ブリキ・トタン屋根の防水工事会社の選び方|費用相場と失敗しないポイントを解説

2025/11/19

ブリキやトタンといった金属屋根は軽量で加工がしやすく、古くから住宅や倉庫、工場、物置、農業用倉庫など幅広く使用されてきた歴史があります。
これらの屋根材は比較的安価で導入しやすい点も魅力ですが、一方で定期的な防水・補修メンテナンスが不可欠です。

本記事では、ブリキ・トタン屋根に特化した防水工事の必要性を解説するとともに、信頼できる工事会社の選び方、防水工事の費用相場、そしてご自身でできる劣化チェックのポイントまで、わかりやすくお伝えしていきます。

目次

ブリキ・トタン屋根はなぜ防水工事が必要?特徴と劣化リスク

ブリキやトタンは金属素材であるため、強度があり軽量で、住宅密集地や古い住宅などにも多く採用されています。しかしながら、これらの素材は自然環境の影響を受けやすく、特に雨水や紫外線、風雪などによって表面が劣化しやすいというデメリットもあります。

この劣化が進行すると、屋根材そのものの強度が低下し、隙間から雨水が浸入して構造体に深刻なダメージを与えることになります。

ここでは、ブリキ・トタン屋根の構造とその劣化特性について詳しく見ていきましょう。

ブリキ・トタン屋根の構造と特徴

ブリキやトタンは、薄い鋼板に亜鉛やスズをメッキ加工した金属屋根です。
鋼板自体は強度があり、メッキによって一定の防錆効果があります。そのため、耐風性・耐震性に優れ、屋根材として長年使われてきました。

しかしながら、塗装やメッキ層が剥がれてしまうと、金属部分がむき出しになり、雨水や湿気により酸化が進行します。このサビが拡大することで、防水性が失われていくのです。

サビ・雨漏りが起こりやすい理由

金属素材は空気中の酸素と水分に触れると化学反応を起こし、酸化(サビ)します。特に屋根部分は、常に紫外線や風雨の影響を受けやすいため、他の建材よりも劣化が早く進む傾向があります。

さらに、金属の接合部や釘のまわり、ジョイント部分などは雨水が溜まりやすく、そこから浸水や腐食が始まるケースが多く見られます。

放置した場合のリスク

劣化を放置してしまうと、雨漏りが慢性化し、屋根材に穴が開いたり、野地板や梁などの構造材まで腐食が進行してしまう恐れがあります。特に、屋根裏への浸水は断熱材や電気配線にも影響を与えるため、建物全体の寿命を縮める要因となります。

結果として、補修では対応できず、屋根全体の張り替えや大規模な改修工事が必要になり、工事費用も数十万円〜数百万円に膨らむケースもあるため、早期対応が極めて重要です。

ブリキ・トタン屋根に強い防水工事会社の選び方

防水工事の品質は、依頼する会社の経験や知識に大きく左右されます。特に金属屋根に対応した防水施工には専門的な技術が必要です。

ここでは、信頼できる防水工事会社を選ぶために確認すべきポイントを4つに分けて解説します。

ブリキ・トタン屋根の防水会社選びのポイント1.施工実績

ブリキやトタンといった金属屋根は、木造住宅の屋根とは異なる施工上の注意点があります。

金属素材は熱や寒暖差による伸縮があり、通常の下地処理では追従しきれない場合があります。そのため、金属屋根に特化した施工実績を持つ業者であれば、膨れや剥がれを防ぐための処理を熟知しています。

過去の施工事例が写真付きで紹介されていたり、金属屋根に関する記述がホームページなどに明示されている業者は安心材料となります。

ブリキ・トタン屋根の防水会社選びのポイント2.板金工と防水工の連携

ブリキ・トタン屋根の補修には、防水工事と板金補修の両方の知識が求められます。

特に屋根材の浮きやジョイント部の変形がある場合、防水材を塗るだけでは対処できません。こうした場合、板金工による下地補修と、防水工による仕上げ施工が連携して行われることが理想です。

社内に板金職人が在籍している、あるいは信頼できる板金業者と協業しているかどうかを確認しましょう。

ブリキ・トタン屋根の防水会社選びのポイント3.見積書が明確・詳細

見積書の内容が「一式」としか記載されていない場合、後から追加料金が発生する可能性があります。

優良な業者は、防水面積(㎡)、使用する材料の種類やメーカー名、下地処理の工程内容、養生範囲、運搬や撤去費用などを細かく明記しています。

明確な見積書は、工事内容の透明性だけでなく、業者の誠実さや施工管理体制を判断する材料にもなります。複数社から見積もりを取得し、内容の違いを比較することもおすすめです。

