
エレベーターのリニューアル費用を解説!方式の種類や流れからコスト削減のコツを押さえよう
2025/10/22
マンションやオフィスビルのエレベーターは、建物の利便性を支える重要な設備です。
しかし、設置から20年以上経過すると老朽化が進み、安全性や快適性に支障が出ることがあります。
そのため、定期的なエレベーターのリニューアル工事を行うことが求められます。
とはいえ、実際にリニューアルを検討する際には「費用はいくら?」「どんな方式がある?」「工事期間中は使えるの?」など、さまざまな疑問が浮かぶでしょう。
本記事では、エレベーターリニューアルの費用相場や工事方式、コスト削減のポイントまで、専門的な視点でわかりやすく解説します。建物の資産価値を維持し、安全で快適な環境を保つための参考にしてください。
目次
エレベーターのリニューアルとは?
エレベーターのリニューアルとは、老朽化した設備を最新の機能・安全基準に更新する工事のことです。
単なる修理ではなく、制御装置や巻上機などの主要部品を交換し、快適性と省エネ性能を高める改修を指します。
ここでは、リニューアルの目的や必要性、改修・交換との違いを詳しく見ていきましょう。
リニューアルの目的と必要性
エレベーターリニューアルの最大の目的は、安全性の確保と運行の安定化です。
20年以上使用したエレベーターは、部品の摩耗や電気系統の劣化により、停止や誤作動などのトラブルが発生しやすくなります。
また、古い制御方式では、地震時や停電時に十分な安全対策が取れない場合もあります。
リニューアルを行うことで、最新の制御装置やセンサーが導入され、事故防止やエネルギー効率の改善につながります。
さらに、操作パネルや照明のデザインを一新することで、利用者にとっても快適で信頼性の高い設備へと生まれ変わります。
改修・交換との違い
エレベーター工事には「改修」「リニューアル」「交換」という3つの方法があります。
それぞれの特徴を比較すると次のようになります。
改修・リニューアル・交換の比較表
項目 | 改修 | リニューアル | 交換 |
---|---|---|---|
工事内容 | 部分補修・塗装など | 制御装置や巻上機など主要部品を更新 | エレベーター全体を新機器に入れ替え |
規模 | 小規模 | 中規模 | 大規模 |
目的 | 現状維持 | 性能・安全性向上 | 完全更新・最新化 |
費用感 | 数十万円〜数百万円 | 数百万円〜数千万円 | 2,000万円以上 |
メリット | 費用を抑えられる | コストを抑えつつ性能向上が可能 | すべて新しくできる |
デメリット | 効果が限定的 | 一部古い部品が残る | 費用と工期が大きい |
このように、リニューアルは既存の構造を活かしながら性能を向上させるバランス型の工事です。
特に、エレベーターの整備費用を抑えたい場合に、最も現実的で効果的な選択肢といえるでしょう。
管理組合・オーナーが検討すべきタイミング
エレベーターリニューアルを検討する目安は、設置から20〜25年経過した頃です。
この時期になると、メーカーによる部品供給が終了し、故障時の対応が難しくなります。
また、近年は法令や安全基準が改正され、古い設備では新基準に適合しないケースもあります。
管理組合やオーナーは、定期点検時の報告書や保守会社の診断結果をもとに、リニューアル計画を早めに検討することが重要です。
特に、制御装置や巻上機の交換を伴う工事は費用も大きいため、修繕積立金の活用や補助金制度の確認も欠かせません。
エレベーターのリニューアルが必要になる時期と耐用年数
エレベーターは長期使用に耐えられるよう設計されていますが、永久に使えるわけではありません。
部品の劣化や制御機器の老朽化により、安全性や運行効率が低下します。
ここでは、主要部品の耐用年数や更新目安、メーカーサポート終了時のリスクについて解説します。
