屋上・屋根防水工事修繕費の計上のやり方を知りたい人
屋上防水工事の修繕費の計上方法は?
屋上防水工事の費用は修繕費?資本的支出?
防水工事の勘定科目を知りたい!
屋上防水は減価償却できる?
屋根防水工事は資産計上できる?
屋上防水工事は固定資産から出せる?
防水工事を修繕費で計上するポイントは?
防水補修工事は修繕費で計上?
屋上防水工事は、建物の屋上部分を雨もりなどから守るための工事です。
屋上防水工事にかかる費用は、修繕費に勘定されています。
しかし、工事にかかる費用は、屋上全面を防水する場合で100万円を超えてしまいます。
一般的に、修繕費として計上できる金額は20万円未満とされていますが、屋上防水工事は修繕費に計上できるのでしょうか。
そんな疑問に対して、この記事は答えてくれるでしょう。
是非、参考にしてみてください。
目次
修繕費と資本的支出の違い
修繕費と資本的支出とは、具体的にどう違うのでしょうか。
修繕費と資本的支出の違いを以下の表にまとめました。
修繕費 | 資本的支出 | |
---|---|---|
定義 | 建物や設備などの資産を維持するために必要なメンテナンスや修理などの支出のこと | 資産の価値を向上させるために行う支出のこと |
計上期間 | その年の経費として全額を計上 | 耐用年数に応じて減価売却を行う |
修繕費、資本的支出それぞれの定義や、経費計上の期間などをふまえて解説していきます。
修繕費とは
修繕費とは、建物や設備などの資産を維持するために必要最低限のメンテナンスや修理などの支出を指します。
通常は、定期的に発生する支出で、建物や設備の機能や価値を保つために必要です。
例えば、工事にかかった費用が20万円未満の場合や、取得価額が前回の決算時の10%以下など、該当する条件のどちらか一つでも満たしていれば修繕費として見なされます。
資本的支出とは
資本的支出とは、資産の価値を向上させるために行う支出のことです。
いわゆる建物のグレードアップを図る工事にかかった費用を指します。
具体的には、新しい設備や機械の導入、建物の改築や増築、土地の取得などが該当します。
資本的支出は、長期的な効果が期待され、その効果が複数年にわたって現れるため、長期資産として扱われるのです。
資本的支出は、大規模な投資が必要になる場合があり、莫大な費用がかかることもあります。
修繕費と資本的支出の計上期間の違い
修繕費は、その年の経費として計上します。
資本的支出は耐用年数に応じて減価償却をしなければなりません。一度に全額を費用として計上するのではなく、複数年にわたって分割して費用を計上します。
例えば、施工した屋上防水の耐用年数が15年であった場合、工事したその日から15年間は毎年計上し続けなければならないのです。
屋上防水工事の勘定科目
屋上防水工事にかかった費用は、修繕費として経費計上ができる場合もあれば、資本的支出として経費計上する場合もあります。
修繕費または資本的支出の判断基準は防水工事の目的・規模・効果期間によります。
どちらのケースで計上しても最終的には節税につながりますが、資本的支出の場合は数年かけて減価売却を行い、少しずつ経費計上をしていく必要があるため、手間と時間がかかります。
ただ、屋上防水工事は、
- 雨漏りの原因である劣化部分を補修・修繕
- 建物の維持管理
- 防水層のメンテナンス
などの目的で行われるため、屋上防水工事の費用は「修繕費」としてみなされるケースが多いようです。
屋上防水費用を修繕費として計上するメリットは?
