大規模修繕と建築基準法について|確認申請・定義・手続きをゼロから理解

2025/07/24

マンションやビルの大規模修繕を行う際、「建築基準法上の確認申請が必要なのか?」「法令に違反せず進めるにはどうすれば?」といった疑問を持つ管理組合やオーナーは少なくありません。建物の維持管理と法律遵守は密接に関係しており、特に大規模修繕では「建築基準法」によって明確な定義や手続きが求められています。

この記事では、大規模修繕と建築基準法の関係をわかりやすく解説し、確認申請の必要性や手続きの流れ、さらには関連する法律や定期報告制度との違いまで丁寧に紹介します。初めて修繕を担当する方でも理解できるよう、図表や事例を交えながら解説しています。

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目次

建築基準法で定義される「大規模修繕」とは?

大規模修繕とは、単なる修理や補修を超え、建物の主要構造部に対して一定以上の工事を行うものを指します。建築基準法においては、特定の条件を満たす場合に「確認申請」が必要となるため、まずはこの定義を正しく理解しておくことが大切です。

主要構造部・半分超で修繕する意味とは

建築基準法第6条第1項に基づき、「建築物の主要構造部(柱・梁・壁・床・屋根など)の過半(=延べ面積の1/2超)」を修繕または模様替えする場合、それは「大規模修繕」として扱われます。主要構造部の「どこを」「どれだけ」いじるのかが判断基準です。

修繕と模様替え・用途変更の違い

  • 修繕:劣化した部分の回復や交換を目的とする行為(例:劣化した外壁タイルの張り替え)
  • 模様替え:建物の形状・構造を変えずに見た目や仕上げ材を変更する行為(例:外壁の色変更)
  • 用途変更:建物の使い方が変更される(例:住居を事務所に変更)

この中でも、「主要構造部の1/2超の修繕・模様替え」は、確認申請の対象となる点に注意が必要です。

2025年の改正(4号特例廃止)のポイント

2025年施行の建築基準法改正により、「4号特例(木造2階建て以下の一部工事で建築確認が不要とされる制度)」が廃止され、これまで対象外だった小規模住宅や店舗でも確認申請が必要になるケースが増加します。大規模修繕でも一部影響を受ける可能性があるため、事前確認が推奨されます。

参考・引用:国土交通省 改正建築基準法

建築確認申請が必要になるケースと手続きの流れ

大規模修繕工事においても、内容や規模によっては建築基準法に基づく「建築確認申請」が必要になるケースがあります。確認申請の対象かどうかを見極めることは、工事の遅延や違法施工を防ぐために非常に重要です。

建築確認申請が必要となる大規模修繕の代表例

以下のような工事内容は、建築確認の対象になることがあります。

対象となる工事概要
耐震補強工事壁・柱の増設など構造耐力に影響する補強工事
共同住宅のバルコニー拡張既存の用途区域内での床面積変更を伴う場合
防火設備の改修防火戸や避難経路の変更を含む施工
外壁の大規模な張替え一定規模以上の外壁撤去・再施工が伴うケース
屋上防水の仕様変更工法変更により構造耐力上の安全に影響する場合

特に、構造・避難・防火に関わる工事は、建築基準法の「大規模の修繕・模様替え」に該当し、確認申請が義務付けられる可能性が高くなります。

建築確認申請が不要なケース

一方で、以下のような「表面だけの補修」「構造に影響しない改修」は、確認申請不要とされるのが一般的です。

  • 塗装やコーキングの打ち替え
  • 既存仕様と同等での防水層再施工
  • 共用部の設備更新(照明器具・手すり等)

ただし、建物の用途・構造・地域の条例によっては例外もあるため、事前に行政や設計士に相談することが重要です。

建築確認申請の手続きの流れ

建築確認申請の基本的な流れは以下の通りです。

  1. 計画内容の整理・図面作成
     設計者が改修計画をもとに、建築確認用の図面と書類を作成します。
  2. 申請書の提出(特定行政庁または指定確認検査機関)
     建物の所在地に応じて、提出先が異なります。
  3. 審査・指摘対応
     構造・防火・避難経路などの観点で審査が行われ、不備があれば修正・再提出。
  4. 確認済証の交付
     承認されると「確認済証」が交付され、着工が可能になります。
  5. 完了検査・完了検査済証の取得
     工事完了後に検査を受け、適合していれば「完了検査済証」が交付されます。

