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FRP防水とは?工事費用や施工の流れ、メリット・デメリットを徹底解説!

「FRP防水の特徴を知りたい」

「他の工法との違いは?」

こんな疑問をお持ちのかたは多いです。

FRP防水は工期が短く耐久性もあるため、ベランダやバルコニーへの施工に適している防水工事です。

防水工事をしっかり行なっていないと、雨漏りがおこる可能性があります。

特にマンションやビルの屋上は勾配がない陸屋根になっている場合が多く、雨漏りが起こりやすい場所です。

そこでこの記事では、防水工事の中でも最も防水性能が高い、FRP防水について徹底解説していきます。

FRP防水とは

FRP防水とは、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)を使って防水工事を行うことを言います。

軽量かつ丈夫で、熱や腐食などに強い性質があります。

硬化後はプラスチックのように固くなります。

硬化するのが速いので、1日で施工が完了することも。

FRP防水は屋上やベランダだけでなく、船やバスタブ、自動車など、さまざまな場所で広く使われています。

費用相場

FRP防水の費用相場は、1㎡あたり6,000~8,000円程度。

一般的なベランダの広さで10~15万円程度です。

耐用年数

FRP防水の耐用年数は10年前後です。

記事の後半で解説する、他の工法よりも少し短めです。

ウレタン防水との違い

FRP防水と同じく、塗膜を使った防水方法に「ウレタン防水」があります。

FRP防水もウレタン防水も、どちらも継ぎ目がない施工が可能なので、混同する人もいるようです。

しかしFRP防水とウレタン防水は以下のような違いがあります。

 ウレタン防水FRP防水
防水層の硬さ弾力がある。爪で引っかくと爪跡が残る固い。爪跡が残らない
表面の質感なめらか摩耗してくると、蜘蛛の巣のような繊維が見える
耐久性低め高い
柔軟性ありなし
適した施工箇所屋上、陸屋根など。広い面積の箇所への施工も可能バルコニーやベランダなど面積の狭い箇所

