マンション給排水管の専有部分・共有部分の交換費用は?寿命・工事の種類を解説

2025/10/09

マンションにお住まいの方で、「水の出が悪くなった」「水が濁っている」「漏水が心配」といった悩みを抱えている方は少なくありません。

特に築年数が経過したマンションでは、給排水管の劣化が進行し、いつ交換すべきか、費用はどれくらいかかるのか、誰が負担するのかといった疑問が次々と浮かんでくるものです。

専有部分の給排水管交換は、居住者の生活に直結する重要な問題であり、適切な知識と計画が必要です。

この記事では、専有部分の給排水管交換について、費用相場から寿命、工事の種類、そして実際の進め方まで、皆さまが安心して判断できるよう、実践的な情報を分かりやすくお伝えします。

給排水管の問題は放置すると大きなトラブルに発展する可能性がありますが、正しい知識があれば冷静に対処できます。

この記事を読み終える頃には、ご自身のマンションで何をすべきか、明確な道筋が見えてくるはずです。

マンション給排水管の専有部分と共用部分の違い

マンションの給排水管について考える際、まず理解しておくべきなのが「専有部分」と「共用部分」の違いです。

この区別を正しく把握していないと、いざ交換が必要になったときに「誰が費用を負担するのか」「どこまでが自分の責任なのか」といった混乱が生じてしまいます。

専有部分とは?どこからどこまでが対象?

専有部分の給排水管とは、基本的に各住戸内を通る配管を指します。

  • キッチンの流し台から床下を通る排水管
  • 浴室からの排水管
  • 洗面所の給水管
  • トイレの給排水管 など

これらは日常生活で直接使用する水回り設備に接続されている配管です。

一般的な判断基準として、床のコンクリートスラブ(構造躯体)より上にある配管は専有部分とみなされることが多くなっています。

たとえば、キッチンや浴室の床を剥がすとアクセスできる位置に配管がある場合、それは専有部分に該当するケースがほとんどです。

ただし注意が必要なのは、スラブ下を通る横引き管の扱いです。
※「スラブ」:鉄筋コンクリートで作られた床材や屋根材のこと

この部分は住戸内からメンテナンスや点検ができないため、専有部分であっても共用部分として管理されることがあります。

お住まいのマンションの管理規約を確認し、どの範囲が専有部分として定義されているかを把握しておくことが大切です。

共用部分との境界線と管理責任

共用部分の給排水管は、主に建物の外壁内や廊下、パイプシャフト(配管スペース)を通る配管を指します。

各階の排水を下層へ流すための縦管や、敷地内の地中を通る配管なども共用部分に含まれます。

これらは複数の住戸で共有する設備であり、マンション全体の機能維持に欠かせない部分です。

境界線の判断で迷いやすいのが、住戸内の配管と共用の縦管が接続される部分です。

多くのマンションでは、各住戸から出た排水管が共用の縦管に合流する接続部分(継手部分)までが専有部分とされています。

ただし、この境界線は建物の設計やマンションの管理規約によって異なる場合があります。

管理責任についても明確な違いがあります。共用部分の給排水管は管理組合が維持管理の責任を負い、定期的な点検や修繕は修繕積立金から支出されます。

一方、専有部分の給排水管は原則として各区分所有者が管理責任を負うため、交換や修理が必要になった場合は個人で費用を負担する必要があります。

費用負担は誰がするのか

専有部分の給排水管交換費用は、原則として各区分所有者(住戸の所有者)が負担します。

これは区分所有法および管理規約に基づく基本的なルールです。自分の住戸内の配管は自分で管理するという考え方が基本になっています。

しかし近年、国土交通省が示すマンション標準管理規約の改正により、専有部分の配管であっても管理組合が主導して交換工事を実施できるケースが認められるようになりました。

これは以下の条件を満たす場合に適用されます。

  • 専有部分と共用部分の配管を同時に交換することで工事費用が削減できる
  • 長期修繕計画にあらかじめ専有部分の配管交換について記載されている
  • 工事費用を修繕積立金から拠出することが管理規約に規定されている
  • 先行して工事を実施した区分所有者への公平性に配慮する

