9 min

マンションで雨漏りが起こる原因・対処方法・修理工事の費用を解説

マンションで雨漏りが起こる原因を知りたい人

マンションで雨漏りが起こる原因を知りたい人

マンションで雨漏りが起こる原因は?
雨漏りの修理費用は誰が負担する?責任は?管理組合?
マンションの天井や壁から雨漏りが起こるのはなぜ?

マンションの老朽化が進むと、雨漏りが発生することがあります。

しかしマンションの雨漏りは誰の責任なのか分かりづらいですよね。
そこで今回は、マンションの雨漏りの原因や対処方法、責任の所在について詳しく解説していきます。

対処方法が分かれば、いざという時に慌てずに済みますよ。

目次

マンションの雨漏りを放置するとどうなる?

マンションの雨漏りを放置すると、建物内部に入り込んだ水がコンクリート部分や床、天井などの腐食させていきます。

雨漏りは屋上やベランダ、外壁など、紫外線や風雨によって劣化しやすい部分で起こる場合がほとんどです。

特に屋上は雨漏りが起きやすいです。ひび割れや防水塗装の剥がれ、コンクリートの経年劣化、業者の施工不良など、さまざまな原因で雨漏りが発生します。

ちょっとした雨漏りでも放置せず、適切な対処が必要です。

大規模なマンションでは、雨漏りの原因を特定するのことも時間がかかりますので、なるべく早めに対処しましょう。

定期的なメンテナンスを行うことにより、雨漏りのリスクを減らせます。

ちなみマンションの外部から雨が入り込むことを「雨漏り」、お風呂のお湯が溢れ出たことなどによるものは「水漏れ」と呼びます。

雨漏りは原因の違いによって責任の所在が変わる

マンションの雨漏りは、原因の違いによって責任の所在が変わります。

マンション住民の過失による雨漏り

例えばマンション住民が窓を開けたままで出かけてから豪雨になって、部屋の中に大量の雨が入り込んだ場合や、お風呂の水を溢れさせたことが原因で水漏れをした場合。
これは、その部屋を借りているマンション住民の責任になります。

ちなみにベランダの排水溝の掃除も、マンション住民が行わなければなりません。
もし枯れ葉などが詰まって水漏れが発生すると、これもマンション住民の責任になります。

施工ミスによる雨漏り

シーリングの不具合など施工ミスによって雨漏りが発生した場合は、施工業者の責任になります。

コンクリートにひび割れが発生して、その部分から水が入り込んだ場合も、保証期間内なら施工業者に無料で補修工事を依頼できます。

マンション自体の老朽化

マンション自体の老朽化によって外壁にヒビが入り、そこから雨漏りした場合は、マンションの管理組合の責任になります。

一般的には築10年以上経過したマンションで雨漏りが起こりやすいです。

雨漏りが起こった場合はどうする?

ここでは、マンションで雨漏りが起こった場合の対処法についてご紹介していきます。

水受けを設置する

雨漏りを見つけたら、まずは雨漏りをしている箇所にバケツなどを設置し、応急処置を施しましょう。
これで、さらに階下へ雨漏りが連鎖するのを防げます。

また、雨漏りをしている部分の周辺に家電製品などがあると漏電する危険性があります。
家電製品を濡れない場所へ移動することも大切です。
濡れた手でコンセントを抜いて感電しないように、最新の注意を払って行ないましょう。

管理組合や管理会社に連絡する

次に、購入したマンションの場合は管理組合に、賃貸の場合は管理会社に連絡をしましょう。

まずは修理する前に責任の所在を明確にする必要があります。
また管理組合や管理会社が雨漏りがある箇所を調査しに来る前に、その箇所を写真や動画で記録しておくことも大切です。

雨漏りの程度などを説明する際に役立つので、原因の調査がスムーズに進みやすくなります。

マンションの雨漏りの修理費用は誰が支払う?

マンションの雨漏りでは、管理組合や管理会社が修理費用を負担するケースが多いです。

分譲マンションの場合、通常はマンション住民からの積立金を使って修理します。

といってもマンション側は火災保険に入っていると思うので、基本的には保険会社が修理費用を支払うでしょう。

ただしマンション住民が原因で雨漏りした場合は、マンション住民に対して修理費用が請求される場合があります。
この場合は、その住民が加入している火災保険で修理費用をまかなうことになるでしょう。

台風や豪雨などの自然災害で雨漏りが発生した場合も、火災保険が適用されるケースがあります。
ただし老朽化による雨漏りには保険が適用されないので注意が必要です。

雨漏りの修理はどの業者に依頼する?

雨漏りの修理はどんな業者に依頼すれば良いのでしょうか?

