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ビルの防水工事を解説|費用はどれぐらい?工法の選び方は?

ビルの防水工事を知りたい人

ビルの防水工事を知りたい人

ビルの屋上に防水工事は必要?
ビルの防水工事の内容は?
ビルの防水工事にかかる費用はいくら?
ビルのような高い建物に防水工事を行う際のポイントは?

ビルの防水工事は建物の老朽化を防ぐ有効な手段です。

特にビルの屋上は強い太陽光や雨などの影響を受けやすくメンテナンスを怠ると建物の劣化が進んでしまうでしょう。

ビルの防水処理を適切に行うことで、建物の劣化を防ぐことができ、耐用年数も長引かせることができます。

この記事では、ビルの防水工事について、かかる費用や工法について詳しく紹介していきます。

そろそろ所有する建物の改修を考えている…できるだけビルの耐用年数を長くしたい…とお考えの人に有益な情報をまとめました。

一つずつ確認していきましょう。

目次

ビルに防水工事が必要な理由

ビルの屋上防水工事が必要な理由はいくつかあります。

  • 雨漏り対策
  • 躯体・設備の保護
  • 建物の耐久性・安全性の確保
  • 資産価値の向上

適切な防水工事を行うためにも重要なポイントとなる、防水工事の必要性を解説します。

雨漏り対策

建物の屋上は、紫外線や風雨、温度の変化など外部の影響を受け、破損や劣化します。

そのため、雨漏りを防ぐ屋上防水は欠かせません。

屋上には雨水を排水するためのパイプや排水溝が設置されています。

しかし、防水が不十分だと、雨水が建物内に侵入し、壁や天井、床などに染み込む恐れがあります。

また、物干し竿やテラス、太陽光発電パネルなど屋上に設置される設備も防水処理が必要です。

正しい防水工事を選択することで、雨漏りを防ぎ、ビルに入居する方やテナントの快適性や建物の耐久性を維持できます。

躯体・設備の保護

防水工事は、ビルの設備や構造を保護するために大切です。

雨水が入り込まないようにすることで、構造物の破損や劣化を予防し、建物の強度や耐久性を維持します。

また、設備の故障や効率の低下を防ぎ、長期間の稼働を確保します。

構造物や設備の定期的な点検・メンテナンスも重要です。

建物の耐久性・安全性の確保

建物が古くなれば、防水性や耐久性が下がります。

耐久性が保たれなくなると、雨漏りや躯体の腐食が進み、ビル自体の寿命を短くするリスクが高いです。

建物の外壁を工事することで、劣化した塗膜を施工当時と同じ状態に戻すことができます。つまり、劣化によるビルの損傷を予防できるのです。

定期的な改修工事でビルの耐久性を維持できれば、長期的な視点で考えるとメンテナンス費用を抑えることができる点もメリットです。

入居率アップ

ビルの外壁は、年月とともに汚れや色あせ、カビ、剥がれが起こります。

ビルの外壁の劣化で入居者数が減る可能性が極めて高いため、ビルの美観を保つことが必要です。

また、ビルの外観デザインにはトレンドがあります。

施工当時は最新のデザインだった場合も、時間の経過とともに古く見えてくることもあるため、防水工事や外壁のリニューアルなどのメンテナンスを検討しましょう。

資産価値の向上

一般的に、建物は古くなると資産価値が下がります。

資産価値の下落を緩やかにするためには定期的なメンテナンスが必要であり、建物のお手入れのひとつに外壁塗装があります。

基本的に、古いビルの価値が新しいビルの価値よりも高くなることはありません。

しかし、築年数が経過していても、建物の性能を向上させる改修工事を行うことで、資産価値を部分的に向上させられるケースもあります。

例えば、塗装防水工事であれば、高機能な塗料を選択する、劣化した箇所を改善するなどで資産価値を高めることが可能です。

ビルで起こる雨漏りの原因

マンションやビルのベランダやバルコニーは、日頃から使用していても経年劣化により設備が劣化し、雨漏りの原因になります。

ここでは、雨漏りの原因をいくつか紹介します。

排水設備のつまり

マンションやビルの屋上やバルコニーには、雨や水を排水するための設備がありますが、排水溝が詰まることで雨漏りが発生することがあります。

