マンションの雨漏り修理は誰が負担?原因・費用相場・管理組合の対応まで徹底解説
2025/09/24
マンションで発生する雨漏りは、単なる生活上の不便にとどまらず、建物全体の資産価値や耐久性を大きく左右する重大な問題です。戸建て住宅であれば「自分で修理業者を探して依頼すれば解決」という流れになりますが、マンションの場合は事情が異なります。専有部分と共用部分の境界線が存在するため、どこまでを所有者が負担し、どこからを管理組合が対応すべきかを正しく理解する必要があります。
また、雨漏りは発生した直後に気づけるとは限らず、天井のシミやクロスの剥がれ、カビの発生などの「二次被害」でようやく判明することも少なくありません。さらに放置すれば、鉄筋コンクリートの内部まで水が侵入し、構造体の劣化や配線のショートといった深刻な被害に発展します。
本記事では雨漏りの初期対応に悩む居住者や、修繕を検討する管理組合の方にとって、実践的に役立つ内容を紹介します。
目次
マンションで雨漏りが起こる主な原因
マンションは多層階の集合住宅であり、外壁・屋上・バルコニーなどの防水性能が建物全体の耐久性を左右します。そのため、一か所の不具合が複数の住戸に影響を及ぼす可能性があり、戸建てよりも原因の特定と修理範囲の判断が難しいのが特徴です。ここでは特に多い原因を解説します。
屋上防水の劣化
屋上は雨水や紫外線に常にさらされるため、防水層の寿命は10〜15年程度といわれています。定期的にトップコートの塗り替えや防水層の更新工事を行わなければ、ひび割れや膨れ、剥がれといった劣化症状が進行します。そこから浸水が始まると、最上階の天井に雨染みができ、クロスの剥がれやカビ臭など生活への直接的な被害が出ます。さらに深刻化すると、コンクリート内部に浸透し、鉄筋の腐食や構造体の強度低下を招く恐れがあります。
外壁やシーリングのひび割れ
外壁に入った小さなひび割れ(クラック)や、サッシまわりに充填されているシーリング材の劣化は、見た目以上に危険です。わずかな隙間から雨水が浸入し、内部の鉄筋を錆びさせることで膨張を引き起こし、コンクリートの剥落(爆裂現象)へと発展する可能性があります。特に高層マンションでは風圧や地震による揺れも加わるため、ひび割れは思いのほか早く進行する傾向があります。定期点検で早期発見しなければ、修繕コストは一気に膨らみます。
バルコニーやサッシまわりからの浸水
バルコニーは居住者が日常的に使用する場所であり、防水層が傷みやすい環境にあります。床防水のひび割れや、排水口の詰まりによって水が溜まり、サッシ枠の隙間から室内へ侵入するケースは少なくありません。また、バルコニー下の住戸に漏水が及ぶと、損害賠償やトラブルに発展することもあります。サッシの下端やコーナー部分は特に弱点となるため、築年数が経過したマンションでは重点的な点検が必要です。
給排水設備の不具合
意外に多いのが、給排水管や設備不良による漏水です。共用配管からの漏水は階下に被害を及ぼしやすく、専有部分での修理では対応できません。さらに、給湯器やエアコンのドレン排水の詰まりなども、バルコニーや壁際の浸水を引き起こすことがあります。建物全体の防水だけでなく、設備配管の老朽化や点検不足も雨漏りの原因となる点に注意が必要です。
承知しました!
では、第2部(費用負担の考え方・修理相場・工法解説)をボリュームをしっかり持たせて執筆します。
雨漏り修理における費用負担の考え方
マンションの雨漏り修理で最もトラブルになりやすいのが「誰が費用を負担するのか」という問題です。戸建ての場合は所有者が全てを負担しますが、マンションは専有部分と共用部分に分かれており、責任範囲が異なります。この区分を理解しておくことが、余計なトラブルを避ける第一歩となります。
専有部分と共用部分の違い
- 専有部分:各住戸の内部空間(居室、キッチン、浴室など)
- 共用部分:建物全体に関わる構造部分(屋上、外壁、廊下、バルコニーの床、配管スペースなど)
原則として、専有部分の不具合は区分所有者(住戸の所有者)が、共用部分の不具合は管理組合が修理・費用負担を行います。ただし雨漏りは「専有部分に現象が出ていても、原因は共用部分」というケースが多く、負担の判断が難しいのが実情です。
費用負担の基本的な考え方(早見表)
| 雨漏りの原因 | 費用を負担する主体 | 具体例 |
|---|---|---|
| 屋上防水の劣化 | 管理組合 | 最上階の天井に漏水があるが原因は屋上防水層 |
| 外壁クラックやシーリングの劣化 | 管理組合 | 外壁ひび割れからの浸水で室内に雨染み |
| バルコニー床防水の劣化 | 管理組合 | バルコニーは共用部分に分類される |
| サッシの隙間 | 管理組合 | サッシ枠は共用部分として扱われる |
| 専有部分の内装材の損傷 | 区分所有者 | クロス・フローリングの貼り替えなど |
