マンションの大規模修繕は15年周期で行うべき?判断基準や費用相場・他の周期との違いをプロが解説
2025/07/24
マンションが築15年を迎え、「そろそろ大規模修繕が必要なのでは」と感じる方も多いのではないでしょうか。
国土交通省のガイドラインが示す修繕周期の目安は12〜15年であり、15年はそのうちの一つの選択肢です。
しかし、実際に15年周期が適しているかどうかは、使用している建材の耐用年数や立地環境、修繕積立金の状況などによって変わります。
本記事では、15年周期を選ぶための判断基準や費用相場、12年・18年周期との違いを詳しく解説します。自分のマンションに合った周期を見極める参考にしてください。
目次
- 1 マンションの大規模修繕の周期は15年?12年が目安とされる理由
- 2 マンションの大規模修繕を15年周期で行うメリット
- 3 マンションの大規模修繕を15年周期で行うデメリット
- 4 マンションの大規模修繕の周期を判断する基準
- 5 マンションの大規模修繕は12年・15年・18年周期で何が違う?
- 6 マンションの大規模修繕を15年周期で行うときの費用相場
- 7 マンションの大規模修繕を15年周期で実施するときの資金計画のポイント
- 8 マンションの大規模修繕を15年周期で実施するときの手順
- 9 マンションの大規模修繕を15年周期で実施するときの業者選定のコツ
- 10 15年周期のマンション大規模修繕でよくあるトラブル
- 11 15年周期のマンション大規模修繕に関するよくある質問(FAQ)
- 12 まとめ|マンションの大規模修繕を15年周期で行うべきか悩んだら専門業者に相談しよう
マンションの大規模修繕の周期は15年?12年が目安とされる理由

マンションの大規模修繕は、一般的に12年を目安に行われるケースが多く見られます。ただし、これはあくまで目安であり、建物の状態によっては15年程度まで延ばせることもあります。
本章では、マンションの大規模修繕で12年周期が目安といわれる根拠をみていきましょう。
国土交通省のガイドラインを参考にしている
マンションの大規模修繕の周期が12年を目安とされている理由として、国土交通省のガイドラインを参考に決められていることが挙げられます。
平成20年版における国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」では、大規模修繕の周期について12年程度という数値が示されていました。ただし、令和3年の改訂により、「概ね12〜15年程度」と幅を持たせた表現に見直されています。
また、国土交通省が実施した「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、工事回数別の平均修繕周期は1回目が15.6年とされています。なお、最も多い周期は13年で、全体の約7割が12〜15年周期で実施されています。
ただし、ガイドライン上の周期はあくまで目安であり、法的な義務ではありません。建物の仕様や立地条件に応じて、柔軟に判断することが前提とされている点を押さえておきましょう。
塗料や防水材の耐用年数が12〜15年程度とされている
大規模修繕の中心となる外壁塗装や屋上防水は、使用する塗料や防水材の耐用年数と密接に関わっています。
一般的なシリコン系塗料の耐用年数は10〜13年程度、ウレタンなどの防水材も10〜15年程度が目安とされ、この期間を過ぎると防水性能や美観が低下しやすくなります。
そのため、材料の耐用年数が尽きる前に手を打つという考え方から、12年前後を一つの区切りとする方針が定着しています。
建物の状態によっては15年周期になることもある
劣化の進行は建物ごとに異なるため、すべてのマンションが一律に12年で修繕する必要があるとは言い切れません。
高耐久な材料を使用している建物や、劣化を進めにくい立地環境にある建物であれば、建物診断で問題がないことを確認したうえで15年まで延長できるケースもあります。
ただし、判断を誤ると劣化の見逃しにつながるため、周期の延長は必ず専門家による診断を踏まえたうえで検討することが重要です。
マンションの大規模修繕を15年周期で行うメリット