雨漏りを防ぐには、洗濯機や植物から排出されるゴミや土を定期的に掃除することが非常に効果的です。

季節ごとに清掃と、防水性のチェックを行うことをおすすめします。

防水層の劣化・剥がれ

中高層マンションやビルの屋上やバルコニーは、常に日差しや風の影響を受け、自然の力によって劣化しやすい場所です。

防水に関しては、紫外線によって防水層が傷んだり、劣化したシートが剥がれたりすると、防水機能が果たせなくなった部分から漏水する可能性があります。

そのため、まずは現状を確認してみましょう。

笠木の劣化

マンションやビルのバルコニーの腰壁上部、屋上パラペットには、躯体を保護するための仕上げ材「笠木(かさぎ)」が設置されています。笠木は複数の部材で構成されており、部材の金具や隙間から雨漏りすることがあります。

笠木部分からの雨漏りの原因を特定するのは難しいため、心配な場合は専門業者に調査してもらうのが良いでしょう。

パラペットの維ぎ目

長年メンテナンスをしていない物件では、パラペットから漏水しやすいです。

通常、パラペット部分には防水材が塗布されています。

防水材が露出しているため、剥がれやすく劣化しやすいため、定期的に保護層や防水材を塗り替えなければなりません。

外壁のひび割れ

マンションやビルの外壁からの漏水で最も多いのが、地震の揺れや経年劣化によるひび割れです。

コンクリートは、ひび割れしやすい性質があります。

ひび割れの原因のひとつは、雨上がりに水分が蒸発するときに起こる「乾燥収縮」です。

ほかにも、コンクリートを中性化があります。

空気中の炭酸ガスは、コンクリートの成分である二酸化カルシウムと徐々に反応して中和します。

炭酸化がコンクリート内部まで進むと、アルカリによって鉄筋が錆から守られなくなり、錆びた鉄筋が内部から膨張してひび割れを起こします。

原因が何であれ、適切な防水を行わなければ、ひび割れや継ぎ目から雨水が浸入する可能性が高いです。

雨水が浸入し、鉄骨が錆び、鉄骨の錆が膨張して内部から新たなひび割れが発生します。

結果、雨水が浸入し続けるという悪循環が続き、最悪の場合、耐震性にまで悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。

シーリングの劣化

建物の躯体同士の衝突を防ぐために目地と呼ばれる隙間が作られますが、目地部分にも防水材が使われています。

シーリング材と呼ばれる防水材ですが、経年劣化するため、漏水を防ぐためのメンテナンス工事が必要です。

ビル防水工事の施工箇所

ビルの防水工事では、どのような箇所を施工すべきなのでしょうか。

依頼時に迷わないよう、一般的な施工箇所を紹介します。

屋上・屋根

陸屋根は屋上として、または意匠性を重視して使用されます。

陸屋根とは、勾配のない平らな屋根のことです。

水が溜まらないように若干の勾配はありますが、一般的な三角屋根に比べると水捌けは良くありません。

そのため、水が溜まる可能性が高く、雨漏りのリスクも一般的な屋根より高いです。

ベランダ・バルコニー

ベランダやバルコニーの床は、一般的に四方を壁に囲まれています。

また、傾斜もほとんどありません。

さらに、室内は日当たりが悪く、一度水が溜まると乾きにくいという欠点があります。

バルコニーの面積が大きいほど、雨漏りのリスクは高くなるでしょう。

外壁

バルコニー下が屋内に直結していたり、屋根から雨漏りしていたりすると、屋内への雨漏り被害は避けられません。

雨漏りは土台となる木材の腐食に直結するため、長く放置しておくと解体工事など大掛かりな工事が必要になることもあります。

防水機能が失われる前に、防水工事を行うことが重要です。

防水工事の耐用年数は、どの工法を選択するのかによって異なります。

一般的には、10〜15年ごとに行うことが推奨されています。

サッシ周りなどのシーリング部分

シーリング工事とは、防水工事の一種で、外壁とサッシの隙間や建物の外壁材同士の継ぎ目など、雨水が浸入する可能性のある部分の防水性を確保するために行う工事です。施工時には、シーリング材というペースト状の材料を充填します。

