13 min

屋上防水工事の種類は4つ!施工方法・メリット・デメリットを比較

屋上防水を検討している人

屋上防水を検討している人

屋上に防水工事は必要?
建物の屋上に防水工事をするメリットは?

など、屋上の防水工事に対して疑問を持っていませんか。

屋上防水にはいくつかの方法があり、施工する場所や広さ、建物の状況によって最適な工事方法が違ってくるため、何を選んだらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか

この記事では、屋上防水が必要な理由や防水工事の種類、費用などを解説していきます。

防水工事を検討している方に役立つ情報が詰まっているので、ぜひ参考にしてください。

屋上防水とは?

屋上防水とは、雨漏りを防ぐために屋上に施す防水工事のことです。

基本的に新築時の屋上には十分な防水が施されていますが、時間の経過とともにその防水効果は下がっていきます。

防水効果が下がった屋上の防水層を作り直すなど、屋上から建物内部に水が侵入できない状態を作るのが屋上防水工事です。

屋上防水が必要な理由

一般的な住宅の屋根のように、傾斜がついた屋根(=屋根勾配)であれば、雨が降っても雨水は効率よく流れ、建物の外に排出される仕組みになっています。

しかし、マンションやビル、キューブ型住宅のように、屋上型の屋根はほぼ平坦なので、雨水がたまりやすいです。

水はけが悪いと、防水性が低下し、雨漏りが起こるリスクが高くなります。

傾斜がほとんどない屋根のことを「陸屋根」と呼びますが、この陸屋根の水はけをよくするには、防水工事の実施が重要です。

屋上のメンテナンスを疎かにした場合に起こる問題

もし工事を行わなかった場合、床のひび割れや劣化した目地などから雨水が染み込み、雨漏りが天井や壁から起こります。

また、建物内部へ侵入した水は、躯体部分を腐らせ、建物の寿命を大幅に縮めます。

耐久性や耐震性が落ちたり、コンクリートが脆くなると、建物全体が危険な状態になります。

さらに、躯体部分の腐食はカビや菌の繁殖も引き起こすので、健康被害にも繋がります。

ビルやアパートのオーナー・大家など、建物を管理する立場にある方は、建物の安全性を保持するためにも、屋上の防水工事は重要です。

屋上防水の構造

屋上防水工事は一体どんなことをするの、と疑問に思いませんか?

雨漏りを防ぐための工事と前述しましたが、具体的にどのような工事をするのか、気になりますよね。

具体的な工事内容を知るには、屋上の防水構造を把握しておくとわかりやすいです。

屋上の防水構造は基本的に、下地(床)・防水層・トップコートの三層で成り立っており、防水層とトップコートは経年劣化していく部分です。

つまり、屋上の防水工事は、この防水層とトップコートの層を作る作業です。

屋上防水工事の種類一覧表

ウレタン防水FRP防水シート防水アスファルト防水
特徴面積・形状・材質問わずどんなところにも施工が可能強靭な防水層を形成する物が少なく広い場所の施工に適している伝統的で信用度の高い防水工事
工期1日〜5日程度1日〜2日程度1日〜5日程度3週間程度
耐用年数10〜12年程度10〜12年程度10〜15年程度15〜25年程度
費用相場6,500~12,000円/㎡6,500~10,000円/㎡8,000~15,000円/㎡11,000~22,000円/㎡
工法の種類密着工法
通気緩衝工法
密着メッシュ工法
密着工法
固定式機械工法
熱工法
常温工法(冷工法)
トーチ工法
適した建物ビル、マンションの屋上
バルコニーやベランダ など
マンションやオフィスビルの屋上
バルコニーやベランダ
屋上駐車場 など
マンション・ビルの屋上など広い面積の場所
マンション・学校などの大型建築物の屋上 など
不向きな建物なし木造の建物凹凸のある場所
ベランダなどの狭い場所
バルコニー・ベランダ
既存防水層がアスファルト防水以外の建物 など

