
水道管の交換時期と費用相場は?劣化症状から工事の進め方・補助金まで解説
2025/10/23
「最近、水の出が悪くなった気がする」
「蛇口から赤茶色の水が出てきた」
そんな症状に心当たりはありませんか。
水道管は毎日使うものだからこそ、劣化のサインを見逃してしまいがちです。
しかし、放置すれば水漏れや水質悪化、最悪の場合は水道管の破裂といった深刻なトラブルに発展する可能性があります。
実は、高度経済成長期に設置された水道管の多くが、すでに耐用年数を迎えているという現実があります。
特に築30年以上の住宅にお住まいの方は、早めの点検と交換の検討が必要な時期かもしれません。
この記事では、水道管の交換時期を見極めるポイントから、気になる費用相場、利用できる補助金制度、そして信頼できる業者の選び方まで、水道管交換に関するすべての情報をわかりやすく解説します。
大切なご自宅の水道設備を守るために、ぜひ最後までお読みください。
目次
水道管とは?交換が必要になる理由
水道管と聞くと、なんとなく「水が通る管」というイメージはあっても、具体的にどんな種類があるのか、なぜ交換が必要なのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。
実は、水道管にはいくつかの種類があり、それぞれ役割も寿命も異なります。
ここでは、水道管の基本的な知識と、交換が必要になる理由について解説します。
給水管・給湯管・排水管の違い
一般的に「水道管」と呼ばれるものには、大きく分けて3つの種類があります。
それぞれの役割を理解しておくと、トラブルが起きたときにどこに問題があるのか判断しやすくなります。
給水管は、浄水場できれいにされた水道水を各家庭に届けるための管です。
道路の下にある配水管から分岐して、敷地内に引き込まれています。
蛇口から出る冷たい水は、この給水管を通って供給されています。
給湯管は、給湯器やエコキュートなどで温められたお湯を、浴室やキッチンの蛇口まで運ぶ管です。
給水管と違って高温のお湯が流れるため、より高い耐熱性が求められます。
温度変化によるダメージを受けやすいという特徴もあります。
排水管は、使用済みの水を下水道へ流すための管です。
キッチン、浴室、洗面所、トイレなどから出た生活排水や汚水を屋外へ排出する役割を担っています。
給水管が「入ってくる水」を運ぶのに対し、排水管は「出ていく水」を流すという違いがあります。
この記事で主に扱うのは「給水管」と「給湯管」についてです。
排水管については別の対応が必要になることもあるため、症状に応じて専門業者に相談することをおすすめします。
なぜ水道管は交換しないといけない?
「水道管って丈夫そうだし、そんなに交換する必要があるの?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、水道管も人が作ったものである以上、経年劣化は避けられません。
水道管が劣化する主な原因は、素材の経年変化です。
特に古い金属製の水道管は、長年水が流れ続けることで内部に錆が発生します。
錆が進行すると管の壁が薄くなり、最終的には「ピンホール」と呼ばれる小さな穴が開いて水漏れを引き起こします。
また、水質による影響も無視できません。地域によって水質は異なり、特に酸性度の高い水や塩分を含む水は、配管を傷めやすい傾向があります。
海に近い地域や、土壌の性質によっては、想定よりも早く劣化が進むこともあります。
さらに、地震や地盤沈下などの外的要因も劣化を早める原因になります。
日本は地震の多い国ですから、繰り返される揺れによって配管に負担がかかり、接続部分が緩んだり、ひび割れが生じたりすることもあります。
特に注意が必要なのは、鉛製の水道管です。
鉛は加工しやすいため、かつては広く使われていましたが、水に溶け出した鉛が人体に蓄積されると、頭痛や腹痛、神経系の障害など深刻な健康被害を引き起こすリスクがあります。
現在では使用が禁止されていますが、築年数の古い住宅では今も残っているケースがあります。
このように、水道管を交換しないで放置すると、水漏れによる建物へのダメージ、水道料金の増加、そして何より家族の健康を脅かす危険性があるのです。
水道管を交換するタイミング・症状
水道管の交換が必要かどうか、どうやって判断すればいいのでしょうか。
実は、水道管が発する「交換のサイン」はいくつかあります。
ここでは、具体的な症状と見極めのポイントをご紹介します。
一つでも当てはまる症状があれば、早めに専門業者へ相談することをおすすめします。
耐用年数を超えている
水道管には素材ごとに「耐用年数」が定められています。耐用年数とは、安全に使用できる期間の目安のことです。
目立った症状がなくても、耐用年数を超えている場合は交換を検討するタイミングといえます。
素材別の耐用年数は以下の通りです。
