木造住宅といえば、勾配の付いた屋根が主流で、2階にベランダがある住宅を思い浮かべるかもしれません。
しかし、現在においては都市部などの狭小地を中心に、木造住宅に屋上を設ける家庭が増えてきました。
その理由は、狭小地に建てた家でも、屋上を設けて庭の代わりにしたいという発想からきているようです。
この記事では、木造住宅の屋上をタイルで施している場合を前提として、防水工事の必要性について解説していきます。
また、屋上にタイルを施工するメリットや、防水工事の種類、費用相場などについても触れていきますので、是非ご参考にしてください。
目次
木造住宅の屋上をタイル張りにするメリット
木造住宅の屋上をタイル張りにすることには、以下のようなメリットがあります。
耐久性と長寿命
タイルは耐久性が高く、長期間にわたる使用が可能です。
一般的には、タイルの耐用年数は40年とされています。
木造住宅の屋上にタイルを施すことで、屋根の寿命を延ばし、耐久性を向上させることができます。
防水性
タイルは防水性がとても高く、雨水や雪解け水などの浸入を防ぐことができます。
屋上にタイルを施すことで、建物内部の水漏れや損傷を防ぐことが可能です。
美観性
タイルにはさまざまなデザインや色合いがあり、美しい外観を作り出すことができます。
木造住宅の屋上にタイルを施すことで、建物全体の印象を向上させ、美しい外観を実現することが可能です。
メンテナンスの容易さ
タイルは比較的メンテナンスが容易です。
汚れやカビが付着した場合でも、簡単にクリーニングすることができます。
また、タイルの一部が損傷した場合でも、部分的に修理することができます。
熱反射効果
タイルは太陽光を反射する性質があり、屋根の表面温度を下げる効果があります。
特に、常日頃から直射日光を浴びやすい屋上にタイルを施工することは、とてもメリットがあるといえるでしょう。
タイル張りの屋上は防水工事が必要か
結論から言うと、タイル張りの屋上は防水工事が必要です。
その理由は、タイル自体は水を通さない性質を持っていますが、タイルの隙間から水が侵入することがあるからです。
また、タイルの下にある下地材にも防水処理が必要になります。
屋上にタイルを施工する際には、下地処理とともに防水工事を行うことが重要です。
防水工事を行うことで、雨水や雪解け水などの浸入を防ぎ、建物の耐久性を高めることができるでしょう。
タイルが物理的に損傷したら補修が必要
タイルはとても割れやすい性質があるので、物を落とすなどして物理的に損傷することがあります。
タイルが割れていたり、欠けているのを見つけたら、早急に補修しましょう。
雨が降ると、タイルが割れた箇所から水が侵入してくることがあるからです。
割れたまま放置せず、しっかり補修しましょう。
タイル張りの屋上に適した防水工法と費用相場
タイル張りの屋上で用いられる防水工法は、次の3つです。
- ウレタン防水
- シート防水
- FRP防水
それぞれの特徴と費用相場について紹介します。
表:防水工事の種類と費用相場
防水工事の種類 | 費用相場 |
ウレタン防水 | 約3,500円〜7,500円/㎡ |
シート防水 | 約4,000円〜7,000円/㎡ |
FRP防水 | 約4,000円〜8,000円/㎡ |
ウレタン防水
ウレタン防水は多くの建物で使用されており、高い防水性や耐候性などの優れた特性から広く信頼されています。
屋上防水にも最適の防水工事と言えるでしょう。
施工費用も比較的安価であるため、現在の防水工事では主流となっています。
シート防水
シート防水は、塩化ビニル製やゴム製の防水シートを適切な大きさにカットして、屋上に防水層を形成する方法です。
耐久性が高く、熱や紫外線などの気候要因にも強いとされています。
FRP防水
FRP防水は、非常に軽量でありながら、高い強度と耐久性を兼揃えた防水工法です。
FRP自体は、防水性や耐薬品性が高く、浴槽やプールにも用いられています。
タイル張りの屋上における防水工事の注意点
タイル張りの屋上における防水工事の注意点は以下の通りです。
防水層の適切な設置
タイル張りの屋上では、まず適切な防水層を設置することが重要です。
防水シートやコーティング材料など、適切な材料を使用して防水層を形成しましょう。
防水層はタイルの下に設置され、建物内部への浸水を防ぎます。
タイルの補修方法
タイルの補修は正確な方法で行う必要があります。
タイル同士の隙間や接着剤の塗布に注意し、水が浸入する余地をなくすことが重要です。
また、タイルの表面を均一に仕上げることで、水の滞留や侵入を防ぐことができます。
タイルの選択
タイルは耐久性や防水性が高いものを選ぶことが重要です。
耐候性に優れたタイルや防水処理が施されたタイルを選びましょう。
また、滑り止めの効果があるタイルを使用することで、安全性も向上させることができます。
定期的なメンテナンスの重要性
防水工事が完了した後も定期的なメンテナンスを行うことが重要です。
定期的な点検や補修を行い、防水層の効果を維持することで、長期間にわたって防水性を確保することができます。
以下に、メンテナンス方法や頻度について解説します。
定期的な視覚的な点検
定期的に屋上を視覚的に点検しましょう。
クラックや割れ、浸水の跡、異常な変色などの兆候が見られたら、早期に対処する必要があります。
頻度については、屋上に上がった際のついでに点検する程度で問題ないでしょう。
排水設備の清掃
屋上の排水設備(ドレンや排水口)を定期的に清掃しましょう。
落ち葉やゴミなどが溜まりやすく、詰まりや水の流れを妨げる要因となります。
雨が降った後、屋上に水たまりができている場合は危険です。
最低でも年に1回の清掃が目安となるでしょう。
シーリング材の点検と補修
シーリング材(接合部や貫通部など)は定期的に点検し、ひび割れや剥離などの劣化症状がないか確認しましょう。
必要に応じて補修を行い、防水性を維持します。
シーリング材の耐用年数は10年ほどなので、10年に一度ぐらいの点検が目安となるでしょう。
タイルの点検と補修
タイル張りの場合、タイルの破損や浮きがないか点検しましょう。
破損したタイルはすぐに交換し、浮いたタイルは固定し直すことで、防水性が持続するでしょう。
タイルの耐用年数は長いので経年劣化はしにくいですが、タイル割れたり、欠けたりしていないか点検することは重要です。
防水層の再コーティング
防水層が劣化している場合は、定期的に再コーティングを行いましょう。
防水コーティング剤を適切に塗布することで、防水性を回復させます。
防水材料の種類によって耐用年数は違いますが、目安としては10年ぐらいでしょう。
業者による定期的な点検
定期的に業者による点検を受けることもおすすめです。
専門家である業者は、より詳細な点検や必要なメンテナンスを提案してくれるでしょう。
まとめ
ここまで、木造住宅の屋上がタイルの場合、防水工事が必要である理由について解説してきました。
タイルはとても耐久性がありますが、つなぎ目であるシーリング材が劣化する可能性が高いので防水工事は必要です。
また、タイル張りの屋上に適した防水工法は5種類あり、業者と相談して適切な材料を選ぶことが重要です。
さらに、定期的なメンテナンスを行うことで、防水性能は持続します。
適切な対処によって、タイル張りの屋上を長持ちさせましょう。