マンション大規模修繕工事とは?費用相場・工事内容・周期・業者の選び方まで解説

2026/07/08

マンションの資産価値と居住者の安全を守るために欠かせない「マンション大規模修繕工事」。

しかし、いざ計画を進めるとなると「費用はいくら必要なのか」「どのような工事を行うのか」など、管理組合の理事長やオーナーの悩みは尽きません。多額の費用が動くプロジェクトだからこそ、正しい知識を持ったうえでの入念な準備が不可欠です。

そこで本記事では、大規模修繕工事の費用の目安や適切な実施周期、具体的な工事の流れから、優良な業者の選び方まで詳しく解説します。初めて修繕の担当を任された方でも、全体像がスムーズに理解できる内容となっているので、ぜひ最後までお読みください。

目次

マンション大規模修繕工事とは?

マンション大規模修繕工事とは?

マンション大規模修繕工事とは、建物の経年劣化に合わせて、外壁や屋上などの共用部分を計画的に修繕する大規模な工事のことです。

鉄筋コンクリート造の丈夫なマンションであっても、雨風や紫外線にさらされることで年月とともに必ず劣化が進みます。この傷みを放置すると、雨漏りや外壁の剥落といった深刻なトラブルにつながるため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

国土交通省のガイドラインでは、一般的に12〜15年ごとの周期で実施することが目安とされており、費用は管理組合の修繕積立金から支出されるのが一般的です。

つまり大規模修繕工事は、共用部分の劣化を周期的に直し、建物を長く安全に使い続けるための工事です。

マンション大規模修繕工事が必要な理由

マンション大規模修繕工事が必要な理由

マンション大規模修繕工事が必要な理由は、主に以下の3つです。

  • 理由1.建物の劣化を防ぎ、安全性を維持するため
  • 理由2.雨漏りや設備故障などのトラブルを未然に防ぐため
  • 理由3.建物の資産価値を維持するため

いずれも、劣化が進む前に計画的に修繕することで、建物と暮らしを守るための理由です。

理由1.建物の劣化を防ぎ、安全性を維持するため

マンションを大規模修繕する最大の目的は、建物の寿命を延ばし、安全な住環境を確保することです。頑丈に見えるコンクリートも、雨風や紫外線の影響で少しずつ劣化していきます。

小さなひび割れから雨水が侵入すると、内部の鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートを押し出す「爆裂」という現象を引き起こすことも少なくありません。こうした傷みを早期に補修しなければ、建物本来の構造耐力が低下します。

建物の基本構造を守ることは、そこで暮らす人々の命を守ることと同義です。重大な事故を未然に防ぐためにも、計画的かつ定期的な修繕工事が求められます。

理由2.雨漏りや設備故障などのトラブルを未然に防ぐため

雨漏りや設備故障などのトラブルを防ぐことも、大規模修繕工事をする理由のひとつです。

特に注意すべきなのが、屋上やバルコニーなどの防水層の劣化です。防水機能が低下したまま放置すると、各家庭の室内へ雨水が浸入し、大規模な漏水被害やカビの発生を引き起こします。

一度雨漏りが起きると、室内の補修費用や家財の補償など、想定外の出費や住民間のトラブルにも発展しかねません。

さらに、給排水管の腐食や給水ポンプの故障といった設備トラブルも深刻な問題です。設備の老朽化が進むと、突然の「断水」や「下水の逆流」など、生活インフラが停止してしまいます。劣化が進む前に計画的な修繕を実施することが大切です。

理由3.建物の資産価値を維持するため

マンションの資産価値を維持するためにも、大規模修繕工事は欠かせません。

建物は時間が経つにつれて外観が色あせ、古びた印象を与えやすくなります。管理の行き届いた状態をアピールできれば、将来的な売却や賃貸に出す際の価格下落を防ぐことが可能です。

また、現代の大規模修繕は、単なる原状回復にとどまりません。防犯カメラや宅配ボックスの導入など、建物の機能を向上させる機会でもあり、建築当初の性能まで戻す「修繕」と、現在の水準に合わせて性能を高める「改修」を組み合わせて実施するマンションも多くあります。大規模修繕と大規模改修の違いを詳しく知りたい方は「大規模修繕と大規模改修の違いとは?工事内容や流れ・費用・周期について解説」の記事を参考にしてみてください。

適切なメンテナンスと設備の更新は、住み心地の向上と資産価値の維持・向上につながります。

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マンション大規模修繕工事の費用相場|面積・工事内容別・回数別に解説

マンション大規模修繕工事の費用相場|面積・工事内容別に解説

マンション大規模修繕工事の費用は、1戸あたり100万〜125万円が一般的な目安で、1棟あたりの総費用は実施回数によって変わります。

建物の築年数や実施回数によって工事内容が変わり、費用相場も変動するためです。国土交通省の調査データによる、回数別の総費用は以下の通りです。

工事回数総費用の最多価格帯中央値平均値
1回目4,000〜6,000万円約8,665万円約1億5,237万円
2回目6,000〜8,000万円約7,660万円約1億1,703万円
3回目6,000〜8,000万円/1億〜1.5億円約8,703万円約1億4,759万円

