外壁塗装にはどんな種類がある?塗料と工法や下地の選び方までを紹介
2025/12/17
外壁塗装を検討する際、「どんな種類の塗料があるのか」「自分の家に合った塗装方法は何か」と悩む方は少なくありません。
外壁塗装の種類は、使用する塗料のグレード、施工する工法、そして建物の下地材によって大きく異なります。
それぞれの特性を理解せずに選んでしまうと、期待した耐久性が得られなかったり、予算を無駄にしてしまったりする可能性があります。
外壁塗装の種類を正しく理解することは、長期的なメンテナンスコストを抑え、住まいの美観と耐久性を保つために非常に重要です。
本記事では、外壁塗装に関わるあらゆる種類について、価格・耐用年数・特徴を比較しながら分かりやすく解説します。
また本記事の理解を深めるためにも、外壁塗装の定義や役割・費用目安・流れなど基本的な情報を理解しておくことをおすすめします。
外壁塗装とはどのようなものなのかは、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
この記事で分かること
- 外壁塗装における塗料グレード別の種類と特徴
- 水性・油性、1液型・2液型など塗料タイプの違い
- 特殊機能を持つ塗料の種類と効果
- 手塗り・吹き付けなど工法の種類
- サイディング・モルタルなど下地材別の塗装方法
- 予算・耐用年数・外壁材に応じた最適な塗料の選び方
目次
外壁塗装における塗料の種類をチェック
外壁塗装で最も重要なのが塗料の種類選びです。塗料の種類によって耐用年数や価格、仕上がりの質が大きく変わります。
ここでは主要な塗料グレードから最新のナノテクノロジー塗料まで、詳しく解説します。
外壁塗装の種類を決める「塗料グレード」とは
塗料グレードとは、塗料に含まれる主成分となる樹脂の種類によって分類される塗料のランクのことです。
樹脂の種類が塗料の耐候性や耐久性を左右し、それによって価格帯も決まります。
一般的な外壁塗装では、アクリル、ウレタン、シリコン、ラジカル制御型、フッ素、無機の6つのグレードに分類されます。
グレードが高いほど耐用年数が長く、価格も高額になる傾向があります。
塗料グレードの選択は、建物の立地条件や予算、次回のメンテナンス時期などを総合的に考慮して決定することが重要です。
| 塗料の種類 | 耐用年数 | 価格相場(㎡単価) |
|---|---|---|
| アクリル | 5~8年 | 約1,000~1,500円 |
| ウレタン | 7~10年 | 約1,800~2,500円 |
| シリコン | 10~15年 | 約2,300~3,500円 |
| ラジカル制御型 | 12~16年 | 約2,500~4,000円 |
| フッ素 | 15~20年 | 約3,800~4,800円 |
| 無機 | 20~25年 | 約4,200~5,500円 |
アクリル塗料の種類と特徴
アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とした最も価格が安い塗料の種類です。
かつては外壁塗装の主流でしたが、現在では耐久性の高い塗料が登場したため、使用頻度は減少しています。
メリット
- 塗料の中で最も安価
- 発色が良く、カラーバリエーションが豊富
- 透湿性が高く、湿気を逃がしやすい
デメリット
- 耐用年数が短く、頻繁な塗り替えが必要
- 紫外線に弱く、屋外での耐久性に課題
- ひび割れが発生しやすい
アクリル塗料は、期間限定の建物や短期間での塗り替えを前提とする場合に適しています。
ウレタン塗料の種類と特徴
ウレタン塗料は、ウレタン樹脂を主成分とした柔軟性に優れる塗料の種類です。
木部、金属、プラスチックなど幅広い素材に塗装できる汎用性の高さが特徴です。
メリット
- 塗装対象を選ばない高い汎用性
- 柔軟性があり、細かい部分の塗装に適している
- 価格が比較的安価
デメリット
- シリコン塗料との価格差が小さくなっている
- 耐用年数はシリコンより短い
- 紫外線による劣化が比較的早い
