ビルの防水工事はプロに依頼すべき?費用相場・工法・業者選びを解説
2025/09/29
ビルは屋上や外壁など、常に雨風や紫外線にさらされています。そのため防水性能は時間とともに低下し、放置すれば雨漏りや内部設備の損傷、さらには資産価値の低下へとつながります。こうしたリスクを回避するために欠かせないのが「防水工事」です。特にビルの場合、規模が大きく用途も複雑なため、信頼できるプロに依頼することが最も重要です。本記事では、ビル防水工事の必要性や工法の種類、費用相場、プロに依頼するメリット、業者選びのポイントまで徹底解説します。
目次
ビルにおける防水工事の重要性
ビルの防水工事は単なる「雨漏り防止」のためではなく、建物全体の寿命を守り、資産価値を維持するうえで不可欠な工事です。特にテナントやオフィスが入るビルでは、漏水トラブルが発生すると入居者や利用者に多大な影響を与え、営業停止や損害賠償に発展する可能性もあります。
さらに、屋上や外壁からの浸水は電気設備や空調設備の故障につながることも多く、修繕コストは防水工事の何倍にも膨らみます。防水層は一度劣化が始まると急速に広がるため、定期的な点検と早めの補修が重要です。
また、建物の安全性や法令遵守の観点でも防水工事は欠かせません。建築基準法や消防法においても、防水性能の維持は建物管理者の責務とされています。これらを怠ると、資産価値の低下だけでなく、管理責任を問われるケースも出てきます。
ビル防水工事をプロに依頼するメリット
ビル防水工事をプロに依頼する最大のメリットは「確実性」です。防水工事は見た目の仕上がり以上に下地処理や工法選定が重要で、経験の浅い業者やDIYでは対応できません。
まず、プロは専門的な診断力を持ち、表面の劣化だけでなく下地の浮きやひび割れ、内部への浸水経路まで把握します。これにより適切な工法を選定できるため、長期的な防水性能を確保できます。
また、高所作業や溶剤を扱う工事では安全管理が欠かせません。プロは労働安全規則を遵守し、事故防止のための体制を整えています。さらに、施工後には保証書を発行するケースも多く、万が一の不具合にも対応可能です。こうした安心感は、ビルオーナーや管理者にとって大きなメリットといえるでしょう。
ビル防水工事の主な工法と特徴
ビル防水工事にはいくつかの工法があり、建物の状態や立地条件によって最適な方法が異なります。ここでは代表的な工法と特徴を解説します。
ウレタン防水
液体状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する工法です。複雑な形状にも対応でき、仕上がりが継ぎ目のないシームレスな膜になる点が特徴です。
- 耐用年数:約10〜12年
- メリット:軽量で柔軟性があり、施工が比較的容易
- デメリット:硬化に時間がかかり、天候の影響を受けやすい
シート防水
塩ビシートやゴムシートを貼り付けて防水層をつくる工法です。工場で成形されたシートを使用するため品質が安定しており、大規模面積の施工にも向いています。
- 耐用年数:約12〜15年
- メリット:施工スピードが早く、厚みが均一
- デメリット:複雑な形状には不向き、シートの継ぎ目に劣化リスク
アスファルト防水
アスファルトを加熱またはトーチで溶かし、複数層を積み重ねて防水層をつくる工法です。歴史が古く信頼性が高いため、ビルの屋上などで多く採用されています。
- 耐用年数:約15〜20年
- メリット:耐久性が高く長寿命
- デメリット:重量があり施工に時間とコストがかかる
工法比較表
工法 | 耐用年数 | メリット | デメリット | 適用箇所 |
---|---|---|---|---|
ウレタン防水 | 10〜12年 | 複雑形状に対応・継ぎ目なし | 天候の影響を受けやすい | 屋上・バルコニー |
シート防水 | 12〜15年 | 工期が短い・厚みが均一 | 継ぎ目劣化のリスク | 大面積の屋上 |
アスファルト防水 | 15〜20年 | 高耐久・実績豊富 | 重量がありコスト高 | 屋上・屋根全面 |
実録!新東亜工業の施工事例|5階建てビルの外壁塗装・防水工事
「外壁が汚れてきた」「屋上の雨漏りが心配」とお悩みのビルオーナー様に向けて、今回は東京都板橋区の5階建てビルにて実施した外壁塗装および防水工事の実例をご紹介します。初回のお問い合わせから現地調査、見積り提出、ご契約、施工中のやり取り、そして引き渡しまで——。リアルな会話形式で一連の流れを完全公開します。
ご相談内容
隣接する建物の解体工事を機に、外壁塗装と屋上防水工事を検討されたお客様からのご相談でした。新築工事が始まる前に工事を終えたいという明確なご要望があり、早急な対応が求められる案件でした。
お客様:お隣が解体されまして、新築が始まる前に外壁塗装を済ませたいんですが、見積りお願いできますか?