屋上防水工事の種類

ここでは、防水層を作る防水工事の種類について解説していきます。

防水工事には様々な種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

防水工事を選択する基準にもなるので、把握しておきましょう。

塗膜防水

塗膜防水とは、液状の防水材を塗り重ねて防水層を形成する工事です。

継ぎ目のないシームレスな仕上がりになるのが特徴です。

塗膜防水には、ウレタン防水とFRP防水の2種類があります。

ウレタン防水

引用:新東亜工業

ウレタン防水とは、塗膜防水の一種で、液状のウレタン樹脂を乾燥させながら2〜3層塗り重ねて防水層を形成する防水工事です。

複雑な形の場所や凹凸のある場所にも施工できる、現在主流となっている防水工事の方法です。

ウレタン防水のメリット
  • 面積・形状・材質問わずどんなところにも施工が可能
  • 継ぎ目がない
  • 重量が軽い
  • 工事費用が安い
ウレタン防水のデメリット
  • 職人の技術によるので仕上がりのばらつきがでやすい
  • 紫外線に弱い
  • 乾燥が遅い

FRP防水

引用:新東亜工業

FRP防水とは、塗膜防水の一種で、強化プラスチックを染み込ませたガラス繊維を塗布し、強靭な防水層を形成する防水工事です。

FRP防水の「FRP」とは、Fiber Reinforced Plasticsの略で日本語に訳すと繊維強化プラスチックです。

非常に軽く、強度があることから、さまざまな場所で採用されています。

軽いため建物への負担が軽く、高層の建物や戸建のバルコニーに最適です。

車が走れるほどの強度があることから、屋上駐車場の防水工事にも使われることが多い方法です。

FRP防水のメリット
  • 頑丈で衝撃に強い
  • 重量が軽い
  • 工期が短く、1〜2日で完了する
FRP防水のデメリット
  • 伸縮性が低いため木造の建物への施工は不向き
  • 工事費用が高い

シート防水

引用:新東亜工業

シート防水とは、防水シートを下地に貼り付ける防水工事で、物が少なく広い場所の施工に適しています。

また、防水シートの厚みは均一なので、塗膜防水のように職人の技術によって厚みや仕上がりにばらつきがでることはあまりありません。

シート防水工事に使われる防水シートの種類は主に2つです。

シート防水のメリット
  • 防水シートを下地に被せて貼り付ける施工法なので既存防水層の撤去が不要
  • 広範囲を一度に施工できる
シート防水のデメリット
  • 凹凸がある場所・複雑な形状・設置物が多い場所・狭い場所への施工は不向き
  • 施工業者が少ない
  • 維ぎ目を十分に接着しないと強風などで剥がれる恐れがある
  • 工法によっては騒音がする

塩ビシート

塩ビシートは、塩化ビニール素材で作られた防水シートです。

耐久性があり、摩擦・紫外線・物理的な衝撃に強いです。

ただ、劣化してくると伸縮性が失われ、シートに亀裂が生じます。

現在のシート防水工事では、この塩ビシートが主に使われています。

ゴムシート

ゴムシートは、合成ゴムから作られた防水シートです。

軽量で伸縮性があり、塩ビシートよりも安く施工することができますが、鳥のついばみや飛来物の衝撃で破れてしまうほど耐久性が低く、紫外線に弱いです。

そのため、現在のシート防水工事でゴムシートが使われることはほとんどありません。

アスファルト防水

引用:新東亜工業

アスファルト防水とは、液状の溶解アスファルトと、アスファルトルーフィングシートを組み合わせて防水層を作る防水工事です。

アスファルト防水は最も古くから行われてきた伝統的で信用度の高い防水工事で、マンションや大型のビル、学校の屋上など広い場所に施工するのに採用されることが多いです。

大型の建物の屋上であれば新築時にはアスファルト工法が採られている場合がほとんどです。

アスファルト防水のメリット
  • 耐用年数が長い
  • 頑丈
アスファルト防水のデメリット
  • 重量があるため、木造の建物や高層の建物への施工は不向き
  • 工法によって煙が発生する