大規模修繕工事の種類ごとに見る確認申請の必要性

大規模修繕において確認申請が必要かどうかは、工事の種類によって異なります。以下は、主な修繕工事について確認申請の必要性をまとめた早見表です。

工事の種類内容の例確認申請の必要性備考
外壁塗装・防水工事外壁の塗替え、屋上の防水層改修など原則不要(※例外あり)建物の構造や仕様を変更しない場合は不要。ただし主要構造部を含む大規模な工事では要注意。
屋上・バルコニー改修防水層更新、手すり交換、勾配調整など条件により必要手すりの形状変更や構造の一部改変が含まれると申請が必要となるケースあり。
共用部のバリアフリー化スロープ設置、手すりの設置、床段差解消など内容によって異なる構造体に影響する改変(床の掘り下げ等)がある場合は確認申請が必要となる可能性あり。
構造補強・耐震改修耐震ブレースの追加、鉄骨補強、壁の補強など必要構造体に直接関与する改修は確認申請が必須。
用途変更を伴う工事住居を店舗へ変更、集会所を保育所に変更など必要建築基準法上の用途が変わる場合は、原則として建築確認申請が求められる。
外構・付属建物の改修駐輪場・ゴミ置場の新設、塀の設置・変更など高さ・面積などにより異なる建築物扱いになる場合(面積や高さ基準を超えるなど)は確認申請が必要となる可能性あり。

※判断が難しい場合は、設計者または建築士に相談し、建築主事との事前協議を行うことが推奨されます。

大規模修繕において確認申請が必要かどうかは、工事の種類によって異なります。ここでは代表的な修繕工事について、確認申請の必要可否を一覧で解説します。

外壁塗装・防水工事

通常、既存の外壁塗装の塗り替えや防水層の補修・更新については「模様替え」に該当することが多く、主要構造部の過半に及ばない限りは確認申請は不要です。ただし、塗料の厚みや防火性能に変更がある場合は、個別判断が必要になるケースもあります。特に防火地域・準防火地域では仕様確認が推奨されます。

屋上・バルコニー改修

屋上やバルコニーの改修も、防水層の更新であれば原則として確認申請は不要ですが、下地コンクリートの補強や形状変更がある場合は「大規模修繕」扱いになる可能性があります。手すりの交換やウッドデッキの設置など、安全性に影響する工事は設計士等との事前確認が重要です。

共用部のバリアフリー化

エントランスや廊下、階段などの共用部分におけるバリアフリー対応(スロープ設置、手すり追加、段差解消など)は、構造変更を伴わなければ確認申請は不要です。ただし、エレベーター設置や床レベルの改変を伴う場合には「増築」や「用途変更」として確認申請が必要となる場合があります。

構造補強・耐震改修

耐震性能を向上させるための補強工事(ブレース設置・壁増設・柱の補強など)は、「主要構造部の変更」に該当するため、原則として建築確認申請が必要です。特に1981年以前に建てられた旧耐震基準の建物では、補助金対象となる場合もあるため、法的手続きとあわせて補助制度の確認も忘れずに行いましょう。

大規模修繕における区分所有法・マンション管理適正化法との関連性

大規模修繕においては、建築基準法だけでなく、区分所有法やマンション管理適正化法といった他の法制度との関係も重要です。建物の物理的な工事だけでなく、「誰が決めるのか」「どのような手続きが必要なのか」といった運営・管理のルールが密接に関係するため、法的観点からの確認が欠かせません。

区分所有法に基づく総会決議の必要性

区分所有法では、共用部分に関わる工事には区分所有者の総会決議が必要とされています。大規模修繕は通常、共用部分(外壁、屋根、構造躯体等)に対して行われるため、原則として「特別決議(4分の3以上の賛成)」が必要です。これを怠ると、後々のトラブルや無効訴訟につながる恐れがあります。

管理規約の定めと適用範囲の確認

マンションごとに定められた管理規約には、大規模修繕の実施に関する具体的なルールが記載されている場合があります。たとえば、工事内容・実施時期・資金の取り扱いなど、管理組合の運営に大きく関わる部分が定められており、これを無視して工事を進めることはできません。

