マンションの大規模修繕・防水工事・外壁塗装に関わる2025年の最新ニュースと制度まとめ

2025/10/02

マンションやビルの大規模修繕、防水工事、外壁塗装は、建物を長持ちさせるために欠かせない工事です。経年劣化による外壁のひび割れやタイルの浮き、屋上防水層の劣化などを放置すれば、雨漏りや内部の腐食、さらには居住者の安全に直結するリスクへとつながります。そのため管理組合やオーナーは、10〜15年ごとに修繕計画を立てるのが一般的です。

2025年は、こうした修繕工事に直接関わる法律や制度が大きく動いた年でもあります。国の省エネ政策に伴う建築基準法や省エネ法の改正、外壁調査に関する告示改正、住宅省エネキャンペーンによる大型補助金の開始など、実務に直結するニュースが相次ぎました。さらに、タイルや塗料メーカーによる資材価格の改定も発表され、予算計画や契約条件を見直す必要性が高まっています。

ここでは、2025年に押さえておくべきマンションの大規模修繕・防水工事・外壁塗装に関連するニュースや法律・制度を整理し、これから修繕を計画する管理組合やオーナーに役立つ情報をまとめました。

今回は以下を参考・引用してマンション大規模修繕に関わる情報をお伝えします。

参考・引用サイトURL
住宅省エネ2025キャンペーン(制度概要)https://jutaku-shoene2025.mlit.go.jp/ (住宅省エネ2025キャンペーン〖公式〗)
住宅省エネ2025キャンペーン(LIXIL)https://www.lixil.co.jp/shoenehojokin/2025/ (LIXIL)
国土交通省https://www.mlit.go.jp/ (国土交通省)
住宅省エネ2025 キャンペーン PDF(3省連携)https://www.mlit.go.jp/common/001855018.pdf (国土交通省)
先進的窓リノベ2025 事業(補助対象の条件)https://window-renovation2025.env.go.jp/ (先進的窓リノベ2025事業〖公式〗)
建築基準法12条 点検 改正(定期調査報告制度)https://www.bureauveritas.jp/magazine/241203/002 (bureauveritas.jp)
建築基準法12条 定期報告制度(国交省公式)https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000039.html (国土交通省)
建築基準法・建築物省エネ法 改正告示の制定・改正https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000096.html (国土交通省)
建築基準法改正による省エネ義務拡大https://www.bvjc.com/news/news_detail/241219.html (bvjc.com)
※補助金や助成金については終了の可能性もあります。引用サイトよりご確認ください

目次

2025年に注目すべきマンション大規模修繕関連の動きのまとめ

今年は、修繕計画や工事発注に大きく影響するイベントが数多くありました。以下の表は、2025年に実施された主要な制度改正や補助金施策、価格改定を時系列でまとめたものです。どれも見逃すと費用面やスケジュール面で損をする可能性があるため、修繕を控えている方は要チェックです。

時期出来事・制度主なポイント
4月建築基準法・建築物省エネ法の改正施行新築だけでなく増改築でも省エネ基準適合が義務化。大規模修繕で断熱工事を含める場合は事前確認が必要。
6月〜住宅省エネ2025キャンペーンの開始窓や玄関ドア改修に大型補助金。防水工事や外壁塗装と一緒に行うとコスト削減効果が高い。
7月1日建築基準法12条 定期報告の告示改正施行外壁調査で赤外線カメラやドローンを正式に利用可能に。調査手法の幅が拡大。
9月マンション標準管理規約の改正予定長寿命化・管理適正化を目的とした規約改正が予告され、発注や決議ルールの明確化が期待される。
9月国交省による長寿命化・管理適正化事例の発表補助金採択事例や管理改善の最新事例が公表され、修繕計画の参考になる。
通年管理適正評価制度の普及評価取得件数が増加し、資産価値や融資評価にも影響。長期修繕計画の見直しに直結。
通年資材価格の改定(タイル・塗料等)各メーカーで値上げが実施。見積り有効期限や契約条項への対応が必須。
地域ごと自治体の助成制度東京都中央区などでは共用部改修に最大1,100万円の助成。自治体ごとに条件が異なる。

マンション大規模修繕の法律・制度の詳細と修繕工事への影響

2025年は建築関連の法律や制度に大きな改正があり、マンションの大規模修繕や防水工事、外壁塗装に直結する内容が目立ちます。省エネ義務化や外壁調査の合理化、管理規約の改定などは、工事の方法や発注手続き、資金計画に直接関わる重要なポイントです。ここからは、それぞれの制度の詳細と修繕工事への実務的な影響について整理していきます。

建築基準法・省エネ法改正(2025年4月施行)

2025年4月から施行された改正により、新築建物だけでなく、一定規模以上の増改築においても省エネ基準の適合が義務化されました。これまで修繕工事は対象外と考えられることが多かったのですが、外壁や屋上の大規模な断熱改修を伴う場合は、適合確認が必要となるケースがあります。

この改正は、今後の大規模修繕に「断熱性能の向上」という観点を強く取り入れる契機となります。修繕を計画する際は、建築士や施工会社と連携し、省エネ基準の対象になるかを必ず確認することが重要です。

