マンション外壁の種類はどう選ぶ?代表的な5つの特徴や耐用年数・費用を紹介

2025/10/21

マンションの外壁は、建物の印象を決定づけるだけでなく、耐久性や防水性にも大きく関わる重要な部分です。

外壁の種類によってメンテナンス方法や費用、耐用年数が異なり、正しい知識がなければ劣化を早めてしまうこともあります。

本記事では、マンションで採用される代表的な外壁5種類「タイル」「ALC」「モルタル」「窯業系サイディング」「コンクリート打ち放し」について、それぞれの特徴・メリット・デメリットを詳しく解説します。

これから修繕や外壁塗装を検討している方は、自分のマンションに合う外壁を見極めるための参考にしてください。

目次

マンションで採用される外壁の主な5種類

マンションの外壁には複数の素材が使われますが、それぞれに特性があり、建物の規模・立地・デザインによって最適な素材が異なります。

以下では、代表的な5種類の外壁材の特徴や費用目安、耐用年数などを比較しながら紹介します。

外壁材の種類と比較表(特徴・耐用年数・費用)

まずは、マンション外壁でよく使用される5つの素材を一覧で比較してみましょう。

素材ごとの違いを知ることで、メンテナンス計画を立てやすくなります。

外壁の種類主な特徴耐用年数メンテナンス周期費用目安(㎡あたり)
タイル高級感があり耐候性・防汚性に優れる約40〜50年10〜15年約4,000〜8,000円
ALCパネル断熱・防音・耐火性が高い約30〜40年10〜12年約3,000〜6,000円
モルタルデザインの自由度が高い約30年8〜12年約2,500〜5,000円
窯業系サイディングコスパが良く現在主流の外壁材約30〜40年10〜15年約2,000〜4,500円
コンクリート打ち放しデザイン性が高く重厚感あり約25〜35年8〜10年約3,000〜6,000円