配管の種類 | 耐用年数の目安 | 備考 |
---|---|---|
鉛管 | 15~20年 | すでに使用禁止、早急な交換が必要 |
亜鉛めっき鋼管 | 15~20年 | 赤水や腐食が発生しやすい |
銅管 | 30~40年 | 耐久性が高く、腐食に強い |
硬質塩化ビニル管 (VP管・HIVP管) | 30~40年 | 軽量で施工しやすく、住宅で広く使用 |
ポリエチレン管 | 30~40年 | 柔軟性があり、凍結にも強い |
ステンレス鋼管 | 40年以上 | 高耐久で錆びにくく、長寿命 |
地方公営企業法施行規則では、水道管の法定耐用年数を40年と定めていますが、実際の寿命は素材や設置環境によって大きく異なります。
特に、高度経済成長期(1960~1970年代)に建てられた住宅では、すでに耐用年数を大幅に超えている可能性があります。
ご自宅の水道管がいつ設置されたものか、どんな素材を使っているかを確認してみましょう。
築30年以上の住宅にお住まいの方は、たとえ今は問題がなくても、一度専門業者に点検してもらうことをおすすめします。
水の色・味・臭いがおかしい
蛇口から出る水の色や味、臭いに異常を感じたら、それは水道管からの重要なサインです。
- 赤茶色や茶色の水が出る ▶ 金属製の水道管内部の錆が原因である可能性が高い
- 白く濁った水が出る ▶ 水道管内に空気が混入している可能性がある
- 水に金属っぽい味がする ▶ 鉄や銅などの金属成分が水に溶け出している可能性がある
- カビ臭い ▶ 排水管や給水管の劣化、あるいは管内部での細菌繁殖が疑われる
こうした異常は、朝一番や旅行帰りなど、水道を長時間使っていなかったときに特に現れやすい傾向があります。
バケツ一杯分の水を流してから使うことで一時的に改善することもありますが、根本的な解決にはなりません。
症状が続く場合は、水道管の交換を検討しましょう。
水漏れが頻発する
水道管からの水漏れは、交換が必要な最もわかりやすいサインの一つです。
一度修理しても繰り返し水漏れが起こる場合は、配管全体が劣化している証拠です。
目に見える水漏れとして、蛇口周辺や配管の接続部分から水が滴る、壁や床が濡れているといった症状があります。
これらは比較的発見しやすいため、気づいたらすぐに対応できます。
しかし、より深刻なのは目に見えない水漏れです。
地中に埋まっている配管や、壁の中を通っている配管から水漏れしている場合、気づきにくく、発見が遅れがちです。
以下のような兆候があれば、隠れた水漏れを疑いましょう。
- 特に水を使っていないのに水道料金が急に高くなった
- すべての蛇口を閉めているのに、水道メーターが回っている
- 庭の一部分だけ地面がいつも湿っている、雑草が異常に生い茂る
- 床下から水の音が聞こえる
- 壁や天井にシミやカビが発生している
水漏れを放置すると、建物の基礎部分や構造材が腐食し、耐震性の低下や大規模な修繕が必要になる可能性があります。
また、湿度の上昇によってカビが繁殖し、シロアリなどの害虫を呼び寄せるリスクも高まります。
一度や二度の水漏れなら部分的な修理で対応できますが、頻繁に繰り返す場合は、配管全体が寿命を迎えているサインです。
同じ箇所を修理してもすぐに別の場所から水漏れが発生するようであれば、思い切って配管全体を交換したほうが、長期的には経済的といえます。
水量が減っている・水圧が弱くなっている
「以前より水の勢いが弱くなった」「シャワーの出が悪い」と感じることはありませんか。
蛇口を全開にしても水の出が悪い場合、水道管内部に問題が発生している可能性があります。
錆による管内の狭窄が主な原因です。金属製の水道管では、長年の使用によって内部に錆が蓄積し、「こぶ」のような塊ができることがあります。
これが水の通り道を塞いでしまい、水量が減少するのです。症状が進行すると、最悪の場合は完全に詰まってしまうこともあります。
スケール(水垢)の付着も水量減少の原因になります。
水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が、長年かけて管内に堆積していきます。特に給湯管では、高温によってスケールが付着しやすくなります。
水圧の低下には、配管の変形や破損も関係しています。
地震や地盤沈下によって配管が曲がったり、一部が潰れたりすると、水の流れが悪くなります。また、接続部分の劣化によって水が漏れている場合も、蛇口まで届く水の量が減ってしまいます。
水量や水圧の低下は、日々少しずつ進行するため気づきにくいものです。
「昔はもっと勢いよく出ていた気がする」と感じたら、それは正しい直感かもしれません。特に、家の一部の蛇口だけ水の出が悪い場合は、その区間の配管に問題がある可能性が高いです。
