大規模修繕の費用が高騰する原因と対策|管理組合やオーナーへの影響とは?
2026/02/25
近年、建築資材の価格高騰や人手不足による人件費の上昇などを背景に、大規模修繕の費用は年々高騰を続けています。
しかし、費用が上がっているからといって修繕を先送りにすれば、建物の劣化が加速し、将来的にさらに大きな出費を招くリスクがあります。
本記事では、大規模修繕の費用が高騰している原因を詳しく解説するとともに、費用を適正に抑えるための具体的な対策をご紹介します。
修繕計画の見直しや業者選びのポイントまで網羅していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
大規模修繕の費用が高騰している現状
大規模修繕の費用がどの程度高騰しているのかを把握することは、修繕計画を立てるうえで非常に重要です。
ここでは、国土交通省の公的データと修繕積立金の実態から、費用高騰の現状を確認していきましょう。
国土交通省の調査に見る費用相場の推移
国土交通省が公表した「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」によると、大規模修繕工事の1戸あたりの費用は「100〜125万円」が最も多い価格帯となっています。
次いで「75〜100万円」「125〜150万円」の順であり、半数以上のマンションが1戸あたり75万円以上の費用を負担している状況です。
また、工事回数別で見ると、1回目の大規模修繕は総額「4,000〜6,000万円」が最多であるのに対し、2回目では「6,000〜8,000万円」、3回目以上では「6,000〜8,000万円」および「1億〜1億5,000万円」の割合がともに最も高くなっています。
回数を重ねるごとに工事範囲が広がり、費用が増加していく傾向が明確に表れているのです。
| 工事回数 | 最多価格帯(総額) | 1戸あたり費用の目安 |
|---|---|---|
| 1回目 | 4,000〜6,000万円 | 75〜100万円 |
| 2回目 | 6,000〜8,000万円 | 100〜125万円 |
| 3回目以上 | 6,000万〜1億5,000万円 | 75〜125万円 |
出典:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」
さらに2025年現在では、上記の調査時点よりも建築資材や人件費がさらに上昇しており、実際の見積もり額はこれらの相場を上回るケースが増えています。
大規模修繕の費用高騰は、多くのマンション管理組合やオーナーが直面している深刻な課題となっています。
マンション大規模修繕の費用相場についてさらに詳しく知りたい方は、「マンションの大規模修繕費用相場を徹底解説」の記事もあわせてご覧ください。
修繕積立金が不足しているマンションの増加
大規模修繕の費用が高騰する一方で、その費用をまかなうべき修繕積立金が不足しているマンションも増加しています。
国土交通省の調査では、修繕積立金が計画に対して不足しているマンションが全体の約34.8%にのぼり、以前の調査から倍増していることが報告されました。
修繕積立金の月額平均は2021年時点で1戸あたり約21,420円となっており、10年前と比較すると約7,000円の上昇が見られます。
しかし、この上昇幅では大規模修繕の費用高騰に追いついていないのが実情です。
特に新築時に分譲価格を抑えるために修繕積立金を低く設定していたマンションでは、将来的に大幅な値上げや一時金の徴収が避けられない状況に陥っているケースも少なくありません。
大規模修繕の費用が高騰する3つの原因
大規模修繕の費用高騰には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
- 建築資材の価格高騰
- 人手不足による人件費の上昇
- 修繕需要の増加とマンションストックの拡大
ここでは、特に影響の大きい3つの原因について詳しく解説します。
建築資材の価格高騰
大規模修繕の費用が高騰している最大の原因のひとつが、建築資材の価格上昇です。
コロナ禍以降の世界的なサプライチェーンの混乱、ロシアのウクライナ侵攻に端を発するエネルギー価格の高騰、そして長期的な円安傾向が重なり、塗料・防水材・鉄鋼・コンクリートなど主要な建築資材が軒並み値上がりしました。
たとえば大手塗料メーカーでは、短期間のうちに複数回の価格改定を実施し、改定率は10〜30%に達しています。
外壁塗装に使用する塗料だけでなく、防水材やシーリング材、金物類など大規模修繕で使用するほぼすべての資材が値上がりしており、資材費だけで全体の工事費が20〜30%上昇しているケースも珍しくありません。
今後も原材料価格が短期間で大きく下がる見通しは立っておらず、資材価格の高騰は当面続くと見られています。
人手不足による人件費の上昇
