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マンション大規模修繕時の外壁タイル補修工事|浮きや剥がれの補修方法や修繕費用を解説

マンション大規模修繕の外壁タイル補修工事を知りたい人

マンション大規模修繕の外壁タイル補修工事を知りたい人

マンション、ビル、アパートの大規模・中規模・小規模修繕で床・外壁タイル補修は必要?
マンション大規模修繕のタイル補修でかかる費用はいくら?
マンション大規模修繕のタイル張替えにかかる期間は?

タイルは頑丈だから、補修は必要ないのでは? と考えているかたはいませんか?

確かに外壁タイルは頑丈です。
しかし、外壁タイルが貼り付けてある下地は劣化しやすいのです。

そこでこの記事では、マンションの外壁タイル補修工事全般について解説していきます。

外壁タイルが劣化する原因や、具体的な補修方法などについてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

マンション大規模修繕での外壁タイル補修工事とは

マンションの外壁タイルは、建物の外観を美しく保つだけでなく、耐久性や防水性も担っています。しかし、年月が経つとタイルがひび割れたり、剥がれたりすることがあります。

これにより、水分が建物内部に浸入する危険が生じるため、外壁タイルの補修工事は大規模修繕工事の中でも重要な作業の一つです。

外壁タイル補修工事の主な内容

  1. タイルの交換作業 タイルにひび割れや欠けが見つかると、それらを放置すると水漏れや建物の劣化を招くことになります。傷んだタイルを取り外し、新しいタイルに交換します。この作業は外壁の美観を保つだけでなく、建物の構造を守るためにも必要です。
  2. 目地の補修 タイルの間にある目地が劣化したり、隙間ができることで、水分が浸入するリスクが高くなります。目地を再度しっかりと施工することにより、防水性が向上し、外壁の耐久性を保つことができます。
  3. 防水処理の再施工 外壁タイルの補修が終わった後は、防水処理を施すことが非常に重要です。特にタイルが外壁の一部として機能している場合、防水処理をしっかりと施すことで、雨水が内部に侵入するのを防ぐことができます。

タイルは耐光性や耐久性が高いですが、下地のコンクリートやモルタルは劣化します。

10年に1度は外壁タイルの状態を調査して不具合がある部分をメンテナンスしないと、劣化が広がってしまうので要注意です。

なぜマンションの外壁はタイル張りが多いのか?

マンションの外壁にタイルを張ることで、見た目の高級感が増します。
また耐久性が高まることも大事なポイントです。

外壁にタイルを張ると、下地のコンクリートやモルタルの中性化※を最小限に抑えることができます。

万が一タイルにひび割れや剥がれなどが発生した際も、不具合がある部分のタイルだけを交換すればよいので、補修費用が節約できるでしょう。

※ 中性化…空気中の二酸化炭素と反応することにより、コンクリートがアルカリ性から中性に変化すること。水や酸素が浸透しやすくなる

外壁タイルの大規模補修工事がマンションに必要な理由とは?

外壁タイルの補修工事がマンションに必要な理由は2つです。

  • 安全性を確保するため
  • 美観を維持するため

以下でさらに詳しく解説します。

外壁タイルの修繕は安全性を確保するため

外壁タイルの補修工事は、建物と居住者、そして近隣住民の安全性を確保するために非常に重要です。

タイルの浮きや剥がれは、落下して通行人に怪我をさせる可能性があります。また、水が壁内部に侵入し、鉄筋の腐食や建物の構造的な問題を引き起こす原因にもなり得ます。

したがって、タイルの欠損や破損の修繕・補修は、上記のリスクを最小限に抑え、周辺の安全を守るために不可欠です。

マンションの美観の維持するため

外壁タイルは、マンションの外観に大きな影響を及ぼします。タイルが割れたり色あせたりすると、建物全体の印象が著しく損なわれることになります。

見苦しい外観のマンションは、入居率の低下や居住者の満足度の減少に繋がる可能性があります。

したがって、建物の美観を維持することは、空室対策としても非常に重要です。そのため、タイルの補修は怠らずに行うべきです。

マンション外壁タイルの劣化症状とその原因

外壁タイルの劣化症状とその原因について解説していきます。

外壁タイル劣化症状の種類

外壁タイルに現れる劣化症状は、大きく分けて3種類あります。

  1. タイルの色褪せ…タイル本来の色がくすむ劣化症状。新築時よりも色が褪せ、外壁の美観に影響を与えます。
  2. タイルの浮き・剥がれ…タイルが盛り上がったり、接着が弱まって剥がれたりする現象。進行すると、タイルが落下する危険性があります。
  3. タイルのひび割れ・欠損…衝撃や浮き・剥がれの進行で発生する劣化症状。拡大すると、外壁内部と建物内部に水が浸透し、部材の腐食を招く恐れがあります。
外壁タイルの「目地」部分も劣化する