水量の減少は単に不便なだけでなく、配管の劣化が進んでいる警告でもあります。放置すれば水漏れや破裂につながる恐れもあるため、早めの点検をおすすめします。
水道管の交換費用はどれぐらい?相場と内訳
水道管の交換を検討するとき、最も気になるのが費用ではないでしょうか。
「高額な工事になるのでは」と不安に思う方も多いはずです。
水道管の交換費用は、工事の規模や建物の種類、配管の状態などによって大きく変わります。
ここでは、戸建て住宅とマンション・集合住宅それぞれの費用相場と、費用を抑えるコツをご紹介します。
戸建て住宅の費用相場
戸建て住宅の水道管交換費用は、工事の範囲によって大きく異なります。
工事内容 | 費用相場 | 概要 |
---|---|---|
部分的な交換 | 1万円~3万円程度 | ・蛇口周辺や一部の破損箇所を交換する小規模工事 |
給水管全体の交換 | 10万円~30万円程度 | ・道路から建物内までの給水管を新設 ・素材や配管距離で費用が変動 |
給排水管の全面交換 | 35万円~50万円程度 | ・給水管と排水管をまとめて交換 ・地中配管の場合は掘削費が発生 |
舗装復旧・付帯工事 | 10万円~30万円程度 | ・アスファルトやコンクリートの復旧、配管位置変更など |
全体的な目安 | 30万円~100万円程度 | ・築年数や劣化状況により変動 ・全交換では高額になることも |
部分的な修理なのか、敷地内全体の交換なのかによって、数万円から100万円以上まで幅があります。
部分的な交換の場合、費用相場は1万円~3万円程度です。
蛇口周辺の配管や、一部にひびが入った箇所だけを交換するような小規模な工事が該当します。
ただし、これはあくまで応急処置的な対応であり、他の部分も劣化している可能性が高いため、数年後に再び工事が必要になることもあります。
給水管全体の交換になると、10万円~30万円程度が相場です。
道路の配水管から家の中の蛇口までの給水管をすべて新しくする工事です。配管の長さや使用する素材、工事の難易度によって金額は変動します。
敷地内の給排水管をまとめて交換する場合は、35万円~50万円程度が目安になります。
給水管だけでなく排水管も含めて全面的に交換する工事です。配管が地中に埋まっている場合は、掘削作業が必要になるため、費用が高くなる傾向があります。
全体として、戸建て住宅の水道管交換費用は30万円~100万円程度を想定しておくと良いでしょう。
ただし、建物の築年数や配管の劣化状況によっては、これを超えることもあります。
マンション・集合住宅の費用相場
マンションや集合住宅の場合、水道管の交換費用は戸建てとは異なる考え方が必要です。
なぜなら、配管には「共用部分」と「専有部分」があり、それぞれ責任の所在が違うからです。
工事区分 | 費用相場 | 概要 |
---|---|---|
専有部分の配管交換 | 10万円~30万円程度 | ・室内の壁内や蛇口周辺の配管を交換 ・所有者負担 |
専有部分(埋設型)の交換 | 50万円~100万円程度 | ・壁や床の中に埋め込まれた配管を交換 ・解体・復旧費を含む |
共用部分の配管交換 | 管理組合が負担 | ・共用廊下・階段・分岐点までの配管が対象 ・修繕積立金で対応 |
全体給排水管の大規模修繕 | 一戸あたり50万円~150万円程度 | ・建物全体の給排水管更新工事 ・積立金不足時は一時金が必要な場合も |
専有部分の配管交換は、各住戸の所有者が負担します。
具体的には、室内の壁の中を通る配管や、各部屋の蛇口につながる配管が該当します。
費用相場は、10万円~30万円程度です。ただし、配管が壁や床の中に埋め込まれている場合は、解体・復旧工事が必要になり、50万円~100万円程度かかることもあります。
共用部分の配管交換は、マンション全体の修繕積立金から支出されるのが一般的です。
共用廊下や階段部分の配管、各住戸への分岐点までの配管などが該当します。この場合、個人で費用を負担することはありませんが、管理組合での決議が必要になります。
マンション全体で給排水管を更新する大規模修繕工事の場合、一戸あたり50万円~150万円程度の費用がかかることもあります。
これは修繕積立金から支出されますが、積立金が不足している場合は、一時金として追加の負担を求められることもあります。
賃貸マンションにお住まいの場合は、基本的に大家さんや管理会社が費用を負担します。
水道管の劣化は通常の経年劣化に該当するため、借主に過失がない限り、自己負担になることはありません。水道に異常を感じたら、まずは大家さんや管理会社に連絡してください。
水道管の交換費用を抑えるコツ
水道管の交換は決して安い買い物ではありません。
しかし、いくつかのポイントを押さえることで、費用を抑えることは可能です。
- 複数業者から相見積もりを取って価格を比較する
- 工事範囲を絞り、優先度の高い箇所から交換する
