大規模修繕の定義を知りたい人
大規模な修繕とは?
大規模修繕工事の定義は?
大規模修繕と大規模改修の違いは?
大規模修繕の定義は建築基準法で定められている?
大規模修繕の工事範囲はどれくらい?
頑丈なコンクリート造のマンションでも、長年のあいだ風雨や直射日光にさらされると、徐々に劣化していきます。
そこで必要になるのが「大規模修繕」です。
大規模修繕は多くの工事項目があり大掛かりなので、事前の準備が欠かせません。
そこでこの記事では、大規模修繕の工事内容や費用、進め方、見積もりのコツなどを徹底的に解説していきます。
「高額な工事なので失敗したくない」という人も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
大規模修繕とは
大規模修繕とは、経年劣化したマンションを大規模に修繕することを言います。
「外壁補修」「屋上防水」「給水管の取替え」といった工事を行い、マンション全体を総合的に修繕します。
基本的には劣化した場所を修繕することを目的としますが、バリアフリー化したりオートロックを設置したり、マンションに新たな機能を加える工事をすることもあります。
大規模修繕を上手く行うには長期修繕計画を立てることが大切です。
大規模修繕の準備は1~2年ほど前から行うのが一般的です。
修繕と改修、補修の違い
「修繕」「改修」「補修」という3つの言葉は、どれも似た意味で使われますが、ニュアンスが異なります。
ここではこれら3つの言葉の違いを解説していきます。
修繕とは
修繕とは、建物の劣化した部分を、新築当時の状態に近づけることを言います。
修繕に使われる材料も、新築当時に近いものが使われます。
建物は徐々に劣化していくので、定期的に修繕工事を行うと建物の寿命を延ばす効果が期待できます。
改修とは
改修とは、建物の性能を新築当時よりもグレードアップさせること。
バリアフリー化したり省エネ化したり断熱性を高めたりするので、「改良」と言ってもいいかもしれません。
新築から10年20年と経過すると、当時は最新の設備だったとしても、現代では少し古い設備になってきます。
こうした時代やライフスタイルの変化に対応するために、改修工事が行われることも多いです。
補修とは
補修とは、建物の経年劣化した部分を元の状態に直すことを言います。
修繕に似た意味ですが、補修には「不具合が発生したらその都度直す」という意味合いがあります。
そのため「小修繕」とも呼ばれます。
建物の劣化した箇所を放置すると、その部分からどんどん劣化が広がっていきます。
小さな劣化程度ならすぐに直してしまったほうが良いですよ。
大規模修繕のメリット
大規模修繕には、次のようにさまざまなメリットがあります。
高い入居率を確保できる
やはり綺麗で使いやすい建物に住みたい人は多いです。そこで築年数が増えて劣化してきた建物で大規模修繕を行えば、高い入居率を確保しやすくなります。
住人が生活しやすくなる
大規模修繕をすると、住環境が良くなります。
例えば高齢者が多く住むマンションをバリアフリー化する、といったことですね。
セキュリティを高めるためにオートロックを設置するのも良いでしょう。
防犯性能が高まれば、住人がより安心して暮らせます。
家賃水準を維持できる
大規模修繕で建物が綺麗になったり利便性が向上したりすれば、築年数が経過した建物でも家賃水準を維持しやすくなります。
周辺物件との競争力も高まるでしょう。
建物の寿命を維持できる
定期的に大規模修繕を行うことで、建物の寿命を最大限に維持できます。
例えばコンクリートのひび割れを放置すると、建物の耐久性が下がるだけでなく、ひび割れから雨水が侵入することで浸水し、建物内部から劣化させてしまう恐れがあります。
資産価値が高まる
大規模修繕を行うと建物の見た目や機能性などが良くなるので、建物の資産価値の維持につながります。
また時代のニーズに合った新たな設備を追加すれば、資産価値を高めることもできるでしょう。
大規模修繕工事の費用や価格
大規模修繕では、次のような費用がかかるのが一般的です。
一戸あたりの大規模修繕工事の金額
工事回数 | 平均金額 |
1回目 | 100万円 |
2回目 | 97.9万円 |
3回目 | 80.9万円 |
このデータを参考にすると、100戸のマンションだと1億円ほどの工事費用が必要です。
ただし上記はあくまでも平均額です。
経年劣化とともに徐々に修繕が必要な箇所が増えていくので、2回目や3回目の大規模修繕工事では、1回目よりも高額になるケースが多いので注意が必要です。
毎月の積立金はいくら?