ビルにおける屋上の種類

ビルの屋上の種類によって、防水工事の工法が異なります。

防水処理の工法によって費用も決まるので、まず所有されているビルの屋上の種類を確認しておきましょう。

歩行が可能な陸屋根

陸屋根とは、傾斜が強くないフラットなタイプの屋上を指します。

陸屋根は鉄骨造のビルやマンションに多くみられ、そのフラットな形状は歩行やエアコンの室外機、看板などの建築設備を設置することに適しています。

最近ではソーラーパネルの需要が増えて、ビルだけではなく新築住居にも陸屋根は多くみられます。

また、屋上のスペースの有効活用に向いているタイプの陸屋根は、人が歩行することで施されている防水層が破損しやすくなってしまうことから、防水層保護のための保護剤が必要になります。

歩行ができない陸屋根

屋上に設備などを設置しない陸屋根は、歩行ができない状態にしていることが多く、防水層の表面を保護する

必要はありません。

また、歩行を目的としない陸屋根は、防水層が保護されていないため、劣化の状況を容易に確認することが

できます。

勾配がついた屋根

陸屋根に比べ、勾配がついた屋根は傾斜があり、水はけがいい、という特徴があることから、防水工事を

おこなうサイクルは長く取ることが可能です。

防水工事のサイクルが長いものの、屋根材の破損を防ぐため、定期的な塗装工事が必要になりまります。

ビルの屋上に行う防水工事の種類・特徴

ビルの屋上の形状の特徴と、必要な施工を把握したうえで、次に防水工事の種類と特徴を知っていきましょう。

ビルの防水工事の工法は大きく分けて3つあります。

かぶせ(再生)工法

かぶせ工法とは、今ある既存の防水層で劣化した部分を撤去し、取り除いた部分に下地処理をしたあと、新たに防水層をかぶせて防水機能を再生させる工法です。

機械的固定工法

機会固定工法も、かぶせ工法の一種で、既存の防水層の下地に穴をあけて新しい防水層になるゴムや塩化ビニルでつくられたシートをビスなどで固定する方法です。

撤去工法

撤去工法とは、既存の防水層をすべて撤去し、新築時の下地に戻し、その上に新しい防水層を設置する工法です。

ビルの防水層を作る防水工事の種類・特徴

防水工事をおこなううえで、防水層の種類と、その特徴を知りましょう。

費用/㎡耐久年数
アスファルト防水6,000~8,000円20年程度
FRP防水6,000~8,000円10年程度
シート防水(ゴムシート)3,000~5,500円13年程度
シート防水(塩ビシート)3,000~5,500円13年程度
ウレタン防水5,500~7,500円12年程度
浸透性塗布防水4,000円前後15年程度
※料金は工事の内容や状況で大きく変動することがあります。