- 自治体の補助金制度を活用する
- リフォーム工事と同時に実施してコストを分散する
- 閑散期(秋〜冬)を狙って依頼する
水道管の交換は決して安い工事ではありませんが、いくつかの工夫で費用を抑えることができます。
中でも相見積もりは最も効果的な方法で、同じ内容でも業者によって10万円以上の差が出ることもあります。費用だけでなく、見積もり内容や工事範囲も比較することが大切です。
また、すべてを一度に交換するのが理想ですが、予算の都合で難しい場合は、劣化が進んでいる部分から優先的に交換するのも一つの方法です。
さらに、自治体の補助金制度を活用すれば、鉛管の交換などで助成を受けられるケースもあります。
キッチンやトイレなどのリフォームを同時に行うと、重複作業を省けて全体の費用を抑えやすくなります。
加えて、比較的工事が落ち着く秋から冬にかけて依頼すれば、料金交渉がしやすくなることもあります。
ただし、費用削減だけを目的に品質を下げてしまっては本末転倒です。
信頼できる業者を選び、適正価格で確実な施工をしてもらうことが、結果的には最も賢く、長期的にコストを抑えるポイントといえるでしょう。
水道管の交換工事に使える補助金制度はある?
水道管の交換には大きな費用がかかりますが、実は国や自治体が用意している補助金制度を活用できるケースがあります。
条件に該当すれば、工事費用の一部を補助してもらえるため、経済的な負担を軽減できます。
ここでは、水道管の交換工事に使える主な補助金制度をご紹介します。
制度名 | 補助金額の目安 | 主な条件 |
---|---|---|
老朽給水管改良促進事業 | 工事費の一部 (自治体により異なる) | 耐用年数を超えた配管、鉛管など |
鉛製給水管取替工事助成 | 工事費の一部~全額 (自治体により異なる) | 鉛管を使用している住宅 |
住宅リフォーム補助金 | 工事費の10~20%程度 | 自治体指定の要件を満たすリフォーム工事 |
こどもエコすまい支援事業 | 最大60万円 | 省エネ性能向上を目的とした工事 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 工事費の1/3 (上限あり) | 長期優良住宅の認定基準を満たす工事 |
水道管交換にかかる費用を軽減するには、各自治体や国の補助制度を上手に活用することが大切です。
代表的なのが「老朽給水管改良促進事業」で、耐用年数を超えた配管の更新に対し、数万円から数十万円の補助が受けられます。
申請時には水道局指定工事事業者の見積書や工事計画書が必要になります。
また、「鉛製給水管取替工事助成」は健康被害防止の観点から優先度が高く、補助率も比較的高めです。
自治体によっては工事費の大半を負担してくれるケースもあり、東京都や大阪府、福岡県など多くの地域で導入されています。
さらに、「住宅リフォーム補助金」を利用すれば、耐震改修や省エネ改修とあわせて水道管交換を実施できる場合があります。
国の「こどもエコすまい支援事業」や「長期優良住宅化リフォーム推進事業」なども、省エネ性能向上を目的としつつ、給湯・給水配管の更新が対象になることがあります。
補助金の申請は工事前の手続きが必須です。工事後では受け付けてもらえないため、まずは自治体の窓口に相談し、条件や必要書類を確認しておきましょう。
あわせて、指定工事業者での施工が条件となる制度も多いので、見積もり段階から指定業者に依頼しておくとスムーズです。
補助金の予算には限りがあり、先着順や抽選制になっているケースもあります。年度の早い時期に申請したほうが、予算が残っている可能性が高いため、計画的に進めることが大切です。
水道管交換工事の流れ|工事の進め方
水道管の交換工事は、実際にどのような流れで進むのでしょうか。工事の全体像を知っておくことで、業者とのやり取りもスムーズになりますし、不安も軽減されます。
ここでは、一般的な水道管交換工事の流れを、7つのステップに分けて詳しく解説します。
Step1. 現地調査・劣化診断
工事の第一歩は、専門業者による現地調査です。実際に現場を見てもらい、配管の状態を詳しく診断してもらいます。
業者は、水道メーターから各蛇口までの配管ルートを確認し、配管の素材、設置年数、劣化の程度などをチェックします。
目に見える部分だけでなく、地中や壁の中に埋まっている配管については、過去の図面や、水の出方、水圧などから状態を推測します。
この段階で、水の色や臭い、水漏れの有無、水圧の状態など、気になる症状をすべて伝えておくことが大切です。些細なことでも、診断の手がかりになることがあります。
Step2. 見積もり・工事計画の作成
現地調査の結果をもとに、業者が見積もりと工事計画を作成します。この段階で、工事の範囲、使用する材料、工事期間、費用の内訳などが明確になります。