大規模修繕には、マンション住人から徴収された「修繕積立金」が使われます。
修繕積立金は一戸あたり毎月1~1.5万円ほどが相場です。
修繕積立金だけで足りない場合は、臨時で「修繕積立一時金」を住人から徴収する場合もあります。
ただし修繕積立一時金は自由に徴収できるわけではありません。
住人の合意が必要です。
コンサルタントへの報酬が必要な場合もある
大規模修繕では、場合によってはコンサルタントのサポートが必要になるでしょう。
コンサルタントに依頼すると、工事価格全体の5~10%ほどの費用がかかるのが一般的です。
大規模修繕に必要な費用について詳しく知りたいかたは、次の記事を参考にしてみましょう。
大規模修繕工事の期間
大規模修繕の工事に必要な期間は、以下のようになっています。
マンションの規模 | 工事期間 |
小規模マンション(50戸未満) | 約3~4か月 |
中規模マンション(50~100戸) | 約4~6か月 |
大規模マンション(100戸以上) | 約半年~1年 |
ただし上記は、あくまでも工事のみに必要な期間です。
準備段階から計算すると、大規模マンションの場合は3年以上かかるケースもあります。
工事に必要な期間や時期については、次の記事が参考になります。
大規模修繕工事の周期と回数
マンションの大規模修繕は12年周期で行うのが一般的だと言われていますが、マンションの劣化状況によって前後します。
国土交通省が発表する「マンション大規模修繕工事に関する実態調査(平成29年5~7月実施分)」というデータでは、次のような結果が出ています。
大規模修繕の回数と築年数の関係
工事回数 | 築年数 |
1回目 | 13~16年 |
2回目 | 26~33年 |
3回目 | 27~45年 |
また修繕する箇所によっては、次回の大規模修繕に工事を延期できる場合があります。
大規模修繕の費用が足りなくなりそうな場合は、工事に優先順位を付け、最低限必要な箇所のみを修繕することも可能です。
「外壁や屋上の防水」「外壁タイルの補修」といった工事は建物の寿命に直接的に関わるので、先延ばしはしないほうが良いでしょう。
大規模修繕工事の準備期間
大規模修繕は、トータルで1~3年ほどかかるのが一般的です。
計画から着工まで1~2年、工事には3か月~半年ほどかかるでしょう。
超高層マンションの場合は工事に1年以上かかる場合もあります。
大規模修繕工事の準備〜完了までの流れ
大規模修繕は通常、次のような流れで進めていきます。
- STEP
理事会、修繕委員会の発足
まずはマンション住人から構成されるチームである、理事会や修繕委員会を立ち上げます。
必要であれば、外部から大規模修繕に詳しい専門家を招くのも良いでしょう。 - STEP
発注方式の選択
管理会社や建築士事務所、コンサルタント会社などに、どんな方式で発注するかを決めます。
大規模修繕では、信頼する施工業者に全てを任せる「責任施工方式」や、コンサルタントに依頼して監理してもらう「設計監理方式」といったものが一般的です。
- STEP
建築診断
建物の劣化度合いや、修繕が必要な箇所を調査します。建築診断を行うと、工事に必要な費用の目安も分かります。
- STEP
長期修繕計画の決定
どのように大規模修繕を行うか、具体的な計画を立てていきます。どんな工事内容にするか、工事時期はいつにするか、といったことを詳細に決めていきます。
- STEP
施工業者選び
施工業者選びで工事のクオリティが決まると言っても良いでしょう。
良い施工業者を選ぶには、複数の施工業者から相見積もりを取って比較検討するのがおすすめです。
選んだ候補の中から更に数社に絞り、その施工業者を招いてヒアリングを行ないます。 - STEP
総会決議
大規模修繕の詳細が決まったら、総会を開いて組合員の承認を得ましょう。承認が得られたら、施工業者に工事を発注できるようになります。
- STEP
工事説明会
工事を行う1か月ほど前に、マンション住人に対して工事説明会を行いましょう。
