マンション大規模修繕工事の費用が払えない時の対処法を解説!お金が足りなくなる原因は?

2025/07/24

マンションの大規模修繕工事が近づいているのに、「修繕積立金だけでは費用が足りない」「一時金の支払いが難しい」といった資金不足の悩みを抱えていませんか?
国土交通省の調査によると、修繕積立金が不足しているマンションの割合は約35%に上り、多くの管理組合が同様の問題に直面しています。

本記事では、マンション大規模修繕費用が払えない場合の具体的な対処法から、資金不足の根本原因、そして将来的な予防策まで、実践的な解決策を詳しく解説します。

参考元:国土交通省 マンションを取り巻く現状と課題

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目次

マンション大規模修繕費用が払えない場合に起こる深刻な問題

マンション大規模修繕費用が払えない状況を放置すると、建物全体と居住者の生活に深刻な影響を与える問題が発生します。
これらの問題は時間の経過とともに深刻化し、最終的には取り返しのつかない事態に発展する可能性があります。

マンションの劣化が進行し資産価値が低下する

大規模修繕工事が実施されないと、外壁のひび割れや防水機能の低下などが進行し、建物の構造的な問題が発生します。
外壁塗装の剥がれや屋上防水の劣化は、雨漏りやコンクリートの中性化を引き起こし、建物の寿命を大幅に短縮させる要因となります。
また、見た目の劣化は周辺の同様な物件と比較して資産価値を著しく低下させ、将来の売却時に大きな損失を被る可能性があります。

住環境の悪化でマンション居住者の生活に支障をきたす

修繕工事の延期により、エレベーターの故障頻度が増加したり、共用部の清掃や維持管理が行き届かなくなったりする問題が発生します。
給排水設備の老朽化は断水や漏水事故のリスクを高め、居住者の日常生活に深刻な影響を与えます。
さらに、修繕費用の滞納者が増加すると、他の住民の負担が増大し、住民間でのトラブルが発生する可能性もあります。

法的措置による資産差し押さえのリスク

管理費や修繕積立金の滞納が長期間続くと、管理組合は法的措置を取る権利を有します。
督促状や催告書による通知に応じない場合、管理組合は裁判所に訴訟を起こし、強制執行による資産の差し押さえを行うことができます。
最終的には、マンション自体が競売にかけられる可能性があり、市場価格の5~7割程度での強制売却となるリスクがあります。

マンション大規模修繕費用が払えない主な原因とは?

マンション大規模修繕費用の資金不足問題は、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。
根本的な解決策を見つけるためには、これらの原因を正確に把握し、適切な対策を講じることが重要です。

修繕積立金の設定額が不適切

新築マンションの販売時に、購入者の負担を軽減するために修繕積立金が低く設定されるケースが多く見られます。
国土交通省のガイドラインを下回る金額で設定されている物件は全体の約75%に上り、将来的な資金不足の大きな要因となっています。
段階増額積立方式を採用している物件では、計画通りに値上げが実施されないことが多く、必要な修繕費用を確保できない状況に陥っています。

参考元:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン

滞納者の増加による資金不足

マンション居住者の高齢化に伴い、年金生活者の割合が増加し、修繕積立金の支払いが困難になる世帯が増えています。
滞納者が増えることで、計画的な資金調達が困難になり、他の住民への負担増加という悪循環が生まれています。

マンション設備維持費の過大な負担

機械式駐車場やエレベーターなどの設備は、維持管理費用が高額で、修繕積立金を圧迫する要因となります。
特に機械式駐車場は耐用年数が15年程度と短く、定期的な大規模な更新工事が必要になるため、修繕費用の大きな負担となります。
高級マンションやタワーマンションに設置されている豪華な共用設備は、維持管理費用が想定以上に高くなる場合があります。

