
区分所有法の視点から考える大規模修繕工事の決議フローとポイント
2025/07/24
マンションの共用部分における大規模修繕工事は、建物の資産価値や安全性を守るために欠かせません。
しかし、区分所有者が多数存在するため、単に工事を進めるだけではなく、法律である「区分所有法」に基づいた適切な決議手続きを踏む必要があります。
この記事では、普通決議と特別決議の違い・総会の種類や決議フローなど、理事や管理組合の担当者が押さえておくべき決議のポイントをわかりやすく解説します。
これから大規模修繕工事を計画している方は参考にしてみてください。
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目次
区分所有法とは?大規模修繕に関係する決議要件
「区分所有法」とは、マンションなどの区分所有建物において、複数の所有者が専有部分と共用部分をどのように管理していくかを定めた法律です。
この法律は、マンションの管理運営の基本となるだけでなく、大規模修繕工事を含む重要な意思決定にも大きく関与しています。
特に注目すべきなのが「決議要件」です。
これは、共用部分に関する意思決定を行う際に、どれだけの賛成が必要かを定めたもので、普通決議と特別決議の2種類に分かれます。
普通決議とは
区分所有法における普通決議は、マンションの管理や修繕で日常的に使われる決議方法です。
普通決議が成立するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 区分所有者の過半数の承認:総所有者の1/2以上の承認が必要です。
- 最低限の出席数:普通決議は、区分所有者の1/2以上の出席が求められる。
普通決議は、管理組合の運営において頻繁に利用されるため、区分所有者としても理解しておくことが大切です。
これに対して、より重要な決定は特別決議が必要となるため、両者の違いも押さえておきましょう。
特別決議とは
区分所有法における特別決議は、マンションの大規模修繕や重要な変更を行う際に必要な決議方法です。
普通決議よりも厳しい条件が課されており、慎重な判断が求められます。
特別決議が成立するためには、以下の条件を満たさなければなりません。
- 区分所有者の4分の3以上の賛成:所有者の4分の3以上の賛成が必要です。
- 議決権の4分の3以上の賛成:議決権の合計として4分の3以上の賛成も求められます。
この高いハードルは、建物や住民に大きな影響を与える決定を慎重に進めるためのものです。
大規模修繕における普通決議と特別決議はどちらが必要?
大規模修繕工事を行う際には、「普通決議」か「特別決議」のいずれかの方法で意思決定がなされます。
どちらの決議が必要となるかは、工事の内容や建物の機能に対する影響度によって異なります。
ここでは、その判断基準を明確にするために、代表的なケースを表にまとめて比較しながら解説します。
普通決議で実施できる工事とは
「普通決議」は、区分所有者および議決権の過半数(50%以上)の賛成で成立します。
主に建物の原状回復や維持管理を目的とした修繕工事が対象となります。以下のような工事が該当します。
主な工事内容 | 解説 |
---|---|
外壁の補修・塗装 | 劣化やひび割れの修復、美観維持のための再塗装など |
屋上防水の更新 | 雨漏りを防止するための防水シートや塗膜の補修・交換 |
配管・電気設備の交換 | 老朽化した給排水管や照明設備などの更新 |
タイルの貼り替え | 剥がれや破損への対応、現状と同様の仕上がりでの修繕 |
これらは、現状の性能や機能を保つための修繕であり、新たな設備の導入や大きな機能変更を伴わないため、比較的緩やかな要件で決議が可能です。
特別決議が必要となるケース
一方、「特別決議」は、区分所有者および議決権の4分の3以上(75%以上)の賛成が必要です。
これは、工事内容が単なる修繕の範囲を超えて、建物の用途や構造、価値に大きな変更を加える場合に適用されます。
次のような工事が対象です。
主な工事内容 | 解説 |
---|---|