屋上防水費用を修繕費として計上するメリットは、次に3つが挙げられます。
- 税務上の優遇措置が受けられる
- 会計処理が比較的簡単
- 財務諸表の信頼性が高められる
それぞれのメリットについて、下記で解説していきます。
税務上の優遇措置が受けられる
修繕費はその年の経費として計上されるため、会社の所得税や法人税を減額することが可能です。
また、消費税も請求できます。
会計処理が比較的簡単
修繕費はその年の経費として計上されるため、会計処理が比較的簡単です。
一方、資本的支出は減価償却費の計算などが必要なので、複雑な会計処理が必要となります。
財務諸表の信頼性が高められる
修繕費を修繕費として計上することで、財務諸表の信頼性を高めることができます。
資本的支出を修繕費として計上することは、会計上の不正行為につながる場合があるので注意が必要です。
屋上防水工事費用の判断ポイント
屋上防水工事費用が修繕費と資本的支出のどちらに該当するかは、以下のポイントを踏まえて判断されます。
屋上防水工事の目的
屋上防水工事が、建物や設備の通常の維持管理や修繕を目的として行われる場合は修繕費として計上されます。
一方、建物や設備の価値を向上させるために行われる場合は資本的支出として計上されます。
屋上防水工事の規模
修繕費は、通常は比較的小規模な支出が多いです。
一方、資本的支出は大規模な支出が多いです。
屋上防水工事が大規模なものであれば、資本的支出として計上される可能性が高くなります。
屋上防水工事の効果の期間
資本的支出は、その効果が複数年にわたって現れるため、長期的な効果が期待されます。
一方、修繕費は、その年の経費として計上され、短期的な効果が期待されます。
以上のポイントを踏まえて、屋上防水工事費用が修繕費と資本的支出のどちらに該当するかを判断しましょう。
屋上防水工事費用が修繕費として見なされるケース
屋上防水工事費用が修繕費として見なされるケースは、維持管理のための支出であるか、期間的な条件が満たされる場合です。
国税庁の「第8節 資本的支出と修繕費」では、修繕費としてみなす条件を以下のように定めています。
- 維持管理または原状回復を目的とした工事
- 工事費用が20万円未満または60万円未満
- 工事周期が3年未満
- 取得価額が前回の決算時の10%以下
ここでいう取得価額とは、購入時にかかった建物の本体価格と、法人税や所得税などの費用を合算した金額を指します。
屋上防水以外にも、修繕費として計上できる一般的な例を挙げていきます。
- 壁や床の傷や剥がれ、ひび割れの修復
- 水漏れや配管の修理
- 外壁塗装(建物の保護や外観の維持に関わるため)
- 照明やコンセントなどの電気設備の修理
- エアコンや暖房機器のメンテナンス・修理
屋上防水工事費用が資本的支出にあたるケース
屋上防水工事費用が資本的支出にあたるケースは、屋上防水工事が建物の価値を増加させる改善や改修を目的として行われる場合が該当します。
- 当初予測されていた使用可能期間を延長させる支出
- 固定資産の取得時の価額を増加させる支出
このどちらかの条件を満たす場合は資本的支出となり、固定資産として計上することになります。
また、屋上防水工事が建物の使用可能期間を延長する効果が期待される場合、その費用は資本的支出として扱われる可能性が高いです。
例えば、新しい防水層を設置することによって、建物の耐久性や機能を向上させ、将来の修繕費用を削減する効果がある場合などが該当します。
屋上防水工事以外で、資本的支出となる一般的な具体例は以下の通りです。
- 新築や増築工事
- 内装の全面的な改修や設備の大幅なアップグレードなど、大規模な改修・改装
- 長期耐用資産(機械、設備、車両など)の取得
- 駐車場の拡張や屋根の改修など土地や建物の改善
- 不動産のリース料など長期リース契約の締結
大規模修繕費は修繕費と資本的支出のどちらになる?
屋上防水工事や外壁塗装など、大規模修繕費が修繕費と資本的支出のどちらになるかは、実質的な維持管理か価値の増加かによって変わります。
実質的な維持管理
大規模修繕費が建物や設備の通常の維持管理や修繕を目的として行われる場合、その費用は修繕費として見なされることがあります。
例えば、老朽化した部分の修復や補修、通常のメンテナンスなどが該当します。
今後行われる大規模修繕が、どの部分の工事であるか把握しておくことが重要です。
価値の増加
大規模修繕費が建物や設備の価値を増加させるために行われる場合、その費用は資本的支出として扱われることがあります。
例えば、建物の改築や増築、設備のアップグレードなどが該当します。
具体的にどのような工事が行われるのか、事前に知っておくことが大切です。
まとめ
ここまで、屋上防水工事費用が修繕費と資本的支出のどちらになるか、判断するポイントについて解説してきました。
以下はこの記事のまとめです。
- 修繕費とは、建物や設備などの資産を維持するために必要最低限のメンテナンスや修理などの支出こと
- 資本的支出とは、資産の価値を向上させるために行う支出のこと
- 修繕費はその年の経費として計上し、資本的支出は耐用年数に応じて減価償却をしなければならない
- 屋上防水工事に限らず、防水工事にかかった費用は、修繕費として経費計上ができる場合もあれば、資本的支出として経費計上する場合もあり、その判断基準は防水工事の目的・規模・効果期間よる
- 屋上防水工事の費用を修繕費として計上するメリットは、税務上の優遇措置を受けることができ、なおかつ会計処理が比較的簡単で、財務諸表の信頼性が高められる
- 修繕費としてみなす条件は国税庁の「第8節 資本的支出と修繕費」で定められている
屋上防水工事の費用は、修繕費と資本的支出のどちらに該当するかは、工事の目的や、計上する期間などによって判断されます。
ただし、具体的なケースによって異なる可能性があるため、会計基準や税法上の規定を確認することが重要です。
どうしても判断がつかない場合は、専門家の助言を受けることで正確な判断を行うことができるでしょう。