これらの外壁材は、見た目だけでなく、建物の性能や維持コストにも大きく影響します。

次項から、それぞれの外壁の特徴を詳しく見ていきましょう。

マンション外壁の種類1. タイル外壁

マンション外壁の中でも、特に高級感と耐久性を兼ね備えているのが「タイル外壁」です。

分譲マンションや中高層ビルなどで広く採用されており、見た目の美しさと長寿命が魅力です。

タイルの特徴

  • 高級感があり、建物全体の印象を引き上げる
  • 紫外線・雨風に強く、色あせにくい
  • 汚れに強く、長期的に美観を維持できる

タイルは焼き物でできているため、紫外線や雨風に強く、色あせや汚れにくい点が大きなメリットです。

耐候性が高く、メンテナンスを行えば数十年にわたって美観を保てます。

初期コストは高めですが、長期的に見るとメンテナンスコストを抑えやすい素材です。

塗装や補修時のポイント

タイル外壁は塗装よりも、目地(シーリング)や下地補修が重要になります。

タイルの浮きや剥がれを防ぐために、定期的な打診調査を行い、シーリング切れやモルタルの劣化を早期に発見することが大切です。

再塗装の際には、通気性と防水性を兼ね備えたクリア塗料を使用することで、風合いを保ちながら防水性能を高められます。

タイルの劣化サイン

  • タイルが浮いている、または部分的に剥がれている
  • 目地のひび割れやシーリングの切れ
  • 雨染みや白華(エフロレッセンス)の発生

これらの症状が見られたら、外壁内部に水分が侵入している可能性があります。

放置するとタイル剥落や下地腐食など、構造的な損傷につながるため、早期の補修が必要です。

特に築15年以上経過したマンションでは、定期的な点検を行うことが劣化防止の鍵になります。

マンション外壁の種類2. ALC(軽量気泡コンクリート)外壁

ALC外壁は軽量で断熱性に優れ、火災にも強いことから多くの中高層マンションに採用されています。

内部に気泡を含む構造により、防音性・断熱性が高く、居住快適性を高める素材として評価されています。

ALCの特徴

  • 軽量で耐震性に優れ、高層建物にも採用しやすい
  • 断熱・防音・耐火性に優れている
  • 加工性が高く、施工時の自由度がある

ALCパネルは、セメントにアルミ粉などを混ぜて作られた気泡コンクリート素材です。

内部の気泡によって断熱性と防音性を確保し、火にも強いため、防火地域のマンションに適しています。

ただし、素材自体が吸水性を持つため、防水塗装をしっかり維持することが重要です。

塗装や補修時のポイント

ALC外壁は吸水しやすい特性があるため、防水塗膜の維持が最も大切です。

外壁塗装では、透湿性と防水性の両立が必要で、塗料はシリコン系やフッ素系などの高耐候塗料が推奨されます。

シーリング目地が多い構造のため、塗装前にはシーリングの打ち替えを同時に行うことで、外壁全体の防水性能を高めることができます。

ALCの劣化サイン

  • パネルのつなぎ目にひび割れや隙間がある
  • 外壁表面にチョーキング(粉化)や汚れが見られる
  • 雨水がしみ込んで内部にシミや膨れが出ている

ALC外壁の劣化を放置すると、吸水による膨張・収縮が進み、クラック(ひび割れ)や剥離が起こる恐れがあります。

防水塗装が劣化したまま放置すると、内部の鉄筋が錆びて構造強度に影響するため、10年前後を目安に塗装メンテナンスを検討することが重要です。

マンション外壁の種類3. モルタル外壁

モルタル外壁は、セメント・砂・水を混ぜて施工する昔ながらの外壁材で、職人の手仕事による仕上げが可能です。

デザインの自由度が高く、意匠性の高いマンションに多く採用されています。

モルタルの特徴

  • デザインや質感の自由度が高く、個性的な仕上げができる
  • 密着性が高く、防音性にも優れる
  • 下地の補修がしやすく、部分改修にも対応可能

モルタル外壁はコテ塗りで仕上げられるため、立体感や陰影のある美しい外観を作り出せます。

シンプルな外観から和風・洋風まで幅広く対応可能で、建物のデザイン性を重視するマンションに選ばれることが多いです。

またモルタル外壁の仕上げでも以下のような種類があるため、見た目にこだわる方からの人気も高いです。

モルタル外壁の仕上げにおける種類

仕上げ方法仕上がりイメージ特徴適した塗料・仕上げ
リシン仕上げ細かい凹凸で落ち着いた印象。通気性が高い。下塗り:微弾性フィラー
上塗り:透湿型シリコン・ラジカル(弾性仕様可)
吹き付けタイル仕上げ厚みがあり防水性が高く、重厚感のある仕上げ。下塗り:厚膜フィラー
上塗り:フッ素・無機・高耐候シリコン(弾性推奨)
スタッコ仕上げ厚みと立体感があり、高級感のある仕上げ。下塗り:充填性フィラー
上塗り:弾性シリコン・ラジカル(砂骨ローラー併用可)
ジョリパット仕上げデザイン性・耐久性に優れ、環境対応素材として人気。専用改修材:ジョリパットフレッシュ
保護:ジョリパット用クリア・低汚染シリコン

塗装や補修時のポイント

モルタル外壁の最大の弱点は、ひび割れ(クラック)が発生しやすい点です。

  • ヘアークラック:幅0.3mm未満の細いひび割れ。塗膜の経年劣化や乾燥収縮が原因。
  • 構造クラック:幅が大きく下地まで達する。地震や構造の動きによって発生。
  • 乾燥クラック:施工時の水分蒸発や下地の不均一が原因。新築後に発生しやすい。

ヘアークラックのような微細なひび割れであっても、雨水が浸入すると内部の鉄筋を腐食させる恐れがあります。

そのため、定期的な点検と早期の補修が不可欠です。

塗料は弾性塗料が適しており、下地の動きに追随してクラックを防ぐ効果があります。

モルタルの劣化サイン

  • ひび割れ(クラック)が多数見られる
  • 外壁表面が白っぽく粉を吹いている(チョーキング)
  • 塗膜の剥がれや色あせが目立つ

モルタル外壁の劣化を放置すると、内部に水分が侵入し、膨れや剥離が発生します。

これが進行すると補修費用が大きくなるため、初期の段階で防水塗装を施すことが大切です。

特に南向きの外壁は紫外線の影響を受けやすく、劣化が早い傾向にあります。

マンション外壁の種類4. 窯業系サイディング外壁

窯業系サイディングは、現在の住宅・マンション外壁の主流素材です。

工場で生産されるため品質が安定しており、施工期間が短くコストも抑えやすいのが特徴です。

サイディングの特徴

  • カラーバリエーション・デザインが豊富
  • 初期コストが安く、施工が早い
  • 一定の耐火・耐候性がありメンテナンスしやすい

窯業系サイディングは、セメント質と繊維質を混ぜて板状に成形した外壁材で、意匠性とコストパフォーマンスの両立が可能です。

表面に塗装が施されており、汚れにくく美観を長く保てますが、継ぎ目部分のシーリングの劣化に注意が必要です。

塗装や補修時のポイント

サイディング外壁の塗装では、シーリングの打ち替えが重要です。

目地部分の劣化が進むと、雨水が侵入して下地が腐食する恐れがあります。

再塗装時には、紫外線に強いフッ素塗料や無機塗料を選ぶことで、耐候性を高めることが可能です。

また、サイディングの反りや浮きが見られた場合は、ビス止め補修を行いましょう。

サイディングの劣化サイン

  • 目地(シーリング)のひび割れ・硬化
  • 外壁表面の色あせやチョーキング
  • パネルの反り・浮き・継ぎ目の隙間

これらの劣化サインを放置すると、外壁内部の防水層まで損傷する恐れがあります。

早期に再塗装やシーリング補修を行うことで、サイディング外壁の寿命を20年以上延ばすことも可能です。

マンション外壁の種類5. コンクリート打ち放し外壁

コンクリート打ち放し外壁は、無機質でスタイリッシュな印象を与えるデザイン性の高い外壁です。

近年ではデザイナーズマンションを中心に採用されるケースが多く、素材そのものの質感を活かした独特の雰囲気が人気です。

コンクリート打ち放しの特徴

  • デザイン性が高く、モダンで重厚感のある外観になる
  • 仕上げ塗装を行わないため、素材そのものの質感が生きる
  • 耐火性・耐圧性に優れ、構造材としての強度が高い

コンクリート打ち放しは塗装を施さないため、表面の質感をそのまま活かせるのが特徴です。

しかし、塗膜による保護がない分、雨水や汚れが染み込みやすく、経年劣化が進みやすいという弱点があります。

そのため、透明の撥水剤やクリア塗装で防汚・防水性能を補うことが重要です。

塗装や補修時のポイント

コンクリート打ち放し外壁の補修では、美観を保ちつつ中性化を防ぐメンテナンスが鍵となります。

表面に撥水剤やