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マンション大規模修繕で玄関ドアの工事が必要なケースは?補修内容と費用相場

大規模修繕を行う際、玄関ドアも修繕すべきなのか悩むケースも多いのではないでしょうか。

しかし、各戸の玄関ドアは経年劣化しますが、修繕をしなければマンションの資産価値にも影響を及ぼすため、工事を行う前に状態をチェックしましょう。

今回は、大規模修繕時の玄関ドア工事について、工事すべきケースや費用相場を解説します。

マンション大規模修繕で玄関ドアの工事が必要なケース

玄関ドアに傷やサビ、開閉の不具合がある場合は、大規模修繕の際に工事対象に含めるのがよいでしょう。

マンションの玄関ドアに工事が必要なケースとして、以下が挙げられます。

  • 塗装が剝がれている
  • サビが発生している
  • 断熱性・遮音性が低い
  • スムーズに開閉できない
  • 鍵やドアの老朽化による防犯上の不安

玄関ドアは各部屋の顔になる部分です。その部分の劣化を放置すれば、部屋の印象が悪くなります。

また、見た目が悪い玄関は、マンションの景観にも影響を与えるため、入居率と資産価値、それぞれの低下を招く恐れがあります。

大規模修繕は、外壁や屋根、内部配管など建物の寿命に影響する場所と共用部分を中心に工事をしていきますが、場合によっては玄関ドアの修繕も行います。

上記で挙げたケースに玄関ドアの状態が当てはまっている場合は修繕が必要です。

玄関ドアの区分所有権は「共用部分」

玄関ドアの所有権は、内側が専有部分外側は共用部分という扱いにあります。

そのため、玄関ドアの外側に劣化・損傷・不具合がある場合は、外側は共用部分にあたるので、管理者側が修繕を行う必要があります。入居者が個人の判断で外側の修繕を行うことはできません。

マンション大規模修繕で玄関ドアの工事方法

マンションの大規模修繕で行われる玄関ドアの修繕内容は、大規模修繕の回数ごとに異なります。

というのも、築年数によって玄関ドアの劣化具合が異なるからです。具体的には以下の内容で工事が行われます。

  • 大規模修繕1回目(築12年目)…表面部分の補修
  • 大規模修繕2回目(築24年目)…ドアノブや付属部品の交換・補修
  • 大規模修繕3回目(築36年目)…玄関ドアの交換

玄関ドアの状態に応じた修繕・補修を行うことが重要です。

ここでは、玄関ドアの工事内容や、工事の工法を紹介します。

玄関ドアの工事内容

玄関ドアの工事内容を、大規模修繕の回数ごとに詳しく紹介していきます。

大規模修繕1回目

1回目の大規模修繕は築12年目に行われます。

このときの玄関ドアは、開閉など機能に関する劣化や不具合は起きていませんが、傷やサビがある場合が多いのです。そのため、表面についた傷・サビの補修を行います。

見た目が悪ければ、トップコート塗装や本塗装が必要です。

傷やサビをそのままにしておくと、ドア全体の腐食につながります。

そのため、補修作業を行い、必要に応じてトップコートの塗り替えを行います。

玄関ドアの寿命を延ばすためには、玄関ドアの状態を十分に把握し、適切な処置を施すことが大切です。

居住者の許可がとれた場合は、内側の修繕も同時に行うのがよいでしょう。

大規模修繕2回目

2回目の大規模修繕は築24年目に行われます。このとき、ドアノブや付属部品の不具合が起こり始めるため、これらの交換・修理が必要になります。

ドアノブや付属品にサビが発生すると、鍵が回りにくくなったり、鍵穴に鍵が入りにくくなったりします。開けづらいドアはクレームの元になりやすいです。

ただ、ドアノブや付属品を交換する際は、居住者にその旨を伝える必要があります。通達は忘れずに行いましょう。

大規模修繕3回目

築36年目に行う3回目の大規模修繕では、玄関ドアを交換することが多いです。

新しい玄関ドアに交換することで外観や機能性が向上し、マンションの資産価値の維持や向上が期待できます。

ただし、交換工事中はドアを開けたままにするため、居住者の承諾が必要です。

玄関ドア工事の工法

以下の3つあります。

  • カバー工法
  • ドア交換工法
  • 引き抜き工法

それぞれの方法について詳しく説明します。

カバー工法

カバー工法とは、既存の枠の上に新しい枠をかぶせ、玄関ドアを取り付ける工法です。

既存の枠を利用するため、比較的工期が短く、枠の撤去費がかかりません。すぐに玄関ドアを交換したい場合におすすめの工法です。

しかし、カバー工法で玄関ドアを修繕する場合、新しい枠を取り付けたときに玄関ドアの強度が下がるリスクがあります。

ドアを新しい建材新建材に交換するわけではないため、玄関ドアの強度は既存の枠に影響されます。

そのため、経年劣化が著しい玄関ドアにはカバー工法による施工は不向きです。

ドア交換工法

ドア交換工法は、既存の枠を残し、ドアのみを新しいものに交換する工法です。ドアチェンジ工法とも呼ばれています。

既存の枠を再利用するため、短期間で工事が完了します。また、カバー工法よりも費用は安いです。

ただ、既存の枠の劣化が著しいと見栄えが悪くなる上、枠の大きさにあったドアしか選べないため、デザインの幅は狭くなってしまうでしょう。

引き抜き工法

引き抜き工法は、既存の枠やドアをすべて撤去し、新品のドアに取り替える工法です。コアラッコ工法とも呼ばれています。

ドアを一新する工事なので、費用が高く、他2つの工法に比べると工期は長めです。しかし、見た目や機能性は向上します。玄関ドアの劣化が激しい場合や、大規模修繕で建物の資産価値を高めたい場合に取り入れると良いでしょう。