このように、マンション全体で一斉に専有部分の配管交換を行うことで、個別に工事するよりも大幅なコストダウンが期待できます。

実際に数十パーセントの費用削減効果があるケースも報告されています。

ただし、管理組合主導で実施する場合は総会での承認が必要となり、合意形成には時間と丁寧な説明が求められます。

マンション専有部分の給排水管交換にかかる費用相場

専有部分の給排水管交換費用は、配管の状態や交換範囲、工事の難易度によって大きく変動するため、一概に金額を示すのは難しい面があります。

しかし、実際の施工事例から見えてくる費用相場を知っておくことで、資金計画を立てやすくなりますし、見積もりの妥当性を判断する基準にもなります。

ここでは、専有部分の給排水管交換にかかる一般的な費用相場と、費用を左右する要因について詳しく解説します。

専有部分の交換費用の内訳

専有部分の給排水管交換費用は、1戸あたり20万円から100万円程度が一般的な相場となっています。

この幅が大きいのは、配管の種類、交換範囲、工事の難易度などによって必要な作業内容が大きく異なるためです。

費用の内訳を理解するために、主な項目を見ていきましょう。

費用項目内容目安金額
配管材料費新しい給水管・給湯管・排水管の材料代5万円~15万円
配管工事費古い配管の撤去と新規配管の設置作業10万円~30万円
解体・復旧費床や壁の解体と内装の復旧工事5万円~40万円
諸経費廃材処分費、養生費、管理費など3万円~10万円

この表からも分かるように、配管そのものの交換費用だけでなく、解体・復旧にかかる費用が全体の大きな割合を占めています。

特に床や壁に埋設されている配管を交換する場合、内装工事の範囲が広がるため費用も増加します。

給水管と給湯管、排水管では使用する材料や施工の難易度が異なります。

給水管・給湯管にはポリエチレン管や銅管が使用され、排水管には硬質塩化ビニル管が一般的です。

それぞれの配管で1戸あたり20万円から35万円程度が目安となりますが、すべてを同時に交換する場合は作業効率が上がり、トータルコストを抑えられる可能性があります。

共用部分と同時施工することで費用を抑えられる

専有部分の給排水管交換で賢くコストを抑える最も効果的な方法が、共用部分の配管交換と同時に実施することです。

管理組合が主導してマンション全体で一斉に工事を行えば、大幅なコストダウンが実現できます。

同時施工のメリットは複数あります。

  • スケールメリットによる価格交渉が可能
  • 足場や資材の運搬、廃材処理などの共通費用を全戸で分担できる

実際の削減効果として、個別に工事を依頼する場合と比較して20〜30%程度の費用削減が期待できるケースが多く報告されています。

50戸規模のマンションであれば、一戸あたり10万円以上のコストダウンになることも珍しくありません。

さらに、工事の時期を揃えることで居住者全員が同じタイミングで不便を経験するため、公平性が保たれます。

ただし、管理組合主導で専有部分の配管交換を実施するには、管理規約の改定や総会での承認が必要です。

事前準備に時間がかかるため、早めに理事会で検討を始め、専門家のアドバイスを受けながら計画的に進めることが成功の鍵となります。

マンション専有部分の給排水管交換が必要になる時期と寿命

配管は壁の中や床下に隠れているため、外から状態を確認することが難しく、気づいたときには既に深刻な劣化が進行しているケースも少なくないのです。

しかし、給排水管には明確な寿命があり、適切なタイミングで交換しなければ漏水事故や水質悪化などの深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。

ここでは、給排水管の寿命や交換を検討すべきサイン、そして築年数から見た交換時期の目安について解説します。

給排水管の寿命は何年?材質別の耐用年数

マンションの築年数や建設時期によって採用されている配管材料が違うため、まずはご自身のマンションでどの材質が使われているかを確認することが重要です。

配管材質ごとの一般的な耐用年数を整理すると、より具体的なイメージが掴めます。

配管の種類材質耐用年数の目安
給水管亜鉛めっき鋼管15年~20年
給水管硬質塩化ビニルライニング鋼管25年~30年
給水管ポリエチレン管30年~40年
給水管ステンレス管40年以上
給湯管銅管20年~25年
排水管硬質塩化ビニル管30年~40年
排水管鋳鉄管25年~35年

この表から分かるように、古いマンションで使用されていた亜鉛めっき鋼管は比較的寿命が短く、築20年を超えると交換を検討すべき時期に入ります。

一方、最近のマンションで採用されているポリエチレン管やステンレス管は耐久性が高く、長期間使用できる特徴があります。

法定耐用年数として、給水管および排水管は建物付属設備に分類され、税法上の耐用年数は15年と定められています。

ただし、実際の使用では法定耐用年数よりも長く利用されるケースが一般的です。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでも、築30年から40年頃での更新工事実施が想定されています。

