モルタル外壁をご存知ですか?モルタルとはセメントと砂利を水で練った、古くから愛用されるおすすめの外壁材です。高いデザイン性と耐久性から、現代の住宅でも人気の外壁仕上げ方法として知られています。
しかし、その特徴や維持管理について疑問を持つ方も多いでしょう。モルタル外壁の塗装やメンテナンスにはどのような費用がかかるのでしょうか?
本記事では、モルタル外壁の基本からメリット・デメリット、さらには塗装やリフォームの費用相場まで詳しく解説します。またモルタル外壁の種類や施工方法、経年による劣化の特徴についても触れていきます。
住宅の外壁にモルタルを悩まれている方やリフォームを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
モルタル外壁とは?
モルタルという外壁材を聞いたことがないという人も多いでしょう。モルタルは古くから外壁の素材として使われてきました。
ここではモルタルの特徴や耐用年数、種類などについて解説していきます。
モルタル外壁はセメントと砂利に水を混ぜた材料
モルタルとは、セメントと砂利に水を混ぜた外壁材です。防水シートが張られたラス板の上に金網を固定し、ペースト状のモルタルを塗って外壁にしていきます。
モルタルは古くから外壁材として使用されており、レンガ・タイルなどの接着剤として使われることも多いです。建築では非常に汎用性の高い材料だと言えるでしょう。
現代ではローコスト住宅が流行していることもあり、工期・費用がかかるモルタル外壁は少なくなっています。
しかし奥深いデザインや耐用年数が長いことから、モルタル外壁を好んで導入する人も多いです。技術を持った職人に依頼すれば、自分好みのデザインに仕上げてもらえます。
モルタル外壁の耐用年数
モルタル外壁の耐用年数は30年ほどです。しかしモルタル外壁塗装に使用する塗料の耐用年数は10〜15年程度のものが多いです。
そのためいくらモルタル外壁の耐用年数が長くても、塗料の劣化が先に起きてしまうため、定期的なメンテナンスが必要になるでしょう。
塗料の耐用年数に合わせて外壁メンテナンスを行うことで、モルタル外壁の寿命を伸ばすこともできます。
費用・手間はかかりますが、塗料の劣化を見つけたら放置せずに、メンテナンスを行いましょう。
モルタル外壁の種類
モルタル外壁と一言で言っても、ペースト状のモルタルを使用することで様々な洋式に仕上げることができます。
モルタル外壁の種類と特徴は以下の通りです。
モルタル外壁の種類 | 特徴 |
リシン仕上げ | ・モルタル外壁の中ではオーソドックスなスタイル・ローコストで仕上げることができる |
スタッコ仕上げ | ・重厚感のある立派な外観を演出できる・凹凸が激しいので、汚れを落としにくい |
吹き付けタイル仕上げ | ・合成樹脂を配合するため、防水性が高い・ひび割れに強い |
パターンローラー仕上げ | ・凹凸のついたローラーで作り上げる・好きなデザインを施すことができる |
左官仕上げ | ・コテやくしを使って仕上げる・左官職人の技術によって出来栄えが変わる |
以上のように、モルタル外壁には様々な種類が存在します。
デザインや予算を考慮して、自宅にモルタル外壁を取り入れてみると良いでしょう。
モルタル外壁の劣化症状について
モルタル外壁の劣化症状には、ひび割れや剥がれ、汚れの付着、浮きなどが挙げられます。ひび割れは乾燥や温度変化、地震などの影響で発生しやすく、小さなものでも放置すると水分が侵入して内部の劣化を進行させる恐れがあります。
また、表面の剥がれや浮きは接着力の低下によるもので、外観の悪化だけでなく雨水の侵入を引き起こす要因となります。さらに、経年劣化により汚れやカビが発生し、建物の美観が損なわれることもあります。これらの症状を早期に発見し適切に対処することで、建物の耐久性を維持し、修繕コストを抑えることが可能です。