マンション大規模修繕の玄関ドア工事にかかる費用相場

玄関ドアの修繕に必要な金額は、劣化の程度によって異なります。

玄関ドアの大規模修繕の平均的な費用は以下の通りです。

玄関ドアの工事内容費用相場(1戸あたり)
付属金物取替えおよび塗装工事3万円〜
交換工事20万円〜

上記の金額はあくまでも目安であり、ドアの大きさ、材質、機能などによって費用は異なります。さらに戸数によっては莫大な費用が必要になります。

大規模修繕の見積もりを取る際には、玄関ドアの修繕費用についても聞いておくとよいでしょう。

また、長期修繕計画の策定や見直しを行う場合は、3回目の大規模修繕で玄関ドアの交換を視野に入れた予算を立てることが重要です。

マンション大規模修繕の玄関ドア工事内容の選び方

大規模修繕の場合、ただ玄関ドアを新しいものに交換すればいいというわけではありません。

玄関ドアの修繕修理を成功させる大切なポイントを5つ、紹介します。

性能の高さ

気密性や遮音性など、玄関ドアの性能が高いものを選ぶのがおすすめです。

玄関ドアから外の声や足音が聞こえると、住みにくい部屋になります。

また、ドアの気密性が低いとエアコンの効きが悪くなります。

性能が高いドアは住環境の満足度が上がるポイントの1つになるため、玄関ドアを選ぶ際は、性能の高さもチェックしましょう

耐衝撃性の強さ

地震の多い日本では、衝撃に強い玄関ドアがおすすめです。

大地震で玄関ドアの枠が歪んでしまい、部屋から出られなくなった事例が報告されています。

築年数が古いマンションの場合は、特に注意が必要です。

衝撃に強い玄関ドアを選んで地震に備えましょう。

防犯性の高さ

玄関ドアは、防犯性も重要です。

オートロックやピッキング対策が可能な玄関ドアを選択すれば、居住者も安心して暮らせるでしょう。

特にエントランスがオートロックではないマンションは、誰でも各階に入ることができるため、防犯性に優れた玄関ドアの導入するのがおすすめです。

耐震性能の高さ

いざという時に備えて、耐震性能の高さも重要なポイントです。

地震が起きると、玄関ドアが変形し、部屋に閉じ込められることがあります。

耐震ドアであれば、地震が起きてドアが変形しても開閉が可能であり、室内に閉じ込められることによる二次災害のリスクを減らすことができます。

バリアフリー

介護や介助が必要な方や高齢者が多く住んでいるマンションでは、バリアフリーの玄関ドアの導入を検討してみましょう。

開閉しやすいレバーハンドルやプッシュタイプのドアがおすすめです。

玄関ドアのバリアフリーリフォームで考えたいポイントは次のとおりです。

  • 段差をなくす
  • スロープや手すりの設置
  • 靴を脱ぐ・履く時に座れるスペースを設ける
  • 車椅子でも出入りしやすいつくりする
  • 雨の日に滑りにくい床材に変える

マンション大規模修繕の玄関ドア工事のトラブル

玄関ドアは居住者の生活に直結するため、大規模修繕の工事対象になった際にトラブルが起こることがあります。

ここでは、玄関ドア工事で起こりうるトラブルとその解決法を紹介します。

玄関ドアの交換を拒否された場合

大規模修繕で玄関ドアを交換する場合、事前にすべての部屋から居住者の了承を得る必要があります。

分譲マンションの場合は住民説明会などで丁寧にドア交換の必要性を説明するのがよいでしょう。

ただ、居住者から玄関ドアの交換を拒否される場合があります。様々な事情から室内に他人を入れたくない人が多いようです。

一部屋だけ玄関ドアの工事をしないわけにはいかないので、工事を拒否された場合を想定した対応をマンションの管理会社や修繕委員会内で話し合っておくとよいでしょう。

新しい鍵の受け渡し

大規模修繕で玄関ドアを交換する場合、新しい鍵の受け渡し方法を決めておきましょう。

居住者のライフスタイルによっては、管理人の勤務時間内に鍵を渡すことができない場合もあります。

原則として、新しい鍵は区分所有者に渡さなければなりません。

やむを得ず代理人や隣人に預ける場合は、委任状を準備してもらう必要があります。

居住者に新しい鍵の受け渡し方法を事前に伝えておくことで、玄関ドアの工事がスムーズに行えるでしょう。

マンション大規模修繕玄関ドア工事まとめ

マンション大規模修繕の玄関ドア工事について解説しました。

まとめると、

  • マンションの玄関ドアは資産価値を左右する
  • 玄関ドアの交換や機能を高める工事が必要
  • ドアの性能は防犯のために重要
  • 外壁や屋上と違い玄関ドアは居住者の生活に直接関わる

玄関ドアの修繕や交換の際には、居住者に工事内容を丁寧に説明することが大切です。

大規模修繕の際には、外装や屋根だけでなく玄関ドアも修繕することで、資産価値の維持・向上を図りましょう。

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