主要部品の耐用年数と交換目安
一般的に、エレベーター全体の耐用年数は約25年とされていますが、部品ごとに寿命は異なります。
たとえば、巻上機や制御盤は15〜20年、ドア機構や照明は10〜15年が交換の目安です。
これらの部品が劣化すると、動作音が大きくなったり、停止精度が悪化したりといった不具合が現れます。
こうした症状が見られたら、部分交換やリニューアルの検討を始めるサインです。
早めに対応することで、トラブルを未然に防ぎ、結果的にエレベーターリニューアルの費用を抑えることにもつながります。
部品供給停止・メーカーサポート終了時の注意点
エレベーターメーカーは一定期間を過ぎると、旧型機種の部品供給を終了します。
これは新製品への切り替えや在庫管理の都合によるもので、一般的に15〜20年で終了するケースが多いです。
供給が止まると、故障時に代替部品が手に入らず、修理に時間と費用がかかることがあります。
そのため、サポート終了の案内が届いた時点で、リニューアル計画を立てるのが理想的です。
メーカーや保守会社に現状のサポート状況を確認し、必要に応じて予算化を進めておくと安心です。
劣化サインから判断する更新時期
エレベーターリニューアルを検討すべきもう一つの判断材料が、実際の使用状況から見える「劣化サイン」です。
具体的には、以下のような兆候が見られたら注意が必要です。
- 運転時に異音がする
- 停止階がずれることがある
- ドアの開閉が遅くなった
- 照明や表示灯がちらつく
- 操作パネルの反応が鈍い
こうしたサインを放置すると、最終的には安全装置の誤作動や停止トラブルに発展する可能性があります。
特に利用頻度の高いマンションやオフィスでは、10年を過ぎたあたりから定期的に診断を受け、リニューアル時期を見極めることが重要です。
早めの対応が、結果的に修繕コストやリニューアル費用を最小限に抑えることにつながります。
エレベーターにおける既存不適格とは?安全基準とリニューアルの関係
古いエレベーターは、現在の安全基準を満たしていない「既存不適格」と呼ばれる状態になっている場合があります。
これを放置すると、事故や法令違反につながる可能性もあるため注意が必要です。
ここでは、既存不適格の意味と、リニューアルによってどのように安全性を確保できるかを解説します。
昇降機検査基準における既存不適格の定義
既存不適格とは、建築当時は適法だった設備が、その後の法改正によって現行基準に適合しなくなった状態を指します。
特にエレベーターでは、2009年の改正以降、安全装置や耐震性能に関する基準が強化されており、古い機種では対応していないことが多いです。
既存不適格に該当する主なケース
- 戸開走行保護装置が未設置
- 地震時管制運転装置が未搭載
- 耐震性能が現行基準を満たしていない
- 非常通報設備が旧型のまま
リニューアルで改善できる安全性・防災性能
リニューアルを実施することで、最新の安全装置を導入し、基準を満たす状態に改善できます。
たとえば、地震や停電時に安全な位置で停止させる制御システムや、ドア開放時の誤作動を防ぐセンサーなどです。
また、防火ドアや通信装置の更新により、災害時の避難安全性も高まります。
これらの改修は、利用者の安心感を高めるだけでなく、建物全体の資産価値向上にもつながります。
不適格状態を放置した場合のリスク
既存不適格のまま使用を続けると、行政指導の対象となる場合や、万一事故が発生した際に管理責任を問われる可能性があります。
また、修理対応できる部品が減少するため、故障時の停止期間が長期化する恐れもあります。
結果的に運用コストが増加し、早期にリニューアルを行うよりも負担が大きくなるケースも少なくありません。
安全面・経済面の両方から、適切なタイミングでのリニューアルが求められます。
エレベーターのリニューアル方式にはどんな種類がある?