※金額は共通仮設費・消費税を含まない直接工事費ベースです。実際の総額はこれらが上乗せされます。

参照:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」

1棟あたりの総額はマンションの規模によって大きく変わります。まずは1戸あたりや面積あたりの相場と工事内容別の内訳を押さえ、そのうえで何回目の工事かを踏まえて予算を考えましょう。

マンション1戸あたりの費用相場

マンション1戸あたりの費用相場は100万〜125万円、床面積1㎡あたりでは10,000円〜10,500円がもっとも多い価格帯です。

実際の工事金額は、使用する塗料のグレードや依頼する施工会社によっても上下します。同じ調査で1回目の工事に限ると、1戸あたりの平均は151.6万円、床面積1㎡あたりの平均は約1万3,000円です。

近年は物価上昇や人件費高騰の影響で費用が増加傾向にあるため、最新の相場も把握しておきましょう。大規模修繕費用の内訳や高騰への対策を詳しく知りたい方は「マンションの大規模修繕費用の相場はいくら?工事項目別の内訳・目安と高騰対策を解説」の記事を参考にしてみてください。

資金計画を立てる際は、この相場を一つの基準としつつ、予期せぬ修繕に備えて余裕を持った予算組みをしておくことが大切です。

参照:国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」

工事内容別の費用内訳

工事内容別に見ると、費用の約6割(60.3%)を建築系工事が占め、次いで仮設工事が22.8%です。

マンション大規模修繕工事の区分別の構成比は以下の通りです。

工事区分構成比
建築系工事60.3%
仮設工事22.8%
諸経費①(現場管理費・一般管理費・法定福利費等)9.5%
その他工事3.8%
設備系工事1.6%
外構・付属施設1.3%
諸経費②(大規模修繕瑕疵保険の保険料)0.8%

参照:国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」

さらに、最大区分である「建築系工事」の内訳は以下の通りです。

工事項目建築系工事内の構成比
外壁塗装28.8%
床防水15.7%
建具・金物等15.3%
屋根防水12.9%
シーリング工事9.1%
鉄部等塗装8.8%
外壁タイル7.1%
共用内部2.4%

参照:国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」

それぞれの工事項目が全体に占める割合を把握し、相場から極端に外れていないかを確認することで、見積もりの妥当性を見極めやすくなります。

1回目の大規模修繕工事の費用相場

1回目の大規模修繕工事の総費用は、マンション1棟あたり4,000〜6,000万円が最も多い価格帯です。

築15年前後で実施されるケースが多く(平均修繕周期は15.6年)、工事内容は外壁塗装・床防水・屋根防水といった建築系工事が中心です。設備更新はまだ少なく、構成が比較的シンプルなため、総額も抑えやすい傾向にあります。

なお、中央値は約8,665万円、平均は約1億5,237万円で、規模の大きいマンションが平均額を押し上げています。

この金額には共通仮設費と消費税が含まれていないため、見積もりと比較する際は前提を揃えて確認しましょう。

2回目の大規模修繕工事の費用相場

2回目の大規模修繕工事の総費用は、マンション1棟あたり6,000〜8,000万円が最も多い価格帯です。

築28年前後で実施されることが多く、平均修繕周期は14.0年が目安です。中央値は約7,660万円、平均は約1億1,703万円と、3回のなかでは総額がいったん下がる傾向が見られます。

総額が下がる一方で、外壁タイルの補修やシーリングの打ち替え、給水管の更新、サッシ・玄関ドアの交換など、工事項目は多様化します。どの工事を含めるかによって費用が変わる点を押さえておきましょう。

3回目以降の大規模修繕工事の費用相場

3回目以降の大規模修繕工事の総費用は、6,000〜8,000万円台と1億〜1.5億円台に二極化する傾向があります。

築40年前後で実施されることが多く、建物の経年により給排水管をはじめとする設備の更新が必要になり、その範囲が案件ごとに異なるためです。

中央値は約8,703万円、平均は約1億4,759万円と2回目より再び上がり、平均修繕周期も12.9年と短くなります。

外壁や防水だけでなく、設備の全面更新まで踏み込むかどうかで総額が大きく変わります。

マンション大規模修繕工事の周期は?

マンション大規模修繕工事の周期は?