交換を検討すべきサインと症状

給排水管の劣化は、日常生活の中でいくつかのサインとして現れます。これらの症状を見逃さず、早めに対処することが重要です。

給水管の劣化を示すサインとして代表的なものを挙げます。

  • 蛇口から出る水が赤茶色に濁っている(錆による変色)
  • 朝一番の水に異臭がする
  • 以前と比べて水の出が悪くなった
  • 水道メーターが回っていないのに水道料金が増えている
  • 壁や床に水染みやカビが発生している

これらの症状は給水管内部で錆や腐食が進行しているサインです。特に水の濁りや異臭は健康にも影響を及ぼす可能性があるため、早急な対応が必要です。

排水管についても、劣化の兆候を見逃さないようにしましょう。

  • 排水の流れが悪く、頻繁に詰まりが発生する
  • 排水口から悪臭が漂ってくる
  • 排水管から異音がする
  • 同じ箇所で繰り返しトラブルが起きる
  • 下階から水漏れの苦情が来た

排水管の詰まりは高圧洗浄で一時的に解消できることもありますが、頻繁に繰り返す場合は管そのものの劣化が原因である可能性が高くなります。

特に複数の住戸で同時期に不具合が発生している場合は、建物全体の配管が寿命を迎えているサインと考えられます。

築年数から見る交換時期の目安

給排水管の交換時期を判断する際、マンションの築年数は重要な指標となります。

配管材料の進化や施工技術の向上により、建設年代によって使用されている配管の種類が異なるため、築年数から大まかな交換時期を予測することができます。

築年数時期対応の目安
築25年未満交換時期前1〜2年ごとの高圧洗浄など点検・清掃で予防
築25〜35年劣化が進む時期劣化診断を実施し、更生工事や交換を検討
築35年以上交換検討の段階築40年超は計画的な全面交換が望ましい

築25年未満は、排水管の高圧洗浄を定期的に行うことで寿命を延ばせます。築25〜35年になると劣化が進み始めるため、劣化診断を実施し、更生工事や交換の検討が必要です。

そして築35年以上では交換を本格的に考える時期に入り、築40年を超えると内部劣化が進行しているため、表面的に問題がなくても計画的な全面交換が推奨されます。

国土交通省のガイドラインでも、築30年から40年での更新工事実施が想定されています。

大規模修繕工事の2回目から3回目のタイミング(築24年から40年頃)に合わせて給排水管の交換を計画するマンションが多いのは、この時期が適切な交換タイミングであることを示しています。

マンション給排水管工事の種類|更新工事と更生工事の違い

給排水管の劣化が進んだ場合、対処方法として主に「更新工事」と「更生工事」の2つの選択肢があります。

どちらを選ぶかによって、工事費用、工期、そして配管の寿命が大きく変わってくるため、それぞれの特徴を正しく理解した上で判断することが重要です。

  • 更新工事 ▶ 既存の給排水管を完全に撤去し、新しい配管に取り替える工事
  • 更生工事 ▶ 既存の配管を撤去せず、内部を清掃・研磨した後にコーティングする工事

更新工事(交換工事)とは?メリット・デメリット

更新工事は、既存の給排水管を完全に撤去し、新しい配管に取り替える工事です。

文字通り配管を新品に更新するため、最も根本的な解決方法と言えます。劣化が著しく進行している場合や、長期的な安心を求める場合に選択されることが多い工法です。

項目内容
メリット・新品に交換するため、30〜40年の長期安心が得られる
・錆や腐食、詰まりの問題が解消され水質が改善
・最新素材を使用することで耐久性・メンテナンス性が向上
デメリット・数千万円〜億単位の費用が必要(1戸あたり50〜100万円)
・工期が長い(全体で数週間〜数ヶ月)
・騒音・振動・粉塵など生活への影響が大きい

