マンション大規模修繕の費用推移を解説|修繕積立金の備え方とコスト削減対策
2026/02/25
「大規模修繕の費用が年々上がっていると聞いて不安…」「前回の修繕より見積もりが高くなったのはなぜ?」そのようなお悩みを抱えていらっしゃる管理組合の方は少なくありません。
実際に、マンション大規模修繕の費用はこの12年間で約1.6倍に上昇しており、修繕積立金の不足が多くのマンションで深刻な課題となっています。
本記事では、マンション大規模修繕の費用推移を最新のデータに基づいて詳しく解説し、高騰の背景から具体的なコスト削減策までをお伝えします。
目次
マンション大規模修繕の費用推移|過去12年間のデータを解説
まずは、マンション大規模修繕の費用がこれまでどのように変化してきたのかを、公的データをもとに確認していきましょう。
費用推移の全体像を把握することが、適切な修繕計画を立てる第一歩となります。
2013年〜2025年の1戸あたり修繕費の推移
一般財団法人経済調査会が公表している「マンション修繕指数」によると、マンション大規模修繕の費用は右肩上がりで推移しています。
2013年時点では1戸あたり約93.5万円であった修繕費は、2023年には約129.9万円に達し、2025年には約150.6万円にまで上昇しました。わずか12年間で約1.6倍という大幅な増加です。
| 年度 | 1戸あたり修繕費(目安) | 指数(2013年=100) |
|---|---|---|
| 2013年 | 約93.5万円 | 100 |
| 2017年 | 約105万円 | 約112 |
| 2021年 | 約120万円 | 約128 |
| 2023年 | 約129.9万円 | 約139 |
| 2025年 | 約150.6万円 | 約161 |
特に2023年から2025年にかけての上昇幅が顕著で、わずか2年間で約16%もの上昇を記録しました。
この急騰は過去に例がなく、多くの管理組合にとって大きな警鐘となっています。
建設物価指数から見る費用上昇の全体像
マンション大規模修繕の費用推移は、建設業界全体の物価動向とも連動しています。
一般財団法人建設物価調査会のデータによると、2025年8月の建設総合の建設物価指数(東京)は143で、前年同月比+3.2%を記録しました。
建築補修部門の指数も同様に上昇基調にあり、コロナ禍以前と比較して建築費指数は1.4〜1.5倍に達しているとされています。
大規模修繕工事は足場や防水といった人件費比率の高い工事が多いため、一般的な建築物価よりもさらに上振れしやすい構造を持っています。
管理組合としては、年+3〜6%程度の上昇率を見込んだ修繕計画を策定することが推奨されています。
マンション大規模修繕の費用が高騰している3つの理由
マンション大規模修繕の費用推移を押し上げている要因は複数ありますが、特に影響が大きい3つの理由を解説します。
これらの背景を理解しておくことで、見積もり金額の妥当性を判断しやすくなるでしょう。
建築資材価格の高騰
大規模修繕の費用高騰において最も大きな要因のひとつが、建築資材価格の上昇です。
塗料や防水シート、鉄鋼、コンクリートといった主要資材は、2020年以降の世界的な物価上昇や円安の影響を受けて軒並み値上がりしました。
塗料・防水材は原油価格上昇にともない10〜15%、輸入資材は円安の影響で15〜20%程度の上昇が確認されています。
また、ロシアのウクライナ侵攻以降の国際情勢の変化も、建築資材の調達を困難にした要因です。
こうした資材価格の上昇はマンション大規模修繕の費用推移に直結し、同じ工事内容でも10年前と比べて総額が大きく変わるケースが増えています。
建設業界の人手不足と人件費上昇
日本の建設業界では、職人の高齢化と若手人材の不足が深刻化しています。
公共工事設計労務単価は13年連続で引き上げられており、大規模修繕工事に従事する労働者の人件費も年々上昇を続けています。
特に外壁塗装や防水工事など熟練技術を要する分野では、人件費が資材費以上に増加している状況です。
大規模修繕工事は長期間にわたり多くの人手を必要とするため、人件費の上昇がそのまま工事費全体の値上げにつながります。
仮設足場の設置・撤去だけでも工事費全体の20〜30%を占めることがあり、この部分のコスト上昇が全体の費用推移に大きく影響を与えています。
アスベスト規制強化や法改正への対応
2022年4月の大気汚染防止法改正により、解体・改修工事におけるアスベスト(石綿)含有建材の事前調査が義務化されました。