現在では、わずかな価格差でより耐久性の高いシリコン塗料を選べるため、ウレタン塗料の採用は減少傾向にあります。
シリコン塗料の種類と特徴
シリコン塗料は、シリコン樹脂を主成分とした外壁塗装で最も使用されている塗料の種類です。
価格と性能のバランスに優れ、約70%の外壁塗装で採用されています。
メリット
- 優れたコストパフォーマンス
- 耐候性・耐汚染性に優れる
- 豊富な製品ラインナップから選択可能
- 実績が多く信頼性が高い
デメリット
- 製品によって性能差が大きい
- 安価な製品は期待する耐用年数に達しないこともある
シリコン塗料は「迷ったら選ぶべき塗料」として、初めての外壁塗装を検討する方に最もおすすめできる種類です。
ラジカル制御型塗料の種類と特徴
ラジカル制御型塗料は、塗膜劣化の原因となる「ラジカル」の発生を抑える機能を持った塗料の種類です。
2010年代以降に各メーカーが開発に力を入れており、今後の主流となることが期待されています。
ラジカルとは、紫外線によって塗料中の酸化チタンから発生する劣化因子のことです。
この発生を抑制することで、塗膜の耐久性を大幅に向上させています。
メリット
- シリコンとほぼ同価格で高耐久性を実現
- 多くの製品が低汚染機能を備えている
- チョーキング(白亜化)が発生しにくい
- 実績が蓄積され信頼性が向上
デメリット
- 比較的新しい技術のため、長期的な実績はまだ証明段階
- ベースとなる樹脂(シリコンやアクリル)の特性を理解する必要がある
代表的な製品に日本ペイントの「パーフェクトトップ」があり、12年以上の実績で信頼性が証明されています。
フッ素塗料の種類と特徴
フッ素塗料は、フッ素樹脂を主成分とした高耐久性塗料の種類です。ビルやマンションなどの大型建築物で多く使用されており、その実績から信頼性の高さが証明されています。
メリット
- 優れた耐候性と耐久性
- 温度変化に強く、寒冷地・高温地域でも性能を発揮
- 防汚性が高く、美観を長期間保持
- 公共建築物での実績が豊富
デメリット
- 価格が高額
- 塗膜が硬いため、ヘアクラックが発生しやすい
- 再塗装時の密着性に課題がある
近年は一般住宅向けの手頃な価格帯の製品も増えており、長期的なコストパフォーマンスを重視する方に適した種類です。
無機塗料の種類と特徴
無機塗料は、紫外線や雨水に強い無機物を主成分とした最高グレードの塗料の種類です。
有機物と無機物を組み合わせた「有機無機ハイブリッド塗料」が主流となっています。
メリット
- 最長クラスの耐用年数(20~25年)
- 紫外線による劣化がほとんどない
- 苔やカビが繁殖しにくい
- 防汚性能が非常に高い
デメリット
- 価格が最も高額
- 塗膜が硬く、柔軟性が必要な箇所には不向きな製品もある
- 施工には高度な技術が必要
無機塗料は、長期的なメンテナンスコストを抑えたい方や、頻繁な塗り替えが難しい建物に最適な種類です。
ピュアアクリル塗料の種類と特徴
ピュアアクリル塗料は、アクリル樹脂100%で構成された高性能塗料の種類です。一般的なアクリル塗料とは全く異なる特性を持ち、フッ素塗料に匹敵する耐久性を実現しています。
メリット
- 優れた弾性によるクラック追従性
- モルタルなどひび割れしやすい外壁に最適
- フッ素塗料並みの耐用年数
- 高い防水性能
デメリット
- 弾性が高いため汚れが付着しやすい面もある
- ひび割れが少ない外壁では弾性のメリットが活かせない
- 価格が高め(㎡単価3,800~4,500円程度)
ピュアアクリル塗料は、モルタル外壁やクラックが多い建物に特におすすめの種類です。
ナノテクノロジー塗料の種類と特徴
ナノテクノロジー塗料は、ナノサイズのシリカ粒子を均一に分散させた最先端技術を用いた塗料の種類です。低汚染性能に特化しており、環境にも配慮されています。
メリット
- 親水性による優れた低汚染機能
- 雨水で汚れを自動的に洗い流す
- 石油由来原料を大幅カット、SDGsに貢献
- ラジカル制御機能も併せ持つ製品が多い
デメリット
- 艶調整ができず、マット仕上げのみ
- 鮮やかな色が作りにくい