建設業界全体で深刻化している人手不足も、大規模修繕の費用高騰に大きく影響しています。
少子高齢化による労働人口の減少に加え、建設業界では職人の高齢化が進み、若手の担い手が不足している状況が続いています。
さらに2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制(いわゆる「2024年問題」)が適用され、労働時間の制約が強まりました。
その結果、同じ工事を完了するためにより多くの人員を確保する必要が生じ、人件費がさらに押し上げられています。
外壁塗装や防水工事など、熟練の技術を要する工程ではとりわけ人件費の上昇が顕著であり、大規模修繕の費用高騰を加速させる要因となっているのです。
修繕需要の増加とマンションストックの拡大
国内のマンションストック総数は700万戸近くに達しており、これらの建物が順次修繕時期を迎えることで、大規模修繕工事の需要そのものが急拡大しています。
需要が供給を上回れば、当然ながら工事費用は上昇圧力を受けることになります。
1970〜80年代に建設されたマンションが2回目・3回目の大規模修繕を迎える時期と、2000年代に建てられた物件の初回修繕時期が重なり、修繕工事の依頼が集中しやすい状況です。
施工業者にとっても繁忙期が続くため、見積もりの競争原理が働きにくくなり、結果として費用が高止まりしやすい構造が生まれています。
こうした複合的な要因が重なり合い、大規模修繕の費用高騰は今後も続く可能性が高いと考えられます。
大規模修繕の費用高騰が管理組合に与える影響
大規模修繕の費用が高騰すると、マンション管理組合やオーナーの資金計画に大きな影響が及びます。
ここでは、修繕積立金の値上げ問題と工事先送りのリスクについて解説します。
修繕積立金の値上げと住民負担の増加
大規模修繕の費用が高騰すれば、そのぶん修繕積立金の値上げが必要になります。
しかし値上げには住民総会での合意が必要であり、特に高齢の居住者や年金生活者にとっては負担増に対する心理的な抵抗が大きく、合意形成が難航しがちです。
また、段階増額積立方式を採用しているマンションでは、初期の積立額が低く設定されているため、築10〜15年目の初回大規模修繕を前にして急激な値上げが必要になるケースも見られます。
値上げが遅れれば修繕積立金の不足はさらに深刻化し、修繕一時金の徴収や借入れに頼らざるを得ない状況に追い込まれることもあります。
修繕積立金の値上げの詳しい仕組みや対処法については、「修繕積立金の値上げは当たり前?拒否できる?」の記事で解説しています。
修繕計画の見直しや工事先送りのリスク
費用高騰への対応として、大規模修繕工事の実施時期を先送りにする管理組合も見受けられます。
しかし、修繕を必要以上に先延ばしにすることは、建物の劣化を加速させ、かえってコスト増につながる危険があります。
たとえば外壁のひび割れや防水層の劣化を放置すれば、雨水が建物内部に浸入して鉄筋の腐食やコンクリートの爆裂を引き起こし、構造体にまで影響が及ぶ可能性があります。
こうなると通常の修繕範囲を超えた大規模な補修が必要となり、結果的に費用は数倍に膨れ上がることも珍しくありません。
費用が高騰しているからこそ、適切なタイミングで計画的に修繕を実施し、トータルコストを抑えるという視点が重要になります。
大規模修繕の費用高騰を乗り越えるための対策
大規模修繕の費用が高騰している中でも、工夫次第で費用を適正に抑えることは可能です。
ここでは、管理組合やオーナーが実践できる具体的なコスト対策を4つご紹介します。
相見積もりで適正価格を把握する
大規模修繕の費用を適正に抑えるための第一歩は、複数の施工業者から見積もりを取得する「相見積もり」です。
1社だけの見積もりでは価格が適正かどうか判断することが難しく、相場から大きくかけ離れた金額を提示されていても気づけません。
最低でも3社以上から見積もりを取り、工事項目ごとの金額や使用する材料の仕様を比較することが重要です。
その際、価格だけでなく施工内容、保証期間、アフターサービスの有無なども含めて総合的に判断しましょう。
なお、管理会社にすべて任せると中間マージンが上乗せされるケースもあるため、管理組合が主体的に見積もりを取得することをおすすめします。
中間マージンのかからない元請け施工業者を選ぶ
大規模修繕の費用高騰を抑えるうえで、元請けとして直接施工できる業者を選ぶことは非常に効果的です。
一般的な大規模修繕では、管理会社やゼネコンが窓口となり、実際の施工は下請け業者に発注する「重層下請け構造」が多く見られます。
この場合、各段階で中間マージンが発生し、費用が膨らんでしまうのです。
元請け施工業者に直接依頼すれば、この中間マージンをカットできるため、工事の品質を維持しながら費用を抑えることが可能になります。
業者選定の際は、自社で職人を抱えているか、一貫した施工体制が整っているかを確認しましょう。