担当者:もちろんです。現地調査の日程として24日の13時はいかがでしょうか?
お客様:問題ないです!母が立ち会いますので、よろしくお願いします。
工事の概要|工事金額と期間

外壁塗装 施工前

外壁塗装 施工後
建物種別 | 5階建てビル |
---|---|
所在地 | 東京都板橋区 |
工事内容 | 外壁塗装・屋上防水工事 |
工法 | 砂骨仕上げ塗装、ウレタン密着工法、シーリング打ち替え 他 |
その他特記事項 | 隣地工事前の短期集中対応 |
工事金額:513万円
工期:40日間
現地調査で判明した劣化症状
現地調査の結果、屋上防水層の破断、外壁のひび割れ、タイルの浮きといった劣化が確認されました。特に雨漏りの懸念がある防水層については、優先的な対応が必要でした。
担当者:屋上の防水層が破れていたのと、外壁のひび割れが結構ありましたねぇ。
お客様:そうなんですねぇ…。やっぱり今のうちにやらないとですね。
施工中のやり取りと配慮
着工後の下地調査で、見積以上の劣化が確認されたため、追加補修をお客様にご相談。ご理解の上、フルスペックでの補修を実施。また、騒音・臭気などへの配慮や迅速な報告体制を徹底しました。
担当者:タイルなどは直さないと落ちてくる可能性があるので、予算はオーバーしますが、やった方がいいかと思います。
お客様:この際なので、追加分もお願いします。
担当者:ありがとうございます。明日から入らせていただきます!
引き渡し時のご感想
防水・塗装ともに完了し、最終検査後の是正も実施。仕上がりの品質にお客様も非常に満足され、保証書なども問題なくお渡しできました。
担当者:工事が完了となりました。本日をもって引き渡しとさせていただきます。
お客様:わかりました。本当に綺麗になって良かったです。ありがとうございました!
本工事では、隣地の新築工事が始まる前というタイトなスケジュールの中、外壁塗装と防水工事を高品質かつ確実に完了しました。現地調査での的確な劣化診断、丁寧な見積説明、細かな仕様打合せ、工事中のこまめな報告と柔軟な対応により、お客様との信頼関係を築くことができました。
ビル防水工事の費用・工期目安
ビル防水工事にかかる費用や工期は、「どの工法を選ぶか」「施工面積の広さ」「下地の劣化状況」などによって大きく変わります。さらに、足場の設置や仮設設備、下地補修や廃材処理といった付帯工事も発生するため、単純な㎡単価だけで全体コストを判断するのは危険です。
費用相場(工法別)
- ウレタン防水:1㎡あたり 4,000〜7,000円前後
- シート防水:1㎡あたり 5,000〜8,000円前後
- アスファルト防水:1㎡あたり 6,000〜10,000円前後
例えば、延床500㎡規模の中型オフィスビル屋上にウレタン防水を施工する場合、足場や仮設工事を含めて総額400万〜600万円程度となるケースが多いです。外壁にも同時施工を行えば、工事規模は一気に1,000万円を超えることもあります。
工期の目安
- 小型ビル(〜500㎡):おおむね1〜2週間
- 中規模ビル(1,000㎡前後):2〜3週間
- 大型ビル(2,000㎡以上):1か月以上
ここで重要なのは、天候や季節の影響です。ウレタン防水は硬化時間を要するため、梅雨時期や台風シーズンに施工すると工程が遅れやすく、結果的に工期や費用が増えるリスクがあります。逆に冬場は気温低下により硬化が遅れるケースもあり、施工管理に経験豊富な業者でないと仕上がりに差が出ます。
コストを左右する要素
- 下地の状態
下地に浮きやひび割れが多いと補修工程が増え、コストが膨らみます。表面処理だけで済むケースと比べると数十万円〜数百万円単位で差が出ます。 - 施工環境