外壁タイルの目地は、シーリング材というもので埋められており、これは躯体部分のコンクリートから受ける衝撃を軽減するために使用されています。
シーリング材は建物の伸縮や微動に追従する柔軟性を持っており、気密性や防水性を高める役割も担っています。そのため、躯体部分のコンクリートから受ける衝撃を軽減させるために外壁タイルで使われています。
しかし、シーリング材は、紫外線や雨風によって劣化し、中央部分からひび割れが生じることがあります。劣化したシーリング材は雨水の侵入経路となり得るため、劣化した際は打ち替え工事が必要になります。

外壁タイルが劣化する原因

外壁タイルの色褪せは、紫外線によるクリア防水塗料の劣化や、雨や酸素などの化学変化による物質の変化によって起こります。 

外壁タイルの浮きは、下地のコンクリートやモルタルの接着力の低下によって発生します。 下地のコンクリートやモルタルは、気温の変化によって膨張や収縮を繰り返します。 この膨張と収縮が長年にわたって繰り返されると、タイルは徐々に浮き上がり、最終的には剥がれ落ちることがあります。 

さらに、地震が発生すると、タイルの浮きはさらに進行する可能性があります。 コンクリートやモルタルの接着力の低下は、ひび割れや欠損の原因の一つでもあります。

外壁タイル補修・大規模修繕工事には事前準備が必要

外壁タイル補修工事を行なうには、事前準備が必要です。

特に築年数が多いマンションでは全く同じタイルを用意するのが難しいので、タイル選びの際の色調整にも時間がかかります。

特注でタイルを新たに用意するケースが多いでしょう。
最低でも工事の半年くらい前には、タイルの在庫を確認しておくことが必要ですよ。

大規模修繕の外壁タイル補修工事の流れ

ここでは、補修工事の具体的な流れについて紹介していきます。

外壁タイルの補修工事は主に以下の順に行われます。

  • 打診チェック
  • 下地補修
  • タイル補修
  • タイル目地の補修
  • 薬剤洗浄とコーティング

下記では各工事の内容をさらに詳しく解説していきます。

打診チェック

まずは目視や打診により、外壁タイルに不具合がある箇所を見つけることから始めます。
打診は打診棒(パルハンマー)を使って行なわれます。

タイルを叩いた時に、軽く高い音がする箇所は補修が必要です。

下地補修

タイルの下地となる壁面の補修を行います。下地がしっかりしていなければ、新しいタイルを貼り付けてもすぐに剥がれる可能性があるため、この工程は非常に重要です
下地の補修作業には、モルタルの補修や樹脂の注入などが含まれます。モルタル補修や樹脂の注入は必要に応じて行われます。

タイル補修

下地の補修・調整が完了したら、タイルを補修していきます。

タイルの補修方法は主に2つです。

  • 接着剤を注入する(アンカーピンニング工法)…下地の浮きに適した工法
  • タイル張替え…タイル浮き、ひび割れ、欠損に適した工法

タイル目地の補修

タイル同士の間にある目地を補修します。目地はモルタルやシーリング剤といった充填剤で埋めます。

薬剤洗浄とコーティング

最後に専用の薬剤を使用してタイル表面にこびりついた汚れを洗い流します。その後は必要に応じてクリア防水塗装でタイルをコーティングします。

マンション外壁タイルの補修工事の内容

外壁タイルの補修方法は主に2つです。

  • 接着剤を注入する(アンカーピンニング工法)…下地の浮きに適した工法
  • タイル張替え…タイル浮き、ひび割れ、欠損に適した工法

以下では各工事の内容についてさらに詳しく解説していきます。

タイル張り替え

ひび割れや欠損の部分には「張替え工法」が使われます。その名の通り、タイルを張替える工法です。

まずはひび割れや欠損が発生している部分のタイルを電動カッターなどで切断し、取り除きます。
むき出しになった下地の部分を清掃し、接着剤を塗布します。
その上からタイルを張付け、目地をモルタルで埋めていきます。
最後に目地から余分に飛び出たモルタルを拭き取って、施工完了です。

①カッター
②斫り
③清掃
④タイル張り替え
⑤目地詰め
完成

画像引用:【企業様】東京都豊島区Dマンション 修繕工事|新東亜工業

タイル浮き補修(アンカーピンニング工法)

