
工場の防水工事が必要なのはなぜ?設備・品質・安全を守るための対策とは
2025/07/24
工場は大量の機械設備や重要な製造ラインが稼働しているため、防水対策が非常に重要です。建物の劣化や雨漏りはさまざまなトラブルを招き、最悪の場合は、業務停止や多大な修繕コストにつながります。今回の記事では、防水工事が必要な理由から費用相場まで、解説します。
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目次
工場の防水工事が重要な理由
工場は多種多様な機械設備が稼働し、また原材料や製品の保管も行われる重要な生産拠点です。そのため、防水対策の有無が、製造の品質や効率・安全性に直結します。以下に、防水工事がなぜ欠かせないのか、具体的な理由を詳しく解説します。
雨漏り・浸水による機械設備の故障リスク
工場内で稼働する機械や電気設備は、高度な精密機器が多く、水分には極めて弱い性質を持ちます。屋根や外壁からの雨漏りや水の浸入は、これらの設備を故障させる大きな原因です。例えば、電気系統に水が触れることでショートや断線が起こり、生産ラインが停止する恐れもあります。
こうした故障が起こると、修理費用や部品交換費用が膨らむだけでなく、生産の停止による損失も莫大です。場合によっては製造納期の遅れや取引先との信用低下にもつながりかねません。防水工事により建物の水の侵入をしっかり防ぐことは、機械設備の長寿命化を図るだけでなく、事業の継続性を守るためにも不可欠なのです。
製品や原材料の品質維持
工場内は温度・湿度管理が求められることも多く、防水不良による湿気の侵入は、製品や原材料の劣化リスクを大きく高めます。特に電子部品や食品・化学製品などは湿気に弱く、品質低下や不良品の発生につながることが少なくありません。
さらに、湿気によるカビや腐食は製品の安全性や衛生面にも影響を及ぼします。製造工程全体の安定化と品質の均一化を図るためにも、防水対策は非常に重要です。工場全体の環境管理の基盤として、防水工事を計画的に行うことが求められます。
労働環境の安全確保
雨漏りや水の侵入で床面が濡れると、作業者の転倒事故リスクが高まるほか、電気設備との接触による感電事故の危険性も増します。安全な作業環境を維持することは、労働災害防止の観点からも最優先課題です。
また、雨漏りが続くと建物内部のカビや腐食が進み、空気質の悪化を招く場合もあります。従業員の健康維持にも防水工事が貢献するため、安全衛生管理体制の一環として積極的に取り組むべきです。
建物の耐久性向上と資産価値の維持
防水工事を怠ると、雨水が建物の鉄筋コンクリート内部に浸透し、鉄筋の錆びやコンクリートの劣化を促進します。これにより建物の耐震性や構造的な安全性が低下し、倒壊リスクが増大する恐れもあります。
また、劣化の進行は補修・改修費用の増大を招き、結果的に工場施設全体の資産価値を著しく下げてしまいます。早期に防水工事を実施することで、建物の寿命を延ばし、長期的な維持管理コストの削減に繋がるため、経営面から見ても極めて合理的な選択です。
工場に適した防水工事の種類とその特徴
工場は製造業の要となる重要な施設であり、建物の構造や使用環境は多種多様です。そのため、防水工事を行う際は単に防水性能だけでなく、耐久性や施工性・メンテナンス性、さらには化学薬品への耐性など、多角的に工法を選定する必要があります。以下では、工場に特に適した代表的な防水工法とその特徴を詳しく解説します。
ウレタン防水
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗布し、硬化させて一体化した防水膜を形成する工法です。液体タイプのため、凹凸や複雑な形状の場所でも継ぎ目なく施工でき、漏水リスクを大幅に低減できます。
特徴とメリット
- 高い密着性:下地にしっかり密着し、隙間を作りにくいため耐水性能が優れる。
- 柔軟性:温度変化や建物の微細な動きによるひび割れに強く、長期にわたり防水性能を維持。
- 施工性の良さ:比較的短期間で塗布作業が完了し、複雑な形状にも対応可能。
- メンテナンスが容易:既存の防水層に重ねて塗ることもでき、部分補修も簡単。
適用例
工場の屋上やバルコニー・機械設置部周辺など、形状が複雑で細部まで防水が必要な箇所に多く採用されています。
塩ビシート防水
塩化ビニル樹脂(PVC)製の防水シートを貼り付ける工法で、広い面積を効率よく防水できるのが特徴です。シートの溶接や接着によって継ぎ目を密閉し、防水膜を形成します。
特徴とメリット
- 高耐久性:紫外線や熱に強く、長期間安定した防水性能を保持。