モルタル外壁を塗装するメリット
モルタル外壁のメンテナンスを行う際には、張り替え・外壁塗装などの選択肢があります。モルタル外壁を塗装することによって様々なメリットがあります。
ここではモルタル外壁を塗装するメリットを詳しく見ていきましょう。
モルタル外壁を塗装するメリット1.工事費用が安い
モルタル外壁を塗装するメリットとしては、工事費用が安いという点が挙げられます。
モルタル外壁の張り替えを行うと、30〜40坪程度の戸建住宅で200万円以上の費用が必要です。
一方で外壁塗装の費用は、同じ坪数の戸建住宅で70〜120万円となっています。張り替えよりも圧倒的に安く、モルタル外壁をメンテナンスできます。
モルタル外壁自体がさほど劣化していないのであれば、外壁塗装だけでも十分に綺麗にメンテナンスできるでしょう。
モルタル外壁を塗装するメリット2.施工時に場所を大きくとらない
場所を取らないという点も、モルタル外壁を塗装するメリットです。
モルタル外壁を張り替えると工事中は足場などが組まれ、かなりの場所を取ってしまいます。そうなれば生活も窮屈になってしまうでしょう。
外壁塗装であれば足場が必要になる場合もありますが、工期が短くて済むので、長期間場所を取られて窮屈な思いをすることもありません。
手が届く範囲であれば、塗料置き場だけあれば問題ないでしょう。
モルタル外壁を塗装するデメリット
モルタル外壁を塗装すると様々なメリットがありますが、良いことばかりではありません。デメリットを事前に知っておかないと、大きな損害を招く可能性もあります。
ここではモルタル外壁を塗装するデメリットを2点解説していきます。
モルタル外壁を塗装するデメリット1.劣化が進むと補修できない
モルタル外壁を塗装するデメリットとしては、外壁の劣化が進んでいる場合は補修できないという点が挙げられます。
モルタル外壁の塗装は、あくまで外壁の表面を補修するだけです。そのためモルタル下地が劣化してしまっている場合は、塗装してもほとんど補修効果がありません。
モルタル外壁の下地がひび割れなどの劣化症状を引き起こしている場合は、張り替えを検討しましょう。
モルタル外壁を塗装するデメリット2.デザイン性が限られてしまう
モルタル外壁は凹凸が激しいので、外壁塗装のデザイン性が限られてしまいます。
色を変えるのは簡単ですが、希望のデザインに塗り替えてもらう場合は、断られてしまうこともあるでしょう。
自由に外壁をデザインしたいという人は、サンディング系の外壁材に張り替えるのがおすすめです。
モルタル外壁の外壁塗装費用の相場
モルタル外壁の外壁塗装にかかる費用は、どんな塗料を使用するかによって変動します。
以下ではモルタル外壁塗装によく使用される塗料の費用や耐用年数をまとめています。
塗料 | 1㎡あたりの単価 | 耐用年数 |
アクリル | 1,500〜2,500円 | 5〜8年 |
ウレタン | 2,000〜3,000円 | 8〜10年 |
シリコン | 2,500〜3,500円 | 10〜15年 |
ピュアアクリル | 4,000〜5,000円 | 15年〜 |
フッ素 | 4,500〜5,500円 | 15〜20年 |
以上が塗料ごとの単価や耐用年数です。
一番費用を抑えられるのはアクリル樹脂塗料ですが、耐用年数は一番短くなっています。
耐用年数を重視する人はフッ素樹脂塗料がおすすめですが、その分費用が高いので注意が必要です。
モルタル外壁の塗装は、耐用年数と予算を擦り合わせて検討すると良いでしょう。
モルタル外壁塗装の施工手順
モルタル外壁塗装の施工は以下のような手順で行われます。
- 足場の組み立て
- 高圧洗浄
- 養生
- 下地調整
- 下塗り作業
- 中塗り・上塗り作業
- 付帯部の塗装
- 足場解体・清掃
モルタル外壁塗装には高所での作業が伴うため、職人の安全を守るためにも足場が必要です。
