屋上・ベランダ防水の補修方法を知りたい人
屋上防水の補修方法とは?部分補修は可能?
屋上防水の補修でかかる費用はどれくらい?
防水シートの補修方法は?
屋上のひび割れは補修できる?
屋上・ベランダ防水は、建物の屋上部分を雨水から守るために行われる重要な作業です。
屋上やベランダが防水されていないと、雨水が建物内部に浸入して、壁や天井にシミやカビが発生したり、建物の構造物が腐食したりする可能性があります。
また、屋上やベランダからの漏水が他の階や隣接する建物にまで影響を及ぼすこともあります。
そのため、屋上・ベランダ防水は建物の長寿命化や快適な居住環境を維持するために欠かせない重要な作業です。
この記事では、屋上・ベランダ防水における補修方法について詳しく解説していきます。
また、補修方法の手順、費用の目安、アフターケアについても解説しているので、屋上防水をされた方には必読の記事となっています。
目次
屋上・ベランダ防水で補修が必要になる理由
屋上・ベランダ防水で補修が必要になる理由は、以下のようなものが考えられます。
- 経年劣化
- 施工不良
- 台風や地震などの天災
これらの理由によって、屋上・ベランダ防水で補修が必要になる場合があります。
定期的な点検やメンテナンスを行うことで、早期発見・対応が可能となり、大きな被害を防ぐことが可能です。
経年劣化
屋上・ベランダ防水材料は、太陽光や風雨などの自然環境の影響を受けるため、時間の経過とともに劣化していきます。
劣化した防水材料は、雨水や湿気が浸入しやすくなり、補修が必要になります。
施工不良
屋上やベランダに防水工事が不適切に行われた場合、防水材料が劣化する前に漏水が発生することがあります。
施工不良による漏水は、早期の補修が必要です。
台風や地震などの天災
台風や地震などの天災によって、屋上やベランダの防水材が破損することがあります。
天災による破損は、迅速な補修が必要です。
屋上防水工法別の劣化サインと補修方法
屋上・ベランダ防水工法の種類は、次に挙げる3つです。
- ウレタン防水
- シート防水
- アスファルト防水
- FRP防水
それぞれの劣化サインと補修方法についてまとめていきます。
防水工法の種類 | 劣化サイン | 補修方法 |
ウレタン防水 | ・防水層の剥がれ ・チョーキング現象 ・防水層の膨れ ・防水層のひび割れ | ・トップコートの再塗装 ・防水層の塗り替え |
シート防水 | ・シートの破れ ・シートの硬化や伸縮 ・つなぎ目の劣化 ・シートの膨れ ・水たまり | ・熱融着 ・脱気筒の設置 ・パッチ補修 ・密着工法 ・機械的固定工法 |
アスファルト防水 | ・防水層の砂落ち ・重ね部の口開き | ・撤去法 ・非撤去法 ・全面改修工事 |
FRP防水 | ・防水層のひび割れ ・防水層の色あせ ・防水層の浮きや剥がれ | ・トップコートの再塗装 ・部分補修 ・防水層の張り替え(全体補修) |
トップコートの再塗装
ウレタン防水やFRP防水など、屋上・ベランダ防水の補修方法は、劣化の度合いによって違います。
軽微なものであれば、トップコートの再塗装や部分的な補修で対応が可能です。
トップコートとは、防水層の表面に塗装し、防水効果を持続させる役割があります。
劣化が重度なものである場合は、トップコートの再塗装では対応できず、防水の塗り替えまたは貼り替えが必要になります。
また、雨漏りが発生した場合は、被害の拡大を防ぐために全面改修工事が必要です。
それでは、補修方法について手順をふまえて解説していきます。
①洗浄
塗装する前に、塗りたい部分を洗浄し、汚れや油分を取り除きます。
汚れがひどい場合は、高圧洗浄機などを用いる場合もあります。
②養生
塗装する場所にマスキングテープなどを貼り、塗りたくない部分を保護します。
③塗装
塗料を適量を取り、ハケやローラーで2回から3回に分けて塗っていきます。
塗料の乾燥時間や塗り重ねる回数は、塗料の種類によって異なるので塗料のラベルや取扱説明書を参考にしてください。
塗り重ねる場合は、前の層が完全に乾燥してから次の層を塗るのがポイントです。
④完了
塗装が完了したら、マスキングテープを剥がします。
塗料の乾燥時間が経過したら、再度使用が可能です。
注意点
塗料の種類や塗る場所によって手順が異なる場合があります。
そのため、取扱説明書をよく読んでから作業を行うようにしてください。
また、安全に作業を行うためには、適切な保護具を着用することが重要です。
シート防水の部分補修
シート防水は、塩化ビニール製またはゴム製のシートを被せて防水層を形成する工法です。
このシート部分が劣化または破損している場合、部分的に補修することができます。
部分補修の方法は劣化や破損の状態によって異なります。
部分補修の方法は以下の通りです。
シートの剥がれや浮きは熱溶着で補修
シートの剥がれや浮きが見られた場合は、熱溶着で補修します。
