分譲マンションの大規模修繕とは?費用相場・築年数の目安・流れをまとめて解説

分譲マンションの大規模修繕とは?費用相場・築年数の目安・流れをまとめて解説

2025/07/24

分譲マンションの大規模修繕は、建物の資産価値と安全性を守るために欠かせない工事です。

しかし「費用はどれくらいかかるのか」「何年ごとに実施すべきか」など、疑問や不安を抱えている管理組合の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、分譲マンションの大規模修繕の基礎知識や費用相場、築年数ごとの実施タイミング、積立金が足りないときの対処法などを解説します。

分譲マンションにおける大規模修繕の全体像を把握し、計画的な修繕につなげていきましょう。

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目次

分譲マンションの大規模修繕とは?

 分譲マンションの大規模修繕とは?

分譲マンションの大規模修繕とは、マンション全体の耐久性と資産価値を維持するために行う計画的な改修工事です。

主な工事内容は、外壁塗装やシーリング打ち替え、屋上・バルコニーの防水工事などで、専有部分ではなく共用部分が対象です。

多くの場合、長期修繕計画に基づき12〜15年程度の周期で実施され、管理組合が主体となって工事内容や時期を決定します。

 大規模修繕の定義|改修工事・小規模修繕との違い

区分目的主な内容実施頻度の目安
修繕工事(大規模修繕)劣化した機能を新築時の状態に回復させる外壁塗装、屋上防水、共用部改修など12〜15年に一度
模様替え新築時よりも性能・機能を向上させるバリアフリー化、省エネ改修、設備更新など必要に応じて実施
日常修繕(小規模修繕)日常的な不具合への対応照明交換、ドア修理などの簡易工事随時

大規模修繕とは、劣化した建物の機能を新築時の状態まで回復させる工事を指します。これに対し、新築時よりも性能や仕様を向上させる工事は「改修工事(又は模様替え)」と呼ばれ、バリアフリー化や省エネ性能の向上などが代表例です。

また、照明交換やドア修理といった日常的な補修は「日常修繕(小規模修繕)」に分類され、管理費の範囲内で随時対応するのが一般的です。

それぞれの違いを理解しておくと、工事内容や費用感の見通しが立てやすくなるでしょう。

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分譲マンションで大規模修繕を怠ると起こる3つのリスク

分譲マンションで大規模修繕を怠ると起こる3つのリスク

分譲マンションは、大規模修繕を怠ると劣化が進行し、安全性や資産価値、居住者の満足度に深刻な影響が及ぶおそれがあります。

本章では代表的な3つのリスクを解説します。

雨漏りや外壁タイルの落下など、安全性の低下

防水機能が劣化すると、屋上やバルコニーから雨水が浸入しやすくなり、内装や構造材にまでダメージが及びます。放置すれば、鉄筋の腐食による構造体の劣化にもつながりかねません。

さらに、外壁タイルの浮きや剥離が進行すると、強風や地震の揺れをきっかけにタイルが落下し、通行人や駐車車両への事故につながるおそれもあります。

こうした安全上のリスクは、居住者だけでなく周辺住民の安全にも関わるため、早期発見と適切な補修が欠かせません。定期点検で劣化のサインを見逃さないことが、重大事故の予防につながります。

建物の老朽化による資産価値の著しい低下

分譲マンションの資産価値は、築年数だけでなく管理状態や修繕履歴によっても左右されます。

外壁や共用部分の劣化を放置すると、外観の印象が悪化し、購入希望者や不動産業者からの評価が下がりやすくなります。適切な修繕が行われていない物件は、売却時の査定額が下がるだけでなく、住宅ローンの審査にも影響する場合があります。

また、賃貸に出す際も入居希望者から敬遠されやすく、賃料の下落や空室期間の長期化につながることも少なくありません。

分譲マンションにおいて、計画的な大規模修繕は資産価値を維持するための重要な投資のひとつです。 

居住者満足度の低下と空室リスクの増加

分譲マンションの共用部分の劣化が進むと、エントランスや廊下の見た目が古びた印象になり、住民の日常的な満足度が損なわれやすくなります。

設備の不具合や汚れが放置された状態が続くと、住民からの不満が蓄積し、管理組合への信頼低下にもつながりかねません。その結果、既存住民の転出が増えたり、新規入居希望者から敬遠されたりして、空室率が上昇する原因にもなります。