屋上防水工事の工法の種類

ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水はそれぞれ工法が異なります。

屋上の状態と工法の相性の問題で、防水工事ができない場合があるので注意が必要です。

工法のメリット・デメリットを見てみましょう。

ウレタン防水の工法

ウレタン防水の工法の種類は密着工法・通気緩衝工法・密着メッシュ工法があります。

密着工法

密着工法は、ウレタン樹脂を下地に直接塗る工法です。

劣化の度合いが少ない場所や新築時に使うケースが多いですが、下地を完全に乾燥させる必要があるため、密着工法はベランダなど狭い場所に使うのが一般的です。

下地の乾燥が不十分だと、ひび割れや膨れが生じます。

屋上などの広い場所は乾燥に時間がかかるため、そのような場所にウレタン防水で防水工事を行う場合は、後述する通気緩衝工法を使います。

密着工法のメリット
  • 費用が安い
  • 工期は比較的短い
密着工法のデメリット
  • 下地を完全に乾燥させる必要がある
  • 水分を含む下地への施工は不向き
  • 下地の影響を受けやすく、ひび割れが起こりやすい

通気緩衝工法

通気緩衝工法は、下地とウレタン樹脂の間に「通気緩衝シート」という防水シートを挟む工法です。屋上防水工事でよく使われる工法の一つです。

通気緩衝シートには無数の穴が空いており、加えて屋上に脱気筒という装置も設置して、防水層の通気性を確保します。

密着工法に起こりがちな膨れやひび割れが起こりにくく、下地に水分が残っている場合でも施工が可能です。

そのため、マンションやビルの屋上、下地が水分を多く含む築年数が古い建物、雨漏りがすでに起こっている建物に使うことが多いです。

通気緩衝工法のメリット
  • 通気性を確保する工法なので膨れ・ひび割れが起こりにくい
  • 水分を含む下地にも施工が可能
通気緩衝工法のデメリット
  • 密着工法より費用がかかる

密着メッシュ工法

密着メッシュ工法は、ウレタン樹脂とメッシュの補強布を使う工法です。

メッシュシートを用いて防水層を補強するので、密着工法に比べて防水層は強固です。

しかも伸縮の耐性があり、地震などの揺れに強いです。

密着メッシュ工法での施工が適している場所は、複雑な形状の場所や、勾配があってウレタン塗膜が不均一になりやすい場所です。

ただ、密着メッシュ工法は密着工法と同様に、水分を含む下地への施工は不向きです。

屋上防水では主に立ち上がり部分に使われます。

密着メッシュ工法のメリット
  • 地震に強い
  • ウレタン塗膜が不均一になりやす場所(勾配があるところ)への施工が可能
  • 強固な防水層になる
密着メッシュ工法のデメリット
  • 水分を含む下地への施工は不向き

シート防水の工法

シート防水の工法の種類は密着工法と固定式機械工法の2つです。

密着工法

シート防水の密着工法は、下地と防水シートを専用の接着剤で直に接着させる工法です。

施工後に風圧で防水シートが飛ぶことは起こりにくいです。

しかし、ウレタン防水の密着工法と同様に水分を含む下地には施工できません。また、下地の影響を受けやすいです。

密着工法はゴムシートと塩ビシート、どちらにも使うことができます。

密着工法のメリット
  • 風圧に強い
  • 工期は比較的短い
密着工法のデメリット
  • 下地の影響を受けやすい
  • 水分を含む下地への施工は不向き
  • 職人よって仕上がりにばらつきが出る

機械的固定工法

機械的固定工法は、下地と防水シートの間に絶縁用シートを敷いて固定ディスクで固定し、通気性を確保する工法です。

絶縁用シートを敷くため、下地の影響を受けにくいです。また、通気性があるので防水層の膨れも起こりにくいです。

下地に絶縁用シートと防水シートを接着させる固定ディスクは機械で止めていきますが、その際、かなり大きな振動音が出ます。

近隣住民・入居者とのトラブルが起こる場合があるため、工事実施の通告は必ず必要です。

機械的固定工法で使う防水シートは主に塩ビシートです。

固定式機械工法のメリット
  • 下地の影響を受けにくい
  • 通気性を確保する工法なので膨れ・ひび割れが起こりにくい
  • 水分を含む下地にも施工が可能
固定式機械工法のデメリット
  • 騒音が発生する
  • 職人の技術が必要