外壁タイル内部の下地材と躯体コンクリートの間に隙間が生じている場合は「アンカーピンニング工法」で補修します。

アンカーピンニング工法とは、浮きが発生している箇所の目地に穴をあけ、そこからエポキシ樹脂などの接着剤を注入する方法です。

接着剤を注入した後は、穴からアンカーピンを挿入し、浮き全体を固定します。
最後に余分にはみ出したエポキシ樹脂を拭き取り、穴をパテなどで埋めて完成です。

①穴あけ
②孔清掃
③エポキシ樹脂注入
④ピンニング
⑤穴埋め
完成

画像引用:【管理組合様】東京都世田谷区Kマンション 大規模修繕工事|新東亜工業

外壁タイル クリヤー塗装

①高圧洗浄
②塗装1回目
③塗装2回目

画像引用:【企業様】東京都豊島区Dマンション 修繕工事|新東亜工業

外壁タイルに塗装は必要ない?

外壁タイルは非常に堅牢なので、基本的に塗装での保護は必要ありません。
ただしタイルにツヤを出したり目地部分の防水性を高めたりする目的で、クリヤー塗装が施されることもあります。

外壁タイル補修工事の費用相場は?

外壁タイル補修工事では、次のような費用がかかります。

外壁タイル補修工事の内容費用相場
タイルの張替え1枚あたり約500円
タイルの浮きの補修1箇所あたり約500~900円
クリヤー塗装1㎡あたり約3,000円
仮設足場の設置1㎡あたり約800~1,200円

ただし大規模修繕工事の際には他の防水工事なども一緒に行なうことが多いので、外壁タイル補修工事のためだけに足場の設置費用を捻出する必要はありませんよ。

マンション大規模修繕や中規模修繕では共用部分と専有部分を正しく理解しよう

マンション大規模修繕や中規模修繕を計画するためには、共用部分と専有部分の違いを理解しておくことが非常に重要です。これらの区別を明確にしておくことで、修繕の対象範囲や費用分担がスムーズになります。

共用部分と専有部分の違いとは?

まず、マンションにおける共用部分と専有部分の違いを確認しましょう。共用部分とはマンション全体の住民が利用するスペースを指し、管理組合がその維持管理を行います。一方、専有部分は各住戸の居住者が専属的に利用するスペースで、その管理や修繕は住民自身が行う責任があります。

以下の表で、共用部分と専有部分を比較してみましょう。

項目共用部分専有部分
定義住民全員が利用する共有スペース各住戸の住民が専属的に利用するスペース
具体例エントランス、廊下、階段、屋上、外壁、駐車場室内の床、壁、天井、窓枠内側、専用庭
管理責任管理組合が責任を負う各住民が責任を負う
修繕費用管理費・修繕積立金で賄う住民自身が負担
修繕対象の例外壁塗装、防水工事、エレベーター点検室内の壁紙の張り替え、設備の修理

マンションの大規模修繕・中規模修繕を行う際には管理側、住民側双方がしっかりと共用部分と専有部分を把握しておきましょう。

大規模修繕や中規模修繕におけるマンション共用部分と専有部分の関係

マンションの大規模修繕や中規模修繕では、主に共用部分が修繕対象となります。具体的には、外壁や屋上の防水工事、廊下や階段の補修が該当します。一方、専有部分については各住民が自費で修繕を行うことが原則です。

ただし、バルコニーや窓枠など、一部の専有部分が特例的に共用部分とみなされるケースもあります。管理規約によって異なるため、修繕計画を立てる際には必ず事前確認が必要です。住民全員で協力し、計画をスムーズに進めることが、マンションの快適な生活を守るポイントとなります。

外壁タイル大規模修繕・補修工事の注意点

外壁タイルの補修工事を行う際の注意点を紹介します。

以下3点に気をつけて工事を進めましょう。

追加請求される場合がある

外壁タイル補修工事では、初期の見積もりにない追加作業が発生することがあります。これは、工事中に予期せぬ問題が見つかった場合や、補修範囲が拡大した場合などに起こり得ます。そのため、見積もりは確定した金額ではなく、変動する可能性があることを理解しておく必要があります。

新しいタイル材を用意するのに時間がかかる場合がある

タイルの種類や色、パターンによっては、補修に必要な新しいタイル材をすぐに手に入れることが難しい場合があります。特に廃盤になったタイルや、特注品の場合は、代替品を探したり、製造に時間がかかったりすることが予想されます。このため、工事の完了が遅れることも考慮する必要があります1。