- 製造メーカーが限られる
ナノテクノロジー塗料は、美観の維持を重視し、環境配慮も求める方に適した種類です。
外壁塗装における水性・油性の種類の違い
外壁塗装の塗料は、希釈に使用する液体によって水性と油性の2種類に分類されます。
それぞれに異なる特性があり、使用環境や目的に応じて使い分けることが重要です。
水性塗料の種類とメリット・デメリット
水性塗料は、水で希釈して使用する塗料の種類です。
現在の外壁塗装では、ほとんどのケースで水性塗料が使用されています。
メリット
- 臭いが少なく、居住環境への影響が小さい
- 赤ちゃんやペットがいる家庭でも安心
- VOC(揮発性有機化合物)の排出が少なく環境に優しい
- 取り扱いが比較的容易
デメリット
- 油性と比べて若干密着性が劣る場合がある
- 気温や湿度の影響を受けやすい
- 低温時の施工に制限がある
技術開発により、水性塗料の耐久性は油性とほぼ同等まで向上しています。
油性塗料の種類とメリット・デメリット
外壁塗装における水性塗料と油性塗料の選び方は、施工環境や塗装箇所によって判断することが重要です。
水性塗料は臭いが少く安全性が高いため、一般的な住宅の外壁塗装や住宅密集地での施工、小さな子どもやペットがいる家庭、環境配慮を重視する場合に適しています。
一方、油性塗料は密着性と耐久性に優れており、屋根塗装や金属部分・鉄部など過酷な条件にさらされる箇所、寒冷地での冬季施工に向いています。
ただし近年は水性塗料の性能が大きく向上しており、特別な理由がない限り、外壁塗装では水性塗料を選ぶのが一般的です。
外壁塗装における1液型・2液型の種類の違い
塗料には、使用方法によって1液型と2液型の2種類があります。
この違いは施工性や性能に影響を与えるため、理解しておくことが重要です。
1液型塗料の種類と特徴
1液型塗料は、主材と硬化剤があらかじめ配合されている塗料で、開缶後すぐに使用できる点が大きな特徴です。
現場での混合作業が不要なため、配合ミスが起こりにくく、施工品質が安定しやすいというメリットがあります。
また、必要な分だけ使用し、余った塗料を密閉して保存できるため、材料ロスを抑えやすい点も利点です。
施工手順がシンプルで作業効率が高く、職人の熟練度による差が出にくいため、一般住宅の外壁塗装を中心に広く採用されています。
近年は耐久性や耐候性も大きく向上しており、コストと性能のバランスに優れた塗料として、現在の外壁塗装では主流の選択肢となっています。
2液型塗料の種類と特徴
2液型塗料は、主材と硬化剤を施工直前に決められた比率で混合して使用する塗料です。
混合後に化学反応を起こして硬化するため、密着性が高く、非常に強固な塗膜を形成できる点が最大の特徴です。
金属部や鉄部、屋根など、厳しい環境にさらされる箇所や高い耐久性が求められる部位に適しています。
一方で、混合比率を誤ると性能が発揮されないため、施工には高い技術力と管理が必要です。
また、混合後は数時間以内に使い切る必要があり、材料管理の難易度は高くなります。
そのため、2液型塗料は一般住宅よりも、性能重視の現場や特殊用途で選ばれることが多い塗料です。
外壁塗装の種類で1液型と2液型の使い分け
外壁塗装では、施工条件や求める性能によって1液型と2液型を使い分けることが重要です。
近年は1液型塗料の性能向上により、一般住宅では扱いやすさと安定性を重視した選択が主流となっています。
一方で、過酷な環境や高性能を求める場合には2液型が選ばれるケースもあります。
1液型塗料が適しているケース
- 一般的な戸建て住宅やマンションの外壁塗装
- 施工効率を重視し、工期を安定させたい場合
- 混合ミスを避け、品質の安定性を優先したい場合
2液型塗料が適しているケース
- 金属部や下地が特殊で高い密着性が必要な箇所
- 劣化が進んだ下地や補修跡への塗装
- 最高レベルの耐久性・耐候性を求める場合
このように、標準的な外壁には1液型、性能重視の部位には2液型と使い分けることで、無駄のない塗装計画が可能になります。
外壁塗装における特殊機能を持つ塗料の種類