特に賃貸化された住戸が多い分譲マンションでは、建物の印象が入居率に直結するため、定期的な修繕による美観と機能の維持が欠かせません。 

関連記事:
分譲住宅でも大規模修繕は必要?マンションとの違いや工事内容・費用相場をわかりやすく解説
分譲と賃貸マンションの違いとは?後悔しない選び方と修繕・管理の注意点

分譲マンションの大規模修繕で行う工事内容と工期

分譲マンションの大規模修繕で行う工事内容と工期

大規模修繕で実施される工事は、建物の安全性や快適性を確保するために欠かせない作業が多くあります。

ここでは、分譲マンションの大規模修繕における代表的な5つの工事内容と、それぞれの工期の目安を解説します。

仮設工事の内容と工期

仮設工事は、外壁や屋上での作業に必要な足場を設置し、飛散防止のためのシートで建物全体を養生する工事です。

工事全体の安全性を支える土台となる工程で、工期は1〜2週間程度が目安です。

足場の設置期間中は、バルコニーの使用や窓の開閉が制限されることがあるため、事前のスケジュール確認が欠かせません。

下地補修工事の内容・工期

下地補修工事は、外壁のひび割れやタイルの浮きなど、劣化した下地を補修する工程です。

塗装やシーリングなど後工程の仕上がりを左右する重要な作業であり、工期は2〜3週間程度が一般的です。

劣化の進行状況によって補修範囲が変わるため、事前調査の精度が工期にも影響します。

シーリング工事の内容と工期

シーリング工事は、窓枠や外壁の継ぎ目にあるシーリング材を打ち替え、防水機能を維持する工事です。

建物内部への水の侵入を防ぐ役割を担い、工期は2週間〜1ヶ月程度が目安です。ただし既存シーリングの硬化状況によっては、撤去作業に時間がかかるケースもあります。

塗装工事の内容と工期

塗装工事は、外壁や鉄部に高品質な塗料を塗布し、防水性と美観を回復させる工事です。

下塗り・中塗り・上塗りと複数回に分けて施工するのが一般的で、工期は3〜4週間程度かかります。天候によって工期が前後することも珍しくありません。

防水工事の内容と工期

防水工事は、屋上やバルコニーの防水層を更新し、雨漏りリスクを低減する工事です。ウレタン防水やシート防水などの工法があり、工期は2〜3週間程度が目安です。

防水工事の品質は建物の耐久性に直結するため、工法選定と施工精度が特に重要です。

関連記事:大規模修繕工事とは?工事内容から費用・期間・流れを徹底解説

分譲マンションの大規模修繕にかかる費用相場|戸数・工事項目・回数別に解説

分譲マンションの大規模修繕にかかる費用相場|戸数・工事項目・回数別に解説

大規模修繕にかかる費用は、規模や劣化状況・工事内容によって大きく異なります。ここでは、全国的な相場や費用構成の目安を確認していきましょう。

マンションの規模工事費総額の目安1戸あたり費用の目安
〜30戸約2,000万〜3,000万円程度約100万円前後
30〜50戸約3,000万〜5,000万円程度約90万〜100万円程度
50〜100戸約5,000万〜8,000万円程度約90万円前後
100戸超約8,000万〜1億円以上約80万〜100万円程度

※戸数が多いほど総額は増加する一方、規模の経済により1戸あたりの費用はやや抑えられる傾向があります。数値は目安であり、正確な金額は現地調査・見積もりによって異なります。

1戸あたりの費用相場|100万円前後が目安

分譲マンションの大規模修繕費用は、1戸あたり約100万円前後が目安とされています。国土交通省の実態調査でも、1戸あたりの工事費用は同程度の水準で推移しており、一定の目安として参考にできるでしょう。

ただし、建物の規模や劣化状況、工事内容によって金額は変動するため、あくまで目安として捉えることが大切です。

正確な費用を知るには、複数の業者から見積もりを取得し、内訳を比較検討することをおすすめします。

工事項目別の費用内訳|仮設・下地補修・塗装・防水

大規模修繕の費用は、仮設・下地補修・塗装・防水といった複数の工事項目で構成されています。主な内訳は以下のとおりです。

項目割合の目安内容例
足場設置(仮設)約25〜30%外壁や屋上の作業に必要な仮設足場の設置費用
人件費約35〜40%職人の作業費用、管理・監理費用
材料費・処分費・諸経費約30〜40%塗料、防水材、タイル、廃材の処分費用