- 迅速な施工:大面積の工場屋根などでの施工に適し、工期短縮が可能。
- 強度が高い:重量物や機械の振動にも耐え、工場内の過酷な環境に対応。
メンテナンスのしやすさ:部分的な損傷の修繕や交換が容易でコストを抑えられる。
適用例
工場の大規模な屋根や駐車場など、平坦で広い面積の防水に最適です。特に重機が通る場所や負荷がかかる床面にも強さを発揮します。
アスファルト防水
アスファルト防水は熱で溶かしたアスファルトを塗布し、防水層を形成する伝統的かつ信頼性の高い工法です。特に耐久性に優れ、重機の通行が多い工場の屋上や床に適しています。
特徴とメリット
- 非常に高い耐久性:重荷重や衝撃に強く、長期間にわたり防水性能を発揮。
- 耐候性に優れる:紫外線や雨風に対して強く、過酷な環境でも劣化しにくい。
- 防水層が厚い:数ミリから数センチの厚みで施工され、堅牢な防水膜を形成。
- 補修の柔軟性:損傷箇所の部分補修も可能で、ランニングコストを抑制。
適用例
重機やトラックが頻繁に出入りする工場の屋上や搬入口周辺の床面、防水層の耐久性が求められる場所に最適です。
FRP防水
FRP(繊維強化プラスチック)防水は、ガラス繊維などの強化繊維に樹脂を含浸させて硬化させる工法で、軽量ながら高い強度と耐薬品性を兼ね備えています。
特徴とメリット
- 高い耐薬品性:酸・アルカリ・溶剤などの化学薬品に強く、化学工場や薬品を扱う工場に適す。
- 軽量で強度がある:構造への負担が少なく、耐久性に優れる。
- 継ぎ目が少ない:防水膜が一体化されているため、漏水リスクが低い。
- 耐摩耗性:歩行や機械の移動による摩耗に強い。
適用例
薬品を多用する工場内の床や槽内、特殊な環境での防水が必要な場所に多く採用されています。
工場における防水工事の施工ポイント
工場の防水工事は、単に防水材を塗布するだけでなく、綿密な準備と計画、そして細部まで配慮した施工が求められます。特に工場は稼働を止められないケースも多いため、品質と安全を両立させながら進めることが成功の鍵です。以下に、工場防水工事における重要な施工ポイントを詳しく解説します。
事前調査・劣化診断の重要性
防水工事を円滑かつ確実に行うためには、現地の状況を正確に把握することが不可欠です。特に工場の屋上や外壁は長年の使用で、微細なひび割れ・膨れ・剥離・水の染み込みなどさまざまな劣化症状が発生していることが多く、これらを見落とすと施工後の防水性能低下に直結します。
専門業者による詳細な劣化診断では、目視だけでなく赤外線サーモグラフィーや水分測定器を活用し、隠れた不具合箇所も発見します。これにより、どの範囲を重点的に補修すべきか、最適な防水工法は何かを科学的根拠に基づいて判断します。この段階での調査が、防水工事全体の成否を大きく左右するため、決して手を抜けない工程です。
下地処理の徹底
防水層の耐久性や接着性は、下地の状態によって大きく左右されます。防水施工前には、まず汚れやホコリ・古い防水膜の剥離部分を丁寧に除去し、平滑な下地を作ることが基本です。また、ひび割れや剥離部の補修は、防水層の下に水が侵入するのを防ぐために重要です。補修材の種類や施工方法は劣化の種類によって異なるため、適切な材料選定と技術を持つ施工者が対応しなければなりません。
この下地処理を丁寧に行うことで、防水材の密着性が向上し、長期間にわたり安定した防水性能を維持できるようになります。逆にこの工程を疎かにすると、数年で剥離や漏水が発生するリスクが高まります。
防水層の厚みや施工方法の最適化
工場の用途や環境条件に合わせて、防水層の厚みや施工方法を最適化することも重要なポイントです。例えば、重機や大型設備の通行が多いエリアでは、防水層を厚くし耐荷重性を高める必要があります。また、化学薬品を扱う工場では耐薬品性に優れた防水材を選定し、層構成も工夫します。施工は手塗り・ローラー塗布・スプレー施工など、さまざまな方法があり、工場の状況に最も適した方法を選択します。
設計段階で細部まで検討し、施工中も計測・検査を繰り返すことで、防水層の均一性と設計通りの厚み確保を徹底します。これが長期的な防水性能を支える重要な要素です。
メンテナンス計画の提案
防水工事は完成して終わりではありません。施工後の劣化を早期に発見し対処するため、定期的な点検と補修計画を立てることが長持ちの秘訣です。工場では稼働の合間に点検を実施し、ひび割れの発生状況や防水膜の状態を確認します。軽微な劣化は早期補修で対処することで、大規模な改修工事を回避でき、結果的にコスト削減にもつながります。
また、メンテナンス計画は工場の稼働スケジュールと連動させ、影響を最小限に抑えるための作業タイミングや方法も提案されるべきです。