マンションの大規模修繕工事は、国土交通省のガイドラインで「12〜15年程度」が一般的な目安とされています。

ただし、近年では建築資材の進化や定期的なメンテナンスにより周期を延ばすケースがあり、反対に劣化の状況によっては早めに実施するケースもあります。周期の考え方は、主に以下の4つです。

  • 12年周期が目安|理由も解説
  • 15年周期で実施するケース
  • 18年周期まで延ばせるケース
  • 周期より早めに実施するケース

周期は年数だけで決めず、建物の劣化状況を踏まえて判断することが大切です。

12年周期が目安|理由も解説

12年周期は、ガイドラインの目安(12〜15年程度)のうち最も早い時期にあたる周期です。

建物を保護している外壁塗料や防水材の耐久性が、おおむね10〜12年程度で寿命を迎えるからです。

また、長期修繕計画に基づいて計画的に実施することで、修繕積立金を活用しやすく、資金計画を立てやすいメリットがあります。足場の設置費用を効率的に活用できることも、周期を設定する根拠の一つです。長期修繕計画の作成手順や見直しの時期を詳しく知りたい方は「大規模修繕の長期修繕計画とは?目的・作成手順・見直し時期・費用相場まで解説」の記事を参考にしてみてください。

致命的なダメージを防ぎ、建物の安全性を確実に守る基準として、まずは12年周期での実施をベースに検討しましょう。

15年周期で実施するケース

最近では、大規模修繕工事を従来の12年ではなく、15年程度を目安に実施するケースもあります。

フッ素樹脂塗料など、耐久性の高い高機能な建築資材が普及し、長期間にわたって外壁や屋上の劣化を防げるようになってきたためです。国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」でも、実際の平均修繕周期は全体で15.2年という結果が示されています。

過去の大規模修繕で耐用年数の長い塗料や防水材を使用している場合は、12年を経過しても十分な性能を維持していることがあります。専門家による劣化診断の結果を踏まえ、修繕の必要性を確認したうえで、実施時期を見直せる場合があります。

使用されている材料の品質が高く、建物の傷みが少ないことが確認できれば、15年周期に延長することは資金計画の面で有効な選択肢です。

18年周期まで延ばせるケース

建物の状態によっては、大規模修繕工事の周期を18年程度まで延長できるケースもあります。

前提となるのは、日常点検や小規模修繕を継続的に実施し、建物の状態を良好に維持していることです。また、高耐久の建材を使用している場合や、専門家による劣化診断で修繕を急ぐ必要がないと判断された場合に限られます。

ただし、18年への延長はすべてのマンションで適用できるわけではありません。劣化状況を踏まえて専門家と判断し、修繕時期を決定しましょう。

周期より早めに実施するケース

外壁のひび割れや雨漏りなどの劣化症状が複数箇所で確認される場合や、安全性に関わる重大な劣化が見つかった場合は、周期より早めの工事実施を検討しましょう。

劣化の進み方は、地域環境やマンションの設計仕様、使われている建材によっても差が生じるためです。早めの実施を検討する目安となる劣化症状は、以下の通りです。

  • 外壁:ひび割れの幅や深さ、塗装の剥離や変色
  • 防水部分:屋上やバルコニーの防水層の劣化、雨漏りの発生
  • シーリング材:硬化やひび割れ、接着不良
  • タイル外壁:浮きや剥離の範囲と進行度
  • 鉄部:錆の発生状況と腐食の程度

修繕を遅らせると費用が膨らむリスクがある一方、早めに実施すれば余計な劣化を防ぎ、長期的なコスト削減につながります。回数ごとの時期の考え方やタイミングを詳しく知りたい方は「マンションの大規模修繕の時期はいつ?回数別の考え方やタイミングをプロが解説」の記事を参考にしてみてください。

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マンション大規模修繕の工事内容をステップで解説

マンション大規模修繕の工事内容をステップで解説

マンション大規模修繕の工事は、足場の設置から完了検査・引き渡しまで、主に以下の8つのステップで進みます。

  • ステップ1.足場の設置・養生
  • ステップ2.高圧洗浄
  • ステップ3.下地補修(躯体補修)
  • ステップ4.シーリング(コーキング)打ち替え
  • ステップ5.塗装工事(外壁・鉄部)
  • ステップ6.防水工事
  • ステップ7.設備・バリューアップ工事
  • ステップ8.完了検査・引き渡し

工事が始まるまでには、劣化診断で建物の現状を把握し、診断結果を踏まえて長期修繕計画を策定したうえで、総会での合意形成と資金調達、設計・業者選定という段階を踏みます。着工までの進め方を詳しく知りたい方は「大規模修繕工事の進め方とは?8つのステップで流れとスムーズに進めるポイントを解説」の記事を参考にしてみてください。

工事期間は、マンションの規模と工事内容によって決まります。一般的な目安は以下の通りです。

マンション規模工事期間の目安
小規模(30戸程度)3〜4ヶ月
中規模(50〜100戸)4〜6ヶ月
大規模(100戸以上)6ヶ月〜1年

工程は天候や建物の状況によって調整される場合があり、特に塗装工事や防水工事は気象条件に大きく左右されます。工事期間の目安や短縮のコツを詳しく知りたい方は「マンション大規模修繕の期間はどのくらい?計画から工事完了までの流れと短縮のコツ」の記事を参考にしてみてください。

各工程の目的や、居住者が注意すべきポイントもあわせて確認しておきましょう。

ステップ1.足場の設置・養生

工事の最初の工程は、足場の設置と養生です。

具体的には、外壁に沿って「くさび緊結式足場」などの鉄パイプを組み立て、飛散防止用のメッシュシートで建物全体を覆います。このシートにより、工事期間中は日当たりや風通しが悪くなる場合があります。作業車両や資材置き場のために、駐車場の使用が制限されることもあります。