熱溶着とは、シートを溶かして冷え固まるまでに接着させる方法です。
塩化ビニールやゴムは熱によって溶けるため、接着するには熱溶着が有効なのです。
ゴムシートには、接着剤を用いる場合もあります。
シートの膨れは脱気筒を設置
シートが膨れている場合は、脱気筒を設置して対処します。
脱気筒とは、防水層内部に溜まった水蒸気を外へ逃すための筒状の設備です。
屋上でシート防水が施されていると、シート内部に水蒸気が溜まることがあります。
水蒸気が溜まるとシートが膨れてしまうため、脱気筒で外に逃してあげるのです。
シートのひび割れにはパッチ処理
シートのひび割れには、軽微なものであればパッチ処理が有効です。
パッチ処理とは、塩ビシートやゴムシートの小さなかけらを使用して、ひび割れた箇所を塞ぎます。
アスファルト防水の補修方法
アスファルト防水の補修方法は、既存の防水層を撤去して新たに防水工事をやり直す撤去法と、既存の防水層を撤去せずに、上から新しい防水層を被せる非撤去法の2種類があります。
撤去法
撤去法は、アスファルト防水に限らず、すべての防水工法に対応可能です。
既存の防水層の撤去は労力を必要とし、廃材の処理に経費と工期が必要となります。
また、工事中は周囲への騒音、粉塵対策も考えなければなりません。
さらに、撤去後には下地処理材で仮防水が必要です。
非撤去法
非撤去法には、次の4種類があります。
非撤去工法は、別名「かぶせ工法」とも呼ばれており、既存の防水層を撤去せずに上から被せることからその名が付いています。
非撤去法の種類 | 特徴 |
BANKS工法 | ・工事用アスファルトをバーナーで溶融させ改質アスファルトを貼り付けて積層していく工法・溶融釜を使用しない環境対応型の次世代型アスファルト防水工法 |
ストライプ工法 | ストライブ状の粘着層で安定した膨れ防止機能を発揮する |
エコフィット工法 | 専用シール材を用いて改質アスファルトの粘着層を貼り付ける都市型防水工法 |
アスポット工法 | 専用のディスクを使用し、アンカで止めて下地に固定する機械的固定工法 |
どちらの工法も、現在の主流になりつつある高性能な工法として数多くの建物で採用されています。
屋上防水の補修にかかる費用相場は?
屋上防水の補修にかかる費用は、補修箇所の規模や状態によって費用が変わるため、一概には言えませんが、目安となる費用相場を補修方法ごとに表にまとめました。
補修方法 | 費用相場 |
トップコート再塗装 | 約1,000円〜2,500円/㎡ |
シート防水の部分補修 | 約3,000円〜4,000円/㎡ |
アスファルト防水撤去法 | 約4,000円〜6,000円/㎡ |
アスファルト防水非撤去法 | 約3,000円〜5,000円/㎡ |
屋上防水の劣化状況をふまえて、適した工法を選びましょう。
また、判断が付かない場合は、業者に相談するのが賢明です。
補修後のアフターケア
屋上・ベランダ防水において、補修後でもアフターケアは必要です。
下記にアフターケアの方法をいくつか挙げていきます。
水たまりを作らないようにする
雨水がたまるような凹凸や隅の部分には、水がたまらないように注意が必要です。
水はけが悪い場合は、排水口や雨樋の詰まりを確認し、必要に応じて掃除を行います。
定期的な点検
補修後は、定期的な点検を行い、問題がないか確認します。
特に雨漏りや水が浸透していないか、目地の劣化がないかなど、業者に依頼して点検してもらうことが大切です。
定期的なメンテナンス
防水材料の種類によっては、定期的なメンテナンスが必要な場合があります。
特に、トップコートは5年ごとに塗り替えるのがベストなタイミングとされているので、定期的に塗り替えましょう。
問題を見つけたら早期に対処
何かしらの問題が発生したら、放置せず早急に対処することが重要です。
すぐに業者に連絡して、修理を行ってもらいましょう。
防水工事でよくある質問
Q
防水工事の種類にはどんなものがありますか?
A
主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。
Q
防水工事の費用はどのくらいかかりますか?
A
工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。
Q
防水工事のタイミングはいつが良いですか?
A
一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。
まとめ
ここまで屋上防水の補修方法について解説してきました。
まず、屋上防水において補修が必要なケースは、経年劣化、施工不良、天災などの要因が挙げられます。
次に、補修が必要となる劣化サインおよび補修方法についても解説しました。
補修にかかる費用は、あくまでも参考程度に把握しておくと、補修する時に請求される金額に大きな差があるか分かるでしょう。
最後に、アフターケアまでしっかりと行い、最適な屋上の状態を保ってください。