FRP防水のメリット・デメリット

FRP防水には、さまざまなメリットやデメリットがあります。

メリット

FRP防水には、以下のようなメリットがあります。

水密性(防水性)が高い

FRPは宇宙ロケットの素材としても使われるほど水密性が高い物質なので、全く水を通しません。

この高い水密性がFRP防水の大きなメリットです。

非常に軽量

FRPの防水層は、他の防水工事と比べ非常に軽量です。

耐久性の落ちた築年数の多い住宅に施工しても問題ありません。

耐久性がある

FRP防水を施した箇所は固くなり、非常に耐久性があります。

耐摩擦性や耐荷重性も高いので、車の行き来がある屋上駐車場でも利用されます。

錆びや腐食も発生しません。

シームレスな仕上がりになる

FRP防水は液状で施工するので、継ぎ目のないシームレスな仕上がりになります。

施工後の見た目を重視したいかたにも、FRP防水はおすすめです。

工期が短い

FRP防水は塗膜の乾燥が早く、工期が短いのが特徴です。

トップコートも数時間程度で乾くので、1~2日程度で防止工事が完了します。

ちなみに同じ液状のウレタン防水では乾燥までに4~5日はかかります。

半分以下の時間で施工が可能ですね。

デメリット

FRP防水には、次のようなデメリットがあります。

広い範囲の施工でひび割れやすい

FRP防水は伸縮性がないので、広い範囲に施工するとひび割れやすくなります。

伸縮性のある木造住宅などには適しません。

紫外線に弱い

FRP防水自体は紫外線には弱いです。

よってFRP防水を施した箇所には、紫外線から防水層を守るトップコートを塗ることが必須です。

施工費用が高い

FRP防水は施工費用が割高です。

ウレタン防水やシート防水と比べると、1㎡あたり500~1,500円程度高くなります。

もちろんFRP防水の防水性能は優秀なので、値段に見合ったメリットはあるでしょう。

FRP防水のメンテナンス方法

FRP防水を施した箇所では、以下のようにメンテナンスを行います。

ひび割れがある

FRP表面にできた薄いひび割れは、トップコートの経年劣化によるもの。

防水層に直接影響はありませんが、長年放置するとFRP防水の寿命が短くなり、雨漏りが発生しやすくなります。

5~7年程度を目安にトップコートを塗り直すことをおすすめします。

防水層に浮きや剥がれがある

防水層に浮きや剥がれがある場合は、FRP防水の再施工をするのが良いでしょう。

防水層の浮きや剥がれは、防水層の密着力不足によって水分が蒸発することで起こります。

雨漏りしている

雨漏りが発生した場合も、FRP防水の再施工が必要です。

ただし雨漏りによって下地が水分を多く含んでいるので、この場合は通気性の高いウレタン防水である「通気緩衝工法」が行われるケースが多いでしょう。

施工の流れ

FRP防水は、以下のような流れで施工するのが一般的です。

  1. 洗浄
  2. プライマーの塗布
  3. 下塗り
  4. ガラスマット敷き
  5. 研磨・アセトン拭き
  6. トップコートの塗布

1、洗浄

高圧洗浄機などを使って施工箇所を洗います。

2、プライマーの塗布

下地と塗料の密着度を高めるプライマー(接着剤)を塗ります。

3、下塗り

FRP防水用のポリエステル樹脂と硬化剤を混ぜたものを、施工箇所に均一に塗っていきます。

また、専用の脱泡ローラーを使って、防水層の気泡を抜いていきます。

4、ガラスマット敷き

下塗りが硬化したら再度ポリエステル樹脂を塗り、FRP防水用ガラスマットを貼り付けます。

3、4の工程を2~3回繰り返し、FRP防水を積み重ねていきます。

5、研磨・アセトン拭き

研磨機を使って、硬化した樹脂の表面を削って調整します。

研磨後はFRP表面の油膜を拭き取ります。(アセトン拭き)

6、トップコートの塗布

最後にトップコートを塗って防水層を保護し、完成です。

施工業者の選び方

施工業者を選ぶ際は、次のことに気を付けると優良業者が見つかりやすいです。

相見積もりを取る

施工業者を選ぶ際は、少なくとも2~3社で相見積もりを取るのがおすすめです。

1社だけでは適正金額が分からず、悪徳業者に当たると必要以上に費用がかさむ可能性も。

ただし、値段が安すぎるのも考えものです。

工事金額の3割以上値引きすると、業者が赤字になると言われています。

相場よりも安すぎる業者は手抜き工事をする危険があるので、相見積もりは必ず行いましょう。

見積書の内容をチェックする

見積書の内容をチェックすることも大切です。

項目や数量などが「防水工事一式」でまとめられている場合は要注意。

これでは工事面積なども分からず、業者の言い値になりやすいです。

見積書の内容は詳細に記載してもらいましょう。

有資格者のいる業者に依頼する

「防水施工技能士」という国家資格を持つ人がいる業者に依頼するのも良いでしょう。

1級が上級者、2級は中級者の証です。

FRP防水以外の防水工事の種類

今回はFRP防水についてご紹介してきましたが、施工箇所によっては次のような防水工事の種類を選択する場合もあります。

  • ウレタン防水
  • シート防水
  • アスファルト防水

ウレタン防水

ポリイソシアネートという成分と硬化剤を混ぜた素材を使うウレタン防水。

液体状なので、場所を選ばず施工可能です。

別素材の旧防水層にも塗れるので、メンテナンス性も高いです。

耐用年数は12年前後です。

ウレタン防水の工事費用は4,000~7,500円/㎡ほどが一般的です。

シート防水

塩化ビニールまたは合成ゴム製のシートを貼付けて防水する工法です。

広い面積を一気に施工できるので、工期が短いのが特徴です。

シート防水は施工費用も維持費も安いので、コスト的にもメリットがあります。

ただし既製品のシートを使うので、ある程度の広さがある場所でなければ施工できません。

また複雑な形状の場所にも適しません。

マンションや商業施設などの、広い屋上で使われることが多いでしょう。

シート防水の耐用年数は10~15年(合成ゴムシートのほうが短め)。

費用相場は1㎡あたり4,000~8,000円ほどです。

アスファルト防水

アスファルトでコーティングした合成繊維不織布を重ね張りする方法です。

耐久性が高く、アスファルト防水の上を車が通っても問題ありません。

耐用年数も15~25年と長いので、メンテナンスの手間も少ないです。

ただしアスファルト防水は重量があるので、施工後の建物の耐久性も考慮した施工が必要です。

施工費用は5,500~8,500円/㎡と高めです。

まとめ

今回ご紹介した内容を、まとめていきます。

  • FRP防水は繊維強化プラスチックを使った防水工事
  • 費用相場は6,000~8,000円/㎡
  • 耐用年数は10年前後
  • 耐久性があって軽量なのが特徴
  • 広範囲の施工ではひび割れが発生しやすい
  • ひび割れや浮き、雨漏りなどがある場合は補修が必要
  • 施工業者は相見積もりで選ぶ
  • FRP防水以外にも、防水工事には種類がある

防水工事は、施工後も定期点検を行うことが大切です。

アフターサービスなどもしっかりした施工業者を選んで、ぜひクオリティの高いFRP防水を実現してみてください。

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