エレベーターのリニューアル工事には、目的や費用、建物の状況に応じて複数の方式があります。
それぞれの方式によって工期やコストが異なるため、比較して選ぶことが重要です。
ここでは、代表的な3つの方式を紹介します。
全撤去新設リニューアルの特徴
エレベーターの全ての機器を撤去し、新しいシステムに入れ替える方式です。
構造体以外はすべて更新されるため、安全性・デザイン・快適性のすべてを最新仕様にできます。
費用は1基あたり約1,500〜3,000万円と高額ですが、長期的な耐用性と省エネ性能の向上が期待できます。
準撤去リニューアルの特徴
主要機器である巻上機や制御盤を交換し、かご枠やレールなど再利用できる部品は残す方法です。
コストを抑えつつ性能を高められる中間的な選択肢で、費用相場は1,000〜1,800万円程度です。
工期も短く、管理組合や企業ビルで最も多く採用されています。
制御リニューアル(部分更新)の特徴
制御盤・操作パネルなどの電気系統のみを交換する方式です。
見た目や基本構造はそのままに、性能と安全性を部分的に向上できます。
費用は1基あたり500〜1,000万円と比較的低コストで、短期間で工事が完了します。
老朽化が進む前の予防的な更新としても有効です。
方式別の比較一覧表(費用・工期・メリット・デメリット)
方式 | 費用相場 | 工期 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
全撤去新設 | 約1,500〜3,000万円 | 約1ヶ月 | 安全性・デザイン・性能すべて最新化 | 高額で工期が長い |
準撤去 | 約1,000〜1,800万円 | 約1〜2週間 | コスト・性能のバランスが良い | 古い部材が一部残る |
制御リニューアル | 約500〜1,000万円 | 数日〜1週間 | 費用が安く短期間で施工可能 | 更新範囲が限定的 |

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エレベーターリニューアルの費用相場【方式別・建物別】
リニューアルの費用は、工事方式や建物の規模・構造によって大きく変わります。
ここでは、代表的な方式別の費用相場と、建物の種類による価格差、さらに費用内訳のポイントを整理して紹介します。
全撤去・準撤去・制御リニューアルの費用目安
リニューアル方式ごとの費用は、以下の通りです。
工事方式 | 費用目安 | 適用例 |
---|---|---|
全撤去新設 | 約1,500〜3,000万円 | 老朽化が進んだ大型マンション・オフィスビル |
準撤去リニューアル | 約1,000〜1,800万円 | 中規模マンション・事務所ビル |
制御リニューアル | 約500〜1,000万円 | 小規模ビル・老朽前の部分更新 |
工事費・部材費・設計監理費の内訳
一般的な費用構成は、工事費が全体の約70%、部材費が20%、設計・監理費が10%程度です。
特に巻上機や制御装置は高額部品で、全体費用の大半を占めます。
また、デザイン改修や内装更新を含める場合は、追加費用が発生することもあります。
建物階数・台数・用途による価格差
同じ方式でも、建物の階数やエレベーター台数によって費用は変動します。
高層ビルでは昇降距離が長いため設備コストが上がり、複数基を同時に施工する場合は割安になる傾向です。
また、住宅用より業務用エレベーターのほうが仕様が高いため、費用が1〜2割増になるケースもあります。
エレベーターのリニューアル費用を抑える方法
エレベーターのリニューアル工事は高額になりがちですが、工夫次第でコストを抑えることが可能です。
ここでは、品質を落とさずにエレベーターのリニューアル費用を削減するための実践的なポイントを紹介します。
複数業者からの相見積もりの重要性
リニューアルを検討する際は、必ず複数の業者から見積もりを取得しましょう。
同じ条件でも、業者によって100万円単位で差が出ることがあります。
見積書では、工事範囲・仕様・保証内容を比較することが大切です。
また、メーカー系と独立系の両方から見積もりを取ると、価格と提案内容のバランスを判断しやすくなります。
既存部材の活用・再利用でコスト削減
かご枠・レール・ガイドレールなど、再利用可能な部品を活かすことで大幅なコスト削減が可能です。
特に準撤去リニューアルでは、主要機器のみ交換し、残りを再利用することで費用を30%以上抑えられることもあります。
ただし、安全基準を満たさない部材を残すことは避け、専門家の判断を仰ぐことが重要です。
夜間・休日工事のスケジュール最適化