マンション大規模修繕においても、仮設工事の段階から石綿含有建材の調査・除去・封じ込めなどの安全対策が求められるようになり、従来以上の費用が発生するケースが増えています。
経済調査会のデータでも、仮設工事費は前回調査から約29ポイントの増加を示し、全体の23.5%を占めるまでに上昇しました。
このように法令対応による費用増加も、大規模修繕の費用推移を押し上げる要因となっています。
工事回数別に見るマンション大規模修繕費用の推移
マンション大規模修繕の費用は、工事回数を重ねるごとに増加する傾向があります。
ここでは国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」のデータを中心に、回数別の費用推移を詳しく見ていきましょう。
1回目(築12〜15年)の費用相場
1回目の大規模修繕は、多くのマンションで築12〜15年目に実施されます。
国土交通省の調査によると、1回目の工事金額で最も割合が高い価格帯は1戸あたり100万〜125万円でした。
ただし、費用高騰が進む2025年現在の相場感としては、1戸あたり100万〜130万円程度を見込んでおくのが現実的です。
1回目は建物の劣化が比較的軽微なため、外壁塗装や屋上防水、シーリング工事など外装系の工事が中心となります。
給排水管や設備の大規模な更新は通常含まれないため、回数別の費用推移の中では最もコストを抑えやすい段階といえるでしょう。
マンション大規模修繕の費用相場について、より詳しくはマンション大規模修繕の費用相場を解説した記事もあわせてご覧ください。
2回目(築24〜30年)の費用相場
2回目の大規模修繕は築24〜30年目が目安であり、1回目と比べて費用が2割程度高くなる傾向にあります。
国土交通省の調査では、2回目の全国平均費用は1戸あたり約120万円、1㎡あたり約1.35万円と報告されています。
2回目で費用が増加する主な理由は、1回目では対応しなかった工事項目が追加されるためです。
給排水管の更生・更新、古い設備機器の交換、長年手つかずだった箇所の補修など、工事範囲が大幅に広がります。
加えて、資材費・人件費の上昇が工事費の増額に拍車をかけている状況です。
3回目以降(築36年〜)の費用相場
3回目以降の大規模修繕では、マンションの築年数が36〜48年に達するため、建物や設備の劣化が深刻な段階に入ります。
給排水管の全面交換やエレベーターのリニューアル、窓サッシの更新など、非常に高額な工事が必要になることも少なくありません。
| 工事回数 | 実施時期の目安 | 1戸あたり費用相場 | 主な工事内容 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 築12〜15年 | 100万〜130万円 | 外壁塗装・屋上防水・シーリングなど |
| 2回目 | 築24〜30年 | 120万〜150万円 | 1回目+給排水設備更新・設備交換など |
| 3回目以降 | 築36年〜 | 150万〜200万円超 | 全面改修・エレベーター更新・サッシ交換など |
このように、マンション大規模修繕の費用は回数を重ねるごとに増加する推移をたどります。
3回目の修繕では建て替えとの比較検討が必要になるケースもあるため、早い段階から長期的な視点で資金計画を立てておくことが重要です。
マンション大規模修繕の費用内訳と各項目の推移
大規模修繕の費用がどのような項目で構成されているかを把握しておくと、見積書の妥当性を判断しやすくなります。
ここでは費用内訳とその推移について詳しく解説します。
仮設工事・外壁工事・防水工事の費用割合
国土交通省の実態調査によると、マンション大規模修繕工事の費用内訳は、建築系工事が全体の約60.3%、仮設工事が約22.8%を占めています。
残りの約16.9%がその他(設計監理・諸経費など)にあたります。
| 工事項目 | 費用割合の目安 | 費用推移の傾向 |
|---|---|---|
| 仮設工事(足場・養生など) | 約20〜25% | アスベスト規制で上昇傾向 |
| 外壁工事(塗装・タイル補修) | 約25〜30% | 塗料・人件費高騰で上昇 |
| 防水工事(屋上・バルコニー) | 約15〜20% | 防水材の価格上昇で増加 |
| 設備工事(給排水・電気など) | 約10〜15% | 2回目以降に大幅増加 |
| 設計監理・諸経費 | 約5〜15% | 総工事費に連動して増加 |