アスファルト防水

アスファルト防水の主な工法は熱工法・常温工法(冷工法)・トーチ工法の3種類です。

熱工法

熱工法は最も古くから使われており、溶解アスファルトとアスファルトルーフィングシートを併用して防水層を作る工法です。

ルーフィングシートを積み重ねるので、強靭な防水層ができます。

アスファルトは釜で溶解させます。その際、独特なにおいと煙が発生するため、近隣住民・入居者とトラブルにならないように配慮する必要があります。

熱工法のメリット
  • 密着性・耐久性が高い
  • 工期は比較的短い
熱工法のデメリット
  • 煙とにおいが発生する
  • 釜を設置するスペースを確保する必要がある

常温工法(冷工法)

常温工法は冷工法、自着工法、常温粘着工法とも呼ばれています。

常温工法の特徴は火器をほとんど使用しない点です。

ルーフィングシートの裏側に自着層といわれるゴムアスファルトの粘着層をコーティングし、下地に貼り付けて防水層を形成します。

そのため、においや煙は発生しません。密集地や狭小地での工事に向いている工法の一つです。

しかし、他の工法に比べ施工費はかかります。

常温工法(冷工法)のメリット
  • 火器をほとんど使用しないので密集地や狭小地での工事に向いている
  • 釜を設置するスペースを確保する必要がない
常温工法(冷工法)のデメリット
  • 施工費が高い
  • 耐用年数が長い

トーチ工法

トーチ工法は、トーチバーナーと呼ばれるバーナーを用いて、アスファルトを溶かしながら防水層を作る工法です。

具体的には、改質アスファルトルーフィングという防水シートの裏面をバーナーで炙り溶かして下地に密着させ、シートが冷える前にローラーで圧着させていきます。

溶解窯を設置するスペースがない屋上などへの施工に向いています。

トーチ工法のメリット
  • 密着性が高い
  • 費用は比較的安い
トーチ工法のデメリット
  • 付近に燃えやすい物があると施工ができない
  • 職人の技術によって仕上がりにばらつきがでる

屋上防水工事の費用相場

屋上に行われる防水工事の費用相場を工事の種類・工法別にまとめました。

防水工事の種類費用相場耐用年数
ウレタン防水通気緩衝工法(絶縁工法)約5,500~6,500円/㎡13~15年程度
ウレタン防水密着工法約4,500~5,500円/㎡2~5年程度
塩ビシート防水機械固定工法約5,500~7,500円/㎡15年~20年程度
塩ビシート防水密着工法約4,000~5,000円/㎡10年~15年程度
ゴムシート防水約4,000~5,000円/㎡10年~15年程度
改質アスファルトシート防水約4,500~7,000円/㎡15年~20年程度
FRP防水約5,000~7,000円/㎡10~15年程度

