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マンションの修理費の目安は?修理の種類と費用を抑える方法

マンションやアパートなどの建物は、経年劣化しやすいものです。

どのような建物であっても、劣化して定期的な修繕や改修が必要になることは避けられません。

定期的な工事にかかる費用を「修理費」と呼ぶことがあります。

マンションの修理費には大きく分けて3つあり、修理箇所によって費用が異なるため、管理組合やオーナーは金額を把握しておくことが大切です。

そこで、修理費がかかるマンションの工事とは何か、修繕や改修にかかる修理費の目安などを解説します。

マンションで修理費がかかる工事とは

修理費がかかるマンションの工事は、大きく「大規模修繕」「小規模修繕」「原状回復」の3つに分けられます。

10~30年ごとに必要な大規模修繕

大規模修繕とは、一般的に10~30年ごとに必要とされる大規模な修繕工事を指します。

主な工事内容は以下のとおりです。

  • 外壁の補修
  • 外壁の張り替え
  • 塗装の塗り替え
  • 屋根の防水工事
  • 天井裏の防水工事
  • 各バルコニー防水工事
  • 水道ポンプの交換

玄関枠や点検口など鉄部の防錆・再塗装工事

大規模修繕を実施しないとマンションの資産価値を大きく下げることになりかねないため、定期的に行いましょう。

劣化を防ぐ小規模修繕

小規模修繕とは、大規模修繕よりも規模が小さく、劣化を防ぐことを目的とした修繕のことです。

主な工事は以下のとおりです。

  • 屋根や外壁の劣化診断
  • シロアリの発生点検
  • 耐震調査
  • 住民の要望による小工事

工事だけではなく、劣化調査や耐震診断などの調査も含まれます。

将来の大規模修繕費用を防ぐため、あるいは大規模修繕の周期を延長するためにも、5~10年ごとの定期点検が重要です。

退去後に必要な原状回復

賃貸していたマンションの入居者が退去した場合、単純に次の入居者を探すことはできません。

次の入居者の満足度を上げるためには、現状回復が不可欠です。

現状回復のための修繕工事には、主に以下のようなものがあります。

  • 壁紙・天井クロスの張替え
  • 畳・カーペット・フローリングの張り替え
  • 襖・障子の張り替え
  • 部屋のクリーニング

大規模修繕とは異なり、原状回復のための修理費は、貸主または借主が負担する場合があります。

一般的には、床やフローリングの日焼け、電子レンジや冷蔵庫などの電化製品を置いていた箇所の黒ずみ、極めて小さなクロスの穴などは、貸主の負担となります。

壁や床に子どもが落書きをした跡、タバコのヤニによる黄ばみ、簡単に現状回復できない部分などの修理費は、借主の負担です。

適切なタイミングで修理をするための積立金

修理費不足で、緊急に修繕工事ができないケースは少なくありません。

適切な時期に修繕工事を行うためには、毎月修繕積立金を貯め続けることが大切です。

また、マンションの修理のために支出した場合は、必要経費に計上できます。

なお、積立金という項目はありません。

ただし、次のような工事は経費として計上できないため注意が必要です。

  • 階段の新設など増築工事に該当するもの
  • 用途変更のためのリフォーム
  • 給湯器などの機械類を高品質のものに取り替える場合

経費として計上できる項目、工事内容を判断できない場合には、専門業者に相談すると安心です。

マンション施工箇所ごとの平均修理費用

ここからは修繕箇所ごとの修理費用について詳しく紹介します。

屋上・屋根防水工事

屋根は防水性が高くても、10年程度で効果がなくなります。

防水が弱くなった屋根は雨漏りの原因となり、入居者からのクレームにつながるため、10年ごとに防水工事を行いましょう。

修理費用は、1平方メートルあたり約1万円です。

バルコニー防水工事

バルコニーは防水工事をしないと浸水し、トラブルに繋がります。

バルコニーの防水工事は10年は持つといわれており、修理費は1平方メートル約7,000円です。

屋上・屋根防水工事よりも、費用は抑えられます。

外壁塗装

マンションの印象を決める外壁の改修工事は、壁の塗り替えやひび割れの補修などを行います。

外壁は劣化しやすい部分でもあり、見た目が悪いと住みたいと感じる方が減るため、修理・メンテナンス・改修が必要です。

また、外壁の劣化は内装にも影響を及ぼす可能性があります。

塗装の回数や物件の大きさによって異なり、10年ごとに行う他の修繕よりもペースが早い場合もあります。

外壁塗装工事の費用はマンションによりますが、修理費の目安は1平方メートルあたり約1万円~5万円です。

世帯数により異なる給水ポンプ

大規模修繕のひとつに、給水装置の交換があります。

戸数によって金額が異なり、簡単な修理ではないため、修理費用は約70万円~150万円と幅があります。

交換時期の目安は約20年後であり、交換時期が来ている場合は大規模修繕で交換しましょう。

鉄部の錆止め補修

マンションによっては、階段や手すりが鉄製の場合があります。

雨や水に濡れるとサビが発生するため、放置しておくのは大変危険あり、美観上も良くありません。

塗装・防錆工事の目安は約5年ごとです。