どんな工事内容か、期間はいつからいつまでか、騒音対策はどうか、といったことを詳細に説明します。
マンション住人ときちんとコミュニケーションが取れていれば、工事中のクレームも少なくなるでしょう。 - STEP
着工
施工業者とその都度打ち合わせをしながら、工事を進めていきます。
進捗状況や注意点などを、随時マンション住人や周辺住民と共有することが大切です。
騒音やホコリなども発生するので、掲示板やチラシを使って、できる限り理解してもらえるように努めましょう。 - STEP
竣工検査
工事が一通り終わったら竣工検査を行います。
施工不良がないかどうか、詳細に調べます。
施工不良があった場合は、施工業者に手直しをしてもらいます。 - STEP
完了
工事の完了後は次回の大規模修繕に向けて、長期修繕計画の見直しを行いましょう。
大規模修繕工事の進め方についてさらに詳しく知りたいかたは、以下の記事を参考にしてみてください。
大規模修繕工事の見積もり書を見るコツ
大規模修繕で施工業者に見積もりを取る際には、次のことがポイントになります。
- 良い施工業者を選ぶ
- 工事の基準を決める
- 管理組合が主体になって行う
良い施工業者を選ぶのは当然ですね。
候補の施工業者を招いてのヒアリングでは、工事の内容や見積もり価格だけでなく、施工業者の経営状態、アフターサービスの内容、工事への熱意などについてもしっかりとチェックしましょう。
見積もりを取る際は、大まかな工事項目を決めておき、その基準を元に見積もりを出してもらいます。
これなら複数の施工業者が出した見積もりを比較検討しやすくなります。
また候補の施工業者の経営状態をチェックすることも大切です。工事中やアフターサービスの期間中に倒産されては困りますからね。
「見積金額が妥当かどうか分からない」という場合は、建築事務所や管理会社に相談しても良いでしょう。
大規模修繕の施工前・施工中・施工後の注意点
大規模修繕の施工前や施工中、施工後には、それぞれ注意すべきポイントが異なります。
施工前
施工前には、周辺住民への挨拶回りを忘れずに行いましょう。
工事内容や工事期間、予想される騒音などについて具体的に説明し、ご迷惑をかけることを伝えておくことで、後々のクレームを避けられます。
余裕があれば菓子折りを持っていくと良いですね。
施工中
施工中は防犯対策が肝心です。
マンションの周囲に足場を組んでシートで覆うことになるので、外部からマンション内に空き巣が侵入しやすくなります。
マンション住人に施錠を促したり、夜に外出する際に部屋の電気を点けておくことを促したりしましょう。
大規模修繕の際は、施工業者が足場付近に防犯カメラを設置するケースも多いです。
施工後
施工後は竣工検査を行うのはもちろん、工事に関する資料をしっかりと保管しておくことが大切です。
「工事完了確認書」や「施工写真」、「打ち合わせ議事録」など、大規模修繕に関する資料は全て保管しておきましょう。
初回(1回目)の大規模修繕で目指すこと
初回の大規模修繕は、「マンションを新築の状態に戻す」という意識で行います。
まだ築年数が浅いので、大きな劣化や損傷は少ないでしょう。
初回の工事では、次のような修繕を行うのが一般的です。
- 外壁塗装
- 鉄部の塗装
- 防水工事
- 外壁タイルの補修
- シーリングの打ち替え
2回目以降の大規模修繕で目指すこと
2回目の大規模修繕では初回のような工事を行いつつ、マンション住人のライフスタイルの変化への対応も必要です。
住人の高齢化に伴いバリアフリー化したり、エントランスに自動ドアを設置したり。
見た目が古くなってきた場合は、デザインの変更も視野に入れます。
また2回目の大規模修繕では、1回目よりも規模が大きくなるケースが多いです。
費用が1回目の1.5倍ほどになることもあるので、費用を削減するために「不必要な工事はないか」「どの工事を優先すべきか」といったことをしっかりと検討することが大切です。