マンション管理適正化法による監督体制

マンション管理適正化法では、管理組合の適正な運営を図るため、管理業務の委託先や管理会社に対する登録制度・指導監督制度が設けられています。大規模修繕の際には、管理会社が重要な役割を担うため、適正化法に基づいた手続きやチェック体制を理解し、トラブルを未然に防ぐことが求められます。

このように、複数の法律が複雑に関わるのが大規模修繕の特徴です。実施前には専門家による法的確認や、管理組合内での丁寧な合意形成が不可欠となります。

定期報告(建基法12条)の義務と大規模修繕時の実務ポイント

建築基準法第12条では、一定の建築物に対して「定期報告制度」の適用が義務づけられています。これは、建築物やその設備の安全性を維持するため、所有者や管理者が定期的に調査・報告を行う制度です。大規模修繕と定期報告は目的が異なるものの、修繕工事の判断や優先順位を決めるうえで密接に関係します。

定期報告が必要な建築物とは?

定期報告の対象となるのは、主に不特定多数が利用する中高層建築物(例:マンション、学校、病院、商業施設など)や、特定用途に該当する施設です。報告の頻度や対象は自治体によって異なりますが、一般的には3年〜5年ごとに外壁、避難経路、設備機器などの調査が求められます。

大規模修繕の判断資料にもなる

定期報告で指摘された不具合や劣化箇所は、そのまま大規模修繕の優先対象になるケースが多くあります。たとえば、外壁の浮きやひび割れ、屋上防水の劣化などが報告書に記載されていれば、それに基づいて修繕計画を立てることが合理的です。

定期報告と修繕時の実務的な連携ポイント

  • 調査結果を踏まえた修繕計画の策定
  • 報告書作成を担当した建築士との情報共有
  • 必要に応じて行政への相談や補助金の検討

これらの連携により、報告と修繕を切り離すことなく、建物の長寿命化と法令遵守を両立することが可能になります。

大規模修繕における「既存不適格建築物」の注意点

大規模修繕を行う際には、「既存不適格建築物」であるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。これは、過去の法改正によって現行の建築基準法に適合しなくなった建築物のことを指し、法的な扱いや改修内容に制限が生じることがあります。

既存不適格とは?違法建築とは違う

「既存不適格建築物」とは、建築当時は合法だったものの、後の法改正により現行法に適合しなくなった建築物を指します。これは「違法建築物」とは異なり、法的には認められている状態です。

たとえば、高さ制限や容積率が改正され、現在の基準では建てられない規模になってしまったマンションなどが該当します。建て替えや増改築を行うと現行基準に適合させる必要があるため、工事の自由度が制限される場合があります。

修繕内容によっては確認申請が必要になるケースも

既存不適格建築物であっても、通常のメンテナンスや軽微な修繕であれば問題なく実施できます。しかし、「大規模修繕」「大規模の模様替え」「用途変更」など、建築確認が必要な行為に該当する場合は、確認申請が必要となり、その際には現行の建築基準法に適合させる必要があります。

つまり、単なる修繕でも建築基準法上の制約が強く影響するケースがあるため、事前に建築士や専門業者に相談し、既存不適格の有無を調べることが不可欠です。

既存不適格が疑われるケースと対応

以下のようなケースでは、既存不適格の可能性があるため注意が必要です。

  • 1981年以前に建てられた旧耐震基準の建物
  • 増築・改築の履歴がある建物
  • 現在の用途地域・建ぺい率・容積率に合致しない建物

対応としては、事前に建築図面・検査済証などの資料を確認し、不適格部分を特定したうえで、修繕工事の範囲と内容を慎重に計画することが求められます。

実録!新東亜工業の施工事例|8階建てマンションの大規模修繕工事

築17年の8階建てマンションにおける、管理組合主導による大規模修繕工事の一部始終をご紹介します。
「予算オーバーを避けたい」「融資は極力使いたくない」といった現実的な課題を抱える中で、新東亜工業がどのように提案し、信頼を築きながら工事を完遂したのか──。
理事会への説明から近隣対応、完成後のフォローまで、実際のやり取りを交えてリアルにお伝えします。