安全管理と工場稼働への配慮
工場は日常的に多くの従業員が働き、生産ラインが稼働しているため、防水工事中も安全確保と業務継続を両立させる必要があります。
施工時は、作業エリアの明確な区分けや仮設柵の設置を行い、関係者以外の立ち入りを制限します。また、塗料の臭気や粉塵が発生する場合は換気設備を用意し、作業者の健康にも配慮します。
さらに、工事スケジュールは工場の稼働時間や休業日に合わせて調整し、可能な限り生産への影響を抑制。事前の綿密な打ち合わせと情報共有により、関係者全員が安心して作業を進められる環境を作ることが求められます。
このように、工場防水工事は計画的かつ細心の注意を払いながら施工することで、確実で長持ちする防水効果が得られます。成功のためには、経験豊富な専門業者との連携と、工場の実情に即した柔軟な対応が不可欠です。
実録!新東亜工業の施工事例|3階建てマンションの屋上防水工事
築38年の3階建てRC造マンションにて、屋上の防水工事をご依頼いただいた事例をご紹介します。
「屋上の防水塗装が剥がれてきて不安…」「ベランダや排水溝も気になる箇所がある」
そんな不安を抱えたお客様からメールにてお問い合わせをいただき、現地調査・見積・契約・施工・引き渡しまでを実際のやり取りと共にご紹介します。
途中で工法の変更が発生した点も含め、リアルな工事の流れがわかる内容です。
大規模修繕・防水工事・外壁塗装のご依頼やご相談は、メール・お電話からお受け致しております。

ご相談内容
お問い合わせはメールで始まりました。屋上やベランダの防水劣化、排水溝の錆、駐輪場のライン引きについてもご相談がありました。
お客様はメールでのやりとりを希望されており、現地調査と見積が無料であることを案内することで安心感を提供できました。
お客様:屋上やベランダの防水塗装が剥がれているようなので見積をお願いします。
通路の排水溝の金属蓋の交換もお願いしたいです。担当者:現地調査・御見積は無料で行っておりますのでご安心ください。
お客様:12月12日 14時でお願いできますか? ついでに天窓と屋根の調査もお願いします。
工事の概要|工事金額と期間

屋上防水工事 施工前

屋上防水工事 施工後
建物種別 | 3階建てマンション(RC造) |
---|---|
所在地 | 東京都(詳細非公開) |
工事内容 | 屋上・塔屋・庇の防水工事、排水溝蓋交換、駐輪場ライン引き |
工法 | 通気緩衝工法(当初は密着工法予定) |
その他特記事項 | 天窓・廊下清掃・駐輪場区画調整含む |
工事金額:100万円
工期:5日間
現地調査で判明した劣化症状
屋上の防水層は部分的に切れ・膨れが見られ、塔屋屋根はより劣化が進んでいました。
一方でベランダや廊下の防水はまだ機能していると判断され、不要な工事は避ける形でご提案しました。
担当者:塔屋屋根の防水層は屋上よりも状態が悪く、以前の工事からかなり年数が経っていると思われます。
お客様:そうなんですね。やはり雨漏りしてからじゃ遅いので、防水お願いします。
担当者:防水層が生きている場所については、今回は工事しなくても大丈夫です。
施工中のやり取りと配慮
洗浄後の確認で、旧防水層の膨れが多数見つかり、急遽「通気緩衝工法」への変更を提案。
工法変更による追加費用やメリットを丁寧に説明し、納得を得て施工を進行。
室外機や物干し台の取り扱い、駐輪場ライン引きのスケジュールも調整されました。
担当者:古い防水層の膨れがあり、通気緩衝工法への変更をおすすめします。
お客様:金額によりますが、効果があるならお願いしたいです。
担当者:費用追加で対応可能です。支払いは完工時で結構です。
引き渡し時のご感想
駐輪場のライン引きを含めた全工程が完了。お客様には仕上がりをご確認いただき、満足のご感想をいただきました。
今後のトラブル時対応についても案内し、信頼関係を築いてお引き渡しとなりました。
担当者:駐輪場のライン引きも終わり、全ての工事が完了しました。
お客様:ありがとうございます。線がとてもきれいで満足です。
担当者:今後なにかあればいつでもご連絡ください。
本工事では、お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、メール主体のやり取りにも柔軟に対応しました。
現地調査により劣化の状態を正確に把握し、必要な工事だけをご提案。
施工中には想定外の劣化が発見されましたが、最適な工法へ変更し、お客様の納得を得て対応。
お引き渡し後もフォロー体制を伝えることで、長期的な信頼関係を築くことができました。
工場における防水工事の費用相場とコストを抑えるポイント