3回目の大規模修繕では、劣化部分の修繕だけでなく「更新(交換)」も必要になってくるでしょう。
サッシや玄関ドア、給排水管、電気設備などの交換が必要なケースも多いです。
3回目ともなると資金面の問題も増えてきます。
2回目の大規模修繕を行う前から、どうやって資金を確保するかを十分に検討しておきましょう。
2回目以降の大規模修繕については、次の記事が参考になります。
建物が劣化する原因
マンションなどの建物は、次のような原因で劣化していきます。
外的要因
雨や風、紫外線、気温や湿度の変化、空気中の酸素などが原因で、建物が劣化します。
また道路に面した建物では、排気ガスや粉塵によって外壁が汚れます。
建物が劣化していくと、コンクリートのひび割れや外壁タイルの剝落をはじめ、外壁塗装が白く変質する「チョーキング現象」などが起こります。
人的要因
共有部分の手すりなどは人が良く触れる部分なので、黒ずんだりヒビが入ったりしやすいです。
また人の出入りがあまりない場所は、劣化していても気付きにくく補修が遅れがちです。
施工不良
施工不良によっても建物は劣化しやすくなります。
例えばコンクリートを数回に流し込む場合は、先に流し込んだコンクリートと後から流し込んだコンクリートがなじむようにしなければなりません。
コンクリートの表面の不純物を取り除いたり、型枠材に振動を与えたりする工程が必要になります。
しかし上記の工程が不十分だとコンクリートが一体化せず、強度が弱くなってしまいます。
クラック(亀裂)も入りやすくなるでしょう。
大規模修繕工事の内容
ここでは大規模修繕でどんな工事が行われるのか、ご紹介していきます。
仮設工事
工事の一番はじめに行われる仮設工事。
仮設工事では足場や仮設トイレ、作業員の休憩所などを設置します。
また足場の周囲にメッシュシートを張り、塗料が飛び散ったり物が落下したりするのを防ぎます。
出入り口に防護柵を設置したり、防犯カメラを設置したりもします。
防水工事
コンクリートのひび割れから建物内部に水が侵入すると、建物の寿命が短くなります。
そこで屋上やバルコニーなどに防水工事を施します。
防水工事には「アスファルト防水」「シート防水」「ウレタン塗膜防水」といった種類があります。
外壁洗浄
外壁にコケや雨の跡などの汚れが付着していると見た目も良くありませんし、外壁の劣化を早めてしまいます。
そこで高圧洗浄機を使って外壁を洗っていきます。
塗装工事(外壁)
外壁塗装は、風雨や外気からマンションを守り、見た目も良くしてくれます。
通常は元の塗装の上から塗り直しますが、塗料の付着力が弱い場合は元の塗装を一度剥がしてから塗り直します。
塗装工事(鉄部)
手すりや扉の鉄部に施されている塗装が剥がれると、内部の鉄が錆びて耐久性が落ちます。
錆びた部分は見た目も良くありません。
塗装が剥がれて錆びた部分はサンドペーパーなどで錆びを落とし、その後で塗装し直します。
タイル補修工事
外壁タイルが下地から浮いていると、タイルが剥がれて落下しやすくなり危険です。
またタイルが浮くと耐久性や防水性も落ちます。
タイルが浮いたりひび割れていたりする場合は、貼り直します。
目視だけでは分からないタイルの浮きもあるので、打診も使って確認していきます。
シーリング工事
外壁のつなぎ目やサッシ周りに施されるシーリング工事。
ペースト状のシーリング材を使って、隙間を埋めていきます。
シーリング工事をすると建物の気密性が高まり、雨水の侵入を防げます。
断熱性能の向上も期待できるでしょう。
下地補修工事
天井や壁などのコンクリートのひび割れや、モルタルの欠損部分などを補修します。
下地補修工事を行うことで、建物の強度を上げることができます。
改修工事
マンション住人のニーズに合わせて、バリアフリー工事やエントランスの改修工事を行います。
場合によっては建物のデザインも変更し、マンション住人が快適に生活できるようにします。
大規模修繕で起こりがちなトラブルは?