| 専有部分の設備不良 | 区分所有者 | 室内の給排水管の劣化による漏水 |
このように、原因が共用部分にある場合は管理組合が負担し、二次的な内装修繕は居住者が負担するケースが多く見られます。
雨漏り修理の費用相場
雨漏り修理の費用は、原因・工法・規模によって大きく変動します。ここでは代表的な工法別の目安をまとめます。
屋上防水の修理費用
- ウレタン塗膜防水:5,000〜7,500円/㎡(耐用年数10〜12年)
- シート防水(塩ビ・ゴム):4,500〜6,500円/㎡(耐用年数10〜15年)
- アスファルト防水:6,000〜8,500円/㎡(耐用年数15〜20年、大規模向け)
マンション全体の屋上面積が100㎡以上になることも多く、総額では数百万円単位となるのが一般的です。
外壁修繕の費用
- シーリング打ち替え:800〜1,200円/m
- 外壁ひび割れ補修(Uカット・樹脂注入など):3,000〜8,000円/m
- 外壁全面塗装:2,500〜5,000円/㎡
外壁は雨漏りだけでなく美観や耐久性にも直結するため、大規模修繕工事と合わせて実施されることが多いです。
バルコニー・サッシまわりの防水修理費用
- バルコニー床防水(ウレタン・FRP):4,500〜7,000円/㎡
- サッシまわりのシーリング補修:1,000〜2,000円/m
部分的な補修であれば数万円程度に収まることもありますが、複数住戸で発生している場合は全体的な補修工事が必要になり、数十万〜数百万円規模になるケースもあります。
マンションの雨漏り修理|防水工法ごとの特徴と選び方
マンションの雨漏り修理では、原因に応じた最適な工法を選ぶことが重要です。
ウレタン防水
液状のウレタンを塗布して防水層を形成する工法で、複雑な形状の屋上やバルコニーにも対応可能。比較的コストが抑えやすいが、施工技術によって耐久性に差が出やすい点には注意が必要です。
シート防水
塩ビやゴムのシートを貼り付ける工法で、均一な仕上がりと安定した耐久性が特徴です。広い屋上に向いていますが、シートの継ぎ目処理が弱点となることもあります。
アスファルト防水
加熱溶融したアスファルトを複数層積み重ねる伝統的な工法で、耐久性は非常に高いですが、コストと工期は長くなる傾向があります。大規模マンションや公共施設で採用されることが多いです。
FRP防水
ガラス繊維で補強したプラスチック樹脂を使用し、硬化後は非常に強靭な防水層を形成します。バルコニーや屋上の小規模部分に適しており、耐摩耗性も高いですが、広範囲施工には向きません。
実録!新東亜工業の施工事例|3階建てマンションの屋上防水工事
築38年の3階建てRC造マンションにて、屋上の防水工事をご依頼いただいた事例をご紹介します。
「屋上の防水塗装が剥がれてきて不安…」「ベランダや排水溝も気になる箇所がある」
そんな不安を抱えたお客様からメールにてお問い合わせをいただき、現地調査・見積・契約・施工・引き渡しまでを実際のやり取りと共にご紹介します。
途中で工法の変更が発生した点も含め、リアルな工事の流れがわかる内容です。
ご相談内容
屋上やベランダの防水劣化、排水溝の錆、駐輪場のライン引きについてもご相談がありました。
お客様はメールでのやりとりを希望されており、現地調査と見積が無料であることを案内することで安心感を提供できました。
お客様:屋上やベランダの防水塗装が剥がれているようなので見積をお願いします。
通路の排水溝の金属蓋の交換もお願いしたいです。担当者:現地調査・御見積は無料で行っておりますのでご安心ください。
お客様:12月12日 14時でお願いできますか? ついでに天窓と屋根の調査もお願いします。
工事の概要|工事金額と期間

屋上防水工事 施工前

屋上防水工事 施工後
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 建物種別 | 3階建てマンション(RC造) |
| 所在地 | 東京都(詳細非公開) |
| 工事内容 | 屋上・塔屋・庇の防水工事、排水溝蓋交換、駐輪場ライン引き |
| 工法 | 通気緩衝工法(当初は密着工法予定) |
| その他特記事項 | 天窓・廊下清掃・駐輪場区画調整含む |
工事金額:100万円
工期:5日間
現地調査で判明した劣化症状
屋上の防水層は部分的に切れ・膨れが見られ、塔屋屋根はより劣化が進んでいました。
一方でベランダや廊下の防水はまだ機能していると判断され、不要な工事は避ける形でご提案しました。
担当者:塔屋屋根の防水層は屋上よりも状態が悪く、以前の工事からかなり年数が経っていると思われます。
お客様:そうなんですね。やはり雨漏りしてからじゃ遅いので、防水お願いします。
担当者:防水層が生きている場所については、今回は工事しなくても大丈夫です。
施工中のやり取りと配慮
洗浄後の確認で、旧防水層の膨れが多数見つかり、急遽「通気緩衝工法」への変更を提案。
