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ウレタン塗膜防水とは?メリット・デメリット・工法の種類などを解説

ウレタン塗膜防水とは、どのような工事か知っていますか?

ウレタン防水は日本の防水工事の中でも主流な工法なので、実際に自宅に採用した方や工事を依頼したら勧められたという方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんなウレタン塗膜防水のメリットやデメリット、ウレタン塗膜防水の中の工法の種類などを徹底解説します。

ウレタン塗膜防水に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ウレタン塗膜防水とは

ウレタン塗膜防水とは、その名の通りウレタン樹脂を使用した防水方法のことです。

ウレタン樹脂は液体状であるため、さまざまな形状の場所に施工することができます。

ウレタン塗膜防水は目立った短所がないことが特徴で、日本では最も多く行われている防水工事です。

かつては耐久性が劣るというイメージも強く、ベランダやバルコニーを中心に施工されてきました。

しかし現在はウレタン樹脂の研究が進んだことで、高い耐久性が必要となる屋上に使用されるケースも増えてきています。

ウレタン塗膜防水の主な工法

実はウレタン塗膜防水の中にも、いくつかの工事の種類があります。

ここでは、ウレタン塗膜防水の主な工法を3つ紹介します。

密着工法

密着工法とは、ウレタン樹脂を直接下地に塗布する工法のことです。

下地とウレタン層が直接接着することになるため、密着性が高まります。

シンプルな工法で、平坦で安定した下地への施工に適しています。

施工が比較的簡単なことが特徴です。

密着メッシュ工法

密着メッシュ工法は、下地に直接塗布したウレタン樹脂の上にメッシュの補強布を貼り付ける工法です。

その上からはさらにウレタン樹脂を塗り重ねます。

メッシュとウレタンが組み合わさることによって、強度と耐久性が高まることがメリットです。

短い工期で施工することができますが、下地が水を含んでいる場所への施工には適していません。

通気緩衝工法

下地が水を含んでいる場合でも施工できるのが、この通気緩衝工法です。

通気緩衝工法では、下地に「通気緩衝シート」を貼り付け、その上からウレタン樹脂を塗布します。

この通気緩衝シートの働きによって、熱膨張や水蒸気の影響による防水層の膨らみを予防する効果が期待できます。

防水層の膨らみは劣化に直結するため、通気緩衝シートの使用で防水層の耐久性が上がるでしょう。

下地がすでに水を含んでいる場合や湿気の影響を受けやすい場所にある場合は、この通気緩衝工法がおすすめです。

ウレタン塗膜防水の工法手順

実際にウレタン塗膜防水の施工を決めたら、どのように工事が行われるのか気になりますよね。

ここでは、ウレタン塗膜防水の工法手順を紹介していきます。

高圧洗浄

防水層を形成していく前に下地を整えることは、とても重要な工程です。

まずは施工する場所を、高圧洗浄機を使用して清掃していきます。

汚れやほこり、苔などの付着物を落として綺麗な状態にします。

下地処理

綺麗に仕上げるためには、下地処理が欠かせません。

できるだけ下地が平坦になるよう、樹脂モルタルを塗布してきます。

塗布が終わったら、しっかりと硬化させます。

プライマー塗布

プライマー塗布は、下地とウレタン樹脂との密着性を高めるために行う工程です。

プライマーを塗布し密着性を高めることによって、防水層の耐久性も高まります。

クロス補強

メッシュ上のクロスを貼り付ける工程です。

クロスで補強することによって、地震などによるウレタン塗膜の損傷を予防することができます。

ウレタン塗膜 下塗り