アスファルト防水

アスファルト防水は、ビルの屋上の防水工事にもっとも使用される施工法です。

アスファルト防水は、合成不織布シートにアスファルトを染み込ませたものを重ねて敷き詰め、重なった部分にもアスファルトを塗ることで防水効果を発揮させます。

日本で古くから使われてきた工法で、シートをルーフィングと呼び、アスファルトルーフィング工法ともいわれています。

アスファルト防水は、安定した防水効果が得られることが特徴で、人気な理由ですが、施工過程でアスファルトを熱で溶かすため、においが発生することも。

施工中は独特のきついにおいが漂うことになるので、近隣への配慮が必要ですね。

また、アスファルトは紫外線によって劣化しやすい特性をもつため、表面に保護剤を塗る必要があります。

アスファルト防水は、他の防水材に比べて費用が高くなるので、見積もりなどを依頼して予算と相談しましょう。

FRP防水

FRP防水とはエポキシ樹脂やフェノール樹脂などにガラス繊維や炭素繊維などの繊維を合成して強度を向上させた強化プラスチックのことをいいます。

FRP防水の主な特徴は以下の通りです。

  • 軽量
  • 耐食性・耐水性に優れている
  • 加工性に優れている

上記の特徴から、FRP防水は施工のスピードも速く、継ぎ目もないので下地への水の侵入を防ぎ、高い防水性を発揮し、見た目も美しく仕上がります。

しかし、FRP防水は基本素材がプラスチックなため、耐久性や伸縮性に劣ります。

長時間紫外線を浴びることで劣化が進み、防水層にひび割れが生じることも。

また、大きな地震や台風でビルが揺れた場合も同様にFRP層が割れてしまうという弱点があります。

これらの弱点を補うために、定期的なメンテナンスとトップコートの塗り替えが必要になります。

FRP防水は定期的なメンテナンスを行えば、仕上がりも美しく、効果的な防水施工だといえます。

シート防水

シート防水はゴム製や塩化ビニールのシートを専用の接着剤や機械固定工法などで敷き詰める防水工法です。

シート防水のメリットは、以下の通りです。

  • 前の防水工法がシート防水でなくても、上から施工できる
  • 耐久性に優れている
  • 工期が短い
  • 安価

シート防水は下地を選ばず、シートをそのまま被せる工法なので、前回の防水施工法に関係なく施工することができて、工期も短縮できます。

また、耐久性も他のものと比べ熱や紫外線に強く、最長で15年ほどの防水効果が得られます。

ゴム製、塩ビシートそれぞれの特徴をみてみましょう。

ゴムシート防水

ゴムシート防水とは、シート状の合成ゴムを敷き詰める施工法です。

塩ビシートに比べ、厚みが少ないので鳥がついばむことで破損してしまう恐れがあり、また耐用年数も10年から12年と短めです。

塩ビシート防水

塩ビシート防水は塩化ビニル樹脂をシート状にしたものを屋上などの下地に張り付ける工法です。

塩ビシートは、ゴムシートに比べ最長15年と、耐久性に優れ、シートも厚みがあり、破損の可能性も少ないという特徴があります。

シート防水は、広い面積を一度にムラなく施工できるというメリットがある半面、複雑な施工箇所には向いていないというデメリットがあります。

ウレタン防水

ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する工法です。

防水ウレタン塗装とも呼ばれ、以前は耐久性に劣るといわれることもありましたが、ウレタン樹脂について研究が行われています。

現在では、屋上など高い防水性が求められる場所にも使われるようになりました。

ウレタンは、弾力性と柔らかさが特徴で、耐摩耗性が高い素材です。

接着剤や車のタイヤ、スポンジなどにも使われています。

ウレタン防水は特にデメリットもないため、リフォーム工事の主流となっており、耐用年数は約10~12年です。

最近開発された材料では、5〜6年ごとにトップコートを塗り替える必要がないものもあります。

浸透性塗布防水

浸透性塗布防水とは、「浸透性コンクリート工法」とも呼ばれ、ケイ酸塩系の塗布防水材を下地コンクリートに直接塗布する工法です。

ケイ酸塩系の塗布防水材はコンクリートの微小な隙間に浸透して空隙を埋めるのでコンクリート自体が強化され、水の浸透を防ぎます。

最近施工実績が増えてきている工法で、定期メンテナンスが不要なことが人気の理由の一つです。