新東亜工業の大規模修繕工事では、中間マージンゼロの元請け施工を行っており、適正価格での工事を実現しています。
補助金・助成金制度を活用する
自治体によっては、大規模修繕工事に活用できる補助金や助成金制度を設けている場合があります。
特に耐震補強、省エネ改修、バリアフリー対応などを含む修繕工事は補助の対象となりやすいため、事前に確認しておくことが大切です。
- 自治体独自の分譲マンション共用部分改修費用助成
→例:東京都中央区では10年間で最大1,000万円 - マンション長寿命化促進税制
→外壁塗装等工事・床防水工事・屋根防水工事を対象とした固定資産税の減額(最大1/2) - 住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資
※制度の内容や対象条件は自治体や年度によって異なります。最新情報は各自治体の窓口にお問い合わせください。
これらの制度を活用すれば、大規模修繕の費用高騰による経済的な負担を軽減できる可能性があります。
補助金や減税制度には申請期限や条件がありますので、修繕計画の初期段階から情報収集を行い、早めに準備を進めましょう。
工事内容の優先順位を見直す
費用が高騰している状況では、すべての工事を一度に実施するのではなく、優先順位をつけて計画的に修繕を進めることも有効な戦略です。
建物の安全性や耐久性に直結する外壁補修や防水工事を優先し、緊急性の低い工事は次回の修繕に回すといった柔軟な判断が、限られた予算を有効に活用することにつながります。
ただし、工事の先送りが適切かどうかは専門家の判断が不可欠です。
建物診断(劣化診断)を実施し、劣化の程度を正確に把握したうえで、本当に後回しにしても問題ないかを見極める必要があります。
過度なコストカットを追求して必要な工事を省略すれば、建物の寿命を縮めてしまう恐れがあるため、品質と費用のバランスを慎重に判断しましょう。
- 相見積もりにより適正価格を把握でき、不当に高い見積もりを排除できる
- 元請け施工で中間マージンを削減し、同品質の工事をより安価に実現できる
- 補助金・助成金の活用で実質負担額を抑えられる
- 工事の優先順位付けにより、限られた予算を最も重要な工事に集中できる
- 価格だけで業者を選ぶと手抜き工事や品質低下のリスクがある
- 工事の先送りが劣化の悪化を招き、将来的にかえって費用が増大する可能性がある
- 補助金・助成金には申請条件があり、すべてのマンションが対象とは限らない
費用高騰時代に重要な長期修繕計画の見直し方
大規模修繕の費用が高騰している現在、従来の長期修繕計画のままでは資金不足に陥る可能性があります。
計画を定期的に見直し、現実に即した資金計画を立てることが不可欠です。
長期修繕計画の見直しの手順
国土交通省のガイドラインでは、長期修繕計画を5年程度ごとに見直すことが推奨されています。
しかし実際には、新築時に作成された計画がそのまま放置されているマンションも少なくありません。
計画が古いままだと、建築費の高騰や新たな修繕項目が反映されず、大規模修繕のタイミングで大幅な資金不足が判明するリスクがあります。
STEP1
建物診断の実施
専門の調査会社に依頼して、外壁・屋上・設備など建物全体の劣化状況を正確に把握します。
目視や打診調査に加え、サーモグラフィーなどの機器調査を組み合わせることで精度が高まります。
STEP2
修繕項目と時期の再検討
建物診断の結果をもとに、各修繕項目の優先順位と実施時期を見直します。
劣化の進行が遅い箇所は周期を延ばし、早急な対応が必要な箇所は前倒しするなど、柔軟に調整を行います。
STEP3
費用の再算出と資金計画の策定
最新の工事単価や物価上昇率を反映して修繕費用を再算出します。
修繕積立金の残高と今後の収入見込みを突き合わせ、不足がある場合は積立額の引き上げや資金調達方法を検討します。
STEP4
管理組合での合意形成
見直し後の計画案を住民に分かりやすく説明し、総会で承認を得ます。
費用の内訳や積立金の値上げ理由を丁寧に提示することで、住民の理解と納得を得やすくなります。
長期修繕計画の見直しについてさらに詳しく知りたい方は、「長期修繕計画とは?目的・作成手順・見直し時期・費用相場まで解説」の記事もご参照ください。
物価上昇を考慮した資金計画のポイント
これまでの長期修繕計画では、物価の変動を考慮せずに費用を算出しているケースが多く見られました。
しかし、近年の大規模修繕の費用高騰を受けて、今後はインフレや建設コスト上昇率を計画に織り込むことが不可欠となっています。
具体的には、長期修繕計画の費用に年1〜2%程度の物価上昇率を加味しておくと、将来の費用高騰に対する備えとなります。
また、総工事費用の5〜10%を予備費として確保しておくことで、追加工事の発生にも柔軟に対応できるでしょう。