近年の外壁塗装では、基本的な保護機能に加えて特殊な機能を持つ塗料の種類が増えています。
ここでは代表的な機能性塗料を紹介します。
| 塗料の種類 | 概要 | 主な効果 | 注意点・デメリット | 向いている建物・条件 |
|---|---|---|---|---|
| 遮熱塗料 | 太陽光を反射し、 建物内部への熱の侵入を抑える塗料 | ・室内温度を最大約3℃低減 ・冷房コスト削減 ・外壁・屋根の劣化抑制 | ・立地や構造で効果に差が出る ・「遮熱」性能が曖昧な製品もある ・冬はやや寒く感じる場合がある | 南面・西面の日射が強い建物 |
| 断熱塗料 | 熱の伝導を遮断し、 外気温の影響を抑える塗料 | ・夏の暑さ・冬の寒さを軽減 ・結露抑制・省エネ効果 | ・価格が高額 ・高性能製品が少ない ・体感効果に個人差がある | 年間を通して快適性を重視する建物 |
| 光触媒塗料 | 太陽光で汚れを 分解する自己洗浄型塗料 | ・汚れの自動分解 ・セルフクリーニング効果 ・防カビ・防藻効果 | ・非常に高額 ・主要製品が販売終了 ・現在は入手困難 | 現在は選択肢が少なく非推奨 |
| 低汚染塗料 | 親水性や特殊構造で 汚れを付着しにくくする塗料 | ・雨水で汚れを洗い流す ・汚れが付きにくい ・カビ・藻の抑制 | ・完全に汚れないわけではない | 美観を長く保ちたい建物全般 |
| 防カビ・防藻塗料 | カビ・藻の発生を 防ぐ成分を配合した塗料 | ・カビ・藻の繁殖抑制 ・外観の美しさを維持 | ・環境によっては効果に差が出る | 北面・日陰・湿気が多い外壁 |
特殊機能を持つ塗料は、単に外壁を保護するだけでなく、快適性の向上や美観維持、省エネ効果など付加価値をもたらします。
ただし効果や適性は建物の立地や構造によって異なるため、目的を明確にしたうえで選ぶことが重要です。
性能だけでなく実績や費用対効果も踏まえ、最適な塗料を選択しましょう。
外壁塗装における工法の種類をチェック
外壁塗装の工法には、大きく分けて手塗りと吹き付け塗装の2種類があります。
それぞれに特徴があり、建物の状況に応じて使い分けられます。
手塗り工法の種類と特徴(ローラー・ハケ)
手塗り工法は、職人がローラーやハケを使って手作業で塗装を行う工法で、現在の住宅外壁塗装では最も一般的に採用されています。
塗料を直接外壁に塗り重ねるため、塗膜の厚みを確保しやすく、外壁材の保護性能を高めやすい点が特徴です。
外壁の形状や劣化状態を確認しながら施工できるため、細部まで丁寧な仕上がりが期待できます。
メリット
- 騒音や塗料飛散が少なく近隣配慮しやすい
- 塗膜の厚み調整がしやすい
デメリット
- 職人の技量で仕上がりに差が出る
- 広範囲では工期が長くなりやすい
吹き付け塗装の種類と特徴
吹き付け塗装は、スプレーガンを使用して塗料を霧状に噴射する工法で、短時間で広範囲を塗装できるのが特徴です。
凹凸のある外壁や複雑な形状でもムラになりにくく、意匠性の高い仕上がりを実現できます。
リシン仕上げやスタッコ仕上げなど、独特の質感表現が可能な点も吹き付け塗装ならではの魅力です。
メリット
- 均一で美しい仕上がり
- デザイン性・意匠性の高い表現が可能
- 工期を短縮しやすい
デメリット
- 作業音が大きく騒音が発生しやすい
- 塗料が飛散しやすく養生範囲が広い
- 住宅密集地では施工制限が出やすい
外壁塗装の種類で工法を選ぶポイント
外壁塗装の工法は、建物の立地条件や外壁の形状、求める仕上がりによって選ぶことが重要です。
単に仕上がりの見た目だけでなく、近隣環境や施工中の影響も考慮する必要があります。
手塗り工法が適しているケース
- 住宅密集地で近隣配慮が必要
- 窓周りや凹凸が多い外壁
- 一般的で落ち着いた仕上がりを希望
吹き付け塗装が適しているケース
- 広い平面が多い外壁
- 意匠性や特殊な質感を重視
- 周囲に十分な作業スペースがある
現在の住宅外壁塗装では、騒音や飛散リスクの少なさから手塗り工法が主流となっていますが、条件次第では吹き付け塗装も有効な選択肢となります。
外壁塗装ができる下地材の種類は?