エレベーターの新設・増設 | 現在ない設備の追加や台数の増加は新たな共用要素の導入と見なされる |
共用部分の用途変更 | 例:集会室をテナントスペースに改修するなど、使用目的が変わる場合 |
大規模な外観のデザイン変更 | 建物の景観や印象を大きく変える改修(外装材の全面変更など) |
建物のグレードアップ・構造変更 | 高断熱仕様への改修や耐震補強など、元の機能を超える付加価値の追加 |
このような変更は、他の区分所有者の生活や資産価値に直接影響を及ぼすため、より高い同意率が求められます。
決議要件の選定ミスを防ぐために
修繕計画を立てる段階で、「その工事が建物の現状維持か、機能向上・用途変更か」という観点で判断することが重要です。
誤って普通決議で進めてしまうと、後になって無効とされ、計画が頓挫するリスクもあります。
設計監理者や管理会社と連携し、区分所有法に基づいた正しい決議フローを踏むことが、スムーズな大規模修繕の第一歩です。
判断に迷う場合のチェックポイント
- 管理規約に決議の要件が記載されているか
- 工事の規模や費用はどの程度か
- 修繕が機能変化や用途変更を伴うかどうか
大規模修繕工事と決議要件の関係
大規模修繕工事は、建物の資産価値維持や安全性確保のために定期的に行われる必要がありますが、その実施には区分所有者全体の合意が不可欠です。
特に以下のようなケースでは、特別決議が求められる可能性が高くなります。
- 既存の仕様から大きく変更するリノベーション要素を含む工事
- 将来の維持管理を見据えた新たな設備の導入
- 予算が大きく、修繕積立金の補填や借入を伴う工事
そのため理事会や修繕委員会は、事前に工事内容とその法的な決議要件を正確に把握し、区分所有者への丁寧な説明と合意形成の準備を行うことが非常に重要です。
大規模修繕を行うにあたって行われる総会の種類と決議フローについて
マンションの意思決定の中心となるのが「総会」です。
総会は主に2種類あり、開催目的やタイミングが異なります。
通常総会
通常総会は、原則として年1回開催されます。
この場では、管理組合の年間予算や決算の報告・承認が行われるほか、長期修繕計画の見直しや大規模修繕工事の実施案を提案することができます。
特に、修繕積立金の増額や修繕スケジュールの見直しといった重要議題は、通常総会の正式な場で議論されるのが一般的です。
臨時総会
臨時総会は、緊急の修繕工事が必要になった場合や、工事費が当初予算を大きく上回る場合など、通常総会を待たずに早急な判断が求められる際に開催されます。
理事会や管理会社、設計監理者などからの提案に基づき、必要に応じて随時招集されるため、迅速な意思決定が可能です。
決議の流れ
総会での議案を正式に決議するまでには、以下のようなステップを踏んで進められます。
それぞれの段階で丁寧な対応を心がけることが、区分所有者の理解と合意形成につながります。
ステップ1. 総会通知の発送
総会開催の1〜2週間前までに、開催日時、場所、議題を記載した「総会通知」を全区分所有者に送付します。
この通知は、法的に義務づけられた手続きであり、区分所有者に対して正確かつ公平な情報提供を行うための第一歩です。
ステップ2. 説明資料の配布
通知とは別に、議題に関する具体的な説明資料を用意します。
たとえば、修繕工事に関する内容であれば、長期修繕計画の概要、工事範囲や内容、工事費用の内訳、スケジュール案などを分かりやすくまとめた資料を事前に配布し、理解促進を図ります。
閲覧方法を掲示や回覧板などで周知することも重要です。
ステップ3. 質疑応答
総会当日は、議題の説明に続いて質疑応答の時間を設けます。
区分所有者からの疑問や懸念に対しては、誠実かつ丁寧に答えることが信頼関係の構築につながります。
技術的な内容や費用の根拠など、専門的な質問には、必要に応じて設計監理者や施工業者の同席を依頼することも有効です。
ステップ4. 議決
議案の説明と質疑応答が終わった後、実際の「議決」に移ります。
議決には、「普通決議」と「特別決議」の2種類があり、議題の内容によって必要な賛成割合が異なります。