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ご相談内容

築17年が経過し、管理組合では以前から大規模修繕の検討がされていましたが、資材高騰などにより予算が合わず延期されていた背景があります。「融資は避けたい」「必要な部分に絞って実施したい」といった要望の中、数社に見積り依頼をされていた中で弊社にご相談をいただきました。

担当者:お問い合わせありがとうございます。ご予算に合わせて施工範囲を調整することも可能です。弊社は子会社で材料問屋を持っているため、同じ工事でも他社様より価格を抑えるご提案が可能です。
お客様:なるべく費用を抑えたいので、ぜひ現地調査をお願いします。図面などもご用意します。
担当者:ありがとうございます。図面と、屋上に鍵があるようであればご用意をお願いします。

工事の概要|工事金額と期間

大規模修繕 施工前
大規模修繕 施工後
項目 内容
建物種別 分譲マンション(8階建て)
所在地 東京都内(詳細非公開)
工事内容 大規模修繕工事(外壁補修・塗装・防水・シーリング・長尺シート他)
工法 足場設置のうえ全面修繕/ウレタン塗膜防水(密着工法)他
その他特記事項 理事会へのプレゼンあり、工事中の騒音・近隣対策対応あり

工事金額:2,430万円 期間:約2カ月間

現地調査で判明した劣化症状

現地調査では、屋上の防水層や外壁のシーリング、タイル目地などに劣化が見られました。既存のアスファルトシート防水はまだ機能していたものの、再施工のタイミングとしては適切であり、ウレタン塗膜防水による上塗りを推奨しました。また、タイルの一部には硬化不良が確認され、慎重な撤去作業が必要な状態でした。

担当者:屋上はアスファルトシート防水ですね。状態は悪くないので、ウレタン塗膜防水の密着工法が適しています。
お客様:それでお願いします。あとベランダは見た目を良くしたいので、長尺シートも検討したいです。
担当者:シートは費用が倍近くかかるので、ウレタンの方が予算には優しいですね。
お客様:でも可能ならシートにしたいので、そちらで見積りお願いします。

施工中のやり取りと配慮

工事期間中は、騒音や近隣への影響を最小限に抑える配慮を行いました。作業工程や騒音の案内は掲示板やホワイトボードで事前に周知し、近隣住民や管理人との連携も徹底。足場設置やメッシュシートの風対策も含め、安全対策も万全に対応しました。また、アスベスト調査も事前に実施し、含有なしを確認済みです。

お客様:日曜に音がしたって苦情が来たのですが…。
担当者:調べたところ、隣の工事のものでした。担当者に周知のお願いはしておきました。
お客様:ありがとうございます。トラブルにならなくてよかったです。

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引き渡し時のご感想

工事完了後、お客様からは「タイルもまったく違和感がない」「すごく綺麗になった」と高い評価をいただきました。タイルの保管方法や施工写真・保証書を含めた竣工図書の提出も行い、今後のメンテナンスにも役立てていただける内容でお渡ししました。

お客様:どこを張り替えたかわからないくらい自然ですね。
担当者:窯焼きで色を合わせたので、かなり近く再現できています。必要があればいつでもご連絡ください。
お客様:ありがとうございます。次は廊下の床や照明をまとめて検討したいと思います。

今回の工事では、以下のような成果が得られました。

  • ご予算に合わせた柔軟な工事範囲調整
  • 自社施工・材料問屋からの直接仕入れでコストダウンを実現
  • 理事会での丁寧なプレゼンと近隣配慮で信頼を構築
  • 施工中の進捗報告や打ち合わせで透明性を確保
  • 外観と防水性が向上し、物件価値の維持につながった

新東亜工業では、お客様の状況に合わせた提案と対応を徹底しております。大規模修繕に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

失敗しない大規模修繕の進め方|チェックリスト形式で紹介!