外壁塗装の効果を最大限に引き出すには、下地材の種類に応じた適切な塗料と工法を選ぶことが重要です。
ここでは、外壁塗装ができる下地材の種類について紹介します。
外壁材の種類別|特徴と適した塗装方法一覧
以下の表に、代表的な外壁材ごとに特徴や塗装のポイントを整理し、適切なメンテナンス判断ができるようまとめました。
| 外壁材の種類 | 主な特徴 | 耐用年数・塗装目安 | 適した塗料・塗装方法 | 塗装時の注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 窯業系サイディング | ・最も普及している外壁材 ・セメント+繊維質素材 | 耐用年数:20~40年 塗装目安:10年ごと | ・シリコン塗料 ・ラジカル制御型塗料 ・フッ素塗料 | 透湿性のある塗料を選び、内部結露を防ぐ |
| モルタル外壁 | ・継ぎ目のない仕上がり ・ひび割れが起こりやすい | 耐用年数:30年以上 塗装目安:10年ごと | ・ピュアアクリル塗料(弾性) ・弾性シリコン塗料 ・フッ素塗料 | クラックに追従できる弾性塗料が必須 |
| 金属外壁 | ・軽量で耐震性が高い ・断熱性に優れる | 耐用年数:10~30年 塗装目安:10年ごと | ・防錆下塗り材 ・断熱塗料 ・シリコン以上の高耐久塗料 | 防錆処理を必ず行い、サビの再発を防止 |
| 木材外壁 | ・天然木の風合い ・劣化しやすい | 耐用年数:20~30年 塗装目安:5~10年ごと | ・木部専用塗料 ・浸透型塗料 ・ウレタン塗料 | 防水・防火性能を重視した塗料選びが重要 |
材質に合わない塗装は劣化を早める原因となるため、専門業者の診断をもとに計画的なメンテナンスを行いましょう。
外壁塗装の種類を下地材別に選ぶコツ
下地材の種類に応じた塗料選びのポイントは以下の通りです。
- サイディング → 透湿性の高い塗料
- モルタル → 弾性のある塗料
- 金属 → 防錆機能のある下塗り材+高耐久塗料
- 木材 → 木部専用の浸透型塗料
外壁塗装を成功させるには、外壁材の特性に合った塗料と施工方法を選ぶことが不可欠です。
下地材の種類を正しく理解し、それに適した塗料を選ぶことで、外壁塗装の効果を最大化できます。
外壁塗装の種類を選ぶ際の重要ポイント
外壁塗装の種類を選ぶ際には、複数の要素を総合的に判断する必要があります。
ここでは実践的な選び方のポイントを解説します。
予算から考える外壁塗装の種類選び
外壁塗装の種類を選ぶ際、まず軸になるのが予算です。
使用する塗料のグレードによって初期費用は大きく変わるため、無理のない資金計画が欠かせません。
予算別の目安
- 60~80万円:ウレタン・シリコン
- 80~100万円:シリコン・ラジカル制御型
- 100~130万円:フッ素
- 130万円以上:無機
ただし、判断基準は初期費用だけではありません。
次回塗り替えまでの年数、足場代の再発生、将来的な修繕計画まで含めたトータルコストで比較することが重要です。予算内で最も長持ちする選択肢を検討しましょう。
耐用年数から考える外壁塗装の種類選び