マンションの状態が15年周期に適している場合、大規模修繕の間隔を延ばすことでいくつかのメリットが期待できます。
本章では、工事回数の減少や住民負担の軽減など、マンションの大規模修繕を15年周期で実施するメリットについて見ていきましょう。
修繕工事の回数を減らせる可能性がある
マンションの大規模修繕の周期を12年から15年に延ばすと、単純計算で30年間に必要な工事回数を減らせるケースも考えられます。
たとえば30年間で見ると、12年周期では3回目の実施を検討するタイミングに入るのに対し、15年周期では2回程度に抑えられる可能性があります。
工事回数が減れば、そのたびに発生する足場の設置・解体費用や、住民の合意形成にかかる手間を長期的に抑えられる可能性があります。
居住者と管理組合の負担を抑えやすい
修繕工事の回数が減ることで、居住者の生活への影響を抑えられる点もメリットです。
足場の設置期間中は洗濯物を干せない、窓を開けにくいといった不便が生じやすいため、工事の頻度が下がればその負担を感じる機会も少なくなります。
また、修繕のたびに必要となる住民説明会や合意形成の手間も減らせるため、理事会にとって運営上の負担軽減にもつながります。
マンションの大規模修繕を15年周期で行うデメリット

マンションの大規模修繕の周期を延ばすことにはデメリットも存在します。良い面だけでなく、注意すべきポイントも押さえたうえで判断することが大切です。
本章では、大規模修繕を15年周期で実施する具体的なデメリットや注意点を解説します。
一度の工事費用が高くなる可能性がある
大規模修繕の周期が長くなると、劣化が進行してから工事に着手することになるため、補修が必要な箇所や範囲が広がりやすくなります。その結果、1回あたりの工事費用が12年周期よりも高くなるケースも少なくありません。
特に、劣化を放置した期間が長いほど下地補修などの付帯工事が増え、想定以上の費用がかかるケースも考えられます。
マンションの大規模修繕を15年周期で実施する場合は、積立金の準備状況とあわせて慎重に検討することが重要です。
外壁調査と修繕で足場費用が二重にかかることがある
建築基準法第12条上、タイルやモルタル張りなどの外壁を持つ特定建築物では、竣工・外壁改修後10年を超えて最初の定期調査時に、外壁の全面打診等調査を実施することが義務付けられています。(参照:国土交通省|平成20年4月1日から建築基準法第12条に基づく定期報告制度が変わります)
この調査には足場の設置が必要となる場合が多く、大規模修繕の時期とずれてしまうと、調査用と工事用で足場を二重に組むことになり、余分な費用が発生する可能性があります。
マンションの大規模修繕の周期を検討する際は、この打診調査のタイミングもあわせて確認しておくと安心です。
関連記事:マンション大規模修繕工事の周期とは?10年・12年・15年の理由も解説
マンションの大規模修繕の周期を判断する基準

自分のマンションの大規模修繕の周期を検討する際は、いくつかの基準を組み合わせて判断する必要があります。
本章では、マンションの大規模修繕の周期を判断するうえでの主な確認ポイントを4つ紹介します。
建材の耐用年数を確認する
マンションの大規模修繕の周期を検討する際は、新築時や前回の修繕時に使用した塗料や防水材の耐用年数を確認しましょう。
フッ素樹脂塗料や高耐久タイプの防水材など、耐用年数が15年前後とされる材料を使用している場合は、15年周期の大規模修繕でも材料の性能を活かしやすいといえます。
一方、標準的な耐用年数の材料を使用している場合は、12年前後を目安にしたほうが劣化の見逃しを防ぎやすくなります。
立地環境による劣化の進み方を確認する
建物の劣化スピードは、立地環境によっても大きく変わります。
内陸部の住宅地で日当たりや風通しが良く、交通量の少ない環境にある建物は、比較的劣化が緩やかな傾向があります。
一方、沿岸部の塩害地域や交通量の多い道路沿い、工業地域などでは外壁や防水層の劣化が早く進みやすいため、15年まで周期を延ばすと劣化を見逃すリスクが高まる点に注意が必要です。
建物診断で劣化状況を確認する
マンションの建材の耐用年数や立地環境はあくまで目安であり、実際の劣化状況は建物ごとに異なります。
目視での点検に加え、打診調査や赤外線カメラなどを組み合わせた建物診断を実施すれば、外壁のひび割れやタイルの浮き、防水層の劣化状況を正確に把握できます。
これらの診断結果をもとに、大規模修繕の周期を延ばして問題ないか、早めに着手すべきかを専門家とともに判断することが大切です。
修繕積立金と長期修繕計画を確認する
大規模修繕の周期を延ばす場合でも、1回あたりの工事費用が高くなりやすいため、修繕積立金が計画どおりに積み立てられているかを確認しておく必要があります。
長期修繕計画を見直し、15年周期を前提とした資金計画になっているかをチェックしましょう。
積立金が不足している場合は、一時金の徴収や借入、周期の見直しなど、複数の選択肢を比較しながら対応を検討することが大切です。
関連記事:マンションの大規模修繕は何年ごとが最適?12年・15年・18年と言われている理由を解説
マンションの大規模修繕は12年・15年・18年周期で何が違う?