長期修繕計画の見直し不足

新築時に作成された長期修繕計画が、実際の建物の状況や市場価格の変動に合わせて適切に見直されていないケースが多く見られます。
資材費や人件費の高騰により、当初の計画よりも工事費用が大幅に増加しているにも関わらず、修繕積立金の見直しが行われていない物件が存在します。
国土交通省は5年ごとの見直しを推奨していますが、実際に定期的な見直しを行っている管理組合は少ないのが現状です。

参考元:国土交通省 長期修繕計画作成ガイドライン

マンション大規模修繕費用が払えない時の4つの対処法

マンション大規模修繕費用の資金不足が発覚した場合、複数の対処法を組み合わせることで問題を解決できます。

それぞれの方法にはメリットとデメリットがあるため、マンションの状況に応じて最適な選択をすることが重要です。

不足分をローンで補填する方法

金融機関からの借入による資金調達は、最も現実的で実用的な解決策の一つです。
住宅金融支援機構の融資は、対象工事費全額の借入れが可能で、返済期間も最長20年と長く設定できるメリットがあります。
民間銀行のローンは、工事費の80%以内または150万円×戸数のいずれか少ない方が借入限度額となることが一般的です。
ただし、借入には利息が発生するため、返済計画を慎重に検討し、将来的な修繕積立金の値上げも視野に入れる必要があります。

住民からの一時金徴収による資金調達

不足分を住民から一時金として徴収する方法は、借入のような利息負担がない点がメリットです。

一時金徴収の実施方法

  • 工事費の不足分を戸数で割った金額を算出
  • 総会での決議による住民の合意形成
  • 分割払いの選択肢も検討

一時金の徴収は、契約時・着工時・完成時の3回に分けて徴収することで、住民の負担を軽減できます。
しかし、突然の高額な費用負担は住民の家計に大きな影響を与えるため、事前の説明と合意形成が重要になります。
また年金生活者や子育て世帯など、経済状況が厳しい住民への配慮も必要で、滞納リスクを十分に検討する必要があります。

大規模修繕の工事内容を見直す

大規模修繕工事の内容を見直すことで、費用を削減しながら必要な修繕を実施できます。

費用削減の具体的な方法

  • 優先度の高い工事のみを実施
  • 複数の施工業者から見積もりを取得
  • 材料のグレードを適切なレベルに調整
  • 工事を分割して実施

外壁塗装と防水工事など、緊急性の高い工事を優先し、設備更新などは後回しにすることで一時的な費用を抑えられます。
管理会社に依存せず、管理組合主導で複数の業者から見積もりを取ることで、適正価格での工事発注が可能になります。
ただし工事の分割実施は、足場設置費用の重複や工事期間の長期化というデメリットもあるため、総合的なコストを検討する必要があります。

大規模修繕工事の延期という選択肢

資金調達が困難な場合、工事の延期により時間的な猶予を得る方法もあります。

延期のメリット

  • 修繕積立金を追加で貯める時間を確保
  • 工事費用の再検討と見直しの機会
  • 住民の経済状況の改善を待つ

延期期間中に修繕積立金の増額や長期修繕計画の見直しを行うことで、根本的な解決につなげることができます。
しかし、延期により建物の劣化が進行し、最終的な工事費用が増加するリスクもあります。
人件費や材料費の高騰により、延期後の工事費用が当初の見積もりよりも高くなる可能性も考慮する必要があります。

マンション大規模修繕費用が払えない状況を防ぐ予防策

マンション大規模修繕費用の支払い困難を未然に防ぐためには、計画的な資金管理と定期的な見直しが重要です。
予防策を適切に実施することで、将来的な資金不足リスクを大幅に軽減できます。

適切な修繕積立金額の設定方法

修繕積立金の設定は、国土交通省のガイドラインを基準に、マンションの実情に合わせて調整することが重要です。

修繕積立金の設定基準

  • 国土交通省ガイドラインの基準額を参考
  • 均等積立方式の採用を検討
  • 定期的な見直しと調整の実施

均等積立方式は、長期間にわたって一定額を積み立てる方式で、住民の負担予測が容易で、計画的な資金管理が可能です。
段階増額積立方式を採用している場合も、計画通りの増額実施と住民への事前説明により、資金不足を防ぐことができます。
築年数が古いマンションほど修繕費用が高額になる傾向があるため、ガイドライン以上の金額設定を検討することも重要です。