また、足場の設置後はベランダへの侵入リスクが高まり、室内も外から見えやすくなります。外出時や就寝時は窓や玄関の施錠を徹底し、厚手のカーテンを用意しておくと安心です。足場を利用した侵入には施工会社による夜間警備が効果的で、住民と管理組合も作業員の身分確認や不審者の通報、子どもを工事現場に立ち入らせない注意を徹底しましょう。

足場が立っている期間は、生活の変化と防犯面に備えておくことが大切です。

【関連記事】マンションの大規模修繕で欠かせない「足場」とは?種類や選び方から注意点まで解説

ステップ2.高圧洗浄

足場が完成すると、次は高圧洗浄機を使って建物全体の汚れを洗い落とす作業に入ります。

長年こびりついたホコリや排気ガスの汚れ、コケなどを高圧の水で除去し、塗装や防水工事に適した下地を整えます。汚れが残ったまま施工すると塗料や防水材が十分に密着せず、耐久性の低下につながるため、高圧洗浄は仕上がりを左右する重要な工程です。

ただし、作業中は激しい水しぶきや機械の稼働音が発生します。そのため、居住者は窓を完全に閉め切り、洗濯物も室内に干すなどの対応が必要になります。

ステップ3.下地補修(躯体補修)

建物の表面をきれいにした後は、コンクリートのひび割れやタイルの浮き・剥がれ、鉄筋の露出などを補修する工程です。専用の打診棒で壁を叩き、音の違いからタイルの「浮き」を一つひとつ調査します。

浮いた箇所はアンカーピンの打ち込みとエポキシ樹脂の注入で固定し、損傷が大きい部分はタイルを張り替えます。ひび割れには幅や状態に応じてエポキシ樹脂を注入し、雨水の侵入による内部鉄筋の錆びを防ぐことが目的です。

また、鉄筋の錆で表面が剥がれた「爆裂」部分は、錆を除去して防錆処理を施し、モルタルで断面を復旧します。

ステップ4.シーリング(コーキング)打ち替え

下地補修と並行して、窓枠のサッシ周りや外壁の目地(つなぎ目)にあるゴム状のシーリング材を新しく打ち替えます。

既存の古くなったシーリング材をカッターなどで綺麗に撤去し、専用の接着剤(プライマー)を塗ります。その上から、建物の動きに追従する弾力性を持った新しいシーリング材を隙間なく充填する作業です。このシーリング材の寿命は一般的に10年程度と短いため、大規模修繕のタイミングで必ず交換する必要があります。

【関連記事】防水コーキング(シーリング)工事とは?の施工費用・単価相場を解説!

ステップ5.塗装工事(外壁・鉄部)

修繕の土台が整ったら、外壁や鉄部の塗装によって、建物の美観と耐久性を向上させます。

外壁塗装では、塗料の性能を十分に発揮させるため、下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りが基本です。遮熱塗料や高耐久塗料を選べば省エネ効果や長期的なコスト削減も期待でき、外壁の色合いを変えて建物の印象を刷新することもできます。

一方、屋外階段や鉄製ドアなどの鉄部は、古いサビを除去する下処理(ケレン作業)の後、サビ止め塗料を塗布し、仕上げ塗装を施します。屋外階段は腐食が進むと踏み板の破損や滑落事故につながりかねないため、防錆塗装に加えて部材交換や滑り止め処理を行うこともあります。

塗装中は塗料特有の臭いが発生することがあるため、臭いの少ない水性塗料を選ぶなどの配慮も大切です。

【関連記事】外壁塗装の見積もりでチェックすべきポイント7選|見積書の費用の内訳・依頼時の注意点まで解説

ステップ6.防水工事

屋上やバルコニー、共用廊下など雨ざらしになる場所には、強力な防水層を新設・補修する防水工事を実施します。

既存の防水材の種類や状態に合わせて、「ウレタン防水」や「シート防水」などの工法を選ぶのが一般的です。

バルコニーの床に防水処理を施す間は、居住者がベランダに立ち入ることが一切できなくなります。場合によっては、エアコンの室外機を一時的に天井から吊り上げたり、移動させたりする作業も発生します。

ベランダが使えない期間は洗濯物を外に干せないうえ、避難経路の確保や換気・採光にも影響が出ることがあるため、室内干しの用具や除湿機・サーキュレーターを用意し、近くのコインランドリーの場所と営業時間を確かめておくと安心です。工事中の過ごし方を詳しく知りたい方は「マンション大規模修繕の過ごし方完全ガイド|工事中の生活ストレスを軽減するコツとは」の記事を参考にしてみてください。