特に足場設置は安全性確保のために必須であり、費用の中でも大きな割合を占めます。

人件費は技術者の技量や工期の長さによって変動するため、見積もり内訳をよく確認しておきましょう。

【1回目・2回目・3回目】回数別の費用の違い

回数実施時期の目安主な工事内容費用傾向
1回目築12〜15年頃外壁塗装、屋上防水、シーリングなど比較的抑えられる傾向
2回目築25〜30年頃上記に加え、給排水管の更新や設備交換やや高くなる傾向
3回目築40年前後大規模な設備更新、共用施設の改修など高額になりやすい傾向

大規模修繕は1回目・2回目・3回目と回数を重ねるごとに、工事範囲や費用感が変化する傾向があります。

1回目は外壁塗装や屋上防水が中心で比較的範囲を絞りやすい一方、2回目以降は給排水管の更新や設備の交換など、対象範囲が広がりやすいのが特徴です。そのため、回数が進むほど費用が高くなるケースも少なくありません。

ただし、実際の金額は建物の劣化状況や過去の修繕内容によって大きく異なるため、一概にはいえません。

※時期・内容・費用傾向はあくまで一般的な目安です。正確な金額は長期修繕計画や現地調査に基づいて確認することをおすすめします。

関連記事:マンションの大規模修繕費用の相場はいくら?工事項目別の内訳・目安と高騰対策を解説

新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事

東京都内にある13階建てワンオーナーマンションにて、新東亜工業が実施した大規模修繕工事の事例をご紹介します。

外壁タイルやシーリング、屋上防水など複数の劣化箇所を総合的に改修し、建物の資産価値を回復しました。

工事概要【工事金額・期間】

工事金額:6,098万円/工期:約5か月間(足場設置〜引き渡しまで)

屋上防水・外壁タイル補修・シーリング打ち替えを中心に、建物全体をバランスよく修繕。
建物全体にわたる一貫した施工により、見た目と性能の両立を実現しました。

ご相談内容・お問い合わせ内容

長年手を入れていなかったマンションの修繕を検討し始めたオーナー様から、初回のご相談をいただいたのがスタートでした。

オーナー様「タイルの剥がれや屋上の汚れが気になっていて…」
担当者「まずは図面を拝見して、現地調査で状態を見ていきましょう」

築20年以上が経過し、目視でも劣化が感じられるように。

最初は「少し気になる」という段階でしたが、調査を通じて複数の問題が明らかになっていきます。

調査で明らかになった劣化状況

現地での打診調査や目視検査によって、建物の各所に進行した劣化が確認されました。

オーナー様も驚かれるほどの症状が浮き彫りに。

屋上防水の劣化

既存の通気緩衝工法によるウレタン防水は、広範囲に劣化や膨れが生じていました。

オーナー様「花火の時期には屋上に上るんです。きれいになると嬉しいな」
現地調査員「眺望も大事ですね。美観にも配慮して施工いたします」

外壁タイルの浮き・剥離

浮きタイルが多数見つかり、剥離の危険性も。
劣化の進行度に応じて、張替えと樹脂注入を使い分けました。

担当者「打診調査で見えない内部の浮きも確認しました。対応が必要です」

シーリングの硬化不良

シーリング材は硬化しきって弾性を失い、手作業での撤去が必要なほどでした。

現場職人「カッターが入らないくらい硬くなってます。全部打ち替えですね」
オーナー様「そこまで傷んでたとは…早めにお願いしてよかったです」

工事の流れと透明な対応

調査結果をもとに明確な見積書と診断書を作成。
オーナー様に工程を丁寧に説明し、工事中も報告を徹底しました。

診断報告と見積提示

写真付きの診断報告書と、内訳を明記した見積書を提出。
工事内容をわかりやすく共有しました。

オーナー様「写真があると素人でもわかりやすいですね」
担当者「透明性を重視していますので、何でもご質問ください」

工事の実施(足場~防水まで)

工程は足場設置から高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、屋上防水まで。
報告写真とともに進捗共有を行いました。