工場の防水工事費用は、工事の規模や使用する防水工法・劣化の程度などによって大きく異なります。以下に、代表的な工法ごとの一般的な費用相場をまとめました。ただし、実際の見積もりは現地調査の結果や業者によって変動するため、複数の業者から比較検討することをおすすめします。
防水工法 | 費用相場(㎡あたり) | 特徴 |
ウレタン防水 | 3,000~7,500円 | 複雑な形状に適応しやすく柔軟性が高い。中規模工場の屋上などに多用。 |
塩ビシート防水 | 4,000~7,000円 | 広い面積の施工に適し耐久性が高い。重量物のある工場に最適。 |
アスファルト防水 | 5,000~8,000円 | 高耐久で重機の通行に強い。大型工場の屋上や搬入口に適す。 |
FRP防水 | 4,000~7,500円 | 耐薬品性に優れ軽量。化学工場や特殊環境に適用される。 |
※上記の価格はあくまで目安であり、下地処理の内容、劣化状況、施工範囲、施工難易度などによって変動します。
コストを抑えるためのポイント
以下のポイントを押さえて計画的に工事を進めることで、費用を効果的に管理しながら安心して工場の防水対策を行うことができます。
- 複数業者からの見積もり取得:一社だけで決めるのではなく、複数の防水施工業者から見積もりを取り比較検討しましょう。工法の提案内容や保証内容も含めて判断することが重要です。
- 劣化診断による適切な工法選定:必要以上に高価な工法を選ばず、現状の劣化レベルに見合った工法を選ぶことで費用の無駄を防げます。専門家の診断を活用してください。
- 早期の劣化対策で大規模補修を回避:小さな劣化のうちに補修やメンテナンスを行うことで、将来的な大規模工事の費用を抑制できます。定期的な点検が効果的です。
- 工期の調整と工法の工夫:繁忙期を避ける、夜間施工や分割施工を検討するなど、工期や施工方法を工夫することで人件費や仮設費用の削減が可能です。
- 補助金・助成金の活用:一部地域では防水工事や建物改修に対する補助制度があるため、事前に調査し活用できる制度を利用しましょう。
工場防水工事に関するよくある質問
ここでは、工場の防水工事に関して企業からよく寄せられる質問とその回答を、実務目線でわかりやすくまとめました。工事計画を立てる際の参考にしてください。
Q1. 工場の防水工事はどのくらいの頻度で必要ですか?
A. 一般的には10年〜15年程度が目安ですが、環境や使用状況によって異なります。目に見える雨漏りが発生する前に、5年ごとの定期点検を実施し、状態に応じた補修や塗り直しを行うことが重要です。
Q2. 工事中も工場は稼働できますか?
A. 多くの場合は稼働を止めずに施工可能です。施工計画時に工場のスケジュールを共有することで、生産活動への影響を最小限に抑えた工事が実現できます。臭気・騒音対策も事前に協議可能です。
Q3. どんな業者を選べば安心ですか?
A. 実績豊富で防水専門の施工管理体制を持つ業者を選ぶことがポイントです。工場や大型施設での施工実績が豊富かを確認しましょう。可能であれば施工事例を見せてもらうこともおすすめです。
Q4. 防水工事にはどんな保証がありますか?
A. 通常は5年〜10年程度の保証が設けられることが多いです。ただし、工法や使用する材料・施工範囲によって保証年数は異なります。契約前に保証内容や範囲を明確に確認し、書面で取り交わすことが大切です。
Q5. 工場ならではの注意点はありますか?
A. 防水工事によって設備や作業に支障が出ないよう、特別な配慮が必要です。また、高所作業時の安全確保や搬入出ルートの確保など、工場特有の動線や業務との両立を考えた施工管理が不可欠です。現地調査時に業務フローも共有しましょう。
Q6. 防水工事の費用はどうやって決まりますか?
A. 面積だけでなく、工法・下地の状態・立地条件など、さまざまな要素で変動します。また、工場が24時間稼働している場合は夜間工事になることが多く、人件費も増加します。正確な金額を把握するためには現地調査が不可欠です。
工場の防水工事が必要な理由について|まとめ
工場の防水工事は、建物の維持管理にとどまらず、機械設備の故障防止や製品の品質維持、従業員の安全確保、そして事業の安定運営に直結する重要な対策です。防水性能の低下を放置すると、雨漏りや水の侵入によるトラブルが深刻化し、修繕費や生産停止といった大きな損失につながりかねません。
適切な工法選定と確実な施工、定期的な点検を通じて、工場全体のリスクを最小限に抑えることが重要です。まずは専門業者に現地調査を依頼し、信頼性のある提案と見積もりを比較しながら、早めの対応を検討しましょう。