工法変更による追加費用やメリットを丁寧に説明し、納得を得て施工を進行。
室外機や物干し台の取り扱い、駐輪場ライン引きのスケジュールも調整されました。
担当者:古い防水層の膨れがあり、通気緩衝工法への変更をおすすめします。
お客様:金額によりますが、効果があるならお願いしたいです。
担当者:費用追加で対応可能です。支払いは完工時で結構です。
引き渡し時のご感想
駐輪場のライン引きを含めた全工程が完了。
お客様には仕上がりをご確認いただき、満足のご感想をいただきました。
今後のトラブル時対応についても案内し、信頼関係を築いてお引き渡しとなりました。
担当者:駐輪場のライン引きも終わり、全ての工事が完了しました。
お客様:ありがとうございます。線がとてもきれいで満足です。
担当者:今後なにかあればいつでもご連絡ください。
本工事では、お客様のご要望を丁寧にヒアリングし、メール主体のやり取りにも柔軟に対応しました。
現地調査により劣化の状態を正確に把握し、必要な工事だけをご提案。
施工中には想定外の劣化が発見されましたが、最適な工法へ変更し、お客様の納得を得て対応。
お引き渡し後もフォロー体制を伝えることで、長期的な信頼関係を築くことができました。
工事中の各工程は写真で丁寧に記録されており、お客様も仕上がりを写真で振り返ることができました。
\お問い合わせや工事のお見積もり無料!/
まずはメール・お電話からご相談ください!
マンションの雨漏り修理を依頼する際の流れ
マンションの雨漏りは原因が複雑で、関係者も多いため、修理までのステップを踏むことが重要です。ここでは一般的な流れを整理します。
1. 管理会社・管理組合に連絡
雨漏りを発見したら、まずは自己判断で業者に依頼するのではなく、管理会社または管理組合に報告します。共用部分が原因の可能性が高いため、勝手に修理するとトラブルの原因となります。
2. 現地調査と原因特定
管理組合を通じて専門業者による調査を実施します。外壁や屋上の目視調査だけでなく、散水試験や赤外線カメラを用いた診断で原因を突き止めます。誤った判断で部分補修を繰り返すと費用がかさむため、初期段階で正確に原因を把握することが不可欠です。
3. 見積もり取得と比較検討
原因が判明したら複数の業者から見積もりを取り、工法や費用を比較検討します。単価の違いだけでなく、保証年数や施工実績、アフターサービスの有無も重要な判断材料です。
4. 管理組合での決議
共用部分に関わる工事は管理組合の総会や理事会での承認が必要です。緊急性が高い場合は臨時理事会を開き、迅速な意思決定を行うケースもあります。
5. 工事実施と引き渡し
足場設置・防水工事・補修工事を行い、完了後は管理組合と施工業者による検査を経て引き渡しとなります。工事後の保証書を必ず受け取り、内容を確認しておくことが安心につながります。
マンション雨漏り修理のよくある質問(FAQ)
Q1. 雨漏りの応急処置は自分でできますか?
一時的に防水テープやブルーシートで対応できますが、根本的な解決にはならず、早めに管理会社へ連絡してください。
Q2. 修理費用を火災保険でカバーできますか?
自然災害(台風・暴風雨)が原因の場合は保険適用されるケースがあります。ただし経年劣化は対象外のため、事前に契約内容を確認しましょう。
Q3. 管理組合が対応してくれない場合はどうすればいいですか?
管理規約に基づき正式に請求し、それでも改善がない場合は区分所有法に基づく対応や、弁護士・建築士への相談が有効です。
Q4. 隣の部屋に被害が出た場合、責任はどうなりますか?
原因が共用部分であれば管理組合の責任となり、専有部分の設備不良であれば区分所有者の責任となります。原因特定が重要です。
Q5. 部分補修と大規模修繕、どちらを選ぶべきですか?
一時的な雨漏りなら部分補修で済むこともありますが、築年数が経過している場合は大規模修繕と同時に行う方が長期的にコストを抑えられます。
Q6. 工事期間中は住戸を使用できますか?
多くの場合は居住可能ですが、バルコニーの使用制限や騒音・振動による生活への影響があります。事前に工事スケジュールを確認しておきましょう。
マンション雨漏り修理のまとめ
マンションの雨漏り修理は、原因の特定と責任範囲の判断が非常に重要です。屋上や外壁などの共用部分が原因であれば管理組合が修繕費を負担し、専有部分の内装修繕は居住者が負担するケースが一般的です。
費用は部分補修で数万円から、大規模な外壁補修や屋上防水改修では数百万円規模になることも珍しくありません。そのため、まずは管理会社に連絡し、正確な調査を依頼することが不可欠です。
また、修繕は単なる雨漏り対策にとどまらず、マンションの資産価値維持や住環境の快適性に直結します。早めの対応と適切な工法選択、そして管理組合・居住者間の協力が、雨漏りトラブルを最小限に抑えるカギとなります。

