屋上防水の耐用年数を知りたい人
屋上防水ってどのくらいの耐用年数なの?
ビルやマンションでメンテナンスが必要な時期は?
こんな疑問をお持ちのかたは多いようです。
そこでこの記事では、屋上防水の耐用年数を高める方法について見ていきます。
記事の後半では優良業者の選び方についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
屋上防水と建物の劣化の関係
ビル・マンションの耐用年数は47年と言われることが多いですが、これは減価償却における耐用年数で、実際、適切なメンテナンスを行うことで、その年数をはるかに超えて建物の資産価値・耐用年数を維持できる、とされています。
ビル・マンションなどの建物が劣化する原因は、雨や紫外線によるコンクリートや鉄筋などへの影響が大きいです。そのうちのひとつである雨の影響を最小限に抑える手段が防水工事です。
ビル・マンションの防水工事といえば、屋上防水・外壁塗装です。特に屋上防水の耐久性を高めると、建物の資産価値の維持に大きな効果をもたらします。
なぜなら、屋上から建物内への水の侵入の確率は高く、漏水が発生すると直接建物の劣化につながるからです。
ビル・マンションは鉄筋コンクリート造で強いイメージですが、その内部に水が侵入すると、鉄筋を錆びさせ、ビルの躯体そのものの耐震性を弱らせます。
また、ビル・マンションの屋上は平らな作りが多く、雨水が溜まりやすいことも漏水を懸念する材料のひとつです。
ビル・マンションの耐用年数を維持するためには、屋上防水は欠かせないメンテナンス工事です。
ビル・マンションが雨漏りを起こす原因
ビル・マンションが雨漏りを起こす原因を一つずつ確認していきましょう。雨水は意外な場所から侵入し、建物を劣化させていきます。
コンクリート・防水層の劣化
ビル・マンションは、鉄骨をコンクリートで覆ってできていて、コンクリートの表面に屋上であれば防水層、外壁であればタイル、モルタル、塗装などで紫外線や雨風から守っています。
空気中の炭酸ガスはアルカリ性であるコンクリートを徐々に中性化させるため、経年によってコンクリートの表面は雨水を浸透しやすくします。また、コンクリートは湿気や乾燥、温度差によって日々収縮しています。
コンクリートの収縮はひび割れを起こし、そこから雨水が侵入し、鉄骨にたどり着くと錆びを引き起こすことも考えられます。
さらに、コンクリートの表面にある防水層も経年により劣化していくので、コンクリートへの水の浸透が進むことが考えられます。
防水層の劣化の原因は、主に紫外線や雨水の滞留ですが、メンテナンス次第では劣化を遅らせることが可能です。
排水溝(ルーフドレン)のつまり・破損
排水溝(ルーフドレン)のつまり・破損も雨漏りの原因のひとつです。屋上にとって排水は雨水を滞留させないためにも、とても重要です。
しかし、屋上の排水溝(ルーフドレン)には落ち葉やゴミが溜まりやすく、強い雨が降った時など、雨水の排出がうまくいかないと、屋上には一気に大量の雨水が滞留してしまうことが考えられます。
特に屋上は人の目が届きにくいので、排水溝のごみのつまりや、破損には気を付けておかなければいけませんね。屋上の排水溝は、意識したメンテナンスが重要です。
パラペットの劣化
屋上の外周には、パラペットというコンクリートで出来た構造物が設置されています。
パラペットも、外壁と同様コンクリートで出来ていて、日々、強い紫外線や雨の影響を受けているため、劣化していきます。
パラペットの主な劣化の症状は、ひび割れ、立ち上がり部のシーリングの劣化で、劣化した箇所から雨水の侵入が考えられます。
パラペットに雨水が侵入すると、外壁内部を伝って建物内へ漏水することが考えられます。したがって、パラペットにも外壁と同様にメンテナンスが必要です。
笠木の劣化
笠木とは、パラペットの上部に設置されている手すり部分で、金属素材や、コンクリートやモルタルで出来ていて、パラペットの劣化を防ぐ重要な役割を担っています。
そんな笠木は、継ぎ目の接合部分が強風でめくれたり、シーリングの劣化で、笠木の内部に雨水が侵入し、下に設置されている防水シートを破損させてしまいます。
笠木の劣化はパラペットへの雨水の侵入を許すことに直接つながります。パラペットに取り付けられた笠木のメンテナンスも、建物を守る上で重要です。
屋上防水の必要性
雨水は建物を劣化させる大きな原因です。
屋上が平らな陸屋根になっているマンションやビルは特に水はけが悪く、何らかの防水対策をとらなくてはなりません。
コンクリート造の建物は、経年劣化や自然災害などで徐々にひび割れていきます。
そのひび割れから水が入り込み、雨漏りやカビ、鉄骨の錆びの原因になってしまいます。
そんな時に屋上をしっかりと防水することで、建物の寿命を延ばすことが可能です。
屋上防水の耐用年数|種類別
屋上防水の耐用年数は、防水工事の種類によって異なります。
詳しくは以下を参照してみましょう。
ウレタン防水 | シート防水 | アスファルト防水 | FRP防水 | |
耐用年数 | 12年前後 | 10~15年 | 15~25年 | 10年前後 |
ただし上記はあくまでも目安です。
メンテナンスの状況や施工品質によって、耐用年数は長くなったり短くなったりします。
屋上防水の費用相場
屋上防水の費用相場は次のとおりです。
ウレタン防水 | シート防水 | アスファルト防水 | FRP防水 | |