他の防水施工と違い、防水層をつくらないことが特徴で、表面はもちろん、内部の劣化防止にもなり得ます。

浸透性塗布防水は、定期メンテナンスの必要性がないので、ビルのライフサイクルコストの削減にもなるでしょう。

これまで、ビルの防水工事の施工法と、防水層について解説してきました。

次に、防水工事の選び方について、おさえておくべきポイントを紹介します。

ビルの外壁防水工事の種類

建物の外壁防水には主に4つの工法があります。

  • 防水塗装工事
  • 張り替え工事
  • 重ね貼り工事
  • シーリング打ち替え工事

それぞれの防水工事の詳細を紹介します。

防水塗装工事

ひび割れには弾性塗料を、塗膜の劣化を防ぐには低汚染の防水塗料を選びます。

弾性塗料は、力を加えると動き、力を取り除けば元に戻る素材です。

弾性塗料は、外壁が動くと塗膜そのものもが伸縮するため、ひび割れを防げることが特徴です。

加えて、作業性がよく、外壁にきれいに密着することで、カバー力により建物の防水性能を高められます。

さらに、弾性塗料は施工の際に厚く塗布し、仕上がった塗膜が厚い防水層を形成して、雨が外壁に当たらないよう防ぐことが特徴です。

外壁用低汚染塗料は、親水性が高く、セルフクリーニング機能により外壁に付着した汚れの除去が期待できる塗料です。

汚れに強いため塗膜の劣化を防ぎ、美観を保つことができるというメリットもあります。

張り替え工事

張り替え工事とは、元の外壁材を全て撤去し、新しい外壁材に張り替える工事です。

既存の外壁材を解体・撤去し、新しい外壁材を施工する工程があるため、単純な塗装工事よりも費用がかかります。

しかし、塗装だけでは家を守ることが難しい場合もあり、築30年以上の建物であれば張り替えた方が良い場合も多いです。

また、建物の印象を変えたいときは、張り替え工事を行う場合もあります。

重ね貼り工事

重ね張り工事とは、既存の外壁を残したまま、上に新しい外壁を貼り付ける工事です。

既存の外壁を撤去しなくてもよいため、外壁の張り替えと比較して安く済みます。

外壁の重量は増えるものの、遮音性や断熱性が高くなることが大きなメリットです。

シーリング打ち替え工事

シーリングとは、外壁ボードと建物のつなぎ目、サッシと外壁の隙間に充填して防水性や気密性を工場させることです。

紫外線によりシーリングが劣化すると、ひび割れや亀裂が生じ、サッシがズレるなど、雨漏りにつながることがあります。

そのため、サッシ周りのシーリング部も補修しなければなりません。

シーリングを補修する場合、既存のシーリングを完全に撤去して張り替える「張り替え」と、傷んだ部分のみを張り替える「増し打ち」のどちらか適切な方法を選択します。

ビルの防水工事にかかる費用

ビルの防水工事では、屋上工事にかかる費用、外壁工事にかかる費用をそれぞれ把握しておく必要があります。

ここでは、施工箇所別に費用目安を紹介します。

ビルの屋上防水工事の費用相場

価格は施工条件、施工面積などにより異なります。

防水工事の種類費用相場耐用年数
ウレタン防水通気緩衝工法(絶縁工法)約5,500~6,500円/㎡13~15年程度
ウレタン防水密着工法約4,500~5,500円/㎡2~5年程度
塩ビシート防水機械固定工法約5,500~7,500円/㎡15年~20年程度
塩ビシート防水密着工法約4,000~5,000円/㎡10年~15年程度
ゴムシート防水約4,000~5,000円/㎡10年~15年程度
改質アスファルトシート防水約4,500~7,000円/㎡15年~20年程度
FRP防水約5,000~7,000円/㎡10~15年程度

耐用年数が長い種類は、費用も高い傾向があります。

なお、防水工事だけでなく、屋根の補修やメンテナンスが必要なケースも少なくありません。

防水工事の費用は様々な要因によって異なるため、詳細な価格を比較したい場合は、専門業者に見積もりを依頼しましょう。

ビルの外壁防水工事の費用相場

建物の外壁防水工事を予算内で行うためには、各工事の費用を確認することが大切です。

そこで、工事別に費用相場を紹介します。

工事内容費用相場
防水塗装(単層弾性仕上げ)2,600~4,000円/㎡
防水塗装(多層弾性仕上げ)5,000~6,800円/㎡
ひび割れのコーキング2,500円/m
サイディングの張り替え14,000~円/㎡
外壁塗装3,500~円/㎡
コーキングの打ち替え950~1,200円/m