ウレタン塗膜は、下塗り・中塗り・上塗りの3つの工程で塗り重ねていきます。

下塗りの段階から、全体が平坦になるように注意しながら塗布します。

ウレタン塗膜 中塗り

中塗りによって防水層の主要部分を形成します。

ここでも全体が平坦になることを意識し、均等な厚みを作っていきます。

ウレタン塗膜 上塗り

上塗りによって、防水層の最上部を形成します。

重ね塗りされたウレタン塗膜の各層は、すべて均一な厚さに整えることがポイントです。

あご下のシーリング

立上がり面の入隅は、塗膜が薄いです。

地震などで損傷して漏水の原因となるリスクが高いため、ウレタンシーリングを使用して補強します。

トップコート塗布

トップコートは、紫外線や雨などの影響から防水層を保護する役割があります。

ウレタン塗膜は紫外線の影響を受けやすいため、トップコートによる保護は重要な工程です。

トップコートで防水層を保護することによって、防水層の劣化を防止し防水効果を長持ちさせることができます。

乾燥・硬化させて完了

すべての工程が終わったら、しっかりと乾燥・硬化させて工事は完了となります。

乾燥や硬化には、焦らず十分な時間をとることが重要です。

ウレタン塗膜防水の防水層を長持ちさせるコツ

ウレタン塗膜防水の工事を行ったら、防水層をできるだけ長持ちさせたいですよね。

防水層の劣化は避けられないものではありますが、コツを知っておくことで寿命を伸ばすことは可能です。

ここでは、ウレタン塗膜防水の防水層を長持ちさせるためのコツを2つ紹介します。

定期的にトップコートを塗り替える

トップコートは防水層を紫外線などの刺激から保護する役割があります。

しかし防水層と同様に、トップコートも徐々に劣化していってしまうものです。

定期的にトップコートの塗り替えを行うことで防水層を保護する効果を保つことができるため、結果的に防水層の寿命を伸ばすことにつながります。

ップコートの塗り替えは5年ほどを目安に行うことが一般的ですが、中には耐久性に優れていて10年ほど塗り替えが必要ない種類のトップコートもあります。

排水溝を掃除する

屋上などに設置されている排水溝は、雨水を流す役割があります。

排水溝が汚れていたり詰まっていたりするとこの排水の機能が低下して、水たまりができてしまうことがあります。

防水層の上に水溜りができていると、ダメージを受けて劣化が早まるリスクが高いです。

そのため、定期的に排水溝を掃除して排水機能を保つことが、防水層を長持ちさせることにもつながります。

ウレタン塗膜防水のメリット・デメリット

ウレタン塗膜防水には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

ここでは、ウレタン塗膜防水のメリットとデメリットについてそれぞれ詳しく解説していきます。

ウレタン塗膜防水のメリット

ウレタン塗膜防水には、以下のようなたくさんのメリットがあります。

  • 伸縮性に優れていてひび割れが起こりにくい
  • 漏水リスクの高い継ぎ目が存在しない
  • 重量が軽く建物への負担が少ない
  • 液体の塗料を使用するため、施工場所の形状に柔軟に対応可能
  • 既存防水層の上にも重ね塗りが可能
  • 施工費用が比較的安い
  • 耐用年数も十分にある

このような多くのメリットにより、ウレタン塗膜防水は日本の多くの防水工事の現場で選ばれている工法です。

ウレタン塗膜防水のデメリット

数多くのメリットがある一方で、どうしてもデメリットとなる部分もあります。

ウレタン塗膜防水のデメリットには以下のようなものがあります。

  • 施工難易度が高く、完成度が職人の技術に依存する
  • 紫外線に弱く、定期的なトップコートの塗り替えが必須
  • 塗料の硬化までに4〜5日かかる
  • 地震などの衝撃に弱くひび割れが起きることがある

