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パラペットとは?雨漏りの原因になりやすい?防水工事のポイントを解説

パラペットについて知りたい人

パラペットについて知りたい人

パラペットの防水工事とは?
屋上におけるパラペットの役割は?

パラペットに防水シートは使う?
屋上防水工事でパラペットも同時に補修するのがいい?

パラペットが雨漏りの原因になるのはなぜ?
パラペットとは屋上の立ち上がり部のこと?

近年はスペースの有効利用やデザイン性の高さから、陸屋根のある一戸建て住宅も増えています。

ご自宅が陸屋根でパラペットがあるという方も少なくないのではないでしょうか。

屋上や陸屋根において、防水層の端を持ち上げるという意味でも重要な役割を果たしているパラペットですが、実は雨漏りの原因となりやすい場所でもあります。

パラペットに必要なメンテナンスについて詳しく解説しています。

パラペットとは?

パラペットとは、屋上(陸屋根)の外周に立ち上がっている部分を指します。

人が出入りする場所の場合には、落下防止の役目もあるため1.1m以上の高さで設置されています。

「胸壁」「手すり壁」と呼ばれることもある部分です。

パラペットがある屋根の形状

パラペットが設置されている屋根の形状は主に陸屋根、片流れ屋根などですが、一般的な屋根の形状にも設置が可能です。

特に片流れ屋根は、屋根の傾斜を隠すようにパラペットを設置して、外観はキューブ型のように見える、など、デザイン性も兼ねた役割をしています。

また、屋根の形状によって、パラペットが4方や3方の設置などと、異なります。

一つずつ詳しく解説していきます。

陸屋根

陸屋根とは、傾きがない、平坦な形状の屋根です。

陸屋根は、屋上に溜まった水が風向き次第でさまざまな方向に流され、保護するものがないと外壁に雨水が大量に掛かってしまいます。

そのため、陸屋根には4方にパラペットを設置し、内側に排水溝を設けて雨水を竪樋(たてどい)に流し、地上に排出されるようにしています。

陸屋根にパラペットがないと、行き場がなく溜まった雨水が風に流され壁を伝って地上に流れます。

陸屋根のパラペットは、雨水による外壁への負担を減らすためにも、重要な役割を担っています。

片流れ屋根

片流れ屋根とは、一方向のみに傾斜がついた形状の屋根です。

片流れ屋根のパラペットは、屋根の3方に設置され、傾斜がある屋根をデザイン的観点で平らに見せるために設置する場合もありますが、

傾斜が緩い場合は雨水が屋根に溜まらないようにする目的でも設置されます。

片流れ屋根には緩やかに傾斜があり、雨水を下部方向に内側の雨樋をたどって竪樋に誘導するため、屋根の傾斜の下部の面以外の3方に設置されます。

その他の形状の屋根

パラペットは切妻屋根(きりつまやね)や寄棟屋根(よりむねやね)など、一般的な形状の屋根にも設置することができます。

多くの場合が3方に設置され、コの字型のパラペットになります。

切妻屋根においては、妻側(破風がある面)にも、平側(鼻隠しがある面)にも設置ができ、寄棟屋根においても軒の長短に関係なく設置が可能です。

パラペットの役割

これまでの解説で、パラペットが何なのか、どのような形状なのかは分かりましたが、その役割についてはあまり理解できていない方も多いのではないでしょうか。

パラペットの建物における役割をみていきましょう。

防水性の確保と外壁の汚れ防止

パラペットが最も設置される可能性がある陸屋根において、パラペットの役割は、雨水が外壁を伝って地上に排出されることを防げることです。

