ケレン清掃って何？　塗装-神奈川

ケレン清掃という言葉を耳にしたことはありますか？
塗装や補修工事において、仕上がりの良し悪しを左右するのがこの工程です。目立たない作業ながら、施工の品質や耐久性に大きな影響を与えるため、現場では非常に重要視されています。
この記事では、ケレン清掃の基礎から種類、必要な場面、作業の流れや道具までをわかりやすく解説します。

ケレン清掃とは、塗装や防水工事などの前に行う下地処理のひとつで、サビや汚れ、古い塗膜を取り除く作業を指します。

見た目を整えるだけでなく、塗料の密着性を高め、施工後の仕上がりや耐久性を大きく左右します。特に金属面では、サビを残したまま塗装をしてもすぐに剥がれてしまうため、丁寧なケレン作業が欠かせません。

また、ケレン清掃は単なる前準備ではなく、建物や構造物の長寿命化を支える基盤ともいえる工程です。適切に行うことで、将来的な補修や再塗装の頻度を減らすことにもつながり、結果的にメンテナンスコストの抑制にも寄与します。

そのため、プロの現場ではこの工程に十分な時間と労力をかけて取り組むのが一般的です。

ケレン作業にはいくつかの種類があり、対象物や劣化の程度によって方法を使い分けます。主に以下のような種類があります。

1種ケレン：
ショットブラストなどの重機を使い、表面をほぼ金属面まで出す方法。塗膜やサビを完全に除去するため、最も強力な処理方法とされています。

2種ケレン：
電動工具やワイヤーブラシでサビや旧塗膜を除去する方法。1種ほど強力ではないものの、効率的で広範囲に適用できます。

3種ケレン：
浮いたサビや劣化塗膜を除去し、比較的健全な塗膜は残す方法。手作業と電動工具を併用するケースが多いです。

4種ケレン：
手作業で軽く汚れを落とす最小限の処理。日常点検や軽度な補修前に行われます。

これらの分類は、JIS規格に基づいて定義されており、仕上げのレベルや施工目的に応じて適切に選定されます。選定を誤ると塗料の性能が十分に発揮されず、耐用年数の短縮につながることもあります。
 

ケレン清掃は、塗装や防水工事が行われるさまざまな現場で必要とされます。
特に鉄部は、サビの進行を防ぐためにしっかりとした下地処理が求められます。また、コンクリートや木材に対しても、汚れや古い塗膜を落とすことで塗料の食いつきを良くする効果があります。
 

工場や倉庫といった屋外にさらされる設備では、天候や環境による劣化が進みやすいため、定期的なケレン作業が重要です。
さらに、公共施設や商業ビルなどの外観を重視する場所では、見た目の美しさを保つ意味でもケレン清掃が欠かせません。耐久性だけでなく、景観維持にも一役買っています。

 

ケレン作業は一見地味ですが、確実に仕上げるには順序と注意点があります。
まず、作業範囲を確認し、必要な道具を揃えます。次に、粉じんやサビが飛散しないよう養生をし、マスクやゴーグルなどの保護具を装着します。
作業は上から下へ、広い面から細かい部分へ進めるのが基本です。

電動工具を使う場合は、火花や振動による事故に注意が必要です。
とくに高所での作業では、安全帯やヘルメットの着用を徹底し、周囲への配慮も欠かせません。作業後には、除去した粉じんや破片の清掃を行い、塗装面に異物が残らないようにすることが大切です。
また、仕上がりを手で触って確認することで、サビ残りや処理漏れを防ぐことができます。

ケレン作業には、用途に応じたさまざまな道具が使われます。以下は代表的なものです。

ワイヤーブラシ：
手作業用の基本道具。細かい部分に最適で、軽度のサビ落としや仕上げ処理にも使われます。

スクレーパー：
旧塗膜や汚れを削り落とす際に使用。角度や力加減にコツが必要です。

ディスクグラインダー：
広範囲のサビや塗膜を素早く除去。作業効率が高い一方で、取り扱いには十分な注意が必要です。

サンドペーパー：
仕上げや細かい部分の調整に便利。番手を変えることで粗削りから仕上げまで対応可能です。

高圧洗浄機：
粉じん除去や下地の洗浄に使用されることもあり、水と圧力で微細な汚れを取り除きます。

そのほかにも、電動サンダーやブラスト装置など、現場の規模や作業内容に応じてさまざまな工具が使われています。道具の選び方ひとつで作業効率や仕上がりの精度が大きく変わるため、適切な選定が重要です。
 

ケレン清掃は、塗装や補修工事の前段階として欠かせない作業です。
下地をしっかり整えることで、仕上がりの美しさや耐久性が大きく向上します。作業方法や使用する道具を正しく理解し、現場に合わせた対応を行うことが大切です。

また、作業者の熟練度や施工環境によっても仕上がりには差が出るため、経験と知識のあるスタッフによる作業が推奨されます。
ケレン作業を丁寧に行うことは、単に塗装の前段階というだけでなく、建物全体の品質や信頼性を支える重要な工程です。見えない部分にこそ時間と手間をかけることで、長く安心して使える空間が実現します。