大規模修繕では、次のようなトラブルが起こりがちです。
予算オーバー
予算オーバーになるケースは多いです。
大規模修繕が資金不足の場合は、次の対策をとるのが一般的です。
- 工事内容を見直す
- 住人から臨時で一時金を徴収する
- 金融機関から融資を受ける
工事内容を見直すことで、予算オーバーが解消される場合もあります。
どうしても修繕が必要な場所に予算を充て、その他の部分は次回の大規模修繕に延期する、といった対策を取ります。
またマンション住人から、後述する「修繕積立一時金」を徴収することでも資金不足をカバーできます。
ただし一時金を徴収するには、マンション住人の了解が必要です。
それでも難しい場合は、金融機関からの融資も検討してみましょう。
施工品質が低い
思っていたよりも施工品質が低く、施工業者とトラブルになるケースもあります。
これは管理会社やコンサルタントが決めた施工業者と契約してしまったために、起こることが多いです。
施工業者選びは他人に丸投げせず、マンションの管理組合側で行いましょう。
複数の施工業者から相見積もりを取り比較検討することで、悪質な業者を避けやすくなります。
また中立的な立場の設計事務所や建築士と契約し、施工監理をしてもらうと安心です。
住人のプライバシーが保てない
大規模修繕工事中は、作業員が足場の上で作業をします。
その際に、マンション住人の部屋の中が見えてしまったりすることがあります。
「工事中はカーテンを閉めましょう」と住人に伝えるのはもちろんですが、作業員にも「家の中を見ないように」と指導することも大切です。
大規模修繕でよくあるトラブルについて詳しく知りたいかたは、次の記事を参考にしてみましょう。
大規模修繕と管理会社との関係
管理会社は基本的に清掃や事務など、マンションの日常管理業務を行います。
しかし大規模修繕の計画から着工までを、管理会社に一手にサポートしてもらうことも可能です。
管理会社が主導して大規模修繕を行うことを「管理会社主導方式」と言います。
管理会社に全て任せるとマンション側は楽ですね。
ただし管理会社主導方式には問題点もあります。
管理会社が好きに施工業者を選んでしまうと施工業者間での競争原理が働かず、工事費用が高くなりがちです。
また第三者による施工品質のチェックが行われないケースもあり、施工品質の低下を招く恐れがあります。
管理会社に大規模修繕のサポートを受けるにしても、完全に任せてしまうことは避けましょう。
マンションの管理組合側でも施工業者を複数選んで相見積もりを取る、といった工夫が必要です。
大規模修繕工事と管理会社の関係について、詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
施工業者選びで役立つ!公募やヒアリングのポイント
公募やヒアリングを行なって施工業者を選ぶことは、最も公平性の高い方法だと言われています。
ただし公募やヒアリングには気をつけるべきポイントがあるので、以下に挙げてみましょう。
公募でのポイント
施工業者を選ぶ際は、新聞やインターネットを使って広く公募しましょう。
マンション内で公募することも可能ですが、マンション住人が「紹介者が裏で金銭を受け取っているのではないか」と不信感を抱いてしまいます。
また施工業者の候補は「管理会社」「専門業者」「大手ゼネコン」といった具合に、先入観を持たずバランスよく選びましょう。
「きちんと選べるかどうか分からない」と不安なかたは、コンサルタントにアドバイスしてもらうと良いですよ。
ヒアリングでのポイント
候補の施工業者を招き、マンション住人を集めて行われるヒアリング。
ヒアリングでは以下の項目をチェックします。
- 工事の概要
- 業者の強み
- 説明の分かりやすさ
- 工事価格
- 誠実さ
