コンクリートの打ち継ぎを知りたい人
コンクリート打ち継ぎとは?
コンクリート打ち継ぎに絶縁テープは使う?
コンクリート打ち継ぎの処理方法は?止水処理が必須?
コンクリートは建物の基礎や構造を支える重要な素材ですが、その強度を最大限に引き出すには適切な施工が不可欠です。特に注意が必要なのが「打ち継ぎ」です。打ち継ぎとは、コンクリートを複数回に分けて打設する際に生じる継ぎ目のことで、この打ち継ぎ部の処理を誤ると建物の強度低下や水漏れなどの問題が起こる可能性があります。
コンクリート防水工事の基礎として、打継ぎにおける主な注意点は、打継目の位置選定と止水処理です。適切な位置に打継目を設けることで構造的な弱点を最小限に抑え、止水処理で水の侵入を防ぎます。
本記事では、コンクリートの打ち継ぎの概要、その方法、そして止水処理が必要な理由について詳しく解説します。この知識は、建物の品質と耐久性を確保する上で不可欠です。
目次
コンクリートの打ち継ぎについて
打ち継ぎとは、あらかじめ打設して固めておいたコンクリートに、新しいコンクリートを流し込むことを指します。
例えば、体積や型枠の高さに影響される横圧を考えると、1度にコンクリートを流し込むことが難しい場合があります。
意図的に境界を作り、建物の強度を左右しない位置にコンクリートを流し込まなければなりません。
計画的に打ち継ぎ目を作る方法を「打ち継ぎ」と呼び、作業時にできる境界を「打ち継ぎ目」と呼びます。
打ち継ぎ目地とシーリングの違いとは?正しいメンテナンスのコツ
打ち継ぎ目地とシーリングは、建物の外壁や構造部分でよく見られる施工用語ですが、それぞれの役割には明確な違いがあります。打ち継ぎ目地は、コンクリートや外壁パネルの接合部分に設けられる構造的な隙間で、建物が温度変化や振動により膨張・収縮する際のクッションとして機能します。一方、シーリングは、目地部分に充填される弾性素材で、防水性や気密性を高めるためのものです。
シーリング材は時間の経過とともに劣化しやすいため、適切なタイミングで補修や打ち直しを行うことが必要です。正しいメンテナンスのコツとして、以下の点を押さえましょう:
- 劣化のサインを早めに見つける
シーリング材にひび割れ、剥がれ、硬化が見られたら、補修のタイミングです。 - 高品質な材料を選ぶ
紫外線や雨風に強い耐候性の高いシーリング材を使用することで、メンテナンス頻度を減らせます。 - プロに依頼する
DIYでも補修は可能ですが、専門業者に依頼することで、隙間なく充填し長期的に性能を保つ仕上がりが期待できます。
打ち継ぎ目地とシーリングは建物の安全性と快適性を保つための重要な要素です。違いを理解し、定期的なメンテナンスを行うことで、建物全体の寿命を延ばすことができます。
コンクリートの打ち継ぎ目の種類
打ち継ぎ目は、大きく分けて水平打ち継ぎ目、縦の継ぎ目の2種類があります。
コンクリート打込み種類|水平打ち継ぎ目
先に打設したコンクリートの上に新しいコンクリートを打設する際に、水平方向に発生する打ち継ぎ目のことです。
また、表面はレイタンスの影響でもろくなることがあるため、打ち継ぎの前に十分な表面処理を行わなければなりません。
コンクリート打込み種類|鉛直打ち継ぎ目
先に打設したコンクリートの側面に新しいコンクリートを打設する際に、鉛直に発生する打ち継ぎ目のことです。
鉛直打ち継ぎ目はレイタンスなどの影響は受けませんが、収縮の影響があるため、打ち継ぎ時に表面処理をします。
コンクリート打込み種類|打ち継ぎと打ち重ねについて
コンクリートの「打ち継ぎ」と「打ち重ね」は間違えやすいですが、それぞれ特徴が異なります。
打ち継ぎは固めたコンクリートに新たに打設すること、打ち重ねは硬化している途中のコンクリートに新しく打設することです。
つまり、コンクリートの状態で異なりますが、施工をするうえでのポイントが異なります。
打ち継ぎは計画的な目地であるため、強度に影響を及ぼさない部分に打設し、可能な限り一体化するように表面処理を行う必要があります。
一方、打ち重ねの場合は、生コンクリートの硬化によって一体化が妨げられる前に打ち継ぎを行い、一体化できる状態にしなければなりません。
そのため、打ち重ねを行う場合は、ミキシングから仕上げまでの標準時間があり、時間を守ることが大切です。
重ね打ちの標準時間は、外気温25度以下で120分以内、外気温25度以上で90分以内です。
建物の耐久性を守る!打ち継ぎ目地の定期的な点検について
打ち継ぎ目地は、建物のコンクリートや外壁パネルの接合部分に設けられる目地で、建物全体の構造を保護し、防水性や耐久性を確保する重要な役割を担っています。経年劣化により、目地部分のシーリング材がひび割れたり剥がれたりすると、雨水の浸入や外壁の剥離などの問題が発生する可能性があります。そのため、定期的な点検と必要に応じた補修が建物の長寿命化に欠かせません。
点検の目安としては、5~10年に1回が推奨されており、以下のような劣化サインに注意する必要があります:
- シーリング材のひび割れや剥がれ
- 目地部分の変色や硬化
- 雨漏りや結露の発生
これらの症状が見られた場合は早めに専門業者に相談し、劣化が軽微な段階で補修を行うことが重要です。適切なメンテナンスにより、建物全体の耐久性を維持し、将来的な大規模修繕のリスクを軽減できます。
コンクリート打ち継ぎ目は止水処理が必須
打ち継ぎ目は完全に一体化していないため、水漏れが起こりやすい部分です。
そのため、止水という処理を行わなければなりません。
止水処理の方法としては、勾配、伸縮目地、止水板があります。
勾配とは、外壁に向かって勾配をつけることで、雨水が浸透することを抑える方法です。
伸縮目地は、目地に発泡目地板、シーリング材、充填材を使用します。
止水板は、目地面に差し込んで継ぎ目をふさぐ方法で、水やコンクリート成分で膨張するタイプと成形タイプの2種類です。
止水板の材質は、銅、ステンレス板、塩化ビニル樹脂、ゴムなどがあり、目地面の状況に応じたものを使用します。
コンクリートの止水処理が必要な症状とは?