オフィスビルや商業施設では、稼働時間を避けた夜間・休日施工を行うことで、営業への影響を最小限に抑えられます。
結果的に工期の短縮や効率化につながり、費用削減にも寄与します。
特に複数基ある場合は、稼働スケジュールを分散する計画が有効です。
補助金・助成制度の活用
自治体や国の制度を活用することで、費用の一部を補助してもらえる場合があります。
エレベーターのリニューアルで活用できる補助金の例【2025年版】
制度名/対象地域 | 概要 | 主な対象工事・費用 | 申請主体 |
---|---|---|---|
エレベーター安全装置等設置助成(東京都港区) | 戸開走行保護装置・地震時管制装置など安全装置の設置支援 | 安全装置設置・更新、附帯工事 | 管理組合・所有者 |
エレベーター防災対策改修支援事業(東京都新宿区) | 地震・停電対応など防災機能改修の助成 | 地震時管制・耐震化・停電時自動着床 | 管理組合・所有者 |
分譲マンション再生等合意形成支援制度(千葉県千葉市) | 修繕・建替えに向けた合意形成支援 | 調査・専門家活用・資料作成費 | 管理組合 |
参考元:港区「エレベーター安全装置等設置助成事業」
参考元:新宿区「新宿区エレベーター防災対策改修支援事業のご案内」
参考元:千葉市「マンション再生等合意形成支援制度」
申請には条件や期限があるため、早めに確認しておくことが大切です。
独立系エレベーター業者への発注で費用を抑える
エレベーターリニューアルの費用を抑える方法のひとつに、独立系業者への発注があります。
メーカーに比べて柔軟な対応とコスト競争力があり、品質を保ちながらコストを削減できるのが特徴です。
メーカー系と独立系の違い
メーカー系と独立系の業者の特徴を比較すると、以下のようになります。
項目 | メーカー系業者 | 独立系業者 |
---|---|---|
取扱製品 | 自社製品が中心 | 複数メーカー製品を取扱可能 |
費用 | 高め(ブランド料を含む) | 比較的安価(20〜30%削減可能) |
仕様の柔軟性 | 限定的 | 柔軟にカスタマイズ可能 |
保証・品質 | 長期保証・安定品質 | 業者により差があるため確認が必要 |
提案力 | 標準仕様中心 | 建物に合わせた提案が可能 |
向いているケース | 品質重視・長期運用向け | コスト重視・柔軟対応を希望する場合 |
施工品質を確保するためには、独立系を選ぶ際に保守実績や資格保有状況を確認しておくことがポイントです。
独立系のメリットと注意点
費用を抑えるために独立系業者への発注を依頼する方が多いですが、実際にはどのようなメリットがあるでしょうか。
また、注意点もあるため依頼する前に十分な確認・検討を行うことが重要です。
メリット
- メーカーより見積金額が20〜30%安い傾向
- 複数メーカー製品の組み合わせが可能
- 柔軟な仕様変更や短納期対応が可能
注意点
- 保証期間や部品調達ルートを事前に確認
- 実績が少ない業者は避ける
- メーカー保証を引き継げない場合がある
エレベーターのリニューアルにおける流れ
エレベーターリニューアルは、計画から完成まで複数の工程を経て進みます。
事前準備をしっかり行うことで、トラブルを防ぎ、スムーズな工事が可能になります。
ここでは、リニューアルの一般的な流れと期間の目安を紹介します。
Step1.現地調査・診断
まずは専門業者による現地調査を行い、設備の劣化状態や改修の必要性を詳細に確認します。
調査では、制御装置や巻上機の動作確認に加え、電気系統の絶縁抵抗試験やブレーキ性能の確認、ドア開閉の動作検査など、多角的な診断を実施します。
場合によっては、将来の省エネ化・バリアフリー化への対応可能性も考慮して提案を行うことが一般的です。
調査結果を踏まえて、最適な工事方式と概算費用の方向性を示し、管理組合やオーナーが検討しやすい資料を作成します。
Step2.設計・見積・契約
調査結果をもとに、工事計画書と見積書を作成します。
設計段階では、機器仕様・デザイン・スケジュールを確定させるだけでなく、建物ごとの条件に合わせた最適なレイアウトや仕上げ材の選定も行います。
さらに、住民説明会や理事会での承認プロセスでは、費用配分や支払いスケジュール、工事中の安全対策についても丁寧に説明し、合意形成を図ります。
見積書の内容を比較・精査する際には、保証期間、アフターサービス、予備費の設定なども重要なチェック項目です。
これらの手続きを経て、正式な契約を締結し、リニューアル計画が本格的に始動します。
Step3.工事実施〜検査・引き渡しまでの流れ
