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屋根の防水工事の種類・費用相場を解説|屋上の施工方法との違いは?

屋根の防水工事を知りたい人

屋根の防水工事を知りたい人

屋根の防水工事とは?
屋根防水と屋上防水の違いは?
建物の屋根に防水処理は必須?
屋根の防水工事は天井からの雨漏り防止につながる?

屋根は、雨や雪、風などの自然災害から家を守る重要な役割を担っています。

そのため、屋根の防水工事は、家を長持ちさせるために欠かせない工事です。

屋根の防水工事には、さまざまな種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。

また、工事の種類や屋根の面積によって工事費用も異なるものです。

この記事では、屋根の防水工事の種類や費用、注意点などについて、詳しく解説します。

屋根の防水工事をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

屋根や屋上から雨漏りが起こる仕組み

屋根や屋上は雨水の影響を受けやすいため、防水工事が施されています。

しかしこの防水層は耐用年数が10年前後であることが多く、経年劣化していってしまうものです。

防水層の劣化が進行すると、防水層が損傷した部分から雨水が侵入したり、防水層の下に水が浸透したりして、雨漏りの原因となります。

雨漏りは室内に水がたれてくることだけが問題ではなく、建物の内部のカビや腐食、金属部分のサビなど建物全体を劣化させるほど悪影響を及ぼすので注意が必要です。

とくに平な形状をしている陸屋根は、雨水が溜まりやすく雨漏りのリスクが高いです。

防水層の定期的な点検と補修を欠かさずに行うようにしましょう。

屋根の種類と防水工事

屋根は、雨や雪、風などの自然災害から家を守る重要な役割を担っています。

屋根の形状や素材によって、防水工事の種類や費用が変わってくるため、まずは屋根の種類について理解しておきましょう。

屋根の種類は、大きく分けて「傾斜のある屋根」と「傾斜のない屋根」の2つに分けられます。

傾斜のある屋根

傾斜のある屋根は、雨水が流れ落ちやすいため、雨漏りのリスクが低い構造です。

しかし、雨水が溜まりやすく、コケや藻が繁殖しやすいというデメリットもあります。

傾斜のある屋根には、以下のような種類があります。

屋根の種類屋根の特徴適している防水工事
寄棟屋根四方に傾斜がある屋根
最も一般的で、耐久性が高い
塗り替え
屋根材の補修
ルーフィング交換
切妻屋根両端が切れたような形の屋根
寄棟屋根に比べて耐風性が高い
片流れ屋根片側にだけ傾斜がある屋根
シンプルな構造で施工費用が安い


ルーフィングとは、屋根材の下に敷いて雨水などの水の浸入を防ぐためのシートのことです。

屋根材の種類や形状に合わせて、アスファルトルーフィングやゴム製ルーフィングなど、さまざまな種類のルーフィングが販売されています。

傾斜のない屋根

傾斜のない屋根は、雨水が溜まりやすく、雨漏りのリスクが高い構造です。

そのため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

傾斜のない屋根には、以下のような種類があります。

屋根の種類屋根の特徴適している防水工事
陸屋根平らな形状をした屋根
駐車場やテラスなどさまざまな用途に使われる
ウレタン防水
シート防水
アスファルト防水
折板屋根波形の鋼板を連結して作られる耐久性が高いウレタン防水

屋根の種類によって防水工事の種類や費用が変わってくるため、屋根の修繕やリフォームを検討する際には、まずは屋根の種類をしっかりと確認しておきましょう。

傾斜のない屋根の防水工事と費用相場

陸屋根など、傾斜のない屋根には防水層を形成する防水工事が必要です。

屋根防水工事には、以下の3つの種類があります。

防水工事の種類耐用年数費用相場工期
ウレタン防水約10年〜12年約6,500〜12,000円/㎡約1日〜5日
シート防水約10年〜15年約8,000〜15,000円/㎡約1日〜5日
アスファルト防水約15年〜25年約11,000〜22,000円/㎡3週間程度

費用相場はあくまで目安であり、実際には工事の種類や屋根の広さによって変動します。

業者から見積もりを取って、金額や施工内容を内容を確認することが重要です。

それぞれの特徴や、メリット・デメリットについて解説していきます。

ウレタン防水

ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成する工法です。

ウレタン防水には、ウレタン樹脂を直接塗る密着工法と、通気緩衝シートを下地に張り付ける通気緩衝工法の2種類があります。

ウレタン防水のメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリットデメリット
・耐久性が高い
・耐光性が高い
・施工がしやすい
・汎用性が高い
・硬化するまで時間がかかる
・紫外線に弱い
・施工難易度が高い