費用の目安は1平方メートルあたり約4,000円で、他の修理箇所に比べると頻度が高い傾向があります。

エアコン・給湯器の交換

エアコンや給湯器は約10年で寿命となり、買い替えが必要です。

台数によって金額は異なりますが、1台で約10万円かかります。

エアコンや給湯器は、どちらも入居者の日常生活に欠かせない設備であり、必ず交換が必要です。

マンション入居時・退去時の現状回復に必要な平均修理費

入居時や退去時の修繕に多額の費用をかける必要はなく、オーナー自身で修繕できるところもあります。

大規模修繕だけではなく、マンションの修理のひとつである原状回復にかかる費用も確認しておきましょう。

壁の色(クロス)の張り替え

壁が汚れていたり、破れていたりする場合は壁の色(クロス)の張替えが必要です。

時間が経過すると、色あせが進みます。

自分で張り替えることも可能ですが、プロに任せた方が仕上がりが美しくなるでしょう。

平均的な修理費用は、4~6万円程度です。

クッションフロアの変更

クッションフロアは、トイレやキッチンなどに設置されています。

場所にもよりますが、汚れたり傷んだりするため、交換しなければならないでしょう。

修理費用の相場は、4~5万円程度です。

クッションフロアがない物件で改修をする場合は、設置を検討してみるのも良いでしょう。

網戸の張替え

網戸は外に面しているため、汚れたり破れたりします。

網戸を修理するのであれば、業者に依頼するのではなく、自分でできるでしょう。

修理費は数千円程度で、和室であれば自分で障子の修理もできます。

ハウスクリーニング

修繕とは少し異なりますが、ハウスクリーニングも原状回復には欠かせません。

費用目安は、部屋の広さによって異なります。

1R~1K:15,000円~30,000円

1DK~1LDK:30,000円~40,000円

2DK~2LDK:30,000円~70,000円

3DK~3LDK:50,000円~85,000円

4DK~4LDK:70,000円~100,000円

なお、住んでいる方がいるなかでハウスクリーニングを実施する場合、さらに高額になる傾向があります。

マンションの修理費を抑える3つのポイント

マンションの大規模修繕、小規模修繕、原状回復は、物件の内装から建物の外装、敷地内のメンテナンス、共用スペースなど様々な部分で定期的に必要になります。

マンション経営において、修理費を抑え、スムーズに対応するために気をつけるべきポイントを紹介します。

入居審査を徹底する

入居審査を徹底することで、マナーの悪い方の入居を防ぐことができ、修理費を抑えることができます。

マナーの悪い入居者は、以下のような状況に陥りやすいためです。

  • 部屋を乱暴に使い、設備や備品を傷つけたり汚したりする
  • ルールを守らず予想以上に汚れや臭い、カビなどを発生させる
  • 届け出をせずにペットを飼育、掃除をしない、タバコを焚く、布に臭いが移る

マナーの良い入居者は、部屋を大切に使う傾向があり、退去時も良い状態で返してくれる可能性が高いでしょう。

入居審査をしっかり行い、マナーの良い入居者を厳選することで、修理費を抑えられる可能性が高くなります。

そのため、管理会社の入居者審査能力も修繕費を抑えるうえで重要です。

問題が発生する前に定期的な修繕を行う

マンションの修繕費用を抑えるためには、大きな問題が発生する前に対処する必要があります。

問題が起こる前に、定期的に物件を目視でチェックし、管理会社に点検・修繕を依頼することが大切です。

大規模な出費になる工事や、予期せぬ修理のリスクを最小限に抑えることができます。

また、台風など危険にさらされる可能性がある場合は、事前に安全確認を実施し、台風が過ぎ去った後も故障がないか確認しておくと安心です。

なお、経年劣化による修理は、日頃メンテナンスをしていても避けることはできません。

しかし、定期的な点検と軽微な修理は、修理費用を抑える最も有効な対策です。

修繕が必要な箇所を早期に発見・修繕し、適切な維持・管理を行うことが、空室リスクの低減、マンションの資産価値向上につながるため、計画的な修理と定期的なチェックが重要です。

優良業者を選ぶ

修理費を抑えるためには、必要な工事を提案し、適正価格で請け負う優良業者を選定しましょう。

修理費の安さのみで業者を選ぶと、手抜き工事や工事すら行われない詐欺に遭うリスクがあります。

追加費用の請求や、大規模な修理の場合は居住者とトラブルになる可能性もあるため、安さのみで決めることは危険です。

マンションの建物調査や無料の見積りを依頼し、対応の丁寧さ、どのような修理を提案されるのかをチェックしましょう。

修理費の予算を考慮して工事を進めよう

修理費の計画を含めたマンションの維持管理は、長期安定的なマンション経営には欠かせません。

修理費は、一般修繕や退去時の清掃など小規模なものから、マンション維持のための定期的なメンテナンス、空室対策のための模様替えや設備交換、大規模修繕など多岐にわたります。

また、十数年に1度は大規模修繕が必要です。

マンションの修理費について理解を深め、中長期的な資金計画を立てましょう。

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