見積書には、以下のような項目が記載されているかチェックしましょう。
- 配管材料の種類と数量
- 撤去・解体作業費
- 配管設置作業費
- 試運転・検査費
- 復旧工事費(舗装や壁の修復など)
- 廃材処分費
- 諸経費
「一式」とまとめて書かれている項目が多い見積もりは要注意です。
詳細が不明瞭だと、後から追加費用を請求されるトラブルにつながることもあります。不明な点があれば、遠慮せずに質問しましょう。
Step3. 工事前の準備・近隣対応
工事を依頼する業者が決まったら、工事日程を調整します。
水道管の交換工事では、工事中に断水が発生するため、生活への影響を最小限にするよう計画を立てます。
工事前には、以下のような準備が必要です。
- 貴重品や壊れやすいものを工事エリアから移動する
- 水を使えない時間帯を確認し、飲料水などを準備しておく
- ペットや小さなお子様の安全対策を考える
戸建て住宅の場合、工事によって騒音や振動が発生するため、近隣住民への事前説明も大切です。
業者が挨拶回りをしてくれることもありますが、可能であればご自身でも一言伝えておくと、トラブル防止になります。
Step4. 既存配管の撤去・切断
いよいよ実際の工事が始まります。まずは、既存の古い配管を撤去する作業からスタートです。
工事開始前に、水道の元栓を閉めて止水します。この時点から、工事が完了するまで水道が使えなくなります。
地中に埋まっている配管を交換する場合は、掘削作業が必要です。
配管のルートに沿って地面を掘り起こし、古い配管を露出させます。アスファルトやコンクリートで舗装されている場合は、それらを一部解体することになります。
壁や床の中を通っている配管の場合は、必要に応じて壁に点検口を作ったり、床を一部めくったりする作業が発生します。
この際、建物の構造に影響がないよう、慎重に作業が進められます。
Step5. 新しい配管の設置(または更生工事)
古い配管を撤去したら、新しい配管を設置します。
現在主流なのは、錆びにくく耐久性の高いステンレス鋼管や、軽量で施工しやすいポリエチレン管、架橋ポリエチレン管などです。
配管の設置では、接続部分の施工が特に重要です。継手部分が適切に接続されていないと、そこから水漏れが発生する原因になります。
水道局指定工事事業者の有資格者が、確実に施工を行います。
場合によっては、配管を丸ごと交換するのではなく、更生工事という方法が選ばれることもあります。
これは、既存の配管内部に新しい樹脂を塗布したり、内側に新しい管を通したりすることで、配管を再生させる技術です。
大規模な掘削が不要なため、工期が短く、費用も抑えられるメリットがあります。
ただし、更生工事は配管の劣化があまり進んでいない場合に適した方法です。
配管に大きな破損がある場合や、鉛管のように素材そのものに問題がある場合は、やはり全面的な交換が必要になります。
Step6. 通水試験・水圧・水質チェック
新しい配管の設置が完了したら、すぐに元栓を開けて使い始めるわけではありません。
まずは、配管が正常に機能するかどうかを確認する試験が行われます。
通水試験では、実際に水を流して、すべての蛇口から適切に水が出るかをチェックします。このとき、各蛇口の水量や水圧が均等か、異常な音がしないかなども確認します。
水圧試験では、配管に規定の水圧をかけて、接続部分から水漏れが発生しないかを検査します。高い水圧をかけても問題がなければ、施工が適切に行われた証拠です。
水質チェックも重要な工程です。新しい配管を通した水に、異物や異臭がないか、色に問題がないかを確認します。
工事直後は、配管内に付着した油分や微細な削りカスなどが出てくることもあるため、しばらく水を流してから確認します。
これらの試験で問題がなければ、工事は無事完了です。もし不具合が見つかった場合は、その場で調整や再施工が行われます。
Step7. 原状回復・清掃・引き渡し
配管の設置と動作確認が終わったら、最後に現場の原状回復作業を行います。
壁や床を解体した部分も、きれいに修復されます。壁紙の張り替えや塗装が必要な場合は、別途費用がかかることもあるため、見積もりの段階で確認しておくことが大切です。
工事で出た廃材やゴミは、すべて業者が持ち帰り、適切に処分します。現場の清掃も業者が行いますが、細かいホコリなどが残ることもあるため、工事後に改めて掃除をすると良いでしょう。
すべての作業が完了したら、業者と一緒に最終確認を行います。
工事内容、保証期間、アフターサービスの連絡先などを確認し、納得できれば引き渡しとなります。この際、工事完了報告書や保証書を必ず受け取っておきましょう。
工事完了後も、しばらくは水の出方や異常がないかを注意深く観察してください。
もし気になる点があれば、早めに業者に連絡して対応してもらいましょう。多くの業者では、工事後の不具合に対して無償で対応してくれる保証期間を設けています。