費用相場 | 3,000~7,500円/㎡ | 4,000~8,000円/㎡ | 5,000~8,500円/㎡ | 5,000~7,000円/㎡ |
シート防水やウレタン防水がリーズナブルで、アスファルト防水やFRP防水は割高です。
もちろん、それぞれの工法にはメリットやデメリットがあるので、施工箇所や予算に合わせて選びましょう。
防水工事のメリット・デメリット|種類別
防水工事には、種類別にさまざまなメリットやデメリットがあります。
ウレタン防水
ウレタン防水は、ウレタン塗料を塗って防水する方法です。
メリット
- 比較的安価
- 継ぎ目のない仕上がりになる
- 複雑な形状の箇所にも施工できる
- 廃材が出ないので環境に優しい
デメリット
- 職人の腕で仕上がりに差が出る
- 工期が3~10日と長め
シート防水
シート防水は、塩化ビニールや合成ゴムでできたシートを貼付けて防水する工法です。
メリット
- 安価で施工できる
- 施工期間が短い
デメリット
- 傷に弱い
- 複雑な形状の箇所に施工できない
アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトでコーティングした合成繊維不織布(ルーフィング)を貼付けて防水する工法です。
メリット
- 耐久性が高い
- 防水性が高い
- 耐用年数が長い
デメリット
- 施工中に煙や臭いが出る(熱工法の場合)
- 重量が重い
- 工期が長い
FRP防水
FRP防水は、ガラスマットの上にポリエステル樹脂を塗って硬化させる工法です。
メリット
- 複雑な形状の箇所に施工できる
- 仕上がりが美しい
- 工期が短い
デメリット
- 広い場所に施工するとひび割れやすい
- 施工費用が高い
防水工事の耐用年数を延ばす方法
以下のような対策をとると、防水工事の耐用年数が延びやすくなります。
早めに補修する
防水層が劣化してくると、その箇所から徐々に劣化が広がっていきます。
劣化が少ないうちに補修しておけば、建物の寿命が延びやすくなるでしょう。
トップコートを塗り替える
トップコートを塗り替えるメンテナンスも大切です。
トップコートは徐々に変色したり、ひび割れたりしてきます。
5年前後で塗り替えるのがおすすめですよ。
台風が通過した後に点検する
台風により防水層がダメージを受けることが多いです。
台風が通過して天気が回復したら、屋上を確認してみましょう。
大き目の地震があった後も、点検しておくと安心です。
ルーフドレンを掃除する
排水の役割を果たすルーフドレンにゴミや落ち葉が詰まっていると、屋上に水がたまり雨漏りの原因になります。
できれば2週間~1か月に1回、少なくとも3か月に1回はルーフドレンを掃除するのがおすすめです。
優良業者を選ぶコツ
防水工事の優良業者を選ぶことができれば、適正価格でクオリティの高い施工をしてもらえます。
ここでは優良業者を選ぶコツをご紹介していきます。
相見積もりを取る
1社だけから見積もりを取るのでは、費用が高いのか安いのか、施工内容が適切かどうか、といったことが判断できません。
少なくとも2~3社から見積もりを取り、比較検討するのがおすすめです。
見積内容を確認する
施工業者に見積もりをお願いする時は、しっかりと見積内容を確認しましょう。
どの作業にどのくらいの費用がかかるのか、どのくらいの面積を施工するのかなど、できるかぎり詳細に記載してくれる業者がおすすめです。
「工事一式でいくら」というような曖昧な見積もりを出してくる業者は信用できません。
極端な値引きをする業者を警戒する
値引きしてもらうのは、必ずしも良いことばかりではありません。
なかには、あらかじめ相場よりも高い金額を提示してから大幅に値引きし、お買い得感を演出する手法をとる業者もあります。
施工相場を調べたり、ほかの業者と比較したりすれば、悪質業者の言いなりにならなくて済みます。
管理会社に丸投げしない
マンションの管理会社に防水工事を任せてしまうと、管理会社と繋がりのある業者が施工することになるかも知れません。
費用が相場よりも高くなるケースがあるので、マンションの管理組合側で施工業者を選ぶことをおすすめします。
屋上防水でよくある質問
屋上防水では、さまざまな質問が寄せられます。
今回はよくある質問を、Q&A形式でご紹介していきます。
雨の日でも防水工事はできる?
工法によって異なります。
例えばウレタン防水やFRP防水、アスファルト防水の防水層を乾燥させるには数時間かかります。
この間に雨が降ってしまえば硬化不良を起こす可能性があります。
シート防水の「機械固定工法」なら、小雨程度なら施工が可能です。
しかし基本的には、雨の日は施工を行いません。
できるだけ安く防水工事を行うには?
自社で施工を行っている業者に依頼すると良いでしょう。
大手リフォーム会社などは下請け業者に工事を依頼するケースが多く、中間マージンの分だけ費用が高くなる可能性があります。
防水工事はDIYでも可能?
防水工事のDIYはおすすめできません。
防水工事を行うにはプロの技術が必要です。
不慣れな施工だとひび割れや雨漏りが発生しやすくなります。
建物の寿命を延ばしたいなら、クオリティの高い施工をしてくれる業者を探すのがおすすめです。
まとめ
定期的にメンテナンスを行うことで、屋上防水の耐用年数を延ばせます。
どんな工法が向いているかは、しっかり施工業者と相談して決めましょう。
また見積もりの際に施工業者の質をしっかりと見極めることで、後悔のない防水工事ができますよ。