修繕積立金の設定額については、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を参考に、建物の規模に応じた適正額を算出することが大切です。
新東亜工業が提案するコスト最適化の考え方
大規模修繕の費用高騰が続くなかで、施工会社としてどのようにコスト最適化に取り組んでいるのか。
創業16年・施工実績5,000件以上の新東亜工業が、現場目線での考え方をご紹介します。
自社施工で中間コストをカットする仕組み
新東亜工業では、元請けとして自社の職人が直接施工する体制を整えています。
管理会社やゼネコンを介さないため、中間マージンが一切発生しません。
このシンプルな施工体制が、費用高騰のなかでも適正価格を実現する大きな強みとなっています。
また、塗料販売を専門に手がける子会社を持っているため、資材の調達コストについても優位性があります。
大規模修繕だけでなく、外壁塗装や防水工事、シーリング工事など個別の工事にも対応しており、一軒家からマンションまで建物の規模を問わずご相談いただけます。
不要な工事は提案しない誠実な姿勢
費用を抑えるうえで最も大切なのは、本当に必要な工事だけを適切に実施することです。
新東亜工業では、建物診断の結果に基づき、不要な工事については正直にお伝えし、適切なタイミングでの再相談をご提案しています。
「とにかく工事を受注したい」という姿勢ではなく、お客様にとって最善の修繕プランを考えることが、結果として長期的な信頼関係と建物の資産価値維持につながると考えています。
大規模修繕の費用高騰でお困りの方は、まずは無料見積もり・ご相談からお気軽にお問い合わせください。
お電話(0120-663-642・24時間受付)でもご相談を承っています。
大規模修繕の費用高騰に関するよくある質問(FAQ)
大規模修繕の費用に関して、お客様からよくいただくご質問にお答えします。
- 大規模修繕の費用は今後も高騰し続けるのでしょうか?
- 建築資材の価格高騰や人手不足は構造的な問題であり、短期間で改善される見通しは立っていません。
円安の影響や少子高齢化による労働力不足も継続しているため、大規模修繕の費用は今後も上昇傾向が続くと見込まれています。
そのため、できるだけ早い段階で長期修繕計画を見直し、資金計画に余裕を持たせることが重要です。
- 修繕積立金が足りない場合、どのような対策がありますか?
- 主な対策として、修繕積立金の段階的な値上げ、修繕一時金の徴収、住宅金融支援機構や民間金融機関からの借入れ、補助金・助成金の活用などがあります。
また、工事内容の優先順位を見直して総額を抑えたり、元請け施工の業者を選んで中間マージンを削減したりすることも有効な手段です。
- 大規模修繕の費用を少しでも安くするにはどうすればよいですか?
- 下記の方法があります。
・複数の業者から相見積もりを取ること
・中間マージンのかからない元請け施工業者に直接依頼すること
・自治体の補助金・助成金制度を活用すること
・工事内容に優先順位をつけて不要な工事を省くこと
ただし、品質を犠牲にした極端なコストカットは建物の寿命を縮めるリスクがあるため、専門家のアドバイスを受けながら判断しましょう。
- 費用が高騰しているなら大規模修繕を延期したほうがよいですか?
- 費用が高いからといって安易に延期することはおすすめしません。
修繕を先送りにすると建物の劣化が進行し、雨漏りや外壁の剥落などのトラブルが発生するリスクが高まります。
結果として修繕範囲が広がり、費用がさらに増大する悪循環に陥る可能性があります。
建物診断を受けたうえで、適切なタイミングでの実施を検討しましょう。
- 大規模修繕の費用高騰に対応した長期修繕計画の見直し頻度は?
- 国土交通省のガイドラインでは5年程度ごとの見直しが推奨されています。
しかし昨今のような急激な物価上昇局面では、5年を待たずに計画の妥当性を検証することも大切です。
特に大規模修繕の実施が近づいている場合は、最新の工事単価を反映した見直しを早めに行うことをおすすめします。
まとめ
大規模修繕の費用高騰は、建築資材の価格上昇、人手不足による人件費の増加、そして修繕需要の拡大という3つの構造的な要因が複合的に作用した結果です。
この傾向は今後も続く可能性が高く、マンション管理組合やビルオーナーにとって避けて通れない課題といえます。
しかし、費用が高騰しているからといって修繕を先送りにすれば、建物の劣化が加速し、将来的にはさらに大きな出費を招くリスクがあります。
新東亜工業では、中間マージンゼロの元請け施工と、創業16年で培った5,000件以上の施工実績をもとに、大規模修繕の費用高騰にお悩みの方へ最適なプランをご提案しています。
不要な工事は提案せず、お客様の建物と予算に合った誠実な対応を心がけております。
まずはお気軽に無料見積もり・ご相談をご利用ください。