施工費用は、工法や材料のグレードによって変わります。また、上記の費用に加え、必要であれば足場代、劣化が激しい場合は修繕費、人件費がかかります。

屋上防水工事の選び方

屋上防水工事の種類・工法の種類を紹介してきましたが、たくさんありすぎて、どれを選べばいいのかわからなくなりますよね。

防水工事の種類は防水層の劣化状況・既存防水層の種類・建物の主要な構造材・使用目的を考慮して選ぶのがポイントです。

以下で屋上に施す防水工事の選び方の目安を紹介していきます。ぜひ参考にしてください。

建物の構造別

建物の主要な構造材によって施工ができない防水工事があります。

建物の耐震性・耐久性にも関わるので注意して選びましょう。

木造鉄筋コンクリート(RC)造鉄骨(S)造
ウレタン防水
FRP防水×
費用が高い

費用が高い
シート防水
アスファルト防水×

木造の場合

木造の建物の特徴は以下のとおりです。

  • 熱伝導率が低く、断熱性・吸湿性が高い
  • 乾燥伸縮する
  • 柔らかくてしなやか

木造住宅の屋根は勾配がついていることが多く、アスファルトシングル葺きや塩ビシート防水などの防水工法で防水性能を高めます。

木造アパートやキューブ型住宅など、木造建築の陸屋根に防水工事を施す場合は、木の特徴である「乾燥収縮」と「柔らかくてしなやか」を考慮して、防水工事を選ぶのが重要です。

よって、木造の建物に施す防水工事はウレタン防水とシート防水が向いています。

FRP防水は固いため、乾燥収縮に適応できないのでひび割れが起こりやすいです。しかし、FRP防水は陸屋根の施工には向いていないだけで、木造の建物のベランダやバルコニーの施工にはよく使われます。

アスファルト防水は重量があるので、防水層の重みにより躯体である木材に負荷がかかり、建物自体の耐久性が下がってしまいます。

木造の建物に防水工事を行う際はアスファルト防水は避けるのがよいでしょう。

鉄筋コンクリート(RC)造の場合

鉄筋コンクリート(RC)造の建物の特徴は以下のとおりです。

  • 鉄筋とコンクリートでできている
  • 耐久性・耐火性・耐震性・防音性に優れている

鉄筋コンクリート造とは、「RC(Reinforced Concrete:補強されたコンクリート)」とも表記され、細い鉄筋を網目上に組んだ中にコンクリートを流し込んで作る建物のことです。

鉄筋コンクリート造は規模の大小を問わず、多くのマンションで採用されており、新築時の防水層はアスファルト防水でできていることが多いです。

鉄筋コンクリート造の防水層を改修する際は、ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水で行うことができます。

FRP防水も施工可能ですが、費用は高くなる場合があります。

また、アスファルト防水で防水層の改修工事を行う際は既存の防水層を解体する必要があります。そのため、ウレタン防水とシート防水より費用は高くなることがあります。

鉄骨(S)造の場合

鉄骨(S)造の特徴は以下のとおりです。

  • 梁や柱などの骨組み部分は鉄骨でできており、その他の部分は違う部材でできている
  • 柔軟性と耐震性が高い

鉄骨(S)造とは、主要の構造材が鋼鉄(鉄)でできている建物のことです。

Sはスチールの略称です。

鉄骨造は使用される鋼材の厚みによって軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分類されます。軽量鉄骨造は3階建て以上のビルやマンション、小規模店舗に使われ、重量鉄骨造は高層ビルで使われます。