予算に余裕があれば、防水塗装工事に耐久性の高いトップコートを使用するのも効果的です。

また、サイディングの張り替えは費用がかかりますが、見違えるように美しく仕上がります。

ビルの防水工事を行うタイミング

防水工事のタイミングや周期は、防水工事の内容で異なりますが、基本的に10~15年に1度です。

ただし、10〜15年ごとに必ず工事を行う義務があるわけではなく、劣化状況に応じてタイミングを見極めることが大切です。

太陽光や雨風に長くさらされて劣化した建物は、次のような症状が見られることがあります。

  • 水たまりができる
  • ひび割れしている
  • 防水層の浮き

バルコニーや屋上などの工事を行う箇所は、常に雨風や紫外線にさらされており、経年劣化していきます。

劣化したまま防水工事をしないと、悪化して建物の耐用年数が非常に短くなることもあるため、劣化症状に気づいたら早急に防水工事を検討しましょう。

また、早期に劣化の兆候に気づけば、比較的簡単な防水工事で済む場合もあります。

防水工事の選び方

防水工事の施工法と、防水層の種類はビルの利用方法や状況によって選択します。

防水工事を選ぶために、押さえておくべきポイントは以下の通りです。

劣化状況に合わせて選ぶ

防水工事の施工方法などの選択ははビルの劣化状況によって変わります。

新築のビルの屋上にはどの施工方法も効果的で、施工が可能ですが、劣化が進んだビルの屋上への施工方法の選択肢は狭くなりがちです。

築年数が経ち、劣化が進んだ屋上の防水層には、アスファルトルーフィング工法が高い防水効果が得られるといえます。

主な劣化状況

ビルの屋上防水の主な劣化状況は下記の項目で確認ができます。

排水設備

ビルの屋上では雨水を逃すためにルーフドレンなどの設備が設置されていますが、このドレンが詰まりが原因で屋上の水の逃げ場がなくなり、屋内への漏水を招くことがあります。