足場を組んだ後に、外壁を洗浄していきます。養生作業を終えたら、外壁塗装スタートです。
塗装も下塗り・中塗り・上塗りなど何度も何度も塗料を塗っていくので、1度塗ったら終わりというわけではありません。
塗装を終えたら、最初に組んだ足場を撤去して終了です。浴室や床を塗装する際には、3〜7の作業のみを行います。
モルタル外壁の塗装を行うときの注意点
モルタル外壁の塗装は、費用・手間がかかるので失敗したくないですよね?失敗しないためには注意点を事前に知っておくことが重要です。
ここではモルタル外壁の塗装を行う時の注意点を解説していきます。
モルタル外壁本来の良さがなくなってしまう可能性がある
モルタル外壁の塗装を行うと、本来の良さがなくなってしまうことがあるので注意が必要です。
モルタル外壁には凹凸が激しいという特徴があり、他の外壁材では出せない重厚感・高級感を演出してくれています。
塗装の仕方にもよりますが、塗料を厚く塗りすぎてしまうと独特の凹凸感が失われてしまいます。
専門業者に依頼すれば、モルタル本来の良さを活かしたまま塗装してくれるでしょう。
定期的にモルタル外壁のメンテナンスを行う
モルタル外壁は定期的にメンテナンスを行いましょう。
モルタル外壁の耐用年数は30年と非常に長いですが、これはあくまで定期的にメンテナンスを行った場合です。
劣化が進みヒビ割れなどが起こってしまうと、外壁塗装では補修することができず、張り替えが必要になってしまいます。
張り替えは外壁塗装よりもかなり高額なので、コストを抑えて長く使いたいという人は、定期的にメンテナンスしましょう。
外壁を洗浄する、定期的に点検してもらうなど簡単なメンテナンスで問題ありません。
モルタル外壁の工事を依頼する業者は妥協せずに選ぶ
モルタル外壁塗装を業者に依頼する際は、依頼する業者選びが非常に重要です。
モルタル外壁塗装は、職人の技術力によって仕上がりが違います。そのため腕の良い職人を抱えている、モルタル外壁塗装の実績がある業者をピックアップするのがおすすめです。
また複数の業者から相見積もりを取るのも良いでしょう。モルタル外壁塗装にかかる費用は、各業者によって異なります。
そのため見積もりを各社から取り寄せて比較し、自分にとって一番良いと感じる業者に依頼すると失敗しにくいです。
近年悪徳業者による被害が報告されているので、そのような業者に依頼してしまわないように選びましょう。
モルタル外壁のDIYは失敗しやすい
モルタル外壁塗装には高額な費用がかかります。そのため少しでも費用を抑えるために、DIYで外壁塗装をしようと考える人も多いでしょう。
しかしモルタル外壁塗装には、専門知識・経験が必要であるため、基本的にDIYはおすすめできません。
DIYでモルタル外壁塗装を行うと失敗しやすく、修正するためにかえって高額な費用を支払うことになります。
また外壁塗装には高所での作業が必要になる場合も多く、落下して怪我してしまうリスクもあります。
特に専門知識・経験がないという人はDIYではなく、専門業者に依頼するのがおすすめです。
モルタル外壁についてまとめ
今回はモルタル外壁とは一体何か、外壁塗装するメリット・デメリット・費用相場などについて解説してきました。
この記事のまとめ
- モルタルとは、セメントと砂利に水を混ぜた外壁材
- 耐用年数が長く、仕上げ方も様々
- 外壁塗装は費用も安いので、モルタル外壁のメンテナンスに最適
- 外壁塗装の費用は、使用する塗料によって異なる
モルタル外壁は古くから外壁材として使用されており、耐用年数が30年と非常に長いことが特徴です。
しかしいくら丈夫なモルタル外壁でも、定期的なメンテナンスを行わないと劣化していってしまいます。
外壁塗装も立派なメンテナンスです。モルタル外壁を導入しているご家庭は、ぜひ今回の記事を参考にメンテナンスしてみてください。