参考元:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン

定期的な長期修繕計画の見直し

長期修繕計画は、建物の実際の劣化状況や市場価格の変動に応じて定期的に見直すことが必要です。

見直しのポイント

  • 5年ごとの定期的な見直し実施
  • 建物診断結果に基づく修繕計画の調整
  • 工事費用の市場価格との比較検討

専門家による建物診断を定期的に実施し、実際の劣化状況に基づいて修繕計画を調整することで、無駄な工事を避けられます。
資材費や人件費の高騰を反映した費用見積もりの更新により、実際の工事費用との乖離を防ぐことができます。
管理組合は、専門知識を持つコンサルタントや設計事務所と連携し、客観的な視点で計画を見直すことが重要です。

助成金・補助金の活用による費用軽減

自治体や国が実施する助成金・補助金制度を活用することで、修繕費用を大幅に軽減できる場合があります。

主な助成金・補助金制度

  • 耐震改修に関する補助金
  • 省エネリフォームへの助成金
  • バリアフリー化工事の支援制度
  • 自治体独自の修繕支援制度

東京都や大阪府などの自治体では、マンションの耐震改修に対して1戸あたり20~60万円の補助金が支給される制度があります。
省エネリフォームや断熱改修工事では、国の補助金制度を活用することで、工事費用の一部を軽減できます。
助成金・補助金の申請には事前の手続きと審査が必要なため、計画段階から制度の活用を検討することが重要です。

新東亜工業の施工事例|13階建てマンションの大規模修繕工事

東京都内にある13階建てワンオーナーマンションにて、新東亜工業が実施した大規模修繕工事の事例をご紹介します。外壁タイルやシーリング、屋上防水など複数の劣化箇所を総合的に改修し、建物の資産価値を回復しました。

工事概要【工事金額・期間】

工事金額:6,098万円/工期:約5か月間(足場設置〜引き渡しまで)
屋上防水・外壁タイル補修・シーリング打ち替えを中心に、建物全体をバランスよく修繕。
建物全体にわたる一貫した施工により、見た目と性能の両立を実現しました。


建物の劣化とオーナー様のご相談内容

長年手を入れていなかったマンションの修繕を検討し始めたオーナー様から、初回のご相談をいただいたのがスタートでした。

相談のきっかけ

築20年以上が経過し、目視でも劣化が感じられるように。最初は「少し気になる」という段階でしたが、調査を通じて複数の問題が明らかになっていきます。

オーナー様「タイルの剥がれや屋上の汚れが気になっていて…」
担当者「まずは図面を拝見して、現地調査で状態を見ていきましょう」

調査で明らかになった劣化状況

現地での打診調査や目視検査によって、建物の各所に進行した劣化が確認されました。オーナー様も驚かれるほどの症状が浮き彫りに。

屋上防水の劣化

既存の通気緩衝工法によるウレタン防水は、広範囲に劣化や膨れが生じていました。

オーナー様「花火の時期には屋上に上るんです。きれいになると嬉しいな」
現地調査員「眺望も大事ですね。美観にも配慮して施工いたします」

外壁タイルの浮き・剥離

浮きタイルが多数見つかり、剥離の危険性も。劣化の進行度に応じて、張替えと樹脂注入を使い分けました。

担当者「打診調査で見えない内部の浮きも確認しました。対応が必要です」

シーリングの硬化不良

シーリング材は硬化しきって弾性を失い、手作業での撤去が必要なほどでした。

現場職人「カッターが入らないくらい硬くなってます。全部打ち替えですね」
オーナー様「そこまで傷んでたとは…早めにお願いしてよかったです」

工事の流れと透明な対応

調査結果をもとに明確な見積書と診断書を作成。オーナー様に工程を丁寧に説明し、工事中も報告を徹底しました。

診断報告と見積提示

写真付きの診断報告書と、内訳を明記した見積書を提出。工事内容をわかりやすく共有しました。

オーナー様「写真があると素人でもわかりやすいですね」
担当者「透明性を重視していますので、何でもご質問ください」

工事の実施(足場~防水まで)

