【2回目以降】マンションの大規模修繕のポイントや注意点は?
築年数に応じて必要になる、マンションの大規模修繕。
2回目、3回目と数を重ねるごとに、費用や工事内容が変化していきます。
そこで今回は、2回目以降の大規模修繕のポイントや注意点について解説していきます。
1回目との違いを知ることで、効果的に大規模修繕が行えるようになりますよ。
大規模修繕は複数回行なう
大規模修繕は1度行えば良いというわけではなく、築年数に応じて複数回行う必要があります。
一般的には12年周期で行うと言われていますが、マンションの劣化状況などによって時期は前後します。
マンションは年月を重ねると徐々に劣化していき、資産価値が低下していきます。
こんな時に適切な大規模修繕が行えれば、資産価値を維持できるだけでなく、利便性や快適性も向上します。
ちなみに大規模修繕は毎回、同じ工事を行うわけではありません。
回を重ねるごとに費用が増えるケースもあるので、長期の修繕計画を立てることが大規模修繕を成功させるためには欠かせません。
2回目は1回目よりも規模が大きくなる
2回目の大規模修繕は、1回目よりも規模が大きくなる傾向にあります。
2回目の時期は築20年以上経過していて、マンションが本格的に劣化してくる時期です。
雨や風、紫外線などの影響が目に見えて現れてくるでしょう。
1回目よりも費用が高くなる
2回目の大規模修繕では、1回目の1.5倍くらいの費用が必要になるケースもあります。
だからと言って、修繕が必要な箇所の工事を先送りするのはおすすめできません。
「まだ使えるから」と3回目の大規模修繕に先送りしてしまうと、マンション住人の減少などが原因で修繕積立金が集まりにくくなった際に、3回目の負担が大きくなります。
突然の故障や、修繕費用の増大を防ぐためにも、工事内容の優先順位をきちんと見極めることが大切です。
また1回目の大規模修繕で学んだことを活かして、2回目の長期修繕計画を見直すことも必要でしょう。
1回目の大規模修繕の費用をできるだけ節約して、2回目の大規模修繕に備えることも有効です。
ライフスタイルの変化への対応が必要
2回目の大規模修繕では、マンション住人のライフスタイルの変化への対応も必要です。
例えば、子育てを終えて車を手放すマンション住人が増えると、駐車場に空き区画が増えます。
機械式駐車場を解体し、平置きの駐車場への変更が必要になるかもしれません。
ちなみに駐車設備の交換には、1台あたり100万円ほどの費用がかかります。
機械式駐車場や立体駐車場の寿命は25年前後と言われているので、2回目の計画をする以前から機械式駐車場をどうするかを考えておく必要があります。
マンション住人の高齢化に伴い、バリアフリー化も検討しましょう。
バリアフリー化することで住人の暮らしがさらに快適になり、マンションの資産価値を高めることも可能です。
「エントランス扉の自動化」「防犯カメラの設置」など新たな機能も追加することで、利便性や資産価値がさらに高まるでしょう。
大規模修繕の内容によっては、最新マンションに負けないほどの住み心地を手に入れることも可能です。
以上のようなライフスタイルの変化へ対応するには、まずは住人のニーズを知らなくてはなりません。
住人とのコミュニケーションを通してニーズを探りながら、住人の積極的な参加を促して合意形成することが大切です。
デザイン性を高めることも大切
2回目の大規模修繕を行うころには、他の新築マンションよりも見た目が古く感じることがあるでしょう。
修繕することも大切ですが、デザイン性も高めることも必要です。
デザイン性もアップすれば、資産価値の向上にも繋がるでしょう。
2回目の工事範囲は?
2回目の大規模修繕では、以下のような工事を行うのが一般的です。
- 屋上防水
- 金物類の取替え
- エレベーターのリニューアル
- 給排水設備などの修繕
- 傾斜屋根の撤去や葺き替え
- 貯水槽の取替え
2回目では建物全体の補修が必要です。
国土交通省の「マンションの大規模修繕工事に関する実態調査」によると、1回目よりも給水設備の工事が増える傾向もあります。
また2回目以降の大規模修繕では、特に「配管」や「エレベーター」「オートロック」周りに不具合が出やすいです。
日本の水道水はヨーロッパの水道水よりも塩素が多く含まれているため、配管が塩素で浸食されやすいのです。
エレベーターやオートロックなど電気系の設備も、家電製品と同じく長年使い続けていると使えなくなります。
ちなみにエレベーターを補修すると1台あたり2,000万円、オートロックの操作盤の補修には1,000万円ほどの費用がかかります。
かなり高額になるので、この場合も事前の計画がものを言います。
2回目の大規模修繕の費用相場は?