水道管の交換を依頼する業者の選び方
水道管の交換は専門的な工事であり、業者選びが成否を分けるといっても過言ではありません。
信頼できる業者に依頼すれば、適正価格で確実な工事をしてもらえますが、残念ながらすべての業者がそうとは限りません。
ここでは、安心して任せられる業者を見極めるためのチェックポイントをご紹介します。
信頼できる「水道局指定工事事業者」であること
水道管の交換や新設工事は、水道法により「指定給水装置工事事業者」でなければ行えません。
指定業者は、技術や設備などの基準を満たし、水道局から正式に認可を受けています。
無資格業者に依頼すると、違法となるだけでなく、水道の供給停止などのリスクもあります。
工事を依頼する前に、自治体の水道局ホームページで指定業者リストを確認しましょう。
見積書の内容が明確で、内訳がわかりやすいこと
優良業者は、材料費・工事費・廃材処分費などを項目ごとに明示した見積書を提示してくれます。
「一式」といった曖昧な表記ではなく、具体的な金額や作業範囲が記載されているかがポイントです。
説明を求めた際に、丁寧に回答してくれるかも重要です。不明瞭な見積もりは、後から追加費用を請求されるトラブルの原因にもなります。
実績と口コミで信頼性を確認すること
施工実績が豊富な業者は、さまざまな現場での経験を積んでおり、対応力や技術力に優れています。
公式サイトに施工事例が掲載されている場合は、建物の種類や工事規模をチェックして、自宅と似た事例があるかを確認しましょう。
また、口コミサイトやGoogleレビューでの評判も参考になります。極端な評価に偏っていないかも見極めのポイントです。
保証・アフターサービスが整っていること
工事完了後の保証制度が明確な業者を選ぶことも大切です。保証期間や対応範囲を事前に確認しておくことで、万が一の不具合にも安心して対応できます。
また、アフターサービスや緊急時のサポート体制がある業者なら、トラブル時も迅速に対応してもらえます。工事後のフォローまで丁寧に行う業者は、長期的な信頼につながります。
これらのポイントを総合的に判断して、信頼できる業者を選びましょう。一社だけで決めず、複数の業者と話をしてみることで、自分に合った業者が見つかるはずです。
水道管の交換はDIY(自分で)してもいいの?
「業者に頼むと高額になるから、自分で交換できないだろうか」そう考える方もいらっしゃるかもしれません。
DIYが得意な方や費用を少しでも抑えたい方にとっては、魅力的な選択肢に思えます。
しかし、水道管の交換には法律上の制限があり、誰でも自由に工事できるわけではありません。
ここでは、DIYできる範囲とできない範囲、そして法律で禁止されている工事について解説します。
DIYできる範囲とできない範囲
結論から言うと、水道管そのものの交換や、配管の新設・延長といった工事は、DIYで行うことはできません。
水道法によって、これらの工事は水道局指定工事事業者のみが行えると定められているからです。
では、自分でできる水道関連の作業は何があるのでしょうか。
水道法で「軽微な変更」として認められている作業であれば、資格がなくても行うことができます。
DIYでできる作業には、以下のようなものがあります。
- 蛇口(水栓)本体の交換
- 蛇口のパッキンやカートリッジの交換
- シャワーヘッドの交換
- 洗濯機用の給水ホースの交換
- トイレのタンク内部品の交換
これらは、既存の給水管に接続されている「器具」の交換にあたるため、DIYでも問題ありません。
ホームセンターで部品を購入し、説明書に従って作業すれば、比較的簡単に交換できます。
一方、DIYでは絶対にできない作業は以下の通りです。
- 配水管(道路の下の水道管)から敷地内への給水管の引き込み
- 給水管の新設や延長
- 給水管のルート変更
- 水道メーターから蛇口までの配管の交換
- 給水管の分岐工事
- 屋外の散水栓や立水栓の新設・移設
これらの工事は、たとえDIYが得意で専用の工具を持っていたとしても、無資格者が行うことは法律違反になります。
「ばれなければいい」という考えは危険です。不適切な施工によって水漏れや水質汚染が起きれば、自分だけでなく近隣住民にも迷惑をかけることになります。
また、無資格者が施工した配管に問題があった場合、水道の供給を停止される可能性もあります。
さらに、火災保険や住宅保険の補償対象外になることもあるため、後々大きなトラブルに発展するリスクがあります。
インターネット上には「給水管のDIY方法」を紹介する情報もありますが、これらは法律に違反する行為です。安易に真似をしないよう注意しましょう。
水道法で禁止されている工事
なぜ水道管の工事が法律で規制されているのか、その理由を理解しておくことも大切です。