防水工事の期間はベランダが使えなくなるため、事前に準備しておきましょう。以下の記事では、防水工事について詳しく解説しているので、合わせてご参照ください。

>>防水工事とは?種類・費用相場・耐用年数・工事の流れをわかりやすく解説

ステップ7.設備・バリューアップ工事

基本的な修繕が完了した後は、設備の更新や、マンションの資産価値をさらに高めるためのバリューアップ工事を行うケースがあります。

設備工事では、給排水管や電気設備、エレベーターの更新などを大規模修繕にあわせて行います。バリューアップ工事は、エントランスのオートロック化をはじめ、防犯カメラの増設や宅配ボックスの新設などが代表的な例です。また、共用部の照明をLEDに交換することで、電気代の削減といった省エネ効果も期待できます。

ただし、バリューアップ工事は必須ではないため、修繕積立金に余裕があるかどうかを確認し、管理組合で合意形成を図る必要があります。

ステップ8.完了検査・引き渡し

全工程が終わると仕上げと全体清掃を行い、完成検査で不具合がないかを確かめます。

完成検査で不具合が見つかれば施工会社に是正を求めて再検査します。完了検査に第三者のチェックを取り入れると客観性が増すため、品質の確保に効果的です。

検査で品質を確かめるには、工事中の確認も欠かせません。独立した第三者の工事監理者による監理に加え、各工程が終わるごとの中間検査や使用材料の品質証明書を確認し、管理組合としても月1回程度は現場を確認して、施工会社からの進捗報告や写真による施工記録をチェックしましょう。

工事中の記録と完了検査で不具合がないことを確かめてから、引き渡しを受けることが大切です。

施工事例|8階建てマンションの大規模修繕工事

築17年の8階建てマンションにおける、管理組合主導による大規模修繕工事の一部始終をご紹介します。
「予算オーバーを避けたい」「融資は極力使いたくない」といった現実的な課題を抱える中で、新東亜工業がどのように提案し、信頼を築きながら工事を完遂したのか──。
理事会への説明から近隣対応、完成後のフォローまで、実際のやり取りを交えてリアルにお伝えします。

ご相談内容

築17年が経過し、管理組合では以前から大規模修繕の検討がされていましたが、資材高騰などにより予算が合わず延期されていた背景があります。「融資は避けたい」「必要な部分に絞って実施したい」といった要望の中、数社に見積り依頼をされていた中で弊社にご相談をいただきました。

担当者:お問い合わせありがとうございます。ご予算に合わせて施工範囲を調整することも可能です。弊社は子会社で材料問屋を持っているため、同じ工事でも他社様より価格を抑えるご提案が可能です。
お客様:なるべく費用を抑えたいので、ぜひ現地調査をお願いします。図面などもご用意します。
担当者:ありがとうございます。図面と、屋上に鍵があるようであればご用意をお願いします。

工事の概要|工事金額と期間

大規模修繕 施工前

大規模修繕 施工後

項目 内容
建物種別 分譲マンション(8階建て)
所在地 東京都内(詳細非公開)
工事内容 大規模修繕工事(外壁補修・塗装・防水・シーリング・長尺シート他)
工法 足場設置のうえ全面修繕/ウレタン塗膜防水(密着工法)他
その他特記事項 理事会へのプレゼンあり、工事中の騒音・近隣対策対応あり

工事金額:2,430万円 期間:約2カ月間

現地調査で判明した劣化症状

現地調査では、屋上の防水層や外壁のシーリング、タイル目地などに劣化が見られました。既存のアスファルトシート防水はまだ機能していたものの、再施工のタイミングとしては適切であり、ウレタン塗膜防水による上塗りを推奨しました。また、タイルの一部には硬化不良が確認され、慎重な撤去作業が必要な状態でした。

担当者:屋上はアスファルトシート防水ですね。状態は悪くないので、ウレタン塗膜防水の密着工法が適しています。
お客様:それでお願いします。あとベランダは見た目を良くしたいので、長尺シートも検討したいです。
担当者:シートは費用が倍近くかかるので、ウレタンの方が予算には優しいですね。
お客様:でも可能ならシートにしたいので、そちらで見積りお願いします。

施工中のやり取りと配慮

工事期間中は、騒音や近隣への影響を最小限に抑える配慮を行いました。作業工程や騒音の案内は掲示板やホワイトボードで事前に周知し、近隣住民や管理人との連携も徹底。足場設置やメッシュシートの風対策も含め、安全対策も万全に対応しました。また、アスベスト調査も事前に実施し、含有なしを確認済みです。

お客様:日曜に音がしたって苦情が来たのですが…。
担当者:調べたところ、隣の工事のものでした。担当者に周知のお願いはしておきました。
お客様:ありがとうございます。トラブルにならなくてよかったです。

引き渡し時のご感想

工事完了後、お客様からは「タイルもまったく違和感がない」「すごく綺麗になった」と高い評価をいただきました。タイルの保管方法や施工写真・保証書を含めた竣工図書の提出も行い、今後のメンテナンスにも役立てていただける内容でお渡ししました。

お客様:どこを張り替えたかわからないくらい自然ですね。
担当者:窯焼きで色を合わせたので、かなり近く再現できています。必要があればいつでもご連絡ください。
お客様:ありがとうございます。次は廊下の床や照明をまとめて検討したいと思います。