人通りの多い繁華街や高層ビルでは、仮設足場や養生の規模が大きくなり、費用や工期に直結します。 - 工事の同時実施
外壁塗装や屋上設備更新と合わせて防水工事を行うことで、足場の共用が可能になり、トータルコストを下げられます。
ビル防水工事について業者の選び方
ビル防水工事は専門性が高く、施工不良は大きなトラブルを招きかねません。そのため、業者選びは費用と同じくらい慎重に行う必要があります。
実績と資格の確認
まず注目すべきは業者の施工実績です。過去にどのような規模・用途のビルで工事を行ったのかを確認しましょう。さらに「防水施工技能士」や「建設業許可」などの資格・許可を持つかどうかも重要な判断材料です。これらは施工の信頼性を裏付ける要素となります。
見積書の比較ポイント
見積書を受け取ったら、「工法」「材料」「保証内容」が具体的に記載されているかを必ず確認しましょう。よくあるのが「一式工事」とだけ書かれた不透明な見積書です。これでは追加費用の発生リスクが高くなり、契約後にトラブルにつながります。複数業者からの見積もりを比較することで、費用相場や工事内容の妥当性が見えてきます。
地域密着業者と大手業者の違い
- 地域密着業者:小回りが利き、アフターフォローが早い。担当者と直接やり取りできる安心感がある。
- 大手業者:ブランド力や信頼性が高い一方、費用は割高になる傾向。大規模案件や長期保証には強みがある。
いずれを選ぶにしても、実際に現場調査をしてくれるか、質問に対して明確な回答をくれるかが信頼性の判断基準となります。
ビルにおける防水工事よくある質問(FAQ)
1. ビル防水工事は何年ごとに行うべき?
一般的には10〜15年ごとが目安です。ただし立地条件や使用状況により差があり、日射や降雨量の多い地域では劣化が早まる場合があります。定期点検を行い、早めの補修を心掛けましょう。
2. 工事中にテナント営業は可能?
可能な場合が多いですが、屋上や外壁からの工事は騒音や振動が発生します。事前に施工計画を立て、テナントと調整することが大切です。夜間や休日を利用するケースもあります。
3. 部分補修と全面防水工事、どちらを選ぶべき?
小規模な劣化であれば部分補修で対応可能ですが、全体に劣化が広がっている場合は全面工事が適切です。部分補修を繰り返すと、長期的にはコストがかさむ可能性があります。
4. 雨漏りが起きてからでも間に合う?
雨漏り後でも工事は可能ですが、被害が拡大している場合は下地や構造体の補修も必要となり、費用と工期が増えることがあります。雨漏り前の予防的施工が最も効果的です。
5. 費用を抑えるコツは?
複数見積もりの比較、工法の適正選択、他工事との同時施工が効果的です。さらに自治体の助成金を利用できる場合もあるため、事前に調べておくと良いでしょう。
6. 保証期間はどのくらい?
工法や業者によって異なりますが、一般的に5〜10年程度が多いです。保証期間が長いほど安心ですが、施工内容とセットで確認することが重要です。
ビル防水工事はプロに任せよう|まとめ
ビル防水工事は、建物の寿命を守り、資産価値を維持するうえで欠かせない工事です。工法や費用は一律ではなく、施工環境や下地の状態によって大きく変動します。そのため「相場感」を持ちつつも、実際には現地調査を経たうえでの見積もりを重視することが重要です。
また、信頼できるプロ業者を選ぶことが、長期的に見て最も費用対効果が高い投資となります。安易に価格だけで判断するのではなく、工事内容や保証の有無、業者の姿勢まで含めて検討しましょう。適切な時期に適切な工事を行うことで、ビルの健全性を長期にわたり守ることができます。