鉄骨造の防水層を改修する際は、ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水で行うことができます。

FRP防水の施工の可否と、アスファルト防水の注意点は鉄筋コンクリート造の防水工事と同様です。

屋上防水工事が必要な劣化症状

どのタイミングで屋上防水工事を行うとよいのでしょうか。

専門家に依頼し確認してもらうことも大切ですが、普段から屋上の様子に目を光らせておくことで、劣化を見つけ出し、早めに対応することが可能です。

劣化症状を見つけた場合には、出来るだけ早く、防水工事を行うのがおすすめです。

屋上の劣化症状
  • 色褪せ
  • ひび割れ
  • 剥がれ
  • 膨れ
  • 水溜まり
  • 排水口(ドレン)周りや笠木の劣化

劣化症状について、下記で詳しく解説していきます。

色褪せ

屋上は雨が直接降り込み、紫外線に最もさらされる劣化が起きやすい場所です。

防水層の表面には、防水層を守る塗料が塗られていることがほとんどですが、劣化すると表面の塗装の色が変化してきます。

防水層を守る塗料が劣化すれば、防水層が劣化し水が侵入してしまうのも時間の問題です。

早めに対応することで、大掛かりな防水工事を行う必要がなく、費用が抑えられることもあります。

表面の塗料だけだからと軽く考えず、色褪せを感じた場合には早めに防水工事を検討しましょう。

ひび割れ

屋上でひび割れを見つけた場合には注意が必要です。

ひび割れは施工方法によっていくつかみられる症状や原因に種類があります。

まずはアスファルト防水の抑えコンクリートが劣化によってひび割れてしまうケースです。

頑丈なコンクリートであっても、長い年月を紫外線や風雨にさらされることにより、特にシートの継ぎ目の部分が開いてしまうことがあります。

抑えコンクリートの下に防水層があるのですぐに水が染み込んでしまう心配はありません。

シート工法では防水シート自体が劣化し、ひび割れのような状態になっている場合があります。

ウレタンの場合にも劣化が原因となり、ひび割れが現れることがあります。

紫外線や雨などによる劣化に加えて、施工時のウレタンの厚さや下地の状況など施工時の状況が影響する場合もあります。

どの工法の場合においても、ひび割れは雨漏りに直結し建物にも多大なダメージを与えることが予想されますので、早急な対応が求められます。

剥がれ

塗装やシートに剥がれがみられる場合も、その部分から水が侵入してしまう可能性があります。

ウレタン塗装やFRP塗装の場合は、紫外線や風雨による表面部分の劣化により、防水層が剥がれてしまう場合があります。

またシート防水においてもシート自体が劣化してしまうと、粘着性が失われてしまい剥がれが生じます。

そのほかにも地震や外的な衝撃などによっても剥がれは起きる可能性があり、その部分から防水効果が下がり、水が染み込むことになってしまうため、剥がれが見つかった場合は注意が必要です。

膨れ

膨れはウレタン防水やシート防水で起ります。

長い時間をかけて少しずつ防水層と下地の間に染み込んだ水分が、太陽の熱によって熱されることにより蒸発します。

その蒸気が逃げる隙間がないために、防水層を膨らませてしまうのが、膨れの現象です。

施工不良により防水層と下地の間に水が入り込んでしまい発生することもあります。

広い場所で起こりやすく、屋上はその際たる場所と言えるでしょう。

膨れはすぐに雨漏りや内部への水の侵入につながるものではありませんが、膨れが起きている場所は伸縮が繰り返され、防水層が弱くなってしまっていると考えられます。

防水層が破損してしまう前に、対応した方がいいでしょう。

水溜まり

雨上がりに屋上へ上がってみましょう。

そこに水溜りがあるのであれば、状況をよく確認してみる必要があります。

長く水が留まることにより、防水効果は下がりやすくなります。

いつも水溜りができている場所があれば、その部分は防水効果が大きく下がっている可能性があります。

原因はいくつかありますが、排水溝にゴミや落ち葉が溜まっていて排水に不具合が生じていることもあるでしょう。

そのような場合には排水溝を掃除することで簡単に解消することができるので、こまめな清掃を心がけてください。

それでも解消しない場合は、設計ミスや施工時の不具合の可能性も考えられますので、施工業者に相談してみてもいいでしょう。

排水口(ドレン)周りや笠木の劣化

防水層の表面だけでなく、注意したいのがドレンと呼ばれる排水溝です。

ドレンは屋上から水は排水する部分につけられた格子状の金属製のカバーのようなものです。

ドレンが錆びたり破損したりすると、ドレン部分から水が侵入してしまうことがあります。

また屋上に雑草などの草木が生えているのを見つけた場合には、その部分の防水性が下がり、水分を含んでいることを意味しています。

その場合、慌てて草を抜きたくなってしまいますが、安易に抜いてしまうととても危険です。

植物の力は思っている以上に強靭で、防水層の中まで根を張っている場合があります。

その根を抜いてしまうと防水層に穴をあけてしまうことになり、雨漏りの原因となります。

基本的には専門家に修復を依頼するようにしましょう。

屋上防水業者を選び方

屋上防水工事をしたいと思っても、はじめてで何を基準に業者を選んだら良いのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。