ウレタン防水は、耐久性、施工性、汎用性の高さから、多くの場所で採用されている防水工法です。

ただし、施工後に硬化するまで時間がかかる点や、紫外線に弱い点には注意しましょう。

防水層の上からトップコートを塗装することで、防水効果が長持ちします。

シート防水

シート防水は、ゴムシートや塩化ビニルシートなどのシートを接着剤や溶剤で貼り付けて防水層を形成する工法です。

シート防水のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
・耐久性が高い
・耐候性が高い
・施工がしやすい
・下地の状態が重要
・継ぎ目部分が弱い

シート防水は、耐久性、施工性、コストのバランスが良く、多くの場所で採用されている防水工法です。

ただし、下地の状態や継ぎ目処理には注意しましょう。

下地が平滑な状態ではない場合や、継ぎ目部分に隙間がある場合は、シートの膨れや破れる原因となります。

アスファルト防水

アスファルト防水は、ルーフィングという防水シートを液状のアスファルトで張り付けて、防水層を形成する防水工事です。

アスファルト防水の種類は、溶融釜で溶かした高温のアスファルトで施工する熱工法と、常温のまま施工する常温工法、改質アスファルトルーフィングシートを溶かしながら下地に張り付けるトーチ工法があります。

アスファルト防水のメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
・工法の歴史が長く実績豊富
・防水性が高い
・耐荷重性が高く歩行が可能
・施工に高い技術力が必要
・アスファルトの硬化に時間がかかる

以上のように、アスファルト防水は、耐久性、耐荷重性、施工性の高さから、官公庁をはじめ多くの場所で採用されています。

傾斜のある屋根の防水工事と費用相場

傾斜のある屋根の防水工事には、以下の3種類があります。

  • 塗装工事
  • 屋根材の補修
  • ルーフィング交換

それぞれの防水工事について解説していきます。

塗装工事

傾斜のある屋根の防水工事には、防水機能が高い塗料を施工するのが一般的です。

長い年数が経つにつれ、屋根材表面の塗膜にひび割れなどの劣化が起こり、防水効果が弱まってきます。

このような場合、弾力性のある防水塗料を塗装します。

各塗料の費用相場、耐用年数は以下のとおりです。

塗料の種類費用相場耐用年数
ウレタン樹脂塗料約25,000~70,000円約4〜6年
シリコン樹脂塗料約30,000~80,000円約5〜7年
フッ素樹脂塗料約80,000~160,000円約7〜10年
無機塗料約100,000~240,000円約10〜15年

ただし、屋根塗装だけでは雨漏りを直接防げません。

塗装工事は、あくまで屋根材の劣化を防ぐためのものだからです。

雨漏りを防ぐには、別の方法を取らなければならないので注意しましょう。

屋根材の補修

屋根材は材質によって、ひび割れたり欠けたりします。

軽微なひび割れであれば、コーキング材などを用いて補修するのが一般的です。

屋根材の補修の費用相場は、ひび割れの大きさや劣化の種類にもよりますが、数万円程度で済むでしょう。

ただし、屋根材の劣化がひどい場合は、コーキング材では対応しきれないため、屋根材の葺き替え、もしくは重ね張り(カバー工法)で対応します。

それぞれの補修の費用相場は、以下を参照してください。

補修内容費用相場
コーキング材による補修数万円程度
屋根葺き替え約100万〜200万円
重ね張り(カバー工法)約80万〜120万円

屋根の葺き替えは、古くなった屋根材を撤去し、新しい屋根材を葺き直す工法です。

重ね張りは(カバー工法)は、古い屋根材の上から新しい屋根材を被せる工法です。

屋根材の劣化状態によって、適切な補修を施しましょう。

ルーフィングの交換

ルーフィングシートは、屋根の下に敷かれる防水シートです。

ルーフィングシートの耐用年数は一般的に20年程度であり、20年以上経過した屋根はルーフィングシートの交換を検討しましょう。

ルーフィングシートの交換の目安は、以下のとおりです。

  • シートの表面にひび割れや穴が開いている
  • シートが変色している
  • シートの下から雨漏りがしている

ルーフィングシート交換費用は、以下のとおりです。

ルーフィングシートの種類費用相場
アスファルトルーフィング約500〜600円/㎡
改質アスファルトルーフィング約600〜800円/㎡
合成高分子系ルーフィング約200~500円/㎡