- アフターフォローや保証
経営状態が良くない業者は、公募の時点で外しておきます。
またヒアリングに出席する施工業者には、「現場代理人予定者」や「営業担当者」「見積もり担当者」といった担当者の出席も求めます。
プレゼンの資料もしっかり作ってもらうと、ヒアリングがスムーズに進むでしょう。
修繕積立一時金の問題点
大規模修繕の予算オーバー分を補うために徴収される「修繕積立一時金」。
ここでは修繕積立一時金と、修繕積立金の問題点についてご紹介していきます。
滞納が多い
修繕積立一時金や修繕積立金を滞納するマンション住人も多いです。
滞納する人が多いと、大規模修繕の費用がなかなか集まりません。
国土交通省が発表する「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」という資料では、マンション住人の26.6%が修繕積立金を滞納しているのだとか。
修繕積立金が支払えないマンション住人は、もっと高額な修繕積立一時金を支払うのも難しいでしょう。
マンションを売却しても返還されない
一度口座から引き落とされた修繕積立一時金や修繕積立金は、マンションを売却しても返還されません。
マンションの売却をお考えのかたは、修繕積立一時金や修繕積立金が値上げされる前のタイミングで売ってしまうのも良いかもしれません。
修繕積立一時金や修繕積立金については、以下の記事が参考になります。
マンションの購入・売却のタイミング
マンションの売り時や買い時を見極めることで、お得に売買できます。
マンションの購入や売却は、以下のタイミングで行うのがおすすめです。
購入のタイミング
マンションを良いタイミングで購入すると、費用が安く済むことが多いです。
築10年未満
築10年未満のマンションは、中古市場で最も人気があります。
劣化が少なく、設備もまだ古くなっていません。
コストパフォーマンスが高い物件と言えるでしょう。
6~8月
6~8月は、マンション需要が減る時期です。
2~3月の繁忙期を過ぎて売れ残った物件を、価格を下げて販売していることが多いでしょう。
価格交渉もしやすいので狙い目ですよ。
結婚後、出産後
結婚や出産により家族が増えるタイミングで、マンションを購入するのもおすすめです。
両親との同居など、ライフスタイルが変化する時期にマンションを手に入れたいと思う人は多いです。
売却のタイミング
マンションを売却する際は次のようなタイミングで行うと、メリットが多くなります。
大規模修繕の後
大規模修繕の後は、買主のマンションへの印象が良くなり、売れやすくなります。
築10年未満
購入する場合と同じく、売却する人にとっても築10年未満のマンションはお得感があります。
特に築5年を超えると「譲渡所得税」や「住民税」といった税金の額が、譲渡所得金額の約20%と少なくなります。(築5年以内の場合は約40%)
2~3月
2~3月の時期は、4月からの新生活に向けての引っ越しの時期です。
2~3月はマンションが売れやすいので、12月~1月頃には不動産会社と媒介契約を結んでおくと良いでしょう。
商業施設ができた後
周辺に大型ショッピングセンターなどの商業施設が完成した場合も、マンションが売れやすくなります。
病院や駅などが近所にできた場合も、マンションが売れやすくなるでしょう。
まとめ
大規模修繕を行うことでマンションの寿命が延びたり、資産価値が高まったりします。
入居者が増えることも期待できますね。
またコンサルタントなどのパートナー選びや施工業者選びにこだわることで、適正価格かつクオリティの高い施工が実現します。
修繕積立金など費用面での問題を抱えているマンションも多いですが、工事項目の優先順位などを見直し、「やって良かった」と思えるような大規模修繕をぜひ目指してみてください。