今回の工事では、以下のような成果が得られました。

  • ご予算に合わせた柔軟な工事範囲調整
  • 自社施工・材料問屋からの直接仕入れでコストダウンを実現
  • 理事会での丁寧なプレゼンと近隣配慮で信頼を構築
  • 施工中の進捗報告や打ち合わせで透明性を確保
  • 外観と防水性が向上し、物件価値の維持につながった

新東亜工業では、お客様の状況に合わせた提案と対応を徹底しております。

大規模修繕に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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マンション大規模修繕工事業者の選び方

マンション大規模修繕工事業者の選び方

マンション大規模修繕工事の業者を選ぶときのポイントは、主に以下の4つです。

  • 選び方1.マンション大規模修繕の実績・施工事例が豊富か
  • 選び方2.保証内容とアフター体制が明確か
  • 選び方3.有資格者が在籍しているか
  • 選び方4.発注方式と契約内容を確認する

いずれも、安心して工事を任せられる業者かどうかを見極めるための確認ポイントです。

選び方1.マンション大規模修繕の実績・施工事例が豊富か

大規模修繕を依頼する際は、自分のマンションと似た規模や階数での施工実績が豊富な業者を選びましょう。

建物の大きさや構造によって、最適な足場の組み方や安全管理のノウハウが異なるからです。大規模なマンションほど、工事中の動線管理や騒音対策、問い合わせ対応などを円滑に進める体制が求められます。また、居住者が生活しながら工事を進めるため、工事スケジュールの周知や掲示板での情報共有、問い合わせやクレームへの迅速な対応も重要です。

実績を確かめる際は、劣化状況に応じた適切な工法を提案できるか、公共工事や大手デベロッパー案件の実績があるかも確認しましょう。

可能であれば、実際に施工したマンションや施工中の現場を見学させてもらえるかも、信頼性を測るポイントです。

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選び方2.保証内容とアフター体制が明確か

工事業者を選ぶ際は、工事後の保証内容やアフター体制が書面で明確に示されているかを確認することが不可欠です。

大規模修繕は工事が完了して終わりではなく、数年後に塗料の剥がれや雨漏りなどの不具合が発覚するケースもあるためです。

見積もりを取る段階で、外壁塗装や屋上防水など、施工部位ごとに何年間の保証がつくのかを細かくチェックしましょう。防水工事の場合、保証期間は一般的に5〜10年程度です。また、1年目、3年目、5年目といった節目に無償で定期点検を行ってくれる体制が整っているか、緊急時の対応スピードや連絡体制、保証の対象がどこまで及ぶのかも事前に把握しておきましょう。工事ごとの保証期間の目安を詳しく知りたい方は「大規模修繕の保証期間はどれくらい?基本的な考え方から工事による違いを押さえよう」の記事を参考にしてみてください。

万が一業者が倒産した場合に備えて、「大規模修繕瑕疵(かし)保険」に加入できる業者かどうかも見極めのポイントです。施工後のトラブルにも責任を持って対応してくれる体制を約束できる業者を選びましょう。

選び方3.有資格者が在籍しているか

質の高い工事を実現するためには、有資格者が在籍している業者を選定しましょう。

特に、現場全体の工程や品質、安全管理を担う「一級建築施工管理技士」という国家資格者が専任で配置されるかを確認します。建物の構造に詳しい「一級建築士」が在籍し、サポートする体制があればさらに安心です。

ホームページや会社概要で有資格者の在籍状況を確認し、どのような体制で工事を管理しているかもあわせて確認しましょう。

なお、弊社では一級建築士・一級建築施工管理技士・二級建築施工管理技士が在籍しています。

選び方4.発注方式と契約内容を確認する

業者を選ぶ際は、発注方式ごとの違いを理解して自分のマンションに合った方式を選び、契約内容まで確認しましょう。

大規模修繕の発注方式には、設計事務所が工事を監理する「設計監理方式」、施工会社が設計から工事まで一括で行う「責任施工方式」、管理会社が業者選定を支援する「管理会社主導方式」があります。それぞれの特徴は以下の通りです。

発注方式メリットデメリット
設計監理方式品質管理の客観性・透明性を確保できるコンサル費用が発生し、工期が長くなりやすい
責任施工方式コストを削減し、工期を短縮しやすい客観性が低下し、品質管理が難しくなる
管理会社主導方式手続きを簡素化でき、管理会社の経験を活かせる業者の選択肢が限られ、利益相反のリスクがある

設計監理方式は大規模なマンションや高額な工事に適しており、責任施工方式は中小規模のマンションで費用を抑えたい場合に有効です。ただし、責任施工方式では管理組合による品質管理の強化が必要になります。発注方式ごとの違いを詳しく知りたい方は「マンション大規模修繕の発注方式・施工方式とは?方式別の違いやメリット・デメリット・選び方をプロが解説」の記事を参考にしてみてください。

契約時は、工事仕様書(使用材料・施工方法・品質基準)、工程表と遅延時の対応、前金・中間金・完成金の支払条件、追加工事の承認手順と価格の決め方、工事保険・賠償責任保険の加入を確認しましょう。