大規模修繕は法的な確認だけでなく、実務面でもスムーズに進めるための準備と手順が不可欠です。以下に、施工前・施工中・施工後のフェーズごとのチェックポイントをまとめました。

施工前〜施工中〜施工後のチェックリスト

施工前のチェック項目

  • 管理組合内での合意形成(総会・説明会の実施)
  • 建築確認申請の要否判断(設計者・建築士と確認)
  • 修繕設計・工事監理者の選定(実績・第三者性)
  • 助成金・補助金の確認(自治体窓口への相談)

大規模修繕を円滑に進めるためには、着工前の準備段階での対応が極めて重要です。まずは管理組合内での合意形成が前提であり、総会の開催や説明会での情報共有によって、住民の理解と協力を得ることが求められます。

次に、建築確認申請が必要となる工事内容かどうかを判断するため、設計者や建築士などの専門家と十分に協議しましょう。加えて、修繕設計や工事監理を担う専門家の選定も欠かせません。第三者性や過去の実績などを基準に、信頼できるパートナーを選ぶことが成功の鍵です。

また、自治体によっては修繕に対する助成制度があるため、早めに窓口での相談を行い、活用可能な補助金の有無を確認しておくと費用面でも安心です。

施工中のチェック項目

  • 工事監理者による中間検査の実施
  • 工事進捗状況の掲示・住民周知
  • 安全対策(足場・通行規制・火気使用の注意)

大規模修繕の施工中には、工事の品質と安全を確保するための現場管理が欠かせません。まず、工事監理者による中間検査を定期的に実施し、設計図書通りに工事が進められているかを確認します。工事の段階ごとに検査ポイントを明確にし、不具合や施工ミスを早期に発見・是正する体制を整えることが重要です。

また、住民の安心と協力を得るためにも、工事の進捗状況を掲示板などで共有し、作業スケジュールや騒音・臭気の発生予定などを事前に周知しておくとトラブル回避につながります。

さらに、現場での安全管理も重要なポイントです。足場や仮設設備の設置・管理はもちろん、通行規制や火気使用時の管理体制、作業員への安全教育など、多角的な視点からリスクを最小限に抑える措置を講じましょう。

施工後のチェック項目

  • 完了検査(検査済証の取得)
  • 瑕疵担保責任期間の確認
  • 工事記録・写真の保管(次回修繕に備える)

大規模修繕工事の完了後は、建築基準法に基づく検査の受検とともに、将来的なトラブルや次回修繕に備えるための管理が重要です。まず、完了検査を受けて検査済証を取得することで、工事が法的に適正であったことを証明できます。

また、施工業者との契約内容に基づく瑕疵担保責任期間を確認しておくことも大切です。さらに、施工中の記録や写真、設計図書などを適切に保管することで、将来の修繕時に役立ちます。

大規模修繕における建築基準法でよくある質問(FAQ)

ここでは、大規模修繕と建築基準法に関する実務的な疑問に回答します。初めて担当する管理組合の方や個人オーナーの方も、ぜひ参考にしてください。

Q1:小規模住宅でも確認申請が必要になる?
A1:2025年の法改正により、4号特例が廃止されるため、小規模な木造住宅や低層建物でも一定の修繕で確認申請が必要になるケースが出てきます。設計者に必ず確認しましょう。

Q2:外壁塗装だけでも確認申請が必要?
A2:外壁塗装単体であれば確認申請は不要ですが、外壁全体の張り替えや補修が構造部に関係する場合には「大規模修繕」と見なされる可能性があります。

Q3:確認申請が必要かどうか、誰に相談すればよい?
A3:一級建築士などの設計者や、地元の建築指導課(市役所・区役所)が相談窓口となります。初期段階での相談がトラブル防止につながります。

Q4. 既存不適格の建物でも大規模修繕は可能ですか?

A. はい、可能です。ただし、工事の内容によっては追加の確認申請や構造計算が必要になるケースがあります。建築士に確認のうえ、必要な手続きを把握しておきましょう。

Q5. 外壁塗装や防水工事も大規模修繕に該当しますか?

A. 外壁塗装や屋上防水などは、主要構造部に関係しない場合は大規模修繕には該当しません。ただし、外壁の下地補修が延べ面積の半分以上におよぶ場合などは該当する可能性があります。

大規模修繕と建築基準法に関するまとめ

大規模修繕において、建築基準法への理解は「やってから気づく」では手遅れになるリスクがあります。特に主要構造部にかかる工事や、既存不適格物件の取り扱いには慎重な判断が必要です。

まずは設計者や専門業者と協議し、建築確認申請の要否を明確にしましょう。そして、必要に応じて定期報告やその他の法制度との関係も整理し、実務に落とし込む体制を整えてください。

適切な判断と段取りが、住民との信頼関係を損なわず、長期的な資産価値の維持につながります。