ブリキ・トタン屋根の防水会社選びのポイント4.施工後の保証がある

防水工事は、施工直後ではなく、数年後に本当の品質が問われる工事です。そのため、保証の有無や保証期間の長さは、業者選びにおいて非常に重要な要素です。

一般的には5年〜10年の保証が付きますが、保証内容が「雨漏りに対して全面対応するのか」「施工範囲に限定されるのか」など、細かい条件も確認しましょう。

また、アフターフォローとして年1回の点検を行ってくれる業者であれば、長期的な安心感にもつながります。

ブリキ・トタン屋根に適した防水工法と費用相場

ブリキやトタン屋根の劣化が進行している場合、単なる塗装だけでは雨水の浸入を防ぎきれず、根本的な解決には至りません。そのため、防水工法によるしっかりとした対策が求められます。
防水工法には複数の種類があり、それぞれの工法には特徴や適した屋根の状態、さらには費用面での違いがあります。

ここでは、金属屋根に適した代表的な防水工法の種類ごとの特長と施工費用の目安を、表や具体例を交えながら詳しく解説します。

ウレタン防水(密着・通気緩衝工法)の特徴と相場

ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を現場で塗布して硬化させ、継ぎ目のない防水層を形成する工法です。

柔軟性が高く複雑な形状の屋根にも対応しやすいため、住宅や中小規模の施設に適しています。特にトタン屋根のように凹凸や釘周りが多い屋根との相性が良好です。以下の2つの工法に分かれます。

  • 密着工法:防水層を直接下地に塗布して密着させる方法で、既存屋根の状態が比較的良好な場合に向いています。施工コストが比較的低く、工期も短いのが特長です。
  • 通気緩衝工法:通気マットを下地と防水層の間に挟み、下地からの水蒸気や湿気を逃がす構造です。既存屋根に含水や劣化が見られる場合におすすめで、膨れや剥がれを防止できます。
ウレタン防水工法平米単価(目安)耐用年数
密着工法4,000〜6,000円約10〜12年
通気緩衝工法5,000〜7,000円約12〜15年

施工後はトップコートを5年程度で再塗装することで、耐用年数をさらに延ばすことも可能です。

シート防水(塩ビ・ゴム)の特徴と相場

シート防水は、あらかじめ成形された防水シートを屋根に貼り付ける方法です。主に大規模施設や広い屋根面積を持つ倉庫などに採用されることが多く、耐候性や施工スピードの点で優れています。

ブリキやトタン屋根にも適用可能で、雨風にさらされる環境下でも安定した防水効果を発揮します。

シート防水の種類平米単価(目安)特徴
塩ビシート防水4,500〜7,000円紫外線・薬品・熱に強く、長期耐久性あり
ゴムシート防水3,500〜6,000円柔軟性が高く、下地の動きに対応しやすい

塩ビシートは白やグレーの明るい色が多く遮熱性に優れるため、夏場の温度上昇を抑える効果も期待できます。一方、ゴムシートは寒冷地や建物の揺れが多い地域で重宝されます。

遮熱塗装・防錆塗装との違い

防水工事とは異なり、遮熱塗装や防錆塗装は補助的な塗装処理にあたります。見た目や一時的な対策にはなりますが、防水性能は限定的です。混同しやすいため、以下のように機能の違いを理解しておきましょう。

処理名主な目的防水効果備考
遮熱塗装室内温度上昇の抑制×夏の省エネ対策に有効
防錆塗装サビの進行を抑える×金属表面の保護に有効
防水工事雨水の浸入を防ぐ根本的な水漏れ対策

遮熱・防錆塗装は防水工事と併用することで、屋根の保護性能と快適性を高める相乗効果が期待できます。

屋根の大きさ・劣化度別の費用相場早見表

防水工事の費用は、施工面積や選択する工法、屋根の劣化状況によって大きく変わります。以下は、一般的な住宅・倉庫を想定した面積別の費用目安です。

屋根面積劣化軽度(密着工法)劣化中度(通気緩衝)劣化重度(シート防水)
20㎡約10万〜13万円約12万〜15万円約13万〜17万円
50㎡約22万〜30万円約25万〜35万円約26万〜38万円
100㎡約42万〜55万円約50万〜65万円約52万〜70万円

上記はあくまで目安であり、現場調査の結果や下地処理の必要性、養生費、搬入出費などにより変動します。また、足場設置が必要な場合は別途10万〜20万円程度の追加費用が発生する可能性があります。

工法の選定と合わせて、現地調査に基づいた詳細見積もりを必ず取得しましょう。工事会社ごとに価格のばらつきもあるため、2〜3社から相見積もりを取るのが賢明です。

状態に合った最適な防水工法を提案してくれる会社を選ぶことが、コスト面・品質面ともに後悔しないための鍵となります。

ブリキ・トタン屋根の劣化チェックポイント|早期発見が防水のカギ!