たとえば、大規模修繕における工事実施の可否などは特別決議となる場合があり、総会に出席した人だけでなく、委任状や書面議決も含めた総有効票の3/4以上の賛成が必要です。
大規模修繕工事で修繕委員会を設けるメリット
大規模修繕工事を円滑かつ効果的に進めるためには、理事会とは別に「修繕委員会」を設置することが有効です。
これは、専門的な視点と住民目線の両方を活かして意思決定を行う体制であり、マンション管理において近年特に重要視されています。
理事会の負担軽減
修繕委員会を設けることで、理事会は日常業務と並行して進行する大規模修繕工事にすべて対応する必要がなくなります。
専門知識や関心を持つ住民が委員となることで、意思決定のスピードや質も向上し、理事会の業務負担を大きく軽減することができます。
長期的・継続的対応が可能
理事は通常1~2年の任期で交代しますが、修繕委員会は数年間の中長期スパンで活動することが可能です。
そのため、修繕計画の立案、施工業者の選定、工事監理、完成後のアフターフォローまで、一貫して対応できる体制が整います。
これにより、工事の質の確保と進行管理の継続性が確保されます。
居住者目線を反映しやすい
修繕委員には住民が参加するため、現場のリアルなニーズや声を計画に反映させやすくなります。
例えば「騒音への配慮」「高齢者に配慮したバリアフリー対応」「子育て世代の生活動線に影響しない工程管理」など、居住者の視点に立った提案や改善が実現しやすくなります。
これにより、住民の理解と協力も得やすくなり、全体として工事がスムーズに進む要因となります。
このように、修繕委員会の設置は単なる組織上の工夫にとどまらず、工事の質と住民満足度を両立させる重要な取り組みです。
居住者から大規模修繕への理解を得るための具体施策
大規模修繕工事は、建物全体の資産価値を維持・向上させるために必要不可欠な取り組みですが、住民の協力と理解が得られなければ、スケジュールの遅延やトラブルの原因になりかねません。
そのため、工事の計画段階から居住者への情報提供と意見交換を積極的に行うことが重要です。以下に、合意形成をスムーズに進めるための具体策を紹介します。
アンケートによる意識調査
計画初期にアンケートを実施することで、住民が大規模修繕に対してどのような関心や不安を抱いているかを把握できます。
以下のような工夫が有効です。
- 選択式+自由記述の併用:気になる工事項目(外壁、屋上、防水など)や、工事時期・騒音への懸念など、具体的なニーズを収集できます。
- 匿名性の確保:率直な意見を集めるため、無記名での実施が効果的です。
- 集計結果の共有:後日アンケートの集計を住民と共有することで、「声が反映されている」という安心感につながります。
住民説明会の開催
住民全体に工事の必要性や内容を正しく理解してもらうには、説明会の開催が欠かせません。
以下のような工夫を取り入れると、参加者の納得度が高まります。
- 資料を使ったわかりやすい説明:専門用語を避け、図表や写真を使った視覚的な資料を用意しましょう。
- 質疑応答の時間を十分に確保:一方的な説明に終始せず、住民の疑問や反対意見にも真摯に対応する姿勢を見せることが信頼感につながります。
- 平日夜や土日の開催:仕事などで日中参加できない方への配慮も忘れずに。
資料の配布と掲示
説明会に出席できなかった住民や、情報をじっくり確認したい人のために、文書での周知も重要です。
- 議案書・説明資料の配布:ポストへの配布や郵送で、全戸へ確実に届けます。
- 掲示板での周知:エントランスやエレベーター前など、目に留まりやすい場所への掲示が効果的です。
- 反復的な案内:一度の配布や掲示でなく、期間をあけて繰り返し行うことで、情報の定着を図れます。
個別相談・意見交換の機会
集団の場では発言しにくい人や、高齢者・障害のある方など、個別対応が必要な住民もいます。
そうした方々へのフォローを怠らないことで、組合全体の結束力を高められます。
- 個別相談窓口の設置:管理室や特定日時の窓口開設など、気軽に相談できる体制をつくります。
- 修繕委員の訪問対応:必要に応じて住戸訪問も検討し、丁寧な対話を心がけます。
