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マンション大規模修繕で活用できるローンとは?

マンションの大規模修繕には多額の費用がかかり、修繕積立金だけでは足りないケースも少なくありません。

そこで、ローン活用が有力な選択肢となります。

管理組合や区分所有者が利用できる専用の融資商品が用意されているのです。

本記事では、大規模修繕におけるローン活用の具体的な方法について解説します。

マンション大規模修繕で活用できるローンとは?

マンション大規模修繕では、管理組合や区分所有者個人が利用できる専用のローン商品があります。

国土交通省の調査によると、築後30年を目安に3,000万円~1億円程度の修繕費用がかかるとされていて修繕積立金だけでは足りないケースが多くなっています。

過去には60戸のマンションで、25年目の修繕費1億4,000万円が必要だった事例があります。

そういった場面をサポートするために金融機関は、大規模修繕向けの融資商品を用意しています。

管理組合向けですと『大規模修繕ローン』『マンション修繕ローン 』など、区分所有者個人向けには『フラット35リフォームローン』『マンションリフォームローン』など。

区分所有者には管理費や修繕積立金の負担がある一方、管理組合は積立金でも不足する場合があるためこういったローンを利用するケースは多く見られます。

ローン商品の種類について

マンション大規模修繕で活用できるローン商品には、上記でも少し触れたように主に管理組合向けと区分所有者個人向けの2種類があります。

①管理組合向けローン

管理組合が修繕費総額に対する融資を受けられるものとなっています。

工事費の支払いが一時に必要となるため、まとまった資金調達が不可欠な大規模修繕では数千万円~数億円の費用がかかることが多い。
※実例ですと、70戸規模のマンションで1億5,000万円の修繕費が必要だったケースがあります。

管理組合向けローンの特徴

  • 借入限度額は修繕見積金額の80~100%程度
  • 金利は変動金利が一般的
  • 融資期間は5年~20年
  • 主な商品にマンション大規模修繕ローンなどがある

修繕時期が予定より早く到来した場合や、想定を上回る費用がかかった場合など管理組合は修繕積立金で全額を賄うのが困難なケースも多いためローンの利用を検討することが重要です。

②区分所有者個人向けローン

こちらは、区分所有者個人が自己負担分の修繕費用を借り入れできるものとなっています。

修繕工事においては、修繕費総額の一部を個人が負担する必要がある場合もあります。

区分所有割合(専有面積比など)に応じて区分所有者に按分される費用があり、100万円~数百万円単位の個人負担となることが一般的です。

  • 収入が一時的に減少していた
  • 他の生活費で準備できなかった
  • 積立不足だった など

上記のような理由で、個人で修繕費用の準備が十分でない場合などが想定されます。

区分所有者個人向けローンの特徴

  • 借入限度額は修繕費個人分担金の範囲内
  • 金利は固定金利が中心
  • 融資期間は3年~35年
  • 主な商品にフラット35リフォームローン、リフォームローンなど

このように、マンション大規模修繕では立場に合わせて適切なローン活用が可能です。

ローンを利用するメリット・デメリット

ローンを利用するメリットとデメリットについて、解説していきます。

メリット

まずメリットとしてはローンを利用することで、修繕時の一時的な資金負担を軽減できるという点です。

修繕時期が早まったり、想定外の費用増があっても資金を調達しやすく長期の返済で負担を分散できます。

借入期間を長く設定すれば、月々の返済額を抑えられる。

返済期間10年の場合
修繕費8,000万円 → 月々返済額約67万円

デメリット

金利負担が発生するため、将来の収支を圧迫するリスクがあります。

金利は修繕費の5~10%程度と試算されます。

賃料収入が減少した場合など、返済が滞る可能性もあるため注意が必要です。

空室が増えると収支が悪化し、返済が困難になるリスクがあるることを想定することが重要です。

現預金を活用するメリット・デメリット

現預金活用も大規模修繕の資金調達手段の一つですが、メリット・デメリットを踏まえる必要があります。

メリット

ローン手続きが不要で、金利負担もないという点が大きなメリットです。

融資審査の必要がないため、スピーディーな資金調達が可能な上に金利負担がないため、総支払額を抑えることが可能です。

デメリット

現預金には限りがあり、多額の費用を賄うのが難しい場合があり管理組合の修繕積立金だけでは不足してしまうことが想定されます。

国交省データによると、25年目の大規模修繕では平均1億4千万円の費用が見込まれていて積立額は500万円~1,000万円程度が一般的です。

資金を現預金に回すと、運用益を失う可能性があり投資用資産を現金化する必要が出てくる場合も。

資産の多くを現金化すると、将来の収益機会を失う危険性もありますので注意が必要です。

融資を受ける流れ

ローン融資を受ける一般的な流れは、以下の通りです。

  1. 修繕内容・見積額を決定する
  2. 管理組合役員会や区分所有者集会で、融資の方針を決める
  3. 複数の金融機関に見積もりを依頼する
  4. 最終的な融資先を選定し、融資申請手続きを行う
  5. 融資実行後、修繕工事を発注・実施する
  6. 契約に基づき、融資返済を開始する

ローンの選び方について

低金利で長期返済可能な融資を選ぶことが重要です。

金利の違いは長期的な支払総額に大きく影響してしまいます。

金利1%の差で、10年返済の場合で数百万円の開きが出る可能性があります。

長期返済なら月々の負担を軽減でき、逆に融資期間を長くすれば、月々の返済額を抑えることができます。

選定のポイント

  • 借入限度額が修繕費に見合っているか
  • 手数料や事務手数料の有無
  • 団体向け優遇制度の有無 など

マンション大規模修繕向けのローン選びでは、様々な角度から比較検討する必要があります。

無理のない返済計画を立てましょう。

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