マンションの大規模修繕の周期には12年・15年・18年など複数の目安があります。それぞれ何が違うのか、15年を基準に前後の周期と比較してみましょう。
12年周期と15年周期の違い
12年周期は、一般的にマンションの大規模修繕の目安とされ、実績や事例が比較的豊富な点が特徴です。マンションの劣化が進む前に修繕できるためリスクを抑えられますが、修繕回数は増えるためコストがかさみやすい点がデメリットです。
15年周期は材料や立地条件が適している場合に選ばれることがあり、修繕回数を抑えられます。ただしその際はより慎重に劣化状況を見極める必要があります。
どちらが適しているかは建材の耐用年数や立地環境によって異なるため、判断に迷う場合は専門業者に相談しましょう。
15年周期と18年周期の違い
18年周期は、15年周期よりもさらに大規模修繕の間隔を延ばす考え方です。
修繕頻度をより抑えられる可能性がある一方で、1回あたりの工事費用はより高額になりやすく、劣化が進んでから着手する分、住民の合意形成が難しくなる可能性もあります。
18年まで延ばせるかどうかは、15年周期よりも建物の状態や立地条件への依存度が高くなるため、より慎重な建物診断が欠かせません。
18年周期でのマンションの大規模修繕については以下の記事でも解説しています。
関連記事:
マンションの大規模修繕は18年で行うべき?タイミングや費用・計画からよくあるトラブルまでを解説
マンションの大規模修繕を15年周期で行うときの費用相場

大規模修繕費用の総額は、建物の規模や工事回数によって変動します。15年周期での大規模修繕は、修繕までの期間が長い分、劣化箇所や補修範囲が増えやすく、12年周期と比べて1回あたりの費用はやや高くなる傾向があります。
大規模修繕にかかる総額の目安として、国土交通省の調査データ(中央値)は以下のとおりです。
| 工事回数 | 1戸あたり工事金額の相場(中央値) | 国土交通省のデータに基づく総工事金額の相場 |
|---|---|---|
| 1回目 | 110.2万円/戸 | 4,944万〜1億9,825万円 |
| 2回目 | 106.1万円/戸 | 4,859万〜1億3,807万円 |
| 3回目以上 | 97.0万円/戸 | 5,753万〜1億6,785万円 |
出典:国土交通省|令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査
※共通仮設費・消費税は含みません。
ただし、15年周期の場合は修繕回数そのものが少なくなる可能性があるため、30年単位で見た総費用は必ずしも割高になるとは限りません。
工事項目別の費用内訳や具体的な相場については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
関連記事:マンションの大規模修繕費用の相場はいくら?工事項目別の内訳・目安と高騰対策を解説
マンションの大規模修繕を15年周期で実施するときの資金計画のポイント

大規模修繕を15年周期で実施する場合、修繕までの期間が長くなる分、1回あたりの工事費用に備えて長期的な視点で修繕積立金を準備しておくことが重要です。
長期修繕計画を定期的に見直し、積立金の残高と今後の積立ペースが、15年後に想定される工事費用に見合っているかを確認しましょう。もし積立金が不足している場合は、早めに対応策を検討することが大切です。
なお、修繕積立金の仕組みや相場については、以下の記事もご参照ください。
関連記事:マンションの修繕積立金とは?相場や仕組み・支払えない時の対応・管理費との違いまで解説
マンションの大規模修繕を15年周期で実施するときの手順