- 情報共有と対応記録の保管:相談内容は記録として残し、今後の計画修正にも役立てましょう。
大規模修繕のトラブルを防ぐためのポイント
大規模修繕工事は建物の資産価値を維持し、快適な住環境を保つために欠かせない取り組みですが、計画から実施に至る過程で、住民間の認識の違いや情報不足によるトラブルが生じることがあります。
こうした事態を防ぐためには、初期段階からの丁寧な情報共有と、住民の理解と協力を得るための仕組みづくりが重要です。
以下のような対策を講じることで、円滑な合意形成と工事の進行が実現できます。
修繕委員会の設置と運営
大規模修繕に関する意思決定は、専門的な知見と住民の声の両方を取り入れる必要があります。
そのため、管理組合とは別に、修繕委員会を設置することが推奨されます。
修繕委員会は、住民の中から選出された有志が中心となり、管理会社や設計監理者と連携しながら計画や工法の検討を行います。
これにより、理事会だけではカバーしきれない専門的判断やきめ細かい対応が可能となり、全体の公平性や透明性の確保にもつながります。
また、住民代表が修繕委員として参加することで、工事に対する住民の関心も高まり、理解・納得の土台が築かれやすくなります。
情報共有の徹底
トラブルの多くは、情報が届いていない、または内容を誤解していることが原因で発生します。
そのため、計画段階から「こまめな情報発信」が重要です。
総会や説明会では、資料を事前に配布し、図や表を用いたわかりやすいプレゼンを行いましょう。
説明会では質疑応答の時間を十分に設け、住民の疑問に丁寧に答えることが大切です。
また、ポスターや掲示板での進捗報告を定期的に行い、工事の内容やスケジュールの可視化を図り、不在世帯にも配慮して、オンライン配信や録画視聴の環境を整えるのもよいでしょう。
このように、双方向のコミュニケーションを心がけることで、情報の行き違いや誤解を未然に防ぐことができます。
将来的な計画の見える化
現在の工事に関する情報だけでなく、将来的な修繕計画や資金の見通しも住民に示すことが、安心感と信頼につながります。
長期修繕計画書は、定期的な見直しとともに、工事の背景や目的、今後の課題も記載した内容にアップデートしていくとよいでしょう。
また、修繕積立金の今後の推移や、必要となる金額の根拠を提示することで、住民が経済的な不安を抱えることなく協力しやすい環境をつくれます。
新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事
東京都内にある13階建てワンオーナーマンションにて、新東亜工業が実施した大規模修繕工事の事例をご紹介します。外壁タイルやシーリング、屋上防水など複数の劣化箇所を総合的に改修し、建物の資産価値を回復しました。
工事概要【工事金額・期間】

工事金額:6,098万円/工期:約5か月間(足場設置〜引き渡しまで)
屋上防水・外壁タイル補修・シーリング打ち替えを中心に、建物全体をバランスよく修繕。
建物全体にわたる一貫した施工により、見た目と性能の両立を実現しました。
建物の劣化とオーナー様のご相談内容
長年手を入れていなかったマンションの修繕を検討し始めたオーナー様から、初回のご相談をいただいたのがスタートでした。
相談のきっかけ
築20年以上が経過し、目視でも劣化が感じられるように。最初は「少し気になる」という段階でしたが、調査を通じて複数の問題が明らかになっていきます。
オーナー様「タイルの剥がれや屋上の汚れが気になっていて…」
担当者「まずは図面を拝見して、現地調査で状態を見ていきましょう」
調査で明らかになった劣化状況
現地での打診調査や目視検査によって、建物の各所に進行した劣化が確認されました。オーナー様も驚かれるほどの症状が浮き彫りに。
屋上防水の劣化
既存の通気緩衝工法によるウレタン防水は、広範囲に劣化や膨れが生じていました。
オーナー様「花火の時期には屋上に上るんです。きれいになると嬉しいな」
現地調査員「眺望も大事ですね。美観にも配慮して施工いたします」
外壁タイルの浮き・剥離