担当者「毎週の報告で進捗をご確認いただけます」
オーナー様「離れてても工事の様子がわかって安心できました」

工事完了後のオーナー様の声

見た目だけでなく機能性も向上した建物に、オーナー様からは満足の声が寄せられました。

オーナー様「すっかりきれいになりましたね。やってよかったです」
担当者「大切な資産を守るお手伝いができて光栄です」

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分譲マンションの大規模修繕費用が払えない・修繕積立金が不足しているときの対処法

分譲マンションの大規模修繕費用が払えない・修繕積立金が不足しているときの対処法

修繕積立金は、劣化や修繕規模の拡大に応じて段階的に引き上げるのが一般的です。

築年数積立金の目安(円/㎡)
新築時約130円
築5〜15年150〜200円
築15年以上250円以上

積立金の不足は、突発的な費用負担の増加や住民間のトラブル、資産価値の低下につながるおそれがあります。

これを防ぐには、専門業者と連携して長期修繕計画を正確に作成し、積立金の見直しは急激な値上げを避けて段階的に行うこと、そして使い道や必要性を住民に丁寧に説明し合意形成を図ることが重要です。 

関連記事:
修繕積立金とは?マンション管理に不可欠なお金の基礎知識
マンション大規模修繕工事の費用が払えない時の対処法を解説!お金が足りなくなる原因は?

分譲マンションの大規模修繕は築何年から?実施周期の目安

分譲マンションの大規模修繕は築何年から?実施周期の目安

分譲マンションの大規模修繕は、一般的に築12〜15年を目安に実施されるケースが多くみられます。

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」でも、最も多い周期は13年で、全体の約7割が12〜15年に収まっています。また、平均周期は1回目15.6年、2回目14.0年、3回目12.9年と、工事回数を重ねるごとに短くなる傾向です。

管理組合は概ね5年ごとに長期修繕計画を見直すのが一般的で、周期を過ぎて放置すると劣化が進行しやすいため、計画的に実施することが大切です。

関連記事:大規模修繕の周期は?ガイドラインの目安と最適な時期を解説

分譲マンションで大規模修繕が必要になる劣化のサイン

分譲マンションで大規模修繕が必要になる劣化のサイン

大規模修繕は、分譲マンションの耐久性や安全性を維持し、資産価値を守るために欠かせません。

建物は時間の経過とともに、さまざまな部分が劣化していきます。日常的に目にする部分だけでなく、普段見えない場所でも老朽化は進行しており、早期の対応が重要です。

以下のような症状が見られたら、修繕の検討を始めるタイミングといえるでしょう。

劣化箇所主な症状影響・リスク
外壁ひび割れ、タイル剥がれ雨水浸入、構造体腐食、外観の悪化
シーリング材劣化・硬化・縮小による隙間発生雨漏りの原因、建物内部のダメージ
屋上・バルコニー防水浮き・膨れ、ひび割れ防水機能低下、雨漏り発生
給排水管腐食、詰まり、漏水水漏れ、悪臭、破裂の危険

マンションのメンテナンス時期については以下の記事も参考にしてください。

関連記事:マンションのメンテナンスが必要な時期はいつ頃?維持費用や寿命を延ばす方法も解説

分譲マンションの大規模修繕費用を抑える6つのコツ

分譲マンションの大規模修繕費用を抑える6つのコツ

大規模修繕は建物の寿命を延ばす重要な投資ですが、数千万円規模の費用がかかるため、予算内に収める工夫も欠かせません。

本章では、分譲マンションの大規模修繕において、品質や安全性を損なわずに費用を抑えるための6つのポイントを解説します。

複数社から相見積もりを取り内訳を比較する

一社だけに見積もりを依頼すると、価格の妥当性を判断する基準がなく、割高な工事になってしまうことがあります。

複数の施工業者から見積もりを取得し、工事内容・使用材料・保証内容まで含めて内訳を比較することで、適正価格の把握や価格交渉が可能になります。

ただし、極端に安い見積もりには、必要な工事が省略されているなど注意すべき点も潜んでいるため、価格だけでなく内容の妥当性も含めて確認することが大切です。

工事の優先順位をつけて分割発注を検討する

分譲マンションの大規模修繕は、一度にすべての工事を行うと、その分費用も高額になります。そのため、緊急性の高い箇所から優先順位をつけ、工事を複数期に分割して発注する方法も選択肢のひとつです。