2回目の大規模修繕で必要な費用の目安は以下のとおり。
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ただし上記はあくまでも目安で、工事内容によって金額が大きく変わります。
費用を最小限に抑えるには、現在の建物の状況をしっかりと見極めることが大切です。
無駄のない工事が行えれば、3回目の大規模修繕の費用も貯めておくことが可能でしょう。
2回目の大規模修繕を行う時期
国土交通省が発表する「マンションの大規模修繕工事に関する実態調査」によると、2回目の大規模修繕を行う時期は以下のようになっています。
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このデータを見ると、必ずしも大規模修繕を12年周期で行っていないことが分かります。
最も多いのが築26~30年の間ですね
3回目の大規模修繕のポイントや注意点
ここでは、3回目の大規模修繕におけるポイントや注意点を解説していきます。
時代のニーズに対応する
新築時とは時代のニーズも変化しているので、耐震補強工事や省エネ化などが新たに必要になるケースも多いです。
3回目ともなると築年数がかなり増えています。
マンション住人が高齢化してきたり、住人が減少したりする傾向にあります。
段差のある場所にスロープを設置したり、手すりを取り付けたりする必要も出てくるでしょう。
エレベーターや玄関ドア、オートロックの操作盤などの更新も必要になってくるはずです。
住人の負担が減る工夫が必要
3回目の大規模修繕では、できるだけマンション住人の金銭的な負担が減るような工夫が必要です。
修繕箇所が増えると修繕積立金も増えてしまい、入居者にとっては大きな負担になりかねません。
かといって適切に修繕できなければ、マンションの劣化が早まってしまいますよね。
そこで重要なのが、大規模修繕の時期以外に行う「定期的なメンテナンス」です。
大きく劣化が進む前に修繕してしまえば、急激に修繕積立金が増えるのを防げます。
また定期的にマンション住人にアンケートを行い、管理者だけでは気付きにくい修繕箇所を把握しておくことも大切です。
3回目の工事範囲
3回目の大規模修繕では、以下のような工事が行われます。
- サッシの交換
- 玄関ドアの更新
- 給排水管の更新
- 電気設備全般の更新
- 耐震補強工事
- バリアフリー化
- エントランス等のリフォーム
- 機械式駐車場の修理
2回目と同じく建物全体の工事が必要ですが、その範囲はさらに広くなるでしょう。
また3回目の大規模修繕工事では1回目や2回目よりも、建具や金物等の工事が多くなる傾向にあります。
3回目の大規模修繕の費用相場
国土交通省の調査では、3回目の大規模修繕にかかる費用は「77.3万円」と、1回目や2回目よりも減少傾向に。
ただし3回目の大規模修繕では、2回目よりも費用が多くなるケースも多いです。
これは給排水管や電気設備、サッシなど、さまざまな設備や材料の交換が必要になるからです。
例えば外壁塗装についても、3回目(または4回目)は塗装膜を全て剥がしてから塗り直す必要が出てきます。
塗り重ねによる塗装面の重量の増加により、剥がれ落ちる危険性が出てくるからです。
屋上防水についても、2回目は「かぶせ工法※」で対処できたものが、3回目では防水層を全て撤去する必要が出てきます。
3回目の大規模修繕では資金面の課題も増えてくるので、「いつ実施するか」「費用の準備はどうするか」「どの部分を修繕するか」といったことを、専門家を交えて十分に検討することが大切です。
※かぶせ工法…防水層の破損した部分のみを除去して、その上から新たな防水層をかぶせる工法
3回目以降の大規模修繕を行う時期
3回目以降の大規模修繕を行う時期は、以下のようになっています。
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参考元:国土交通省「マンションの大規模修繕工事に関する実態調査」
このデータでは3回目以降の大規模修繕は、築41年以上経ってから行うケースが多いことが分かります。
まとめ
2回目の大規模修繕では、マンション住人のニーズやデザイン性も考慮して、マンション住人の生活水準を高めることも考えましょう。
3回目の大規模修繕では設備の交換費用がかさみ、マンション住人の負担が増える可能性があるので、長期の修繕計画を立てることが重要です。
費用が不足すると、修繕がどんどん先送りになってしまいます。
マンションの資産価値を維持するためには、時間もお金もゆとりを持った計画を立てることが大切です。
ぜひあなたも今回ご紹介した大規模修繕のポイントや注意点を参考に、大規模修繕への計画を始めてみましょう。