浮き・剥がれの原因が施工不良の可能性がある

外壁タイルの浮きや剥がれは、気温の変化による下地コンクリートやモルタルの膨張・収縮が主な原因ですが、施工不良によるものである可能性もあります。特に、1回目の大規模修繕で外壁タイル補修の作業割合が、全体の2〜3%をはるかに超える場合は施工不良を疑ってもよいでしょう。

接着剤の不適切な使用や、タイルの圧着不足などが原因である場合があり、これらの問題は専門家による正確な診断が必要です。

タイルの劣化を放置しない!大規模修繕でのタイル補修の流れとは

マンションやビルの外壁タイルは、建物の美観を保つだけでなく、雨風や紫外線から建物を守る重要な役割を担っています。しかし、長期間にわたりタイルの劣化を放置すると、剥落や建物内部への水漏れなどのトラブルを引き起こし、修繕費用がさらに高額になる可能性があります。そこで、定期的な大規模修繕におけるタイル補修が必要です。以下では、大規模修繕でのタイル補修の流れを詳しく解説します。

タイル補修の流れ1. 現状調査と診断

まず、タイルの状態を詳細に調査します。専門業者による診断では、以下のポイントがチェックされます:

  • ひび割れや浮きの有無:タイル表面のひび割れや剥がれかけている箇所を確認。
  • 剥落リスクの評価:タイルが剥がれ落ちる危険性がある箇所を特定。
  • 防水性能の確認:タイルの隙間や目地の劣化具合をチェックし、水の浸入を防ぐ状態かを診断。

診断結果に基づいて補修が必要な範囲を決定します。

タイル補修の流れ2. 工事計画の策定

調査結果をもとに補修計画を立てます。

  • 補修箇所の選定:剥がれが進行している箇所や、ひび割れの多い箇所を優先的に修繕。
  • 施工スケジュールの作成:住民や周囲の環境に配慮した計画を立てます。
  • 費用の見積もり:補修範囲に応じた予算を確定し、住民や関係者に周知します。

タイル補修の流れ3. 下地処理

タイル補修の成功は下地処理の品質に大きく依存します。以下の工程を丁寧に進めます:

  • 清掃作業:タイル表面や目地部分の汚れや劣化部分を除去。
  • 浮きタイルの剥離:浮いているタイルを一旦取り外し、新しいタイルを貼り付ける準備を行います。
  • 防水処理:タイルの下地や目地部分に防水材を塗布し、水の浸入を防ぎます。

タイル補修の流れ4. タイル貼り付けと補修

  • 新しいタイルの貼り付け:既存のタイルとデザインや色味を揃えたものを選び、丁寧に貼り付けます。
  • 目地の補修:目地に専用の充填材を使用して隙間を埋め、耐久性を向上させます。
  • 剥落防止の施工:タイルが剥がれるリスクを低減するため、接着強度を高める処理を行います。

タイル補修の流れ5. 最終確認と仕上げ

補修作業後、以下の点をチェックします:

  • 施工箇所のムラや不備の確認:タイルが均一に貼られているか、不備がないかを確認します。
  • 防水性能の確認:水漏れや隙間がないかテストを実施します。
  • 美観のチェック:補修箇所が全体のデザインと調和しているかを最終確認します。

タイル補修の流れ6. アフターフォロー

大規模修繕後も、定期的にタイルの状態を点検し、早期の劣化を見つけることが重要です。これにより、次回の修繕まで安心して建物を維持できます。

タイルの劣化を放置すると、安全性や建物の価値が損なわれるだけでなく、大規模なトラブルにつながるリスクがあります。計画的な大規模修繕と適切な補修を行うことで、美観と安全性を長く保つことが可能です。専門業者と連携しながら、確実な補修計画を進めていきましょう。

外壁タイル補修工事・大規模修繕のまとめ

最後に、今回の記事の内容をまとめていきます。

  • 外壁タイル補修工事とは、外壁タイルの浮きやひび割れなどを補修すること
  • 外壁タイルはマンションに高級感を与え、耐久性も高める
  • 外壁タイルの浮きや剥がれは、下地との接着力の弱まりによって起こる
  • 半年前にはタイルの準備が必要
  • 補修工事ではアンカーピンニング工法や、張替え工法が使われる
  • タイルの張替えには、1枚あたり500円ほどかかる

外壁タイルが剥落すると建物の見た目や耐久性に悪影響が出るだけでなく、歩行者がケガをする恐れがあります。
定期的なメンテナンスが必須です。

ぜひ今回の記事を参考に、外壁タイル補修工事を行なってみてくださいね。

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