劣化した配管による漏水や水質悪化を一掃でき、長期にわたる安心が得られます。

一方で、多くの工程を要するため費用や工期の負担が大きく、工事中は生活への影響も避けられません。

そのため、築年数や配管状態、修繕積立金の状況を踏まえ、管理組合と区分所有者で計画的に検討することが重要です。

更生工事(ライニング工事)とは?延命効果と限界

更生工事は、既存の配管を撤去せず、配管内部を清掃・研磨した後に特殊な樹脂でコーティングする工法です。

ライニング工事とも呼ばれ、配管を取り替えることなく延命を図れる点が特徴です。更新工事に至る前の延命措置として実施されることが多い工法です。

項目内容
メリット・配管を撤去せず延命できる
・更新工事の半分〜3分の2程度の費用で済む
・工期が短く居住しながら施工可能
・騒音・振動・粉塵が少なく生活への影響が小さい
・寿命を10〜15年程度延ばせる
デメリット・劣化が進みすぎた配管では施工不可
・延命措置にすぎず根本解決にはならない
・将来的には更新工事が必ず必要
・二重投資のリスク(更生→更新)
・研磨工程で薄い配管に穴が開くリスク

更新工事に比べて費用や工期を抑えられ、生活への影響も小さいため、築20年前後のマンションでよく採用されます。

ただし、劣化が進みすぎた配管では施工ができず、あくまで延命措置であるため将来的な更新工事は避けられません。

そのため、事前の劣化診断をしっかり行い、長期修繕計画の中で位置づけることが重要です。

専有部分の給排水管交換工事の進め方と注意点

専有部分の工事では、各住戸内に立ち入っての作業が必要になるため、プライバシーへの配慮や工事スケジュールの調整など、通常の共用部分の工事以上に細やかな対応が求められます。

ここでは、工事の具体的な流れと、スムーズに進めるための注意点について解説します。

工事の流れ|準備から完了までのステップ

給排水管交換工事は、準備段階から完了まで複数のステップを経て進行します。

各段階で適切な対応を行うことが、工事の成功に繋がります。

ステップ1:劣化診断と基本方針の決定

専門業者による配管の劣化診断を行い、交換が必要な範囲や緊急度を把握します。

その結果を基に、更新工事か更生工事か、工事範囲や専有部分の扱いなど、基本方針を決定します。

ステップ2:見積もり取得と施工会社の選定

複数の施工会社から見積もりを取り、価格だけでなく実績や工事品質、アフターサービスなどを含めて比較検討します。

選定後は詳細な工事計画を詰めていきます。

ステップ3:総会での承認と計画確定

管理組合が主導する場合、総会で承認を得る必要があります。

工事の必要性や費用、スケジュールを居住者に説明し、理解と賛同を得ます。

専有部分を修繕積立金で対応する場合は、規約改定が必要になることもあります。

ステップ4:工事説明会の開催

居住者向けに工事説明会を実施します。

工事内容、各住戸の作業日数、断水や騒音の発生時間、立会いが必要な日時、緊急時の連絡体制などを丁寧に説明し、質疑応答で不安を解消します。

ステップ5:工事の実施

配管ルートに沿って順次各住戸の工事を行います。

1住戸あたり給水管で4〜5日、排水管で約1週間が目安です。

作業は平日日中に行われ、夜間は仮復旧を行い水が使えるよう配慮されます。

ステップ6:検査と引き渡し

工事後に通水試験や漏水チェックを実施し、内装復旧も含めて問題がないか確認します。

全住戸の工事が終わったら竣工検査を行い、品質を最終確認した上で引き渡しとなります。

工事中の生活への影響|断水・騒音・粉塵・プライバシー

最も大きな影響は断水です。給水管の交換工事中は水道が使えなくなる時間帯が発生します。

多くの場合、工事は日中に行われ、夜間は仮復旧して水が使えるよう配慮されますが、トイレや洗面台が取り外されている期間は使用できません。

排水管の工事では、排水の使用制限が1週間程度続くことがあります。洗濯や入浴などの計画を工夫し、必要に応じて銭湯やコインランドリーを利用するなどの対応が求められます。

騒音と振動も避けられません。床や壁を解体する際には電動工具を使用するため、かなり大きな音が発生します。

在宅ワークをされている方や小さなお子様、高齢者がいるご家庭では、特に配慮が必要です。可能であれば、工事期間中は日中外出することをお勧めします。

粉塵の発生も懸念材料です。解体作業では細かい粉塵が舞い上がるため、家具や家電を養生シートで保護する必要があります。

工事業者が養生を行いますが、貴重品や壊れやすいものは事前に別の場所に移動させておくと安心です。

プライバシーの問題もあります。作業員が住戸内に立ち入るため、事前に片付けや整理が必要です。

また、立会いが求められる日には在宅しなければならず、予定の調整が必要になります。

こうした不便は一時的なものであり、工事が完了すれば快適な水回り環境が戻ってきます。

工事の必要性を理解し、前向きに協力する姿勢が、工事をスムーズに進める鍵となります。

専有部分の給排水管交換でよくある質問(FAQ)

給排水管の交換を検討する際、多くの方が共通して抱く疑問や不安があります。

ここでは、実際のマンション管理の現場でよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

皆さまの疑問解消に役立てていただければ幸いです。

Q.管理組合が費用負担してくれるケースはある?