具体的に解説していきます。

アフターサービスが充実している業者を選ぶ

5年保証や10年保証のある業者を選ぶのがおすすめです。
一度雨漏りした箇所から、再び雨漏りが発生することもありますからね。

万が一のことを考えて、アフターサービスがしっかりしている業者を選びましょう。

すぐに対応してくれる業者を選ぶ

すぐに修理してくれない業者を選んでしまうと、雨漏りの箇所から時間経過と共にどんどん劣化が進んでいきます。

数日中に修理できる業者を探しましょう。

雨漏りの箇所に合わせた業者を選ぶ

「外壁からの雨漏りには外壁塗装業者」「窓からの雨漏りにはサッシ専門の業者」「天井の雨漏りには内装業者」というふうに、雨漏りしている箇所に合わせた業者を選ぶことも大切です。

相見積もりで選ぶ

複数の業者で相見積もりを取り、比較検討して業者を選ぶのがおすすめです。

ただし費用の安さだけで業者を選ぶのはNGです。
施工品質の低下を招きます。
値引きしすぎるのも品質低下に繋がるので良くありません。

見積もりの詳細や対応の丁寧さなどもチェックして、総合的に良い業者を選びましょう。

施工実績が豊富な業者に依頼する

マンションの雨漏りに関する施工実績が豊富な業者に、修理を依頼することも大切です。

施工実績が豊富な業者なら高い技術で施工してくれますし、原因の特定もスムーズな傾向がありますよ。

契約を急ぐ業者は避ける

必要以上に契約を急ぐ業者はよくありません。

こうした業者は高額の工事費用を請求してきたり、必要のない工事を行ったりする傾向があります。

他の施工業者と比較する時間を与えてくれるような、お客さんのことをしっかりと考えてくれる業者を選びたいですね。

マンションで雨漏りを起こしてしまった場合の対処方法

もし自分(マンション住民)が原因で雨漏りが起こってしまった場合は、次のように対処しましょう。

契約書を確認する

まずは賃貸契約書を確認しましょう。
管理会社との間で結んだ賃貸契約書には、雨漏りの際の取り決めも記載されてあります。

契約書の内容によっては、マンション住民が原因の雨漏りであっても、管理会社が費用を負担してくれる場合があります。

火災保険や個人賠償責任保険を確認する

全てのケースで適用されるわけではありませんが、火災保険や個人賠償責任保険で修理費用をまかなえる場合があります。

例えば水漏れが原因で階下の部屋の家電製品が壊れてしまった場合は、保険で補償されることも。

保険が適用されやすくするには、雨漏りの状況を写真や動画で撮影して保存しておくことが大切です。
保険の項目に雨漏りについても記載されてあるなら、ぜひ保険会社に電話してみましょう。