ルーフィングシートの交換費用は、施工面積やルーフィングシートの種類によって異なります。

また、足場設置費用や、雨漏りなどの不具合の修理費用が別途必要になる場合があります。

ルーフィングシートの交換は、屋根の防水機能を維持するために重要な工事です。

定期的に点検を行い、必要に応じて交換を実施しましょう。

屋根防水工事のタイミング

屋根防水工事のタイミングは、以下の2つに分けられます。

劣化のサインが見られるようになった時

屋根の劣化のサインとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 苔や藻が生えている
  • 塗装が剥がれている
  • 屋根材の割れや欠けがある
  • 雨漏りが発生している

これらのサインが見られた場合は、早めに防水工事を行うことが大切です。

劣化が進むと、雨漏りが発生したり、屋根材が腐食したりするなど、さらに大きな被害につながる可能性があります。

前回の防水工事から10年程度経過した時

屋根防水工事の耐久性は、工事の種類や素材によって異なりますが、一般的に10年程度です。

ただし、屋根の形状や使用状況によっては、耐久性が短くなる場合もあります。

定期的に屋根の状態を確認し、必要に応じて防水工事を行うようにしましょう。

屋根防水工事の注意点

屋根防水工事を行う際には、以下の点に注意が必要です。

適切な工事方法を選ぶ

屋根の形状や劣化状況に合わせて、適切な工事方法を選ぶことが大切です。

工事方法によって、耐久性や費用が大きく異なります。

信頼できる業者に依頼する

屋根防水工事は、専門の知識や技術が必要な工事です。

信頼できる業者に依頼することが大切です。

業者の選定にあたっては、以下の点を確認しましょう。

  • 実績や経験
  • 保証内容
  • 見積もりの内容

屋根防水工事の費用は、業者によって大きく異なります。

複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが大切です。

屋根防水工事は、建物の寿命を延ばすために重要な工事です。

適切な工事方法を選び、信頼できる業者に依頼しましょう。

定期的なメンテナンスを行う

屋根防水工事を行っても、定期的なメンテナンスを行うことで、より長く効果を持続させることができます。

メンテナンスの内容は、塗装の補修や、排水溝の清掃などが挙げられます。

また、屋根材の種類や施工方法によって、メンテナンスの方法や頻度が異なります。

屋根材の種類や施工方法を確認して、適切なメンテナンス方法を選びましょう。

屋根防水工事の保証期間

屋根も含む防水工事は、基本的に工事会社からの保証を受けることができます。

防水工事における保証とは、施工不良などが原因で雨漏りや防水層の破損などが発生した場合に、再工事や費用負担をしてもらえるものです。

このような防水工事の保証期間は、10年が基本です。

防水工事保証は基本的なサービスなので、保証を提示してくれない防水工事会社には依頼をしないことをおすすめします。

事前に保証の期間や内容についてしっかりと調べて、納得できる工事会社に依頼するようにしましょう。

屋根が自然災害によって破損した場合は火災保険で補償

屋根が自然災害によって破損した場合、災害認定されれば火災保険で補償が受けられる可能性があります。

火災保険の補償範囲には、台風や竜巻などの風災と呼ばれる自然災害が原因で発生した雨漏りが含まれています。

補償範囲に該当する原因で雨漏りが発生したと認められれば、防水工事にかかる費用を火災保険で補償を受けることができるでしょう。

ただし火災保険を使って補償を受けるためには、災害に認定されることが必須です。

そのためには、原因調査を行ったり写真や資料を用意したりと、手間のかかる作業が必要になります。

まとめ

ここまで、屋根の防水工事について解説してきました。

以下はこの記事のまとめです。

  • 傾斜のある屋根の種類には寄棟屋根、切妻屋根、片流れ屋根がある
  • 傾斜のない屋根の種類には陸屋根、折板屋根がある
  • 陸屋根などの傾斜のない屋根にはウレタン防水、シート防水、アスファルト防水などの防水工事を行う
  • 傾斜のある屋根には塗装工事、屋根材の補修、ルーフィング交換などで防水性能を高める
  • 防水工事は屋根に劣化が出現した際や前回の防水工事から10年経過したときが実施のタイミング

屋根の防水工事は、雨漏りなどの被害を防ぐために重要な工事です。

屋根の形状や工事の特徴を把握して防水工事を行うことで、建物を劣化から守ることができます。

この記事で解説してきたポイントを押さえて適切な防水工事を屋根に行いましょう。

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