水道法第16条の2では、給水装置の工事は指定給水装置工事事業者に施行させなければならないと定められています。これに違反した場合、30万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、無資格者による工事が発覚した場合、水道事業者(各自治体の水道局)は、給水装置の使用を停止する措置を取ることができます。
つまり、水道が使えなくなってしまうのです。さらに、適切に施工し直すための費用も、すべて自己負担になります。
水道工事を行う際は、必ず水道局指定工事事業者に依頼しましょう。専門的な知識と技術を持った有資格者が、適切に施工してくれます。
費用はかかりますが、安全で確実な工事を受けられることを考えれば、決して無駄な出費ではありません。
どうしても費用を抑えたい場合は、複数の指定業者から相見積もりを取る、補助金制度を活用するなど、合法的な方法で工夫しましょう。
水道管を交換する際の注意点
水道管の交換を決めたら、工事をスムーズに進めるために、いくつか知っておくべき注意点があります。
事前に理解しておくことで、予想外のトラブルを避け、ストレスなく工事を終えることができます。
断水(水が使えない)期間が発生する
水道管の交換工事では、作業中に必ず断水が発生します。工事の規模にもよりますが、短くても数時間、長ければ丸一日以上、水道が使えなくなることもあります。
断水中は、飲み水はもちろん、トイレ、お風呂、洗濯、料理など、すべての水回りが使えません。
特に小さなお子様やご高齢の方がいるご家庭では、生活への影響が大きくなります。
工事前に業者と相談して、断水の時間帯や期間を明確にしておくことが大切です。
できれば、家族が外出している時間帯や、週末などを選ぶと良いでしょう。
また、断水に備えて以下のような準備をしておくと安心です。
- 飲料水や生活用水をペットボトルやポリタンクに確保しておく
- 断水前にお風呂に水を張っておく(トイレの流し水などに使える)
- 洗濯や食器洗いなど、水を使う家事は事前に済ませておく
- 断水中の食事は、水を使わない食材や外食で対応する
マンションの場合、工事の影響で周辺の住戸も断水する可能性があります。管理組合を通じて、事前に近隣住民に告知してもらうようにしましょう。
工事によっては床や壁の解体が必要になることも
水道管の多くは、壁の中や床下、地中に埋まっています。そのため、配管を交換するには、それらを一部解体する必要が出てくることもあります。
特に、浴室やキッチンなどの水回りの配管を交換する場合、床材を剥がしたり、壁に点検口を作ったりすることがあります。
工事完了後は元の状態に復旧されますが、使用する材料によっては、完全に元通りにはならないこともあります。
例えば、タイルやフローリングを一部解体した場合、同じ素材が手に入らず、似た色のもので代用することもあります。気になる方は、事前に業者と仕上がりイメージを確認しておきましょう。
また、解体や復旧の費用は、見積もりに含まれているかを必ず確認してください。
後から「別途費用がかかります」と言われてトラブルになるケースもあるため、契約前にしっかり確認することが大切です。
配管のルートを変更したり、より交換しやすい場所に配管を通し直したりすることで、将来のメンテナンスが楽になることもあります。
工事の際には、そうした提案を業者にしてもらうのも一つの方法です。
近隣への配慮と事前説明を忘れずに
水道管の交換工事では、掘削作業や配管の切断作業などで、騒音や振動が発生します。
特に戸建て住宅の場合、工事車両の出入りや、重機の使用によって、近隣にご迷惑をかける可能性があります。
トラブルを避けるためにも、工事前に近隣住民へ一声かけておくことをおすすめします。
業者が挨拶回りをしてくれることもありますが、できれば施主であるご自身からも挨拶しておくと、より良い関係を保てます。
挨拶の際には、以下のような内容を伝えると良いでしょう。
- 工事の内容(水道管の交換工事を行う)
- 工事期間(〇月〇日から〇日間)
- 工事時間帯(午前9時から午後5時まで、など)
- ご迷惑をおかけすることへのお詫び
- 何かあった場合の連絡先(業者の電話番号など)
マンションの場合は、管理組合への届け出が必須です。工事の内容、日時、業者名などを記載した書類を提出し、承認を得る必要があります。
また、共用部分を通って資材を運び込む場合は、その際の養生方法なども確認しておきましょう。
こうした配慮を怠ると、後々近隣とのトラブルに発展することもあります。「お互い様」の精神で、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。
水道管の交換工事に関するよくある質問(FAQ)
水道管の交換について、多くの方が抱く疑問や不安にお答えします。
Q1. 水道管の交換にはいくらぐらいかかる?