工程は足場設置から高圧洗浄、下地補修、シーリング、塗装、屋上防水まで。報告写真とともに進捗共有を行いました。

担当者「毎週の報告で進捗をご確認いただけます」
オーナー様「離れてても工事の様子がわかって安心できました」

工事完了後のオーナー様の声

見た目だけでなく機能性も向上した建物に、オーナー様からは満足の声が寄せられました。

オーナー様「すっかりきれいになりましたね。やってよかったです」
担当者「大切な資産を守るお手伝いができて光栄です」

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マンション大規模修繕費用が払えない場合のよくある質問

マンション大規模修繕費用の問題について、多くの管理組合や住民が共通して抱く疑問点をまとめました。
これらの質問への回答を参考に、自身のマンションの状況に応じた適切な判断を行ってください。

Q: マンション大規模修繕の費用相場はどのくらいですか?

国土交通省の調査によると、大規模修繕工事の費用相場は1戸あたり100~125万円程度が最も多く、全体の約30%を占めています。

工事回数別の費用相場

修繕回数想定費用(目安)
1回目4,000~6,000万円
2回目6,000~8,000万円
3回目10,000~15,000万円

床面積あたりでは、1㎡あたり1.0~1.5万円が一般的で、マンションの規模や築年数、工事内容によって大きく変動します。

Q: 最も効果的な資金調達方法は何ですか?

住宅金融支援機構の「マンション共用部リフォーム融資」は、対象工事費全額の借入れが可能で、返済期間も最長20年と長く設定できるため、最も現実的な選択肢です。

民間銀行のローンと比較検討し、金利や返済条件を総合的に判断することが重要です。

Q: 大規模修繕工事を延期するリスクは何ですか?

工事の延期により、建物の劣化が進行し、最終的な修繕費用が増加するリスクがあります。

延期による主なリスク:

  • 外壁の劣化進行による追加工事の発生
  • 防水機能の低下による雨漏り被害
  • 人件費・材料費の高騰による工事費用の増加

Q: 延期を判断する基準はありますか?

建物診断の結果、緊急性の高い劣化が確認されない場合は、1~2年程度の延期が可能な場合があります。

専門家による建物診断を実施し、安全性に問題がないことを確認した上で判断することが重要です。

Q: 住民の合意を得るための効果的な方法は何ですか?

透明性の高い情報提供と、複数の選択肢を提示することが合意形成の鍵となります。

合意形成のポイント:

  • 工事の必要性と緊急性の明確な説明
  • 複数の資金調達方法の比較検討
  • 住民の経済状況に配慮した分割払い制度
  • 専門家による客観的な意見の提供

Q: 反対意見が多い場合の対処法は?

反対意見の背景にある懸念事項を把握し、具体的な解決策を提示することが重要です。
個別の相談会や説明会を開催し、住民一人ひとりの状況に応じた対応策を検討することで、理解を得やすくなります。

マンション大規模修繕費用が払えない問題の解決に向けて|まとめ

マンション大規模修繕費用が払えない問題は、適切な対処法を選択することで必ず解決できます。
資金不足の問題を放置すると、建物の劣化や法的措置のリスクが高まるため、早期の対応が重要です。
ローン借入・一時金徴収・工事内容の見直し・延期など、それぞれの対処法にはメリットとデメリットがあるため、マンションの状況に応じた最適な選択を行ってください。
将来的な資金不足を防ぐためには、適切な修繕積立金の設定と定期的な長期修繕計画の見直しが不可欠です。
マンション大規模修繕費用が払えない問題でお困りの場合は、一人で悩まず、専門家や管理組合と連携して解決策を見つけることが最も重要です。
早期の対応により、建物の資産価値を維持し、快適な住環境を守ることができます。