雨漏り予防法

マンションの雨漏りを防ぐには、次のような対策をとりましょう。

下水管を掃除する

こまめに下水管を掃除することで、下水管が詰まって水が溢れることを防げます。

共有部分の下水管もしっかりと掃除しておきたいですね。

定期的に外壁をチェックする

外壁のヒビや雨水によるシミ、タイルの剥がれ、シーリングの劣化、釘の浮きなどがないか、定期的にチェックすることも大切です。

こうした不具合を放置すると、その部分から雨水が入り込んできます。
雨漏りしそうな場所を事前に補修しておくことで、雨漏りの修理にかかる多額の費用を節約できます。

屋上は普段はなかなかチェックしにくい場所ですが、半年に1度は雨漏りの恐れがないかチェックすることをおすすめします。

防水性能をもつ塗料を選ぶ

防水性能を持つセラミックシリコン塗料やフッ素塗料を選ぶことで、ひび割れなどによる雨漏りを最小限に抑えることができます。

マンションの雨漏り修理の工事内容

マンションの雨漏り修理では、次のような工事を行います。

屋根

屋根全体が劣化しているなら、屋根材の張替えや、塗装の塗替えなどが必要です。

部分的な劣化であれば、ちょっとした張替えや釘の打ち直しで解決できる場合が多いです。

外壁

外壁の劣化による雨漏りは、ひび割れやタイルの剥がれなどを補修することで解決する場合があります。

大きなひび割れがある場合は、補修と一緒に外壁塗装も一緒に行います。

屋上

屋根の防水層の補修が必要です。

排水口の詰まりを解消することにより雨漏りが解消できないかもチェックします。

また専門業者に調査を依頼して、どの箇所を補修すれば良いのか確認することも大切です。 

ベランダ

防水加工をし直します。

窓のサッシ周りの補修も行います。 

また工事の際は、足場の設置が必要な場合もあります。

足場の周囲には塗料が飛散するのを防ぐシートの設置も必要なので、その分の費用もかかります。

工事中はマンション住民がベランダを使えなくなるので、前々から住民へ工事の告知をしておくことが必要です。

マンションの雨漏り修理工事の費用相場

マンションの雨漏りの修理費用は、どの箇所から雨漏りをするかによっても異なります。

窓のシーリングの劣化部分から雨漏りした場合は約2~20万円、床材の取替えなど大規模な工事が必要な場合は500~1,000万円ほどの費用がかかる場合もあります。

またマンション側の責任による雨漏りが原因で家電製品などが壊れた場合は、その損害分がマンション住民に支払われます。

マンションの雨漏り修理工事の費用相場は以下のとおりです。

修理の種類費用相場
雨漏りの調査費用約20,000円〜50,000円/回
部分的な補修軽微な修理約100,000円〜/箇所
防水層の修理
防水シートの撤去
約8,000円〜9,000円/㎡
シーリングの補修約1,000円〜3,000円/㎡
屋根の補修約1,500円〜3,500円/㎡
外壁のクラック修理約30,000円〜50,000円/箇所
全面改修工事屋根の改修約3,000円〜6,000円/㎡
外壁の改修約4,000円〜10,000円/㎡

上記の価格は修理費用の相場です。実際の金額は修理内容や業者、使う資材によって異なるので、参考程度にご覧ください。

加えて、高所での作業が必要な場合は足場代もかかります。

修理する箇所の高さによって金額は変わり、低い足場でも3万円以上かかるので留意しておくとよいでしょう。

複数箇所の修理や塗装が必要な場合は、足場代や資材代、撤去代も考慮する必要があります。

マンションのオーナーや管理組合の方は修理費が修繕積立金の範囲内に収まるか、慎重に検討して実施しましょう。

予算オーバーの際は、修理の緊急性が高い箇所を先に直し、緊急性の低いところはあとに回すという手もあります。

雨漏りしたときの応急処置

急な雨漏りに備え、自分でできる範囲の応急処置方法を紹介します。夜中に雨漏りが発覚しても、すぐに対応できる業者はそう多くはないでしょう。

業者の到着までに、できる範囲で対応しておきましょう。

ビニールシートを被せる

雨漏りが発生した際に、さらに雨漏りが進まないよう、ビニールシートを被せる方法があります。

雨漏りが発生した場合、どの場所から雨水が侵入して来たのか分からない場合がほとんどです。ビニールシートを被せると、広範囲での雨漏りを防ぐことが可能です。

ブルーシートを被せる手順を紹介します。

ブルーシートを被せる手順
  1. ブルーシート、土のう、防水テープを準備する
  2. ビニールシートを被せる
  3. 真ん中と両端にバランスよく土のうを置く

せっかく被せたブルーシートが風で飛ばされないよう、固定ができているか、確認してから場所を離れましょう。マンションの場合、屋上や屋根で、特に劣化が激しい場所にブルーシートを広範囲で被せると、効果が得られやすいでしょう。

高所での作業は、一人で行わず、滑りにくい靴を履いて行いましょう。

防水テープを貼る

雨漏りの原因が特定されている場合、防水テープを貼る、という方法があります。

シーリングを施すよりも簡単なので、おすすめの対処方法です。

防水テープを漏水箇所に貼る手順を紹介します。

防水テープを貼る手順
  1. 防水テープ・雑巾を用意する
  2. 漏水箇所の水気や汚れを拭き取る
  3. 補修箇所の大きさに合わせて防水テープを切る
  4. 補修箇所をしっかり覆うように防水テープを押さえながら貼り付ける

施工したい箇所に水気や汚れが付着したまま防水テープを貼り付けると、すぐに剥がれてしまう可能性があります。

雑巾で、しっかり拭き取ってから防水テープを貼りましょう。

バケツやタオルを置く

雨漏りが室内で発見された場合、畳やフローリングがそれ以上濡れないよう、対策が必要です。

なぜなら、濡れた状態が長く続き、床や室内に湿気が溜まると、カビが発生しやすくなったり、床下への漏水につながるからです。

雨漏りが2次災害を引き起こす前に、早めの対応が重要です。

バケツ、タオル以外のものでも対応は可能です。

漏水で被害が広がらないために準備するもの
  • バケツ
  • バスタオル
  • ブルーシート
  • 養生テープ

室内での漏水箇所への対策は、雨水の侵入をこれ以上拡大させないために行います。すでに広範囲にわたって雨水が侵入している際には、ブルーシートやビニールシートを使ってバケツに流し込むなど、対応が必要です。

