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マンション大規模修繕で見積もりを取る方法・見積書のチェックポイントを解説

マンションの大規模修繕を行う際は、施工業者を選ぶ必要があります。

しかし初めて大規模修繕を行う場合、「施工業者が提示した金額が妥当かどうか」を判断するのも難しいかも知れません。

かといって費用が安いだけでも不安です。

特に初めて大規模修繕を行う際は、優良業者を見つけるのは簡単ではないでしょう。

そこでこの記事では、優良業者を見分けるチェックポイントについて解説していきます。

見積もり時のチェックポイントを押さえておけば、適正価格で施工品質の高い大規模修繕を行えるようになりますよ。

相見積もりとは

相見積もりとは、「複数の業者に見積もりを出してもらうこと」を言います。

複数業者を比べることで、工事の内容や価格が妥当なものかをチェックできます。

相見積もりを取る際は、それぞれの業者に事前に「相見積もりを取っている」ということを伝えましょう。

これなら失礼になることもないですし、それぞれの業者がライバル企業を意識するので、価格が安くなったり工事の質が上がったりすることが期待できます。

見積もりを取る前にすることは?

見積もりを取る前に、まずは次のことを行いましょう。

マンション住人へのアンケート

マンション住人に「修繕をして欲しい箇所はないか」といったアンケートを取ることも大切です。

マンション住人は目で見て確認できる劣化があると、大規模修繕に協力的になる傾向に。

また「セキュリティを強化して欲しい」といった機能を向上させる要望も、できる限り検討するようにしましょう。

建物診断

大規模修繕の見積もりを取る前に、まずは建物診断を行いましょう。

建物診断では、建物の劣化状況や修繕箇所を把握できます。

建物診断はマンションの管理会社や工事の施工業者、建築士事務所に依頼できます。

無料で建物診断を行なってくれるところもありますが、無料の建築診断はその後の工事を受注するためのエサだったりします。

無料かどうかよりも、第三者の立場から客観的に建築診断してくれる業者に依頼することが大切です。

基本計画書の作成

どんな大規模修繕を行うのか、基本計画書を作成することも大切です。

基本計画書とは、工事項目や費用の概算などが書かれた書類のことを言います。

「どの箇所を優先して修繕すべきか」「どの時期に工事を行うか」など、建築診断の結果をもとに大規模修繕の計画をしっかり行ないましょう。

見積もりを上手に取るには?4つのチェックポイント

見積もりを上手に取るには、次のポイントを意識しましょう。

優良な工事業者を選ぶ

見積もりを取る際は、良い施工業者を選ぶことが重要です。

施工業者は複数の候補を選び、それぞれの業者と面接を行いましょう。

また面接の際は、現場の責任者にも同席してもらいます。

過去の施工実績はもちろん、どんな工事をするのかを具体的にプレゼンしてもらいます。

マンション住人からのクレームなどにもきちんと対応してくれる業者だと良いですね。

  • 丁寧に質問に返答してくれるか
  • 工事への熱意や誠意があるか
  • 工事後のアフターサービスもきちんと行なってくれるか
  • 経営状態はどうか(工事の途中で倒産しないか)

上記のようなこともチェックすると、安心して工事を任せられる業者を見つけやすいでしょう。

工事の基準を決める

大まかで良いので、どの箇所を工事するのか決めておくと、複数の業者から取った見積もりを比較しやすくなります。

といっても初めて大規模修繕を行う場合は、「工事の内容がよく分からない」という管理者も多いはず。

最初に見積もりを依頼した業者の工法や数量を基準にして、価格を表示しない「見積もり概要書」を作成しましょう。

施工方法やアフターサービスの有無など、それぞれの業者の見積もり項目をできる限り一致させることが大切です。

消費税や諸経費などもきちんと計上してもらうと、後から予算オーバーになる心配もありませんね。

コンサルタントに依頼する

大規模修繕の際は、コンサルタントに依頼することもできます。

建築事務所や管理会社などコンサルタントは専門知識があるので、見積もり金額が妥当かどうかを相談できます。

ただしコンサルティングを選ぶ際も、施工会社のように相見積もりを取って比較検討する必要があります。

実績やリピートが多かったり、分かりやすく説明してくれたりする会社だと、良いコンサルタントの可能性があります。

管理組合が主体になって行う

マンション側の管理組合が主体になって大規模修繕を行うと、コンサルタント費用が節約できます。

外部の業者に丸投げしないことで、不要な工事を行なうことも避けられますね。

ただし自分たちが主体で大規模修繕を進めようとすると、それなりの手間がかかります。

仕事をしながら活動しなければならないメンバーがいる場合も多く、組合員の積極的な参加が欠かせません。

大規模修繕の必要性をマンション住人に広く知らせ、積極的に参加してもらえるように促しましょう。

見積もり時の注意点は?

見積もり時にはさまざまなトラブルが起こりがちです。 


ここでは見積もり時に注意すべきチェックポイントを解説していきます。

単価や数量が高い

マンションの管理会社と同系列の施工業者に見積もりを依頼すると、単価が高くなりがちです。

特に大手の業者に依頼する際は、単価が3割以上高くなるケースも多いので注意が必要です。

これは元請けから下請け、下請けから孫請けへと工事が委託されていくので、中間マージンの費用が上乗せされるのが原因です。

こうした事態を防ぐには、管理会社に施工業者選びを丸投げせずに、マンション側が主体となって複数の業者から相見積もりを取ることが大切です。

業者が談合をしている

コンサルティング会社と施工業者が、裏で「談合」を行なっている可能性もあるので注意が必要です。

談合とは、コンサルティング会社と施工業者が事前に話し合い、不正に工事金額を高くすることを言います。

コンサルティング会社が受注させたい施工業者の、工事内容や単価が良く見えるように相見積もりを出す、というやり口です。

コンサルティング会社は施工業者からバックマージンを受け取れるので、コンサルティング会社も施工業者も美味しいビジネスになるわけです。

もちろん工事を依頼したマンション側は損をしてしまいます。

談合を防ぐには、管理会社やコンサルティング会社とは関係のない施工業者に工事を依頼する「設計管理方式」が有効と言われています。

施工に第三者が介入するので、価格や施工内容に客観性を出せるでしょう。

ただし設計管理方式でも100%談合を防げるわけではありません。

できる限り談合を防ぐには、事前に管理会社などが決めた仕様に基づいて施工業者を選ぶのではなく、それぞれの施工業者にそれぞれ独自に建物診断を行なってもらい、工事内容を提案してもらうという方法が良いでしょう。

工事の数量や面積が間違っている

見積もり出だした工事の数量や面積が間違っているケースもあります。

数量や面積が間違っていると、100万円単位で価格が異なる場合があるので注意が必要です。

こうしたトラブルは担当者の知識不足や、見積もりを作成する際の時間的な制約が原因で起こりがちです。

また悪質な業者が故意に数量を操作する場合もあるでしょう。

足場の数量が少なく施工できるのに、相場に近づけて必要以上に数量を多くするケースが見られます。

こうしたトラブルを防ぐには、業者に見積もりを任せきりにせず、マンション側でも数量や単価の妥当性を細かくチェックする必要があります。

まとめ

大規模修繕での見積もりを行う際は、さまざまなチェックポイントや注意点があります。

同じような工事でも業者によって価格にかなりの差が出る場合もあるので、複数の業者を比較検討することが大切です。

見積もりを丁寧に行なって、適正価格でクオリティの高い大規模修繕を目指しましょう。

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