15年周期でマンションの大規模修繕を進める際は、修繕実施のおおむね1〜2年前を目安に準備を始めることが望ましいとされています。
大規模修繕は、以下の流れで進めるのが一般的です。
- 建物の現状把握・劣化診断
- 長期修繕計画の見直し
- 資金計画と見積もりの取得
- 工事スケジュールの策定
- 住民説明会での合意形成
- 契約・施工開始
それぞれの段階で必要な検討事項については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください。
関連記事:大規模修繕工事の工程・進め方を徹底解説|流れ・注意点・管理組合の対応まで
マンションの大規模修繕を15年周期で実施するときの業者選定のコツ
15年周期での大規模修繕は、次回の修繕まで長期間が空くことになるため、施工業者の品質や保証内容をより重視する必要があります。
複数の業者から見積もりを取り、工事内容や保証期間、アフターサポート体制を比較したうえで選定することが大切です。
特に、中間マージンの有無や自社施工かどうかは費用の透明性に直結するポイントのため、あわせて確認しておくと安心です。
大規模修繕の業者選びにおける具体的な比較基準については、以下の記事で解説しているので、気になる方はあわせてご覧ください。
関連記事:マンション大規模修繕は業者選定が重要!比較基準や進め方・失敗しないためのコツを押さえよう
15年周期のマンション大規模修繕でよくあるトラブル

15年周期での大規模修繕では、修繕までの期間が長い分、劣化の見落としや、想定より高額になった工事費用への住民の不満など、周期の長さに起因するトラブルが起こりやすくなります。
また、工事期間中の騒音や振動、足場設置に伴う防犯面の不安など、一般的な大規模修繕に共通するトラブルにも注意が必要です。
よくあるトラブルとその対策について、以下の記事もあわせてご確認ください。
関連記事:
マンション大規模修繕でよくあるトラブルとは?原因や対策・対処法を解説
大規模修繕工事における住民対応とは?配慮・トラブル防止・事前準備を徹底解説
15年周期のマンション大規模修繕に関するよくある質問(FAQ)
- 大規模修繕の周期は国土交通省のガイドラインで何年とされていますか?
- 国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」(令和3年改訂)では、大規模修繕の周期について、一般的に12〜15年程度という目安が示されています。
ただしこの年数はあくまで目安であり法的な義務ではないため、建物の状態や立地条件を踏まえて柔軟に判断することが不可欠です。
- 15年周期の場合、2回目の大規模修繕ではどのような工事になりますか?
- 1回目は外壁塗装や防水工事など建築系の工事が中心となるケースが多い一方、2回目以降は給排水管の更新やエレベーターの改修など設備関連の工事が加わりやすくなります。
築年数が進むほど工事範囲が広がる傾向があるため、2回目に向けた資金計画は早めに見直しておくと安心です。
- マンションの大規模修繕の周期を延長するときの注意点は?
- 周期を延長する場合は、必ず建物診断で劣化状況を確認したうえで判断することが大切です。
診断を行わずに延長すると劣化の見逃しによって修繕範囲が広がり、かえって費用が高くなるリスクがあります。あわせて、修繕積立金が延長後の資金計画に見合っているかも確認しておきましょう。
- マンションの大規模修繕の周期は回数によって変わりますか?
- 国土交通省の実態調査では、平均修繕周期は1回目が15.6年、2回目が14.0年、3回目が12.9年と、回数を重ねるほど短くなる傾向があります。
これは、1回目は比較的シンプルな外装系の工事が中心になるものの、2回目・3回目と回数を重ねるごとに設備の劣化が進むことなどが背景にあります。
そのため周期自体は12〜15年を目安としつつも、回数を重ねるたびに長期修繕計画を見直し、必要な工事内容を再確認することが重要です。
- 使用する材料や工法によって大規模修繕の耐久性は変わりますか?
- 使用する塗料や防水材の種類によって耐用年数は異なるため、大規模修繕の耐久性も変わるといえます。高耐久タイプの材料を選べば、次回の修繕までの期間を延ばしやすくなります。
ただし、材料の性能を最大限活かすには施工品質や下地処理などの技術力も不可欠であるため、実績のある業者に相談しましょう。
まとめ|マンションの大規模修繕を15年周期で行うべきか悩んだら専門業者に相談しよう
マンションの大規模修繕は、国土交通省のガイドラインでも「概ね12〜15年程度」が目安とされており、15年周期はそのうちの一つの合理的な選択肢です。
ただし、実際に15年まで延ばせるかどうかは、使用している建材の耐用年数や立地環境、修繕積立金の状況によって異なります。
判断に迷う場合は、建物診断の結果をもとに、実績のある専門業者に相談しながら、自分のマンションに合った修繕周期を見極めることをおすすめします。