建築基準法12条 定期報告の告示改正(2025年7月施行)

従来、外壁調査といえば打診調査が中心でしたが、2025年7月から赤外線カメラやドローンによる非破壊調査が制度的に認められました。これにより、高層マンションやビルでも足場を設置せずに効率よく調査できるようになり、コスト削減や工期短縮が可能となります。

ただし、赤外線やドローンは気象条件や建物環境に左右されやすく、精度面では打診調査の方が優れています。そのため、予備調査として新技術を活用し、必要な部分のみ打診調査を行うといった組み合わせが有効です。自治体によって取り扱いが異なる場合もあるため、発注前に所轄行政の基準を確認することが不可欠です。

マンション標準管理規約の改正予定(2025年9月)

国土交通省は2025年9月末を目途に標準管理規約の改正を予定しています。改正の背景には、築古マンションの増加や管理の質を高める必要性があり、修繕積立金の水準や工事発注ルールの透明化などが盛り込まれる見込みです。

この改正により、理事会や総会での修繕工事の決議方法、見積比較や入札の実施がより明確に義務づけられる可能性があり、今後は従来以上に透明性と客観性を求められるでしょう。

管理適正評価制度の普及

「管理適正評価制度」は、国交省が推進するマンション管理の見える化制度です。評価件数は年々増加しており、2025年3月時点で8,000件を超えました。評価を取得すると不動産市場での価値向上や金融機関の評価アップにつながるため、修繕計画や積立金の妥当性を再検討するきっかけにもなります。

住宅省エネ2025キャンペーン

断熱窓や玄関ドア改修を対象にした国の補助金制度が本格稼働しました。マンションやビルの大規模修繕と同時に窓改修を行えば、工事全体の費用削減につながるうえ、光熱費削減や結露防止といった居住環境改善効果も得られます。

補助金は交付申請期限が2025年内に設定されているため、今年着工する工事であれば早めに業者とスケジュールを調整することが求められます。

資材価格の改定

タイルメーカー各社や塗料メーカーは2025年に価格改定を行い、修繕工事の見積金額に影響を及ぼしています。円安や原材料費の高騰が背景にあり、資材費が工事全体のコスト増加につながっているのが実情です。

発注者としては、見積書の有効期限を明記させたり、価格変動に応じて協議できる「価格スライド条項」を契約に盛り込むことがリスク回避に有効です。

自治体ごとの助成制度

国の制度だけでなく、東京都中央区をはじめとする自治体では独自に修繕工事への助成制度を設けています。補助金額や対象範囲は地域ごとに異なり、年度ごとに予算枠が設定されているため、最新の公募要領を確認してから工事計画を立てることが重要です。

2025年における大規模修繕や防水工事、外壁塗装の制度について

2025年に大きな注目を集めた法律・制度改正や施策は、大規模修繕や防水工事、外壁塗装の発注や計画に直結します。ここでは特に影響の大きいテーマを4つ取り上げ、それぞれの詳細と実務面でのポイントを整理します。

外壁調査の新しい選択肢と実務対応

2025年7月から施行された建築基準法12条「定期報告」の告示改正により、外壁調査の方法に大きな変化が生まれました。従来は足場やゴンドラを組んで直接タイルを打診する調査が主流でしたが、新制度では赤外線カメラやドローンによる非破壊調査が正式に認められています。これにより、高層マンションやビルでも効率的に調査を実施できるようになりました。

ただし、赤外線やドローンは日射条件や風の影響を受けやすく、精度の面では従来の打診調査が優位とされます。そのため実務では、まず赤外線やドローンで広範囲を確認し、異常が見つかった部分を重点的に打診調査する「ハイブリッド調査」が現実的な手法です。自治体によって非破壊調査の取り扱いが異なるため、発注前には所轄行政に確認し、報告書の内容が認められるかを確認しておく必要があります。

補助金活用で広がる住宅省エネ2025キャンペーンのメリット

2025年に本格的に始動した「住宅省エネ2025キャンペーン」は、マンションやビルの大規模修繕と相性が良い制度です。窓や玄関ドアといった開口部の断熱改修を対象とし、補助額は1住戸あたり数十万円に上るケースもあります。外壁塗装や防水工事と同時に実施すれば、足場費用を効率的に活用でき、建物全体の快適性や省エネ性能を高めながら工事費の削減につなげられます。

制度の概要

  • 対象工事:窓交換、ガラス交換、内窓設置、玄関ドア交換など
  • 補助額:1住戸あたり数万円〜数十万円規模
  • 活用方法:外壁塗装・防水工事と同時実施でコスト効率アップ

申請の注意点

  • 工事完了期限が定められており、2025年内に実施する必要がある
  • 補助対象製品には性能基準があり、規定を満たすものに限定される
  • 「交付決定前には着工できない」という原則があるため、スケジュール調整が必須

実務での準備ポイント

  • 施工会社やコンサルタントと早期に協議する
  • 補助対象となる製品や工事範囲を事前に確認する
  • 総会決議から申請、着工までの流れを逆算し、余裕を持った計画を立てる