目立った短所がないウレタン塗膜防水ですが、このようなデメリットがあることも知っておくといいでしょう。

また、ウレタン塗膜防水に限らず、防水層やトップコートは経年劣化が避けられません。

そのため、定期的な再塗装工事が必要となります。

ウレタン塗膜防水の単価相場

ウレタン塗膜防水は、防水工事の中でも比較的コストパフォーマンスが良い工法です。

実際にどのくらいの費用が必要となるのか、単価相場を紹介するので参考にしてみてください。

工法価格(1㎡あたり)
密着工法4,000〜5,500円程度
密着メッシュ工法4,500〜6,000円程度
通気緩衝工法5,500〜6,500円程度

このように、工法によっても少し費用相場が異なります。

施工面積によって費用が変動することはもちろん、施工場所の状況や形状によっても費用は変わってきます。

単価相場はあくまで参考程度に考えて、具体的な費用については業者に見積もりを依頼してくださいね。

ウレタン塗膜防水工事の費用を抑えるポイント

防水工事を行うにあたっては、できるだけ費用を節約したいものです。

そこで今回は、ウレタン塗膜防水工事の費用を抑えるポイントを2つ紹介します。

定期的にメンテナンス・点検を行う

現実的に考えると、工事費用を大幅に減額することはなかなか難しいです。

そこで費用を節約するためにできるのが、定期的なメンテナンスや点検を行うことです。

「メンテナンスや点検にかかる費用で余計にお金がかかるのでは?」と思った方もいますよね。

しかし定期的なメンテナンスや点検を行うことには、防水層を長持ちさせたり劣化を抑えたりる効果があります。

特にトップコートの塗り替えをしっかりと定期的に行うことで、防水層が保護されて寿命が伸び、大規模な再塗装工事の頻度を減らすことができます。

また、軽度な劣化であれば小規模で安く修理が可能なことも多いです。

このような理由から、定期的なメンテナンスや点検が結果的にウレタン塗膜防水工事にかかる費用の節約につながります。

火災保険・補助金・助成金などを活用する

ウレタン塗膜防水工事を行う際に、火災保険や補助金・助成金などを活用できれば、費用を抑えることができます。

火災保険は、火災だけではなく自然災害にも対応していることがほとんどです。

自然災害によって被害を受けて工事を行う場合は、契約している火災保険の内容を確認したり問い合わせしたりして活用できるかを確認してみましょう。

補助金や助成金は、地域によって異なります。

住んでいる地域に防水工事で利用できる補助金や助成金があるかどうかは、一度確認しておくことをおすすめします。

活用できる制度を活用することで、ウレタン塗膜防水工事にかかる費用を節約してみてくださいね。

ウレタン塗膜防水工事を業者に依頼する際の注意点

ここでは、ウレタン塗膜防水工事を業者に依頼する際に知っておきたい注意点を3つ紹介します。

ぜひ業者に工事を依頼する前に確認して、覚えておいてくださいね。

防水工事の専門会社に依頼する

ウレタン塗膜防水工事は、液体状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成することから、依頼先として塗装業者を思い浮かべる方も多いです。

また、ウレタン塗膜防水工事に対応している塗装業者も多くあります。

しかしウレタン塗膜防水工事はあくまでも防水工事であり、専門としているのは防水業者です。

防水機能を第一に考えて工事を行ってもらうためにも、防水工事の専門会社に依頼するようにしてください。

防水業者であれば、既存防水層の状態を判断して工事内容を決めることや、他に修理が必要な部分がないかの点検なども可能です。

相見積もりをとる

ウレタン塗膜防水工事にかかる費用は施工環境や既存防水層の状態によっても異なるため、素人が正確に相場を知ることは難しいです。

相場よりも高額な請求をされていないか知るため、そしてできるだけ費用を抑えるためには相見積もりをとることがおすすめです。

相見積もりをとることで、具体的な費用相場と1番安く施工できる業者を知ることができます。

ただし相見積もりを見る際は、金額だけではなく見積もりに含まれている工事内容についても確認することが重要です。

必要な工事費用がしっかりと含まれているかまでを確認した上で、理想的な価格を提示してくれた業者に依頼するといいでしょう。

保証内容やアフターメンテナンスの有無を確認する

保証やアフターメンテナンスは、工事後にトラブルが起きた場合や防水層をできるだけ長く維持していく上で重要なポイントです。

少し費用を多く払っても、保証やアフターメンテナンスが充実していれば結果的に維持費を節約できる場合もあります。

工事後にトラブルが発覚した場合でも、事前に保証内容を確認していれば落ち着いて対処できます。

どのような保証やアフターメンテナンスを求めるのかは、費用とのバランスを考えて決めていくことになりますが、依頼前に確認しておくことが重要です。

まとめ

ウレタン塗膜防水工事は、日本の防水工事の中でも最も主流な工法です。

  • バルコニーやベランダ、屋上などによく使用される
  • 液体状の防水材を使用するため、さまざまな形状の場所に施工可能
  • トップコートの塗り替えは必須で、5年ごとを目安に行う
  • 定期的にメンテナンスや点検を行うことで、防水層の寿命を伸ばそう

今回の記事が、ウレタン塗膜防水工事の費用節約や防水層の寿命を伸ばすための参考となれば幸いです。

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