外壁塗装の種類は「どのくらいの期間、安心して住み続けたいか」を基準に考えると選びやすくなります。
短期間で売却予定なのか、終の住処として長く住むのかによって、選ぶべき塗料は大きく異なります。
短期居住ならコスト重視、長期居住なら耐久性重視が基本的な考え方です。
居住期間別の考え方
- 5~10年以内に売却:ウレタン・シリコン
- 10~15年居住予定:シリコン・ラジカル制御型
- 20年以上の長期居住:フッ素・無機
特に20年以上住み続ける場合、初期費用が高くても耐用年数の長い塗料を選ぶことで、塗り替え回数そのものを減らせます。
結果として工事の手間や生活への影響も少なくなり、精神的な負担軽減にもつながります。
外壁材に合わせた外壁塗装の種類選び
外壁塗装は、外壁材の種類に適した塗料を選ぶことで初めて本来の耐久性を発揮します。
下地との相性が悪い塗料を使用すると、早期の剥がれや膨れ、ひび割れの再発といったトラブルにつながります。
まずは自宅の外壁材を正確に把握することが重要です。
下地材別の推奨塗料
- サイディング:シリコン・ラジカル制御型・フッ素
- モルタル:ピュアアクリル・弾性シリコン
- 金属外壁:防錆下塗り+シリコン以上
- 木材外壁:木部専用塗料・ウレタン
特にモルタル外壁では弾性性能、金属外壁では防錆処理が仕上がりを左右します。
外壁材の特性を無視した塗料選びは、結果的に補修工事の増加や再塗装の前倒しを招きます。
コストパフォーマンスで選ぶ外壁塗装の種類
外壁塗装は「安いか高いか」ではなく、長期的に見て得かどうかで判断することが重要です。
耐用年数が短い塗料は初期費用が安くても、塗り替え回数が増え、結果的に割高になります。
その点で現在バランスが良いとされているのが、シリコン塗料とラジカル制御型塗料です。
コスパの目安
- ラジカル制御型塗料:価格と耐久性のバランス最優秀
- シリコン塗料:実績豊富で安定感がある
- フッ素塗料:長期居住では高コスパ
耐用年数で割った「1年あたりのコスト」で比較すると、ラジカル制御型やフッ素塗料が有利になるケースも多く見られます。
将来のメンテナンス回数まで見据えて選びましょう。
業者選びが外壁塗装の種類以上に重要な理由
外壁塗装は、どんなに高性能な塗料を選んでも、施工業者の技術が伴わなければ本来の性能は発揮されません。
塗布量や乾燥時間、下地処理の丁寧さなど、仕上がりを左右する要素は施工品質に大きく依存します。
優良業者のチェックポイント
- 3社以上で相見積もりを取る
- 施工実績・口コミ評価を確認
- 見積書が詳細で「一式」表記が少ない
- 塗料のメーカー・商品名を明記
- 保証内容・アフター対応が明確
塗料選びに時間をかけるのと同じくらい、業者選びにも慎重さが求められます。
価格だけでなく、説明の分かりやすさや提案力も含めて判断することが、失敗しない外壁塗装の最大のポイントです。
外壁塗装の種類に関するよくある質問【FAQ】
ここでは、外壁塗装の種類に関するよくある質問を紹介します。
おすすめの種類から費用・決め方などをさまざまな質問に回答していますので、是非ご覧ください。
Q1. 外壁塗装の塗料において一番おすすめの種類はなんですか?