浮きタイルが多数見つかり、剥離の危険性も。劣化の進行度に応じて、張替えと樹脂注入を使い分けました。
担当者「打診調査で見えない内部の浮きも確認しました。対応が必要です」
シーリングの硬化不良
シーリング材は硬化しきって弾性を失い、手作業での撤去が必要なほどでした。
現場職人「カッターが入らないくらい硬くなってます。全部打ち替えですね」
オーナー様「そこまで傷んでたとは…早めにお願いしてよかったです」
工事の流れと透明な対応
調査結果をもとに明確な見積書と診断書を作成。オーナー様に工程を丁寧に説明し、工事中も報告を徹底しました。
診断報告と見積提示
写真付きの診断報告書と、内訳を明記した見積書を提出。工事内容をわかりやすく共有しました。
オーナー様「写真があると素人でもわかりやすいですね」
担当者「透明性を重視していますので、何でもご質問ください」
工事の実施(足場~防水まで)
工程は足場設置から高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、屋上防水まで。報告写真とともに進捗共有を行いました。
担当者「毎週の報告で進捗をご確認いただけます」
オーナー様「離れてても工事の様子がわかって安心できました」
工事完了後のオーナー様の声
見た目だけでなく機能性も向上した建物に、オーナー様からは満足の声が寄せられました。
オーナー様「すっかりきれいになりましたね。やってよかったです」
担当者「大切な資産を守るお手伝いができて光栄です」
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区分所有法や大規模修繕工事に関するよくある質問(FAQ)
大規模修繕工事は、多くの区分所有者が関わるため、疑問や不安を感じることも少なくありません。
よく寄せられる質問にわかりやすくお答えします。
Q1. 大規模修繕工事の決議に参加できない場合、代理人を立てることはできますか?
A1. はい、区分所有者が総会に出席できない場合は、代理人を立てて議決権を行使することが可能です。
代理人には委任状が必要であり、詳しい手続きは管理規約を確認しましょう。
Q2. 大規模修繕工事は何年ごとに行うべきですか?
→ 一般的には12~15年周期で行うことが推奨されていますが、建物の劣化状況や使用状況により異なります。
長期修繕計画に基づく見直しが重要です。
Q3. 特別決議と普通決議の違いとは?
→ 普通決議は「区分所有者および議決権の過半数」、特別決議は「4分の3以上の賛成」が必要です。
工事の内容や影響度によって使い分けられます。
Q4 修繕委員会は必ず設置しなければなりませんか?
→ 義務ではありませんが、合意形成や情報整理の面で非常に有効です。
管理組合の負担軽減にもつながります。
Q5. 大規模修繕工事の業者はどう選べばよい?
→ 価格だけでなく、実績・保証内容・設計監理方式の有無を確認しましょう。
複数社から相見積もりを取り、比較検討することが重要です。
区分所有法に基づいた決議で大規模修繕工事を成功させよう|まとめ
マンションの大規模修繕工事を円滑に進めるためには、区分所有法に基づいた適切な決議が不可欠です。
工事の規模や内容に応じて普通決議と特別決議を使い分けることが求められ、総会の種類や決議の流れを正しく理解し、適切に運営することが成功の鍵となります。
また、理事会の負担軽減や住民の意見を反映するために修繕委員会を設置し、専門的かつ継続的に工事の計画や進捗管理を行うことが重要です。
住民の理解と協力を得るためには、アンケートや説明会、資料配布、個別相談といった多角的な情報共有の場を設け、丁寧にコミュニケーションを図ることが欠かせません。
さらに、トラブル防止には透明性の高い運営と質疑応答の充実、定期的な進捗報告など、住民への継続的な情報発信が有効です。
将来的な修繕計画や資金計画の見える化を進めることで、住民に安心感を提供し、長期的な修繕体制の安定にもつながります。
これらのポイントを押さえて計画的に進めることで、全ての区分所有者が納得し、快適で安全な住環境を維持できる大規模修繕工事の実現が期待できます。