥がれたまあで放置すると、その部分から雨水が侵入し、建物の寿命が短くなってしまいます。

 

また外壁の塗装工事では、下塗り・中塗り・上塗りを行います。

下塗りをすると塗料が付着しやすくなり、中塗りや上塗りの効果が十分に発揮されます。

 

鉄部の塗装をする前には、まずはサンドペーパーなどを使い、塗装剥がれのある部分に発生したサビを落とします。

そして再度塗装を施して保護することにより、再びサビが発生するのを防げます。

防水工事

屋上やバルコニーなどの防水工事を行います。

 

防水工事には「シート防水」「塗膜防水」といった種類があり、施工箇所や予算に合わせて使い分けます。

その他の工事

必要があれば、玄関扉の交換やバリアフリー化なども行います。

オートロックの設置の設置を行なったりもします。

 

修繕工事だけでなく改修工事も行なうことで建物の利便性が向上し、入居者の増加も見込めるでしょう。

 

ちなみに築30年以上の建物では、給排水設備やガス設備などの点検も行なっておくのがおすすめです。

2回目以降の大規模修繕について

 

2回目以降の大規模修繕では、1回目では基本的に行わない、設備の交換を行なうことも増えてきます。

エレベーターや電気設備などの更新も必要になってきます。

 

さらにオートロックなど時代に合わせた設備の取り付けなどを行なうケースも多く、思った以上に工事費用が発生することがあります。

前回の大規模修繕の時点で、次回の資金計画を考えておくと、いざという時に困りません。

大規模修繕の注意点

 

大規模修繕を行なう際は、次のようなことに注意しましょう。

意見がまとまらない

なかなか組合員同士で意見がまとまらないこともあります。

 

大規模修繕を成功させるためには組合員で情報を共有し、公平性や透明性を保つことが大切です。

アンケート用紙を配り、多くの人から意見を聞いたり、計画や工事の進み具合を随時告知したりすることが必要です。

 

また一部の人の意見が強く反映されてしまうと、工事後に住民の不満が大きくなる可能性もあります。

公平性や透明性を重視しながら、管理組合が一眼となって大規模修繕を成功へ導いていきましょう。

計画が間に合わない

どうしても大規模修繕の計画が間に合わない時は、工事を1~3年ほど遅らせることも可能です。

工事内容や費用が曖昧なまま工事を進めても、トラブルの元になりますからね。

予算が足りない

大規模修繕では思ったように修繕積立金が集まらず、予算不足になるケースも多いです。

想像以上に建物の劣化が激しいと、予想外の追加費用が発生することもあるでしょう。

 

できる限り予算通りに大規模修繕を進めるには、事前の建物診断が重要です。

専門家に依頼して建物の状況を詳細に知ることで、事前計画からの予算が大きく増えることはなくなるでしょう。

 

それでも予算が足りない場合は、最低限の工事内容にしたり、一時金を住民から徴収したりして、資金繰りを行なう必要があるでしょう。

仕上がりが想像と違う

塗料の色合いなどは、カタログで見たイメージ通りの仕上がりにならない場合があります。

 

こんな問題を防ぐには、事前に材料のサンプルを手に入れたり、部分的に施工を行なってみたりして、太陽光の下で色味や質感を確認するのがおすすめです。

 

また新築時のタイルと同じものが手に入らない場合は、できるだけ色や柄の似たタイルを探しましょう。

できる限り費用を抑えるには管理組合が主体になって進める

 

マンションの大規模修繕では不正な談合が発生するケースも多く見られます。

コンサルタントや管理会社が特定の施工業者と裏でつながっており、発注した見返りに施工業者からリベート(報酬)を受け取っている場合があるのです。

 

リベートの分だけ工事金額に上乗せされるので、管理組合だけが損をしてしまいます。

 

こうした問題を防ぐには、マンションの管理組合側で施工業者を選ぶことが大切です。

 

ただし格安でコンサルタントに依頼できたとしても、そのコンサルタントが談合に関わっているケースもあります。

談合が行われていると、総額で2~4割も余計に費用がかかったりもするので要注意です。

 

ちなみに管理組合内に、悪質コンサルタントや悪質業者の息がかかった人がいるケースもあるので、複数の施工業者を比較しながら、注意深く選定することが大切です。

まとめ

 

それでは最後に、今回の記事の内容をまとめてみましょう。

 

  • 大規模修繕を行なうとマンションの劣化を防げ、資産価値を守れる
  • 費用は1戸あたり100万円前後
  • 工事期間は3か月~
  • 大規模修繕は15年以上の周期で行われるケースが多い
  • 住民との意思疎通が大切
  • 管理組合が主体になることが、成功のコツ

 

マンションの寿命や資産価値を守るために、適切に大規模修繕を行ないましょう。

 

マンションの資産価値を長く保ちたいかたは、劣化が激しくなる前に、ぜひ大規模修繕を行なってみてください。

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