また、雨漏りしている場所にタンスなど、動かせない家具がある場合には、ブルーシートを被せて雨水から守りましょう。できる限り湿気が室内に残らないように養生を施しましょう。

雑巾や吸水シートで水を吸い取る

窓やサッシのすき間から雨水がじわじわと浸水している場合、雑巾や給水シートなどで水気を吸い取ることをおすすめします。

頃合いをみて新しい雑巾、給水シートに交換しましょう。

窓際の漏水で気を付けるべき点は、カーテンに雨水が触れないようにする点です。

カーテンは壁と近い距離にあり、カーテンが湿った状態で壁に接触し続けると、カビの発生が心配されます。

室内でカビが発生すると、カビの胞子が浮遊するなど、健康面で悪影響を及ぼす可能性が考えられます。

カーテン以外にも、濡れる可能性のあるものはよけるなど、気を配りましょう。

漏水している部屋のブレーカーは切る

壁際で雨漏りが発生すると、気を付けるポイントは電気コンセントです。コンセント部分が水に触れると、漏電の可能性があるため、非常に危険です。

特に以下のような場合は部屋の電源ブレーカーを切り、対策を取りましょう。

  • 電源ケーブルの被膜が破れている
  • ケーブルやコンセントが濡れている

上記のような事態になった場合、落ち着いて行動し、漏電を防ぎましょう。

漏電が心配される際の手順
  1. ゴム手袋をはめる
  2. 漏電の恐れがある家電プラグを抜く
  3. 家電は、十分に乾燥させる

濡れた家電やプラグから煙が出ている場合はさらに注意が必要です。スイッチを入れずに、コンセントを抜いた状態で様子をみましょう。

間違っても、スイッチを入れないように気を付けましょう。心配な場合は、電気工事業者や、メーカーなど、電気に詳しい専門業者に問合せをしてみましょう。

やってはいけない雨漏りの応急処置

雨漏りが発生した際は、冷静に行動して適切な対応を取ることが大切です。

やってはいけない雨漏りの応急処置を一つずつ解説します。

高所はひとりで作業しない

雨漏りといえば屋根や上階のサッシなど、高所を確認したくなる人は多いでしょう。

しかし、高所での作業を1人で行うことは避けましょう。

慣れない高所での作業は、大きな危険を伴います。家族や、管理組合の人に声をかけるなど、高所でのひとりでの作業は避けましょう。

屋根が濡れている状態で作業しない

雨漏りが発生する時は、雨が降っているときや降った後の場合が多く、屋根や屋上が濡れている状態です。

濡れた屋根での作業は、滑りやすいので、素人が登って作業するのはとても危険です。プロでも危険を伴うこともあり、一歩間違えると命の危険に関わるほどの行為です。

必ず、屋根が乾いた状態で、滑りにくい靴を履いて、手伝ってくれる人を見つけてから屋根上の作業に取り掛かりましょう。

原因を特定せずに作業しない

雨漏りの最大の難点は原因の場所が特定できないことにあります。

原因の特定は、誰でも分かるような破損が原因ではない限り、実績を積んできた専門業者に見てもらうまでは分からない場合が多いでしょう。

外壁の細微なクラックから壁の内部を通ってサッシのすき間から雨漏りしている場合など、原因が複雑な場合は特に分かりにくいでしょう。

雨漏りの原因が分からない状態での作業は、費用と時間を無駄に使ってしまうことも考えられます。

専門業者が来るまでは養生や応急処置で対応しましょう。

マンションの最上階は雨漏りしやすいので要注意

マンションの最上階は人気がありますが、その反面、雨漏りしやすい場所でもあります。|
それは、最上階のすぐ上が屋上になっているからです。

屋上の防水層に不具合が発生した場合は管理組合に修理してもらえます。
しかし修理をする前に、他の部屋の住民の同意も必要なため、すぐ対応してもらえないケースがあるので注意しましょう。

まとめ

最後に、今回の記事の内容をまとめていきます。

  • 雨漏りを放置すると建物の腐食が進む
  • 雨漏りの原因によって責任の所在が変わる
  • 雨漏りが起こった場合は水受けを設置し、管理者に連絡をする
  • 修理業者選びは相見積もりで選ぶ
  • 保険で修理費用を負担できる場合がある
  • 定期的にメンテナンスをすると雨漏りを防げる

マンションで発生した雨漏りは、まずは責任の所在を確認し、早めに対処することが必要です。

日頃の心がけや点検で防げる雨漏りもあります。
外壁にひび割れなどが発生している場合は、雨漏りを見越した修理も検討してみることをおすすめします。

公式サイト