予算や建物の劣化状況に応じて段階的に実施することで、一時的な費用負担を抑えやすくなります。

ただし、足場の設置・撤去を複数回行うことになるため、総コストがかえって増加する可能性もあります。分割するかどうかは、長期的な費用対効果も踏まえて慎重に検討することが大切です。

仕様や材料を見直してコストを調整する

使用する塗料や防水材のグレードを見直したり、工事の仕様をシンプルにしたりすることで、コストを調整できる場合があります。

高価な材料でなくても、同等の耐久性や性能を持つ製品を選べば、品質を大きく落とさずに費用を抑えることが可能です。

ただし、極端なコストカットは耐久性や美観を損なうおそれがあるため、施工業者や設計監理者と相談しながら、必要な性能を確保できる範囲で仕様を見直すことが重要です。

助成金や補助金制度、融資を活用する

多くの自治体では、分譲マンションの大規模修繕や耐震改修、省エネ改修などを対象とした助成金・補助金制度を設けています。

制度の内容や金額は自治体によって異なり、また変更される場合もあるため、最新情報は各自治体の窓口やホームページで確認することをおすすめします。

あわせて、修繕費用に特化した融資制度を利用すれば、まとまった資金を用意できない場合でも計画的な修繕が進めやすくなります。制度の活用は、住民の負担を軽減する有効な手段のひとつです。

関連記事:大規模修繕工事の補助金・助成金一覧!費用削減方法や申請の流れも解説【令和7年最新版】

過去の施工実績や住民満足度も参考にする

過去に同様の工事を手がけた実績や、実際に依頼した管理組合・住民の声を参考にすることで、施工会社の技術力や対応力を見極めやすくなります。

施工事例に工事内容・金額・工期が記載されている場合は、自分のマンションと近い条件の見積もりを比較する際の目安にもなります。

価格の安さだけで業者を選ぶと、施工品質やアフター対応で後悔するケースも少なくありません。ホームページの施工事例や口コミ、可能であれば実際に修繕を行った建物を見学するなど、複数の情報源から確認することで、安心して任せられる業者を選びやすくなります。

ただし、建物の形状や劣化状況、施工条件によって費用は変動するため、施工事例の金額だけで判断せず、複数社の見積もりと内訳を比較することが大切です。

劣化が進む前に小規模補修を実施する

劣化が進んでからまとめて修繕を実施するよりも、早い段階で小規模な補修を行っておくことで、将来的な大規模修繕の費用を抑えられる場合があります。

ひび割れやシーリングの劣化など、軽微な不具合の段階で対応しておけば、劣化の進行を遅らせ、工事範囲の拡大を防ぎやすくなります。

日常的な点検と早期対応を積み重ねることが、結果的に長期的なコストの平準化と、無理のない資金計画につながるでしょう。

分譲マンションの大規模修繕工事の進め方

分譲マンションの大規模修繕工事の進め方

分譲マンションの大規模修繕は基本的に以下のような手順で進めることが一般的です。

  1. 現地調査・劣化診断
  2. 長期修繕計画との照合
  3. 工事内容の検討・優先順位決定
  4. 管理組合による業者選定と見積もり取得
  5. 総会での承認・施工スケジュール確定

大規模修繕の検討開始から着工までは半年〜1年以上かかることも多いため、早めに準備を進めておきましょう。あわせて、住民への説明会や資料配布を通じた情報共有・合意形成を丁寧に行うことも欠かせません。

計画段階で想定外の不具合が見つかる場合に備え、予算やスケジュールには一定の余裕を持たせておくと安心です。

大規模修繕工事の詳しい進め方については、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:大規模修繕工事の工程・進め方を徹底解説|流れ・注意点・管理組合の対応まで

分譲マンションの大規模修繕における3つの発注方式

分譲マンションの大規模修繕における3つの発注方式

大規模修繕の発注方式には、主に3つの種類があります。方式によってメリット・デメリットが異なるため、マンションの状況に応じた選択が重要です。

方式概要メリットデメリット
責任施工方式施工会社が調査・設計・施工を一貫して担う窓口が一つで完結する工事内容の妥当性を第三者がチェックしにくい
設計監理方式設計事務所が設計・監理を行い、施工会社と役割を分離する公平性・透明性を確保しやすいコンサルティング費用が別途かかる
管理会社主導方式管理会社が窓口となって工事を進める手間がかからないコストの妥当性が見えにくい