防水工事の必要性は、建物の劣化症状からある程度判断することができます。専門の工事会社・業者による調査が理想ですが、日常的にご自身でチェックできるポイントもあります。

以下のような兆候が見られたら、防水処理の検討を始めましょう。

劣化チェックポイント|サビ・腐食の状態を見る

屋根表面に赤サビが発生している、あるいは部分的に黒ずんでいる箇所がある場合は、金属部分の酸化が始まっているサインです。

軽度の段階では塗装や防錆処理で対処できますが、進行していると防水層の施工や補修が必要になります。特に、釘まわりや谷部(屋根の凹部)は雨水が溜まりやすいため注意深く確認しましょう。

劣化チェックポイント|継ぎ目・釘抜け・ジョイント部の劣化

屋根材の継ぎ目に使われているシーリング材が硬化していたり、ひび割れている場合、そこからの雨水侵入リスクが高くなります。

また、釘やビスが浮いている、もしくは抜けかけている状態も見逃せません。これらは屋根材の固定力低下を意味し、風害や落下の危険もあります。ジョイント部の隙間も定期的にチェックしましょう。

劣化チェックポイント|室内天井の雨染み・湿気の確認

屋根の劣化がある程度進行している場合、室内にまで影響が及ぶことがあります。特に天井にシミができていたり、カビ臭がする、壁紙がはがれてきているといった現象があれば、すでに雨漏りが発生している可能性があります。

見た目にわかりにくいケースでも、雨天時に天井裏の湿度を確認することで異常を察知できます。

防水工事と屋根補修の違い|どちらを選ぶべきか?

ブリキやトタン屋根に不具合が生じたとき、防水工事を行うべきか、それとも屋根材ごと交換する補修工事が必要なのか、判断に迷う方も多いでしょう。

ここでは、防水工事と屋根補修の違いや、それぞれが適しているケースについて解説します。

防水工事で対応できるケース

  • 表面のサビや塗膜の劣化が軽度である
  • 雨漏りが部分的で、下地材に大きな損傷がない
  • 屋根材の浮きや変形が見られない

これらの場合、防水材の施工やトップコートの再塗装によって、十分な効果を得られることがあります。

補修・交換が必要なケース

  • 穴あきや広範囲のサビが進行している
  • 屋根材のめくれ・割れ・大きな歪みがある
  • 雨漏りが慢性化しており内部材まで劣化している

このようなケースでは、防水工事では対応しきれず、張り替えやカバー工法といった大掛かりな修繕が必要になる場合があります。

ブリキ・トタン屋根の防水工事会社の選び方でよくある質問(FAQ)

ブリキ・トタン屋根の防水工事会社を選ぶ際には、見積書の見方や保証内容など、気になるポイントが多数あります。

ここではよくある質問をまとめ、判断に役立つ情報としてご紹介します。

Q1. 金属屋根に対応できるかどうかはどう判断するの?

業者の公式サイトやパンフレットに「トタン屋根対応」「金属屋根施工可」などの記載があるかを確認しましょう。
加えて、施工事例にブリキやトタン屋根の工事実績が掲載されていれば、金属屋根に対応できる証拠になります。写真付きで工程や仕上がりが紹介されている会社は信頼度が高い傾向にあります。

Q2. 見積書で注意すべきポイントは?

見積書には、「一式」などの大まかな表記ではなく、施工面積、使用する材料の種類、下地処理の方法、養生や運搬といった費用項目が細かく記載されているかを確認しましょう。

項目が明確であれば、追加費用が発生するリスクを抑えることができます。

Q3. 地元の小さな業者でも大丈夫?

大手業者でなくても、ブリキやトタン屋根の施工実績が豊富であれば問題ありません。地域密着型の業者は対応が早く、細やかなサービスが受けられるというメリットもあります。

ただし、保証やアフターフォローの有無は必ず確認しましょう。

Q4. 保証の有無はどこで確認する?

保証内容は、契約書や見積書に明記されていることが多いです。「5年保証」「10年保証」といった年数だけでなく、どこまで保証対象になるか(雨漏り・剥がれ・膨れなど)や、適用条件についてもチェックしましょう。

不明な点があれば契約前に質問するのが基本です。

ブリキ・トタン防水工事会社の選び方|まとめ

ブリキ・トタン屋根は、軽量で加工しやすい反面、サビや雨漏りといった劣化に注意が必要な屋根材です。

本記事では、金属屋根に適した防水工法の種類、費用目安、劣化チェックの方法、さらには信頼できる防水工事会社の選び方まで、実用的な視点から詳しく解説しました。

  • ブリキ・トタン屋根はサビや雨漏りが起こりやすく、防水工事が不可欠
  • 劣化状態に応じてウレタン防水(密着・通気緩衝)やシート防水を選ぶ
  • 「一式」表記ではなく、詳細な見積書を出す業者を選ぶことが重要
  • 板金工との連携・保証体制がある会社を選ぶと安心
  • 小さなサビや天井のシミを見逃さず、早めに専門業者へ相談を

放置すれば屋根全体の張り替えが必要になり、数十万円〜数百万円の大きな出費に繋がることもあります。

日頃のチェックと早めの対策が、建物全体の保全につながります。判断に迷ったら、必ず金属屋根の施工経験がある業者に相談しましょう。

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