A. 一般的に最もおすすめなのは、シリコン塗料またはラジカル制御型塗料です。
シリコン塗料は価格と性能のバランスが良く、耐用年数は約10~15年、㎡単価は2,300~3,500円程度と実績・信頼性ともに高い塗料です。
ラジカル制御型塗料はシリコンと近い価格帯でありながら、紫外線による劣化を抑える仕組みを持ち、耐用年数は12~16年とやや長めでコストパフォーマンスに優れます。
20年以上の長期居住を想定する場合は、初期費用は高くてもフッ素塗料や無機塗料を選ぶことで、塗り替え回数を減らしトータルコストを抑えられます。
Q2. 外壁塗装を行う際はフッ素とシリコンどちらの種類がいいですか?
A. フッ素塗料とシリコン塗料の選択は、予算と居住期間によって判断するのが基本です。
予算を80~100万円程度に抑えたい場合や、10~15年周期での塗り替えを想定している場合は、シリコン塗料が適しています。
一方、20年以上の長期居住を予定しており、頻繁なメンテナンスを避けたい場合は、耐用年数15~20年以上のフッ素塗料がおすすめです。
価格差は30~50万円程度ありますが、フッ素塗料は塗り替え回数を減らせるため、長期的にはコストパフォーマンスが高くなるケースも多く見られます。
Q3. 外壁塗装の種類で水性と油性はどちらがいいですか?
A. 一般的な外壁塗装では、水性塗料がおすすめです。
現在の水性塗料は技術の進歩により、油性塗料と同等の耐久性を持つ製品が増えています。
臭いが少なく居住中でも施工しやすい点や、VOC排出量が少なく環境負荷が低い点、価格が比較的抑えられる点がメリットです。
また扱いやすく施工ミスが起きにくいことから、品質も安定しやすい傾向があります。
ただし、屋根塗装や金属部、密着性が特に求められる箇所では、油性塗料が適している場合もあるため、部位ごとの使い分けが重要です。
Q4. 外壁塗装の種類で価格が安いものはどれですか?
A. 最も安価な塗料はアクリル塗料で、㎡単価は1,000~1,500円程度です。
ただし耐用年数は5~8年と短く、頻繁な塗り替えが必要になるため、長期的にはトータルコストが高くなる可能性があります。
初期費用を抑えたい場合でも、コストパフォーマンスを考えると、ウレタン塗料(㎡単価1,800~2,500円)やシリコン塗料(㎡単価2,300~3,500円)の方が現実的です。
特にシリコン塗料は耐用年数が10~15年と長く、1年あたりのコストで見ると経済的な選択といえます。
Q5. 外壁塗装の種類は自分で決めなくても業者に任せて大丈夫ですか?
A. 業者に任せることは可能ですが、最低限の知識を持ったうえで相談することが重要です。
知識がない状態では、不要に高グレードな塗料を勧められたり、下地材に合わない塗料を提案されたりするリスクがあります。
また、相見積もりを取った際に内容を正しく比較できず、適正判断が難しくなります。
塗料の種類や耐用年数、予算の目安など基本を理解したうえで、複数の業者から提案を受けることで、自宅に最適な外壁塗装を選びやすくなります。
まとめ
外壁塗装の種類選びは、住まいの耐久性と美観を維持するために極めて重要な決断です。
本記事では、塗料・工法・下地の3つの観点から外壁塗装の種類を詳しく解説してきました。
外壁塗装の種類選びで押さえるべきポイント
- 塗料グレードは予算と耐用年数のバランスで決める
- 下地材の種類に応じた適切な塗料を選ぶことが必須
- シリコンかラジカル制御型が最もコスパに優れる
- 水性塗料が環境面と居住性の両面で優れている
- 業者選びは塗料選び以上に重要な成功要因である
外壁塗装で最も重要なのは塗料の種類ですが、どんなに高級な塗料を選んでも、施工技術が低ければ本来の性能は発揮されません。
必ず3社以上で相見積もりを取り、実績・評判・保証内容を総合的に比較してください。
塗料の耐用年数は最長でも20~25年が限界ですが、適切な塗料と信頼できる業者を選ぶことで、長期にわたって住まいを守り、メンテナンスコストを最小限に抑えることにつながるでしょう。