外壁に雨水が大量にかかると、外壁が汚れ、劣化が進んでしまいます。

外壁には細微なひび割れがあり、雨水がひび割れを伝って建物内部へと侵入し、室内への漏水へとつながります。

また、微細なひび割れも、雨水の侵入により巾が広がり、さらに外壁の劣化を進行させることも考えられます。

パラペットの内側には雨樋が設けられていて、雨水を竪樋に誘導して地上に排出させるので、屋上の雨水が外壁に掛かることはありません。

また、陸屋根以外の屋根にも、パラペットを設置することで同じような効果が得られます。

建物のデザイン性を向上

パラペットの役割として、傾斜のある屋根を隠し、外観を箱型に見せる効果があります。

街で見かけるキューブ型の建物はシンプルで近代的なデザインで、かっこいいと感じる方も多いのではないでしょうか。

そんなキューブ型の建物の屋根は、実は2種類あり、見た目通りに陸屋根のものと、勾配がある屋根のものがあります。

勾配があるものは片流れ屋根で、パラペットを設置することで外観を箱型に見せているのです。

看板を設置しやすくなる

パラペットには、建物に看板を設置しやすくする役割もあります。

パラペットを設置すると、外からみると外壁の上部にスペースができるため、サッシなどのスペースを避けて看板や社名などのロゴを取り付けることが可能です。

会社にとっては自社の建物を宣伝に使えるので、ビルなどの建物にパラペットをあえて設置することは少なくありません。

また、自宅兼店舗など、昔ながらの商店もこのような手法で看板を設置することが多かったようです。

金属屋根や瓦屋根にパラペットを組み合わせている小さな店舗は、今でも古くからある商店街などで見ることができますね。

パラペットが雨漏りの原因になる理由

パラペットは外壁から持ち上がっているため、防水層との間に隙間ができます。

この隙間はシーリングや金具などを使用して埋められていますが、常に紫外線や雨水にさらされているため、徐々に劣化してしまうことは避けられません。

劣化を放置すると、その部分から建物内部に水が侵入し、建物全体の強度が下がったり建物寿命が短くなったりしてしまいます。

またパラペットの上部には笠木と呼ばれる金属製のカバーがつけられ、パラペットを保護している場合があります。

しかし笠木部分も風で吹き上げられた雨水が入り込むなど、雨漏りの原因となりやすい場所の一つです。

近年は高い品質をもつ笠木が使用されており、雨漏りの原因となることは少なくなっていますが、築年数が古い建築物の笠木のシーリング部分には注意が必要です。

屋上にあるパラペットの防水工事の内容

屋上のパラペット部分の防水工事は、状況や原因にあわせて方法を選択する必要があります。

シーリング工事

シーリング部分が劣化し、雨水が侵入している場合には、既存のシーリングを剥がして再充填したり、追加でシーリングを被せることで雨水の侵入を防ぎます。

笠木まわりや防水層とパラペットの立ち上がりの隙間などが原因となっている場合に行われます。

雨樋の補修

パラペットの内側に設けられた雨樋は最もトラブルの多い部分です。

雨樋は箱樋や箱谷内樋、谷樋とも呼ばれ、少しの勾配を利用して屋根の雨水を排水する役割をしています。

この雨樋に落ち葉や土が詰まると排水機能は失われ、くぼみに雨水が溜まり、次第にパラペットを腐食させて雨漏りを引き起こします。

また、雨樋は板金でできていることが多いです。そのため、腐敗した落ち葉と雨水は混ざるとアルカリ性になりやすく、通常の雨水よりも雨樋を早く劣化させると言われています。