外壁にひび割れやチョーキングなどを発見した場合は、止水処理が必要な可能性が高いです。
止水処理が必要かどうかを確認し、状況に応じて工事を行いましょう。
コンクリートの止水処理が必要|チョーキング
チョーキングとは、外壁の表面にチョークのような粉がつくことです。
手で触れてみて白い粉がついた場合、チョーキングの可能性があります。
太陽の熱や紫外線、雨などによって塗膜が劣化し、放置すると塗膜がはがれたり、外壁に水が侵入するため、メンテナンスが必要です。
コンクリート内部に水が染み込むと、ひび割れや浮きなどにより、外壁に深刻なダメージを与えます。
コンクリートの止水処理が必要|クラック
クラックとは、外壁の亀裂やひび割れを指します。
主な原因はコンクリート打設時に不純物が混入した場合と、地震や雨風などの外力によるものです。
幅1mm以上のひび割れを見つけたら、点検をおすすめします。
また、放置するとひび割れが広がり、壁の一部が落下する恐れがあるため注意が必要です。
コンクリートの止水処理が必要|タイルが浮く
コンクリートの中に空気の層が発生し、一部が膨らんだ状態のことです。
施工から年月が経つとコンクリート内に水が染み込み、水が太陽で温められて蒸発する際に空気の層ができます。
日が当たりやすい南側は浮きが発生しやすく、放っておくと浮きが進行し、タイルやコンクリートが落下する恐れがあります。
施工から時間が経つにつれて外壁の劣化は進行するため、定期的にどの部分が劣化しているか点検することが重要です。
コンクリートの打ち継ぎや止水処理の価格相場
コンクリートの打ち継ぎは、ひび割れ・目地止水処理が約20,000円/mです。
コンクリートの打ち継ぎや止水処理の価格は、状況によって大きく異なります。
価格相場を公表している業者はほとんどないため、見積もりを取って確認しましょう。
コンクリートの打ち継ぎや止水処理を依頼する業者の選び方
補修工事を依頼する際は、必ず複数の業者から見積もりを取ることが大切です。
しかし、工事を依頼した経験がないと相場がわからず、悪徳業者に依頼すると必要以上の金額を請求されるリスクがあるでしょう。
高額請求やトラブルを避け、優良業者を選ぶためのポイントを解説します。
コンクリートの打ち継ぎで業者の選び方|創業から数年経過している
業者設立から数年が経過している塗装業者を選ぶ方法がおすすめです。
立ち上げたばかりの業者は、職人の技術不足が懸念されます。
熱意があり真摯な対応をしていても、経験不足により失敗してしまっては元も子もありません。
施工経験が全くない、もしくは数少ない経験しかない業者に依頼せず、実績のある業者を選びましょう。
コンクリートの打ち継ぎで業者の選び方|アフターフォローがある
アフターフォローの内容は、重要なポイントです。
なかには、工事が終わってから発覚する瑕疵もあります。
アフターフォローがないと、工事が終わり何か不具合があった場合に、対応してもらえない可能性が高いです。
大規模なリフォームをする際は、アフターフォローが整っている業者に依頼しましょう。
コンクリートの打ち継ぎで業者の選び方|ホームページで価格の目安を確認
ホームページに価格表が掲載されていない業者は要注意です。
価格がわからないと、適正価格で工事をしてくれるのか判断できません。
言い値で契約させられることもあるため、契約前にホームページの価格表をチェックしましょう。
コンクリートの打ち継ぎで業者の選び方|口コミのチェック
ホームページに掲載されている口コミよりも、他の媒体に書かれている口コミをチェックしましょう。
また、口コミをチェックする際は、複数のサイトを確認することで信頼性を高められます。
コンクリートの打ち継ぎで業者の選び方|複数の業者に見積もりを依頼
外壁工事を依頼する際は、複数の業者に見積もりを依頼し、工法や費用を比較しましょう。
相見積もりに関しては、少なくとも3社から取ることをおすすめします。
ホームページに「専門業者」「実績が豊富」と書いてある業者でも、実態は違うケースが少なくありません。
また、ホームページに記載されている価格以外に、説明なく追加料金が加算されることもあります。
トラブルを予防するためにも、依頼前に複数の業者に問い合わせをして、内容を十分理解したうえで検討することが大切です。
防水工事でよくある質問
Q
防水工事の種類にはどんなものがありますか?
A
主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。
Q
防水工事の費用はどのくらいかかりますか?
A
工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。
Q
防水工事のタイミングはいつが良いですか?
A
一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。
コンクリートの打ち継ぎや止水処理は早めに依頼しよう
基礎のひび割れは、コンクリートの乾燥よる収縮でも発生するため、こまめな点検をしましょう。
小さなひび割れでも、放置すると建物の耐久性を低下させます。
構造に大きな不具合が発生している場合は、早急に補修を検討しなければなりません。
工事が必要な症状が表れている際や、1度も点検や工事を行っていない場合は注意が必要です。
どのような工事が必要か、具体的な価格や担当者の対応を確認するためにも、相見積もりを取って優良業者を見つけましょう。