各発注方式の詳しい特徴や選び方については以下の記事で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

関連記事:マンションの大規模修繕における施工方式とは?発注形態の違いと選び方を解説

分譲マンションの大規模修繕でよくあるトラブルと予防策

分譲マンションの大規模修繕でよくあるトラブルと予防策

大規模修繕では、工事前・工事中・工事後のそれぞれの段階でトラブルが起こり得ます。

代表的なのは、修繕積立金の不足や見積もりの不透明さといった金銭面のトラブルで、長期修繕計画をこまめに見直し、複数社から見積もりを比較することが予防につながります。

また、施工中の騒音や振動、工事後の仕上がりに関する住民からの不満も起こりやすいため、着工前の丁寧な説明会や情報共有が欠かせません。

万が一トラブルが発生した場合は、早めに公的機関や専門家に相談することも大切です。 

大規模修繕でよくあるトラブルの原因や詳しい対策方法は下記記事も参考にしてください。

関連記事:マンション大規模修繕でよくあるトラブルとは?原因や対策・対処法を解説

分譲マンションの大規模修繕で失敗しない業者選びのポイント

分譲マンションの大規模修繕で失敗しない業者選びのポイント

大規模修繕は数千万円規模の工事になるため、業者選びを誤ると工事の質の低下や追加費用の発生、住民トラブルにつながるおそれがあります。

価格の安さだけで選ぶと、手抜き工事や安価な材料の使用により、数年後に再修繕が必要となり、かえって高額な出費になることも少なくありません。

複数社から見積もりを取って内容を比較するとともに、実績や保証内容、対応力なども確認しましょう。

また、設計事務所が施工を第三者としてチェックする「設計監理方式」を取り入れると、透明性の高い業者選定につながります。 

大規模修繕の業者選びのポイントは以下の記事でも解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

関連記事:大規模修繕の業者選定で失敗しない!選び方別のメリット・デメリットから注意点を紹介

 分譲マンションの大規模修繕に関するよくある質問(FAQ)

修繕積立金が足りない場合、大規模修繕工事はできませんか?
修繕積立金が不足していても、一時金の徴収や金融機関からの借入によって工事費用を確保できる場合があります。

ただし、いずれも住民の負担につながりやすいため、長期修繕計画に基づいて積立金を段階的に見直すことが大切です。

大規模修繕の修繕積立金不足について詳しい対処法は、以下の記事で解説しています。 

関連記事:マンションの修繕積立金が不足しているときの対応策とは?資金不足の原因と解決方法を解説
分譲マンションの大規模修繕工事は、管理会社にすべて任せても問題ありませんか?
管理会社への丸投げはおすすめできません。管理会社は工事の窓口を担いますが、施工内容や見積もりの妥当性を客観的にチェックする立場ではないためです。

設計事務所などの第三者機関と連携することで、公正性と透明性を確保しやすくなります。

業者選定の考え方は、以下の記事で詳しく解説しています。 

関連記事:マンション大規模修繕は業者選定が重要!比較基準や進め方・失敗しないためのコツを押さえよう
3回目の大規模修繕は費用が高くなりますか?
3回目の大規模修繕は、給排水管の更新や設備交換など工事範囲が広がりやすく、1回目・2回目より費用が高くなる傾向があります。

ただし、実際の金額は建物の劣化状況によって異なるため、長期修繕計画に基づいた早めの見積もり取得をおすすめします。

3回目の大規模修繕についての詳細は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:マンション大規模修繕の3回目とは?時期や工事内容・費用・注意点を解説

 まとめ|分譲マンションの大規模修繕は費用と周期を把握して計画的に進めよう

分譲マンションの大規模修繕は、建物の資産価値と安全性を維持するために欠かせない工事です。築12〜15年を目安に、1戸あたり100万円前後の費用を見込みながら、長期修繕計画に基づいた準備を進めることが成功のポイントといえるでしょう。

積立金が不足している場合も、早めの見直しや対処法を知っておくことで、無理のない資金計画が立てられます。

まずは自分たちのマンションの状況を把握し、計画的な修繕につなげていきましょう。

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