専有部分の給排水管交換費用でも、条件を満たせば管理組合が負担できる場合があります。

国土交通省の標準管理規約改正により、専有部分でも共用部分と構造上一体の設備は管理組合が工事を実施可能になりました。

主な条件は、以下になります。

  1. 専有部分と共用部分を同時に交換することで工事効率が高まり費用削減につながること
  2. 長期修繕計画に専有部分の交換が明記されていること
  3. 修繕積立金からの拠出が規約で定められていること
  4. 先行して自己負担した区分所有者への公平性配慮がなされていること

これらを満たし総会承認を得れば、管理組合主導で専有部分の配管交換が可能になります。

ただし、住戸ごとの工事範囲の差については別途調整が必要です。

Q.賃貸マンションの場合はオーナーの負担になる?

賃貸マンションの専有部分における給排水管交換費用は、原則として区分所有者であるオーナーが負担します。

入居者には負担義務はなく、通常の使用による経年劣化への対応は貸主の責任とされるためです。

ただし、工事実施には入居者の協力が不可欠で、住戸内での作業に伴う立会いや一時的な不便を理解してもらう必要があります。

オーナーは工事の必要性やスケジュールを丁寧に説明し、協力を得ることが重要です。また、断水や一時退去など居住に大きな支障が出る場合は、家賃減額などの調整を検討するケースもあります。

管理組合主導の工事でも費用負担はオーナーであり、入居者に拒否権はないものの、円滑に進めるためには十分なコミュニケーションが欠かせません。

Q.工事を拒否したらどうなる?

管理組合が主導する専有部分の給排水管交換工事を個別に拒否すると、さまざまな問題が生じます。

総会で正式に決議された工事は建物全体の維持管理のために必要とされるものであり、個人の都合で拒否すると他の住戸や建物全体に影響が及びます。

例えば、その住戸を経由する配管が交換できず、他住戸の工事にも支障が出たり、劣化が進行して漏水事故を起こした場合は損害賠償責任を問われる可能性もあります。

管理規約や区分所有法に基づき、決議に従う義務があると解釈されるため、正当な理由のない拒否はリスクが大きいといえます。

ただし、実際には強制執行は難しく、管理組合は丁寧な説明や協議を重ねて理解を求めるのが一般的です。

協力が難しい事情がある場合は早めに相談し、工事時期の調整や配慮を求めることが望ましい対応となります。

Q.助成金・補助金は利用できる?

自治体によっては、省エネ化や耐震改修を目的とした住宅リフォーム助成制度の対象となるケースがあります。

例えば、東京都や政令指定都市では、住宅設備の更新や漏水対策を支援する制度が整備されています。

工事前に必ず自治体の公式サイトで最新情報を確認し、申請手続きを忘れないようにしましょう。

まとめ

マンションの給排水管は、私たちの快適な生活を支える重要なライフラインです。

専有部分の給排水管交換について、この記事で解説してきた重要なポイントを振り返りましょう。

  • 専有部分交換費用は1戸20〜100万円が相場
  • 共用部と同時施工で20〜30%の費用削減が可能
  • 給排水管の寿命は30〜40年が目安となる
  • 成功には入念な準備と居住者の協力が不可欠
  • 管理組合主導の場合は規約や計画整備が必要
  • 総会承認など丁寧な合意形成が工事成功の鍵

マンションの給排水管問題は、放置すれば深刻化しますが、適切に対処すれば確実に解決できる課題です。

この記事が、皆さまのマンションで給排水管交換を検討する際の道しるべとなり、安心で快適な住環境の実現に少しでもお役に立てれば幸いです。

専有部分の給排水管交換について疑問や不安がある場合は、遠慮なく管理会社や専門業者に相談し、納得のいく解決策を見つけてください。

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