防水シートの劣化

ビルの屋上は強い太陽光や雨風の影響を大きく受けやすく、防水層の劣化が進み、防水機能が失われてしまいます。

笠木の劣化

ビルの屋上のパラペット部分の水平の上部には笠木が設置されています。

笠木は、複数のパーツを組み合わせて取り付けているので、劣化が進むと、部材間の隙間、取付金具の隙間から漏水し、壁伝いに室内へ侵入する場合があります。

既存の防水層に合わせて選ぶ

ビルの改修工事をおこなう際に、屋上の防水工事を考えることが多いのですが、防水工事を選ぶには既存の防水層の施工法の確認が必要です。

既存の防水層の施工法の確認は、防水工事を請け負っている会社に相談することをおすすめします。

前回、どのような防水工事をおこなったか、防水工事のプロに相談し、今後の施工方法を決めましょう。

屋上の利用の仕方で選ぶ

ビルの屋上の利用方法によっても防水工事の種類は変わってきます。

人が歩くことを前提としている屋上、人が歩くことがない屋上では施工方法が変わってきます。

人がよく歩く屋上にはシート防水、人がほとんど歩かない屋上にはアスファルト防水が適しています。

防水工事を妨げる屋上の設置物

人がよく歩くことがある屋上には建築設備が設置されている場合があります。

どのような設置物が屋上防水工事の妨げになるのでしょうか。

設置物がある場合は別の場所に移動させたり、撤去する必要があります。

工事の打ち合わせの段階で、施工会社の方にどうすればよいのか、相談しましょう。

以下では屋上にある主な設置物の種類と、その対応について紹介していきます。

物干し設備

風がきついビルの屋上に設置されている物干し設備は、かなりの重さがあり、架台で固定されていることもあります。

防水工事をする際は、撤去が必要なこともあります。

太陽光発電・ソーラーパネル

ビルの屋上などに設置されている太陽光発電システムは、ソーラーパネルで効率よく光を集めるために、傾斜を設けている場合が多いです。

ソーラーパネル自体の重さは軽いのですが、斜めに設置するための架台が設置されているので、架台の移動や撤去が必要になることがあります。

また、架台がアンカーなどで固定されている場合は、その周辺の防水処理もしっかり行わなければいけません。

アンテナなどの受信機

アンテナなどの受信機は、手すりやビルの躯体に直接固定されている場合が多いです。

防水工事の際には一時的に移動が必要なこともあり、受信状況が悪くなることがあります。

水槽・タンク

水槽やタンクもビルの屋上に架台で固定されて設置されていることが多いです。

架台まわりの防水工事に配慮が必要です。

テラス・デッキ

屋上を有効活用するために、テラスやデッキ、または屋上庭園が設置されているビルの防水工事は、その下に防水処理を施す必要があるため、一時的な撤去や移設が必要です。

大型の看板

ビルの屋上に看板を設置している場合、その周辺への防水処理を検討する必要があります。

パイプ・配管シャフト

ビルの屋上に設置されたパイプ・配管シャフトにも気を配る必要があります。

パイプ・配管シャフト周りはスペースが狭い場合が多く、屋上防水とは異なる防水工法を検討しましょう。

物置や小屋

ビルの屋上に設置された物置や小屋はその大きさによって撤去、もしくは移動を検討しましょう。

古いものであれば、新しいものに変えるタイミングなのかもしれませんね。

防水工事業者の選び方

ビルの防水工事は、専門の業者に依頼する方法が有効です。

さまざまな工事を請け負う業者よりも、防水工事に特化したノウハウ、施工実績が豊富であるため、状況に合わせて適した工事を提案してもらえるでしょう。

ただし、なかには悪質な業者も存在します。

優良業者を見分けるために、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 工事の技術が高い
  • 入念な現地調査を実施
  • アフターサービスがある
  • 保証制度を明記している
  • 見積もりの内容がわかりやすい
  • 見積もり額が適正
  • 施工実績が豊富
  • 施工業者の口コミや評判

優良業者は施工実績が豊富で、保証やアフターサービスも充実しています。

また、見積もりの段階で内訳がかかれているか、適正価格であるかなどを確認しましょう。

防水工事の保証制度と保証期間

防水工事の保証は、「防水工事保証制度」によって定められています。

防水工事保証制度とは、下記3社が連合会を通じて防水工事を保証する制度です。

  • 元請会社
  • 防水層材料メーカー
  • 防水工事施工会社

保証期間は、3社が保証可能な期間を指します。

防水工事の保証期間は、一般的に改修工事で5年、新築工事で最長10年です。

ただし、建物の状態、工事内容によっては10年未満になるケースもあります。

ビルの防水工事にかかった費用の計上方法

防水工事にかかった費用の計上では、資本的支出、修繕費のどちらに該当するのかがポイントです。

資本的支出とは、ビルの資産価値を向上させる、寿命を延ばすなどの目的で行った工事にかかる費用を指します。

資本的支出と判断される工事には、防水機能を高めるための塗装工事も含まれています。

そのため、ビルの防水工事にかかった費用は資本的支出に該当するのです。

まとめ

ビルの防水工事は、雨漏りを防ぐ、美観を良くして入居率をアップさせるなど様々な効果が期待できます。

  • コンクリートがひび割れしやすいため定期的な防水工事が必要
  • ビルの防水工事にはいくつかの種類がある
  • 防水層の種類ごとにメリット・デメリットが異なる
  • 優良な防水工事専門の業者に依頼すべき

防水工事は、建物の寿命を延ばすことができる建物のメンテナンス方法です。

建物の屋根の形状や使用方法、既存の防水層を確認し、正しく防水工事を行うことで、建物内への水の侵入を防ぎ、建物の機能を維持できます。

防水工事に関する基礎知識を身につけ、費用や工法などの疑問点は専門業者に相談しましょう。

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