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狭いビルの壁で防水工事は可能?無足場工法の可能性とメリットを解説

ビルの壁を防水工事することは、建物の耐久性と美観を保つために不可欠です。

しかし、狭いスペースでの作業に制約される場合、工事はより複雑な課題となります。

そこで、狭いビルの壁でも施工できる無足場工法を採用することによって、限られたスペースでも効率的かつ高品質な工事が可能です。

以下、無足場工法の可能性とメリットについて詳しく解説していきます。

狭いビルの壁で防水工事を行う課題

狭いビルの壁で防水工事を行う際の一般的な課題は、以下のようなものがあります。

足場が組めない

狭いビルでは足場を組むことが難しい場合があります。

一般的に足場の設置に必要な間隔は、70センチ程度とされています。

ビルの隙間が狭く、足場の設置ができないケースは、建物が密集している地域ではよく見られることです。

スペースの制約による作業の制限

狭いスペースでは、作業範囲や作業員の移動が制限され、作業効率の低下が考えられます。

また、安全面においては、転倒やケガのリスクが高まるでしょう。

さらに、機材や材料を配置する場所も限られるため、作業の進行に影響を与える可能性があります。

施工箇所へアクセスする困難さ

狭いスペースにおけるビルの壁防水工事では、施工箇所へのアクセスが困難な場合があります。

狭いスペースでは、通常の足場を組むことが難しい場合があり、他のアクセス方法を検討しなければなりません。

また、高所作業を行うためのクレーンや高所作業車の配置が難しい場合も考えられるでしょう。

ビルの周囲との調整

ビルの壁での防水工事において、周囲の建物や環境との調整は重要な要素です。

作業中に周囲のビルや住宅に影響を与えないようにしなければなりません。

例えば、工事中に振動や騒音が周囲の建物や住宅に影響を与える可能性があります。

周囲の建物や住宅の所有者とのコミュニケーションを通じて、工事の予定や影響を事前に説明し、配慮することが重要です。

また、工事現場の周辺を通行する人への安全対策も必要です。

安全対策を徹底し、通行人の安全を確保するための措置を講じる必要があります。

作業時間の延長

狭いスペースでの作業は、通常の作業よりも時間がかかる場合があります。

狭いスペースでは、作業員や機材の移動や配置に制約が生じるため、作業効率が低下するのは避けられません。

また、機材や材料の運搬・配置に時間がかかるため、作業の進行にも影響が出てくるでしょう。

さらに、狭いスペースでは安全対策のための追加の手順や確認作業が必要となり、作業時間が延びる可能性があります。

以上の要因から、狭いスペースでの作業は通常よりも時間がかかる場合があります。

計画段階でこれらの制約を考慮し、適切なスケジュールや作業手順を立てることが重要です。

狭いビルでも防水工事を可能にした無足場工法

これまで、ビルの壁で行う防水工事では、足場を設置して作業を行うことが一般的でした。

狭いビルでの防水工事は足場を設置することが困難な場合があります。

また、狭い場所では、さまざまな制約によって作業がしづらくなるのも難点の一つでした。

そのような、狭いビルでの防水工事を可能にした工法が「無足場工法」です。

無足場工法とは

無足場工法は、建築や修繕工事において、従来の足場を使用せずに作業を行う方法です。

狭いスペースでの作業に適しており、効率的かつ迅速な工事を可能にしました。

無足場工法には、大きく分けて「ロープアクセス」と「ゴンドラ」の2種類があります。

ロープアクセス

ロープアクセスは高所作業を行うために使用される方法であり、作業員がロープを通したフルハーネスを装着し、屋上から作業箇所に下降します。

この方法は高い安全性を誇り、厳格な基準をクリアした産業用のロープを使用します。

ロープアクセスに必要な機材はシンプルで、セミスタティックロープ、フルハーネス、下降器、作業に必要な工具類のみです。

作業を開始するには、建物屋上の手摺や丸環にメインロープと補助ロープを設置し、それを使って作業箇所に降下します。

もしロープを設置する場所がない場合は、笠木やパラペットに特殊な器具であるパラペットクランプを使用するか、アンカーと呼ばれるロープ設置用の金具を敷設することもあります。

ゴンドラ

ゴンドラ昇降装置は、屋上からワイヤロープで吊り下げたゴンドラを使用して高層建物での作業を行う工法です。

ゴンドラ作業では、作業員がケージに乗り込み、リモコンで上下左右に移動しながら作業を行います。

この工法は改修工事や窓拭きなどに使用されており安定性があります。

また、2階部分にステージ足場を固定することで地上に足場を作る必要がなく、都心部などの歩行者が多いエリアで頻繁に採用されている工法です。

無足場工法のメリット

無足場工法を採用することによるメリットは、以下の通りです。

スペースの節約がない

無足場工法は足場を使用しないため、作業現場周辺のスペースを有効活用できます。

特に狭いスペースや周囲の建物に接している場合に有利です。

コスト削減

足場の組立や解体にかかる費用が不要となり、コストの削減が可能です。

ビルの高さが高くなるほど、足場の設置費用も比例して高くなります。

例えば、5階建のビルに足場を設置する場合、足場設置の費用相場は150万円〜200万円とされています。

足場の設置費用は、工事費用の約3割を占めるため、かなりのコストダウンです。

また、作業期間も短縮されるため、総合的なコスト削減効果も期待できます。

作業効率の向上

無足場工法では、作業員が直接高所で作業できるため、効率的な作業が可能となります。

また、機材の移動や作業位置の調整が容易であり、作業員の動線もスムーズです。

さらに、足場を組まないため、作業を分割して行うことが可能です。

足場を組んでしまったら、作業完了まで一気に工事を進めなくてはなりません。

足場の設置と解体作業がない分、作業効率は格段に上がるでしょう。

ビル周辺への影響が少ない

無足場工法は、ビル周辺への影響を最小限に抑えることが可能です。

足場の組立や解体に伴う騒音や振動が発生しないため、周囲の環境に与える影響を軽減することができます。

特に都心部や住宅地など、騒音や振動に敏感なエリアでの作業には適しているでしょう。

また、足場の組立や解体に伴う廃棄物を削減できます。

廃棄物の削減は、周囲の環境への負荷を軽減することにもつながります。

無足場工法の注意点

無足場工法には以下のような注意点があります。

安全性確保の重要性

無足場工法は高所での作業を行うため、適切な安全対策が必要になります。

作業員は適切な保護具を着用し、訓練を受けていることが重要です。

また、安全な作業環境を確保するためには、厳格な監督や管理も必要となります。

高所作業の特殊性

無足場工法は高所での作業に特化しています。

そのため、高所での作業に慣れていない作業員にとっては、不安やストレスを感じることがあります。

作業員のメンタルケアや適切なトレーニングなどのサポートが必要です。

まとめ

ここまで、ビルの間隔が狭いスペースでの防水工事を可能にする無足場工法について解説してきました。

この記事の要点は、以下の通りです。

・狭いビルの壁で防水工事を行う課題

狭いビルでは、足場が組めない、スペースの制約、アクセスの困難さ、周囲との調整、作業時間の延長など、多くの課題があります。

そのような課題を解決するのが、無足場工法です。

無足場工法は、足場を設置することなく防水工事を行うことができます。

・無足場工法のメリット

無足場工法のメリットは、スペースの制約がない、作業効率の向上、ビル周辺への影響が少ないなどが挙げられます。

・無足場工法の注意点

しかし、無足場工法には注意点もあります。

安全性確保の重要性や、高所作業の特殊性による作業員のサポートが必要です。

以上の点をふまえて、ビルの間隔が狭くても防水工事を行う方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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