優良な屋上防水業者を選ぶポイントを紹介します。

①屋上防水の施工実績が豊富

防水工事をおこなっている業者の中でも、屋上防水の施工を数多く手がけている業者に依頼しましょう。

屋上防水の施工実績が多い業者であれば、さまざまな屋上に対応している可能性が高くなります。

屋上にはさまざまなタイプがあり、広さや形状、以前の防水工事の方法、周囲の環境などもそれぞれ違います。

経験豊富な業者であれば、どういった方法が最も適しているのか、最適な工事プランを提案してくれるでしょう。

近年では施工事例や実績をホームページで公開している業者も多く、ある程度ご自身で調べることも可能です。

防水工事専門と言っている業者の中にも、ベランダやバルコニーばかりで、屋上の施工実績が少ない場合があるので注意が必要です。

②専門知識・技術がある職人がいる

防水工事には他の塗装や工事とは違う、専門的な知識や技術が必要です。

防水工事の資格で防水施工技能士という資格があります。

これは実務経験が2年以上必要な国家資格です。

この資格をもっている職人がいるかどうかは、技術力・知識の豊富さを見極める一つの基準になるでしょう。

③対応が丁寧

丁寧な対応をしてくれるというのは、当たり前のことでは?と思う方もいるかもしれません。

しかし複数の業者から見積もりをとれば、丁寧な業者とそうでない業者はすぐにわかります。

話の受け答えだけではなく、見積書の記載、細やかな連絡等、さまざまな部分に表れます。

対応が丁寧な業者は、総じて実際の作業も丁寧に行う業者が多い傾向があります。

また工事でのトラブルへの対応、依頼者からの要望に耳を傾けてくれるかなど、工事の満足度に大きく関わる部分です。

納得できる工事を行うためにも、業者の対応をよくみて業者選定をしましょう。

屋上防水業者への依頼の仕方

屋上の防水工事を検討した場合、どのようにすすめれば良いのでしょうか。

契約までの流れをまとめました。

  1. 業者を選ぶ
  2. 対応可能エリアか確認
  3. 電話する
  4. 視察に来てもらう
  5. 見積書を確認
  6. 契約

まずは1社でもいいので視察してもらい、見積もりを出してもらいましょう。

その上で何社かから見積もりをとり、比較検討した上で業者を選ぶようにしましょう。

見積書のチェックポイント

見積もりを取った場合、見積書のどこに注意して検討したらいいのでしょうか。

屋上防水工事にはさまざまな工法があり、使用する資材のメーカーやグレードによっても値段に大きな差がでます。

見積書を提示してもらった際には下記の項目が記載されているか、それらの数字が妥当なのかをチェックしましょう。

  • 保証年数・定期点検の年数
  • メーカー名や工法名の記載の有無
  • 材料名・下地処理・ドレン改修・伸縮目地の記載の有無

工事内容や使用する資材がはっきりと書かれていない見積書の場合には、手抜き工事をする悪徳業者の可能性もあります。

どんな工事をどの材料を使用して行うのか、誰の目にもわかりやすい細かな見積書をだしてくれる業者であれば、信頼できる優良企業である可能性も高くなります。

見積書を複数社に提示してもらい、信頼できる業者を見つけましょう。

まとめ

屋上の防水工事に関して、解説してきました。

まとめると、

  • 屋上には傾斜がなく水捌けが悪いため、防水工事は必須
  • 屋上防水工事をしないと、雨漏りが起きたり、内部に水が侵入したりして、建物寿命が短くなる可能性がある
  • 屋上防水工事には、「FRP防水」「ウレタン防水」「シート防水」「アスファルト防水」があり、メリット・デメリットを理解した上で、最適なものを選ぶ必要がある
  • 屋上防水業者は、屋上の施工実績が多い業者・技術や知識が豊富な業者を選ぶとよい
  • 見積書に詳細が記載されていない場合は、悪徳業者の場合もあるため注意が必要

大切な建物の寿命を延ばすためにも、定期的な屋上防水工事はかかせません。

工事内容や費用相場を理解し、納得のいく屋上防水工事を実現してください。

関連記事
公式サイト