発注方式と契約内容を事前に確かめておくことが、安心して工事を任せられる業者選びにつながります。

マンション大規模修繕工事の費用を抑えるポイント

マンション大規模修繕工事の費用を抑えるポイント

マンション大規模修繕工事の費用を抑えるポイントは、主に以下の3つです。

  • ポイント1.中間マージンのない自社施工業者を選ぶ
  • ポイント2.複数社から相見積もりをとる
  • ポイント3.減税制度・補助金を活用する

建物の品質や安全性を保ちながら、無駄な出費を削ることが大切です。

ポイント1.中間マージンのない自社施工業者を選ぶ

費用を抑えるためには、自社で職人を抱えて直接施工を行う専門業者に発注しましょう。大手ゼネコンやマンションの管理会社に工事を一括して発注すると、実際の作業を下請け業者に流す際の中間マージンが上乗せされて割高になります。

専門業者へ直接依頼すれば、この無駄な手数料をカットして純粋な工事費用のみに抑えられます。また、現場を管理する人と実際に作業する職人との距離が近いため、管理組合からの細かな要望や指示が現場へダイレクトに伝わる点もメリットです。

「どこに頼めば中間マージンを抑えられるのかわからない」という管理組合の方は、ぜひ新東亜工業にご相談ください。

ポイント2.複数社から相見積もりをとる

大規模修繕の適正価格を見極めるためには、同じ条件のもとで必ず複数社から相見積もりを取得しましょう。

1社だけの見積もりでは、提示された金額が市場の相場に対して高いのか安いのかを客観的に判断できないためです。

相見積もりをとる際は、あらかじめ共通の工事仕様書を作成し、3〜5社程度へ同時に依頼するのが基本です。届いた見積書を横並びで比較し、人件費・材料費・仮設費用が明確に区分されているか、諸経費の算出方法や共通仮設費・直接工事費の割合が適正かを確認しましょう。単価表や数量の根拠を示してくれる業者なら、より透明性の高い判断ができます。

ただし、極端に安い見積もりは安全対策や材料の品質を削っている恐れがあり、内訳が不透明な見積もりは後の追加請求につながる恐れがあります。金額だけでなく、提案内容や対応スピードも比較すると効果的です。

ポイント3.減税制度・補助金を活用する

国の減税制度や自治体の補助金、公的な融資制度を事前に調べてうまく活用することも、資金面の負担を大きく減らすポイントです。例えば、以下のような減税制度・補助金を活用できるケースがあります。

  • マンション長寿命化促進税制(固定資産税の減額)
  • 住宅金融支援機構「マンションすまい・る融資」
  • 自治体の補助金・利子補給制度

ほかにも、耐震性を高める工事への耐震改修助成や、断熱材の導入・省エネ設備の更新への省エネ改修補助があり、外壁改修や防水工事に補助を設ける自治体もあります。活用できる補助金・助成金の一覧を詳しく知りたい方は「大規模修繕工事の補助金・助成金一覧!費用削減方法や申請の流れも解説【令和7年最新版】」の記事を参考にしてみてください。

これらの制度は着工前の申請が必須となることが多く、補助金は予算枠が限られていることも多いため、早い段階から専門家のアドバイスを受けつつ、募集が始まったらすぐ申請できるよう計画的に準備を進めましょう。

マンション大規模修繕工事でよくあるトラブルと対策

マンション大規模修繕工事でよくあるトラブルと対策

マンション大規模修繕工事で特に起こりやすいトラブルは、主に以下の3つです。

  • トラブル1.工事中の騒音・振動・臭気による居住者からの苦情
  • トラブル2.見積もりの水増し・追加費用の発生
  • トラブル3.管理組合・居住者間で意見がまとまらない

いずれも、事前の情報共有とルールづくりで防ぎやすくなります。

トラブル1.工事中の騒音・振動・臭気による居住者からの苦情

工事中の騒音や振動、塗料の臭いによる苦情を防ぐには、事前のアナウンスとルールの取り決めが不可欠です。

大規模修繕工事中は、騒音や振動、塗料の臭いに関するクレームが居住者から寄せられやすいためです。在宅勤務をしている方や、日中に自宅で過ごす時間が長い家庭では、音や臭いが気になりやすい傾向があります。外壁補修や塗装、防水工事では粉塵やシンナー臭が発生し、アレルギー体質や呼吸器に不安のある居住者が体調不良を訴えるケースもあります。

トラブルを防ぐには、着工前の住民説明会で丁寧に説明し、音や臭いが発生する日を週間工程表などで前もって知らせます。作業時間を平日の8時〜17時に限定する、特に騒音の大きい作業は事前に個別通知を行う、防音シートや低騒音工法を採用するといった方法もあり、苦情対応の専用窓口と担当者を決めておくと、住民の声に迅速に応えられます。

居住者側も、耳栓やノイズキャンセリング機器を使う、騒音が激しい時間帯に外出の予定を入れる、工事時間中は窓をできるだけ開けずに空気清浄機やマスクを使うといった工夫で負担を和らげられます。体調に不安がある場合は、管理組合を通じて工事会社に配慮を依頼することも可能です。