費用推移の中でも特に増加が著しいのは仮設工事と防水工事です。
仮設工事はアスベスト対策の強化、防水工事は資材高騰の影響を強く受けており、これらの項目が大規模修繕全体の費用を押し上げる大きな要因となっています。
大規模修繕工事の具体的な工事内容については、新東亜工業の大規模修繕工事サービスページでもご確認いただけます。
設備工事が2回目以降に増える理由
1回目の大規模修繕では、主に外装系の工事が中心で設備工事の割合はそれほど大きくありません。
しかし2回目以降になると、給排水管の劣化や電気設備の老朽化が進行しているため、設備更新工事が追加されます。
- 給排水管の更生・更新(耐用年数約20〜30年)
- インターホンの交換
- オートロック設備の更新
- エレベーターのリニューアル(耐用年数約25〜30年)
これらは1件あたり数百万円〜数千万円規模の工事となるため、2回目以降の費用が1回目を大きく上回る要因となります。
給排水管の交換費用だけでも1棟あたり約70〜200万円が目安とされており、マンション全体の大規模修繕の費用推移に大きなインパクトを与えます。
工事範囲が広がるほど仮設費用も増加するため、費用内訳をしっかり確認することが大切です。
費用推移を踏まえた修繕積立金の備え方
大規模修繕の費用が年々上昇している現在、修繕積立金の計画的な積み立てがこれまで以上に重要になっています。
ここでは、費用推移を踏まえた適切な備え方を解説します。
長期修繕計画の定期見直しが不可欠な理由
国土交通省は「長期修繕計画作成ガイドライン」において、計画の見直しを5年程度ごとに実施することを推奨しています。
しかし実際には、計画が更新されず現状に合わないまま放置されているマンションも少なくありません。
10年前に作成した長期修繕計画では、現在の建築コスト上昇が反映されていないため、実際の見積もりと大きく乖離するケースが多発しています。
例えば、当初1,000万円と見積もっていた外壁塗装工事が、実施段階では1,300万円以上必要になることも珍しくありません。
マンション大規模修繕の費用推移を正確に把握し、定期的に計画を見直すことで、資金ショートを防ぐことができます。
長期修繕計画の作成手順と見直しのポイントも参考にしてみてください。
均等積立方式と段階増額積立方式の比較
修繕積立金の積立方法には、主に「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2種類があります。
国土交通省のガイドラインでは、将来の安定的な資金確保の観点から均等積立方式が望ましいとされています。
- 毎月の負担額が一定で家計管理がしやすい
- 将来の急激な値上げや一時金徴収のリスクが低い
- 大規模修繕の費用高騰にも安定的に対応しやすい
- 将来の増額幅が大きくなり、住民の合意形成が難航しやすい
- 値上げのタイミングで滞納や反対が生じるリスクがある
- 建築費の高騰が想定以上に進んだ場合、追加の一時金が必要になることがある
なお、令和6年の国土交通省ガイドライン改定では、段階増額積立方式を採用する場合の基準として「初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は基準額の1.1倍以内」という具体的な数値が示されました。
マンションの修繕積立金の仕組みと相場についても、あわせて確認しておくとよいでしょう。
大規模修繕の費用高騰を抑えるための実践的な対策
マンション大規模修繕の費用推移が上昇傾向にあるとはいえ、管理組合の工夫次第でコストを適正化できる余地は十分にあります。
ここでは、費用を賢く抑えるための具体的な対策をご紹介します。
相見積もりと元請け業者への直接発注
大規模修繕のコスト削減において最も基本的かつ効果的な方法が、複数の施工会社から相見積もりを取得することです。
各社から工事の内訳と金額を明示してもらい、不要な工事が含まれていないかを慎重にチェックしましょう。
最低でも3社以上の見積もりを比較することが推奨されます。
また、管理会社を通さず施工会社に直接発注する「元請け方式」を採用することで、中間マージンをカットできます。
下請け構造が多重になるほどマージンが発生し、費用が膨らみやすくなるため、元請けで自社施工を行う業者を選ぶことがコスト削減のポイントです。
不要な工事の見極めと工事範囲の最適化
大規模修繕では、建物診断の結果に基づいて工事範囲を適切に絞り込むことも重要です。