資材価格改定と見積もり交渉の新常識

2025年はタイルや塗料を中心に資材価格の改定が相次ぎました。背景には円安や原材料費の高騰、物流コストの上昇があり、修繕工事の費用に直接的な影響を与えています。特にタイルメーカーでは春から夏にかけて複数回の価格改定が発表され、見積取得から契約までの間に単価が変わるケースも発生しています。

発注者や理事会が取るべき対策は明確です。まず、見積書には必ず有効期限を明記させ、値上げ前の価格を保証する条件を取り入れること。そして契約時には「価格スライド条項」を設定し、資材価格が一定以上変動した場合には協議できる仕組みを整えておくことが望まれます。さらに、代替材や在庫品の活用、一括発注によるロット割引の交渉など、複数の対策を組み合わせることで価格上昇の影響を最小化することが可能です。

標準管理規約改正がもたらす工事発注への影響

国土交通省は2025年9月末を目途にマンション標準管理規約を改正する予定です。今回の改正は、築古マンションの増加や管理適正化への社会的要請を背景に進められており、修繕積立金の透明性や工事発注ルールの強化が柱とされています。

この改正により、理事会や管理組合には従来以上に透明性の高い運営が求められるようになります。具体的には、複数社からの見積取得や入札の実施が規約上で明確に位置づけられる可能性があり、工事発注における公平性や客観性を担保することが必須となります。また、総会での議案資料にも資金計画や補助金活用の見通しを含めた精度の高い内容が求められ、外部コンサルタントや技術者の関与が常態化していくと考えられます。

管理組合としては、改正内容が公表された段階で速やかに規約改定の準備を進めることが重要です。理事会での検討を経て、次回総会に議案を上程できるようスケジュールを調整し、住民への説明責任を果たす体制を整える必要があります。

マンション大規模修繕のよくある質問(FAQ)

2025年は、マンションの大規模修繕・防水工事・外壁塗装に関する法律や制度が大きく変わった年でした。管理組合やオーナーからは「何がどう変わったのか」「実際の修繕工事にどう関係するのか」といった具体的な疑問が多く寄せられています。ここでは、よくある質問に答える形でポイントを整理し回答していきます。

外壁調査は必ず打診でやらなければなりませんか?

  • 2025年7月の改正で、赤外線カメラやドローンによる非破壊調査が正式に認められました。
  • 打診調査は精度が高い一方でコストが大きく、新技術を併用することで効率的な調査が可能です。
  • ただし、自治体によって基準の運用が異なるため、発注前に所轄行政へ確認しておくことが大切です。

大規模修繕の際に窓やドアも一緒に工事した方がいいのですか?

  • 住宅省エネ2025キャンペーンを活用すれば、窓やドアの交換に対して補助金を受けられます。
  • 足場を組むタイミングで同時に施工すると、コスト効率が高く、住民負担を減らせます。
  • 断熱性能が向上し、省エネ効果や快適性の改善にもつながります。

資材価格の値上がりが心配ですが、契約で対策できますか?

  • 見積書には「有効期限」を明記し、契約までの価格を保証させましょう。
  • 契約に「価格スライド条項」を盛り込み、資材価格が一定以上変動した場合に協議できるようにします。
  • 代替材や在庫品の活用、一括発注によるロット割引も有効な対策です。

標準管理規約の改正は修繕工事にどう影響しますか?

  • 見積比較や入札の実施がより明確に求められる可能性があります。
  • 総会での議案資料は、積立金や補助金活用など具体性が必要になります。
  • 外部専門家やコンサルタントの関与が増えることで、発注の透明性が高まります。

管理適正評価(★制度)を取得するメリットは?

  • 評価を取得すると、売却時の資産価値や金融機関からの信頼が高まります。
  • ★評価取得の過程で、長期修繕計画や積立金の見直しが行われるため、管理組合の運営改善にもつながります。

省エネ法改正は修繕工事にも関係しますか?

  • 外壁や屋上の断熱改修を伴う場合、省エネ基準の適合確認が必要になるケースがあります。
  • 特に大規模な改修や増改築を伴う工事では、設計段階で建築士と確認を行うことが必須です。

2025年の大規模修繕・防水工事・外壁塗装における重要ポイントまとめ

2025年の大規模修繕・防水工事・外壁塗装における重要ポイントを整理すると以下の通りです。

  • 省エネ法改正により、断熱改修を含む工事では基準適合が求められるケースがある
  • 外壁調査は赤外線やドローンを活用でき、調査手法の選択肢が広がった
  • 住宅省エネ2025キャンペーンで補助金を活用すると工事費を大幅に軽減できる
  • 資材価格の改定により、契約書でのリスク回避策が不可欠
  • 標準管理規約改正で、発注手続きや住民合意の在り方が変わる可能性が高い
  • 管理適正評価制度は資産価値や金融機関評価に直結し、取得が有利に働く

これから修繕を計画する管理組合やオーナーは、単なる工事の実施にとどまらず、制度や法律の変化を前提とした戦略的な意思決定が必要です。スケジュール管理・契約条件・補助制度の活用をしっかりと見極めることで、2025年の環境を有利に活かした修繕が実現できるでしょう。

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