パラペットの腐食を防ぐためには雨樋のメンテナンスが肝心です。

雨樋の工事・メンテナンス方法は以下の通りです。

  • 痛みが激しい場合は雨樋の交換
  • 塗装
  • 定期的な掃除

交換の場合は費用がかかります。工事費用を抑えるには、定期的に雨樋を掃除したり、再塗装工事が効果的です。

また、点検の際に雨樋が腐食していることが分かれば、早めの交換を行いましょう。

笠木の補修・改修工事

パラペット上部に取り付けられた笠木は雨風・紫外線の影響を受けやすく、劣化が進みやすい箇所だといえます。

笠木が劣化すると、パラペット内部に雨水が侵入し、雨漏りへと発展する恐れがあります。

笠木はほとんどの場合、ガルバリウム鋼板やアルミ、ステンレスでできていて、笠木やパラペットの劣化を防ぐためにも定期的な補修・改修工事が必要です。

笠木の補修・改修工事を紹介します。

塗装工事

笠木の塗装工事は、笠木の劣化を防ぐ効果が得られます。

また、笠木の塗装工事は、建物の美観を向上させる効果や、笠木の寿命を延ばす効果も期待できるので、パラペットの防水工事としてはとても効果的です。

維ぎ目部分のシーリング工事

笠木を複数枚設置する場合、その継ぎ目部分にシーリング工事を施すとパラペットへの雨水の侵入を防ぐことができ、防水効果が得られます。

しかし、シーリングは経年により劣化するので、5年から7年でシーリングの表面にひび割れが生じることも考えられます。

シーリングの表面のひび割れから雨水が侵入してしまい、パラペットを劣化させる原因にもなります。

カバー工法

笠木のカバー工法は劣化した既存の笠木の上から新しい笠木を被せる工法です。

カバー工法は既存の笠木が鉄製の場合のみ施工が可能で、アルミの場合は笠木の形状に厚みがあるため、施工できません。

交換

笠木が錆びてしまったり、笠木の内部に水が侵入している場合には、笠木を外して内部の防水シートを交換するなどの工事が必要となります。

また、笠木の劣化によって、パラペット内部が腐食している場合は、笠木の交換だけではなく、パラペットの補修も必要です。

防水シートの補修

パラペットの防水層が破損してしまったり、破れてしまった場合には、防水工事が必要です。

方法は塗膜防水やシート防水などが検討されます。

状態によっては屋上や陸屋根全体を含めたすべての防水工事が必要な場合もありますが、一部のみの工事で済む場合もあります。

パラペット防水工事の費用相場

パラペットが原因となる雨漏りの場合、費用はどのくらいかかるのでしょうか。

パラペットのどの部分が原因で発生しているかによって工事方法や費用変わります。

費用目安は下記の通りです。

工事内容費用目安
シーリング工事900~1,200円/m
屋上防水工事7,500円〜/㎡
笠木脱着工事10,000円〜/m
雨樋交換工事2,000円〜3,000円/m

パラペットのメンテナンス方法

パラペットは笠木の劣化から影響を受けやすいですが、パラペット自体の定期的なメンテナンスが必要です。

パラペットのメンテナンス方法は以下の通りです。

  • 定期的な塗り替え
  • シーリングの打ち替え
  • ひび割れの補修
  • 定期的な雨樋の掃除

パラペットは多くの場合外壁と同じ素材でできているか、看板の設置を目的にしたものは金属製のものが多いです。

定期的な塗装の塗り替え、サイディングなどの目地シーリングの打ち替えなどがメンテナンスとしては効果的です。

また、張り替えに比べ、安価で手間が掛からないパラペットを部分的にカバーするカバー工法も選択できます。

この場合、パラペットの形状によってカバーする範囲が異なり、注意が必要です。

パラペットに発生したひび割れの状況によって、シーリング材を充填して埋めるのか、張り替えを行うのか、カバー工法は可能か、などを判断します。

パラペットの防水性を保つためには、笠木だけではなく、パラペット自体のメンテナンスも重要です。

パラペット防水工事の依頼の流れ

雨漏りの発生や防水層の劣化により防水工事を検討する場合には、まずは専門家に状態を確認してもらいましょう。

内樋に原因があるのか、防水シートに原因があるのかによっても依頼先は変わってきますが、屋根工事業者や防水工事を専門としている業者にまずは建物の調査を依頼してください。

その後はできれば複数の業者から見積もりを取った上で、施工方法・価格などに納得した上で、工事を行いましょう。

防水工事でよくある質問

Q

防水工事の種類にはどんなものがありますか?

A

主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。

Q

防水工事の費用はどのくらいかかりますか?

A

工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。

Q

工事の期間はどのくらいかかりますか?

A

工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。

Q

工事中の生活にどんな影響がありますか?

A

騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。

Q

防水工事のタイミングはいつが良いですか?

A

一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。

まとめ

パラペットの防水工事についてまとめると、

  • パラペットとは屋上や陸屋根の外周にある低い塀の部分。
  • パラペットはスムーズな排水を促し、外壁へ直接雨水が流れるのを防ぐ役目がある。
  • 人の出入りのある屋上や陸屋根では、人や物の転落防止の役割がある。
  • 屋上防水層との間の隙間はシーリングや金属で埋められているが、劣化によって水が侵入する可能性が高い場所である。
  • 劣化してしまったり、雨漏りが発生した場合には、シーリング工事・内樋補修・笠木着脱・防水シート補修などによって、防水工事を行う必要がある

となります。

パラペットは外壁への負担を減らし、転落等を防ぐ非常に重要な役割があります。

しかし雨漏りの原因となりやすいのも事実です。

雨漏りが起こる前に劣化状況を確認し、防水工事を行うことができれば建物寿命を伸ばすことにもつながります。

定期的な点検やメンテナンスで建物の健康を守れるといいですね。

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