劣化がそれほど進んでいない箇所については、次回の修繕に先送りするという判断も選択肢のひとつになります。
ただし、防水工事や外壁のひび割れ補修など、建物の構造に関わる工事を安易に先送りすると、かえって劣化が進み結果的にコストが増大するリスクがあります。
専門家による劣化診断を受けた上で、優先度の高い工事と先送り可能な工事を明確に区別することが大切です。
外壁塗装工事のように建物の保護に直結する工事は、優先的に実施することをおすすめします。
【現場目線】施工会社が教えるコスト削減のコツ
新東亜工業は創業16年・施工実績5,000件以上の経験から、管理組合の皆様に実践していただきたいコスト削減のポイントをお伝えしています。
- 繁忙期(春〜秋)を避けた工事時期の調整で、施工費を交渉しやすくなる
- 高耐久素材の採用で修繕周期を延伸し、長期的なトータルコストを削減できる
- 見積書の「一式」表記には要注意。作業範囲と数量の内訳説明を必ず求めること
- 自治体の助成金・補助金制度を活用する(バリアフリー改修・省エネ改修など)
新東亜工業では、元請け施工により中間マージンが発生しない分、適正価格でのご提案が可能です。
不要な工事は提案せず、建物の状況に本当に必要な工事だけをご案内する姿勢を大切にしています。
マンション大規模修繕の費用に不安をお感じの方は、ぜひお気軽に無料相談・お見積もりをご利用ください。
マンション大規模修繕の費用推移に関するよくある質問(FAQ)
マンション大規模修繕の費用推移に関して、管理組合の方からよくいただくご質問にお答えします。
- マンション大規模修繕の費用は今後も上がり続けますか?
- 建設資材の高騰や人手不足が構造的な問題であることを考えると、費用が下がる見通しは立てにくい状況です。
管理組合としては、年+3〜6%程度の上昇率を見込んだ修繕計画を策定し、定期的に見直すことが推奨されます。
複数のシナリオ(安定シナリオ・高騰シナリオ)を試算しておくことで、急な値上げや臨時徴収を防げます。
- 修繕積立金が不足している場合はどうすればよいですか?
- 主な対処法は「一時金の徴収」「修繕積立金の増額」「金融機関からの借入」の3つです。
住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資など、管理組合向けの低金利ローンも活用できます。
まずは長期修繕計画を見直し、不足額を正確に把握した上で、住民への説明と合意形成を進めることが重要です。
- 大規模修繕の費用推移を確認できる公的なデータはありますか?
- 国土交通省が公表している「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」(令和3年度版)が代表的な一次ソースです。
また、一般財団法人経済調査会が発行している「マンション修繕指数」では、2013年以降の修繕費用の推移が指数化されており、長期的なトレンドを確認する際に参考になります。
- 費用を抑えるために大規模修繕の周期を延ばすのは有効ですか?
- 国土交通省のガイドライン改定により、修繕周期は12〜15年に延伸されています。
しかし周期を延ばす場合は、高耐久な材料や工法の選定が前提となるため、結果的に1回あたりの工事費は上がります。
「周期を延ばせば安くなる」とは限らないため、専門家のアドバイスを踏まえてトータルコストで判断しましょう。
まとめ
マンション大規模修繕の費用推移は、2013年の1戸あたり約93万円から2025年には約150万円へと、12年間で約1.6倍に上昇しています。
建築資材の高騰、建設業界の人手不足、法改正への対応がその主な要因であり、今後も費用が下がる見通しは立てにくい状況です。
こうした費用推移を踏まえて管理組合がまず取り組むべきことは、長期修繕計画を最新のコスト水準で見直し、修繕積立金の適正化を図ることです。
そのうえで、相見積もりの取得や元請け業者への直接発注、工事範囲の最適化といった実践的な対策を組み合わせることで、費用を適正な水準に抑えることが可能になります。
新東亜工業は、創業16年・施工実績5,000件以上の経験をもとに、中間マージンゼロの元請け施工で適正価格のご提案をいたします。
不要な工事はお勧めせず、お客様の建物に本当に必要な工事だけをご案内いたしますので、大規模修繕の費用にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。