水道管の交換費用は、工事の範囲や建物の状態によって大きく変わりますが、一般的な相場は以下の通りです。
- 部分的な交換:1万円~3万円程度
- 給水管全体の交換:10万円~30万円程度
- 敷地内の給排水管をまとめて交換:35万円~50万円程度
配管が地中に埋まっている場合の掘削費用や、アスファルト・コンクリートの復旧費用が加わると、さらに費用が増えることもあります。
正確な金額を知るには、複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。
Q2. 水道管の工事期間はどれくらい?
工事期間は、交換する配管の範囲によって異なります。
- 部分的な交換:半日~1日程度
- 給水管全体の交換:1日~3日程度
- 敷地内全体の給排水管交換:3日~1週間程度
ただし、配管が複雑なルートを通っている場合や、天候不良で掘削作業ができない場合などは、さらに日数がかかることもあります。工事スケジュールは業者と事前にしっかり確認しましょう。
Q3. 水道管交換工事による断水はどのくらい続く?
断水時間は、工事内容によって異なりますが、一般的には以下の通りです。
- 部分的な交換:数時間程度
- 給水管全体の交換:半日~1日程度
業者は、断水時間をできるだけ短くするよう工夫してくれます。
生活への影響を最小限にするため、工事のタイミングを家族の外出時に合わせるなどの調整も相談してみましょう。
Q4. 賃貸マンションや住宅の水道管交換費用は誰が負担するの?
賃貸物件の場合、水道管の劣化は通常の経年劣化に該当するため、基本的には大家さん(所有者)が費用を負担します。
借主に過失がない限り、水道管の交換費用を請求されることはありません。
水道に異常を感じたら、まずは大家さんや管理会社に連絡してください。
ただし、勝手に業者を呼んで工事をしてしまうと、後から費用を請求されても認められない可能性があるため、必ず事前に相談することが大切です。
Q5. 水道管の交換工事に使える補助金や助成金はある?
はい、自治体によっては水道管の交換に対して補助金制度を設けています。
特に、鉛製の給水管を交換する場合は、多くの自治体が補助金を出しています。
また、老朽化した配管の更新を促進する「老朽給水管改良促進事業」や、住宅リフォームに伴う配管交換への補助金などもあります。
補助金の有無や金額は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の水道局や住宅課に問い合わせてみましょう。
工事を依頼する業者に相談すれば、利用可能な補助金について教えてもらえることも多いです。
まとめ
水道管の交換は、住宅の寿命を延ばし、安全で快適な生活を守るために欠かせないメンテナンスです。
この記事でお伝えした内容を、最後にもう一度整理しておきましょう。
- 水道管の耐用年数は素材によって異なるが、一般的に30~40年が目安となる
- 水の色・味・臭いの異常、水漏れの頻発、水量の低下は交換が必要なサイン
- 交換費用の相場は、部分交換で1万円~3万円、敷地内全体で35万円~50万円程度
- 自治体の補助金制度を活用することで、費用負担を軽減できる場合がある
- 水道管交換工事のDIYは法律で禁止されている
- 工事中は断水が発生するため、事前に準備と近隣への配慮が必要
水道管は普段目に見えない場所にあるため、つい後回しにしてしまいがちです。
しかし、劣化のサインを見逃して放置すれば、水漏れによる建物へのダメージ、高額な修繕費、最悪の場合は健康被害につながる恐れもあります。
「最近、水の出が悪い気がする」「水道料金が急に上がった」といった小さな変化も、水道管からの大切なメッセージかもしれません。
気になる症状があれば、まずは水道局指定工事事業者に相談して、現地調査をしてもらうことをおすすめします。多くの業者では、調査や見積もりは無料で行ってくれます。
早めの点検と適切なメンテナンスで、大切なご自宅の水道設備を長く安全に使い続けましょう。
この記事が、あなたの水道管交換の判断と準備の一助となれば幸いです。