居住者のストレスを最小限に抑えるよう、事前の情報共有と細やかな配慮を徹底しましょう。

トラブル2.見積もりの水増し・追加費用の発生

工事開始後の追加費用を巡るトラブルを防ぐには、見積もりの内容を明確にし、追加工事が発生した場合のルールを契約前に決めておくことが重要です。

マンションの大規模修繕では、足場を設置して初めて劣化状況が判明する箇所も多くあります。そのため、工事中に追加工事が必要となり、費用が増えるケースは少なくありません。

こうしたトラブルを防ぐためには、あらかじめ補修工事の単価を取り決めておき、施工数量に応じて精算する「実数精算方式」を採用すると安心です。

また、設計コンサルタントなどの第三者が入る「設計監理方式」を採用すれば、追加工事の必要性や費用の妥当性を客観的に確認できます。契約前に追加費用が発生する条件や精算方法を確認しておくことで、不当な請求を防ぎやすくなります。

トラブル3.管理組合・居住者間で意見がまとまらない

マンションの大規模修繕工事では、管理組合や居住者の意見がまとまらず、計画が予定どおりに進まないトラブルがあります。

修繕積立金の値上げや工事業者の選定など、各家庭の負担や考え方に関わる事項が多く、意見が分かれやすいためです。業者選定の過程が見えないと、不信感を招くこともあります。一部の役員だけで計画を進めると、総会で決議が否決され、工事が延期・中止になる可能性もあります。

こうしたトラブルを防ぐには、修繕委員会を設置したり、マンション管理士などの専門家を交えて客観的に検討したりすることが有効です。修繕委員会がアンケートや定期的な活動報告で住民の意見を集約し、工事費用や業者選定の過程を議事録・見積書の公開やオンライン掲示板、ニュースレターで誰でも確認できるようにしておけば、透明性の高い意思決定につながります。修繕委員会の役割や進め方を詳しく知りたい方は「大規模修繕委員会とは?役割や手順と成功へ導くチェックポイント」の記事を参考にしてみてください。

計画の初期段階から建物の劣化状況や修繕積立金の見通しを住民へ定期的に共有し、工事の必要性を住民全体で理解しておくことが、合意形成を進めるうえで大切です。

マンション大規模修繕工事に関するよくある質問

FAQ

ここでは、マンション大規模修繕工事に関するよくある質問に回答します。

大規模修繕は法律で義務付けられていますか?
大規模修繕工事を一定の周期で実施することを義務付ける法律はありません。

ただし建築基準法第12条では、一定規模以上のマンションに対し、専門家による定期調査・検査と特定行政庁への報告が義務付けられています。この報告で外壁などに劣化が見つかれば、補修が必要になります。

また区分所有法やマンション標準管理規約でも、共用部分を適切に維持・修繕することが管理組合の責務とされており、実質的に計画的な修繕が求められます。
マンション大規模修繕費用は誰が払うのですか?
大規模修繕は共用部分の工事であるため、費用は区分所有者全員が負担します。原則として、毎月各区分所有者が積み立てている「修繕積立金」を取り崩して充当します。

積立金が不足する場合は、一時金の追加徴収や、住宅金融支援機構などの公的融資の借り入れで補うのが一般的です。一時金の徴収には総会での承認が必要で、高齢世帯や単身世帯では負担感が大きくなる点に注意しましょう。なお専有部分の工事費は対象外で、各所有者が個別に負担します。

賃貸マンションの場合は、修繕費用をオーナーが負担するのが基本です。共用部分の工事に共益費が活用される場合もあり、扱いは契約内容によって異なります。

費用負担の考え方や払えないときの対処法を詳しく知りたい方は「マンションの大規模修繕に関する費用負担は誰がする?払えない場合の対処法やトラブル事例を解説」の記事を参考にしてみてください。
マンション大規模修繕では確認申請は必要ですか?
通常の大規模修繕であれば、建築確認申請は不要です。

確認申請が必要になるのは、建築基準法上の「大規模の修繕・模様替え」や、増築・用途変更を伴う場合に限られます。大規模修繕工事で確認申告が必要なケースは以下の記事で詳しく解説しているのであわせてチェックしてみてください。

>>大規模修繕で確認申請が必要なケースとは?法改定による影響や注意点を解説

まとめ|大規模修繕工事でマンションの資産価値と安全性を維持しよう

まとめ

マンション大規模修繕工事は、建物の寿命を延ばし、安全で快適な住環境を守るために必要不可欠なメンテナンスです。適切な周期で実施することで、雨漏りや外壁落下といったトラブルを未然に防ぎ、マンションの資産価値を高く維持できます。

多額の費用がかかるプロジェクトとなるため、長期的な視点での資金計画と、複数社からの相見積もりによる比較検討が欠かせません。また、減税制度や補助金を賢く活用し、適正なコストで工事をする工夫も大切です。

本記事で紹介したポイントを参考に、住民の理解を得ながら計画的に大規模修繕工事を進めましょう。

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