施工期間中は、古い機器の撤去、新機器の設置、試運転、法定検査という流れで進行します。
工事は通常、仮設足場や養生を行って安全確保した上で、巻上機・制御盤・ドア機構などの撤去から始まります。
その後、配線工事や機器の据え付けを経て、システム全体の動作確認を実施します。
制御リニューアルの場合は数日〜1週間、準撤去では1〜2週間、全撤去では1ヶ月程度が目安です。
完了後は、建築基準法に基づく昇降機検査や、行政による使用開始検査が行われ、安全性が確認されて初めて正式な引き渡しとなります。
引き渡し時には、点検マニュアルや保守契約の説明も行い、長期的なメンテナンス体制を整備します。
Step4.住民・利用者への告知と対応
マンションやオフィスビルなど居住者や利用者の多い建物では、工事前の周知と協力体制の確立が不可欠です。
掲示板や回覧文書で工事スケジュール・停止期間を明確に伝え、階段利用が必要な期間には注意喚起ポスターを設置します。
また、高齢者や障がいのある方への特別対応(荷物の運搬支援や仮設昇降機の設置など)を検討することも重要です。
工事中は作業音や振動が発生するため、事前に説明を行い、苦情やトラブルを防止します。
さらに、住民やテナントからの問い合わせに迅速に対応する連絡体制を整えることで、安心感を高め、スムーズな工事進行につながります。
マンションのエレベーターリニューアルに関するよくある質問
マンションのエレベーターリニューアルに関する悩みは、さまざまです。
ここでは、多くの方から寄せられる質問を集めましたので、ぜひご覧ください。
Q1. エレベーターのリニューアルはいつ検討すべき?
A.エレベーターのリニューアルを検討するタイミングは、一般的に設置から20〜25年が目安とされています。
メーカーの部品供給が終了する時期を基準に、早めに計画を立てることが大切です。
また、利用頻度の高い建物や劣化が進んでいる場合は、15年を過ぎた段階で診断を依頼しておくと安心です。
劣化サイン(異音や動作の遅れなど)が出始めた時点での対応が、結果的に費用を抑えるポイントとなります。
Q2. 費用の目安はどのくらい?
A.工事方式によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
制御リニューアルで約500〜1,000万円、準撤去リニューアルで1,000〜1,800万円、全撤去リニューアルでは1,500〜3,000万円が相場です。
また、建物の階数やエレベーターの台数、仕様によっても費用は前後します。
デザイン変更や内装改修を含める場合は、さらに追加費用が発生する可能性があります。
Q3. 工事期間中はエレベーターが使えない?
A.原則として一時的に停止が必要です。ただし、複数基設置されているビルやマンションでは、順次施工することで完全停止を避けることが可能です。
制御リニューアルの場合は数日〜1週間、準撤去では約1〜2週間、全撤去の場合は1ヶ月程度を要します。
居住者や利用者への周知を徹底し、安全確保と利便性の両立を図ることが重要です。
Q4. 補助金や助成金は使える?
A.自治体や国の制度により、省エネ化・バリアフリー化・防災対応を目的としたリニューアルには補助金が利用できる場合があります。
東京都をはじめ、各自治体で制度が異なるため、着工前に要件を確認しておきましょう。
特に共用部のバリアフリー改修や老朽化設備更新は対象となることが多く、工事費の1/3程度が助成されるケースもあります。
Q5. 見積もり時に注意すべき点は?
A.見積もりを依頼する際は、工事範囲・仕様・保証内容を統一して比較することが重要です。
条件がバラバラだと正確な判断ができません。また、価格だけでなく、アフターサービス体制・保証期間・緊急対応の有無もチェックしましょう。
可能であれば、過去の施工実績や顧客評価も確認し、信頼できる業者を選ぶことが安心です。
まとめ
エレベーターリニューアルは、安全性・快適性・資産価値を維持するために欠かせない工事です。
本記事で紹介したポイントを以下にまとめました。
- リニューアル方式は目的と予算で選ぶ
- 相見積もりと独立系業者の活用でコストを抑える
- 補助金・助成金の制度を確認しておく
- 早めの計画と周知がスムーズな工事の鍵
定期的なメンテナンスと計画的なリニューアルで、安心・快適な昇降環境を長く維持しましょう。
リニューアルを適切なタイミングで行うことで、エレベーターの性能を最大限に引き出し、入居者や利用者の満足度を高めることができます。
将来的な資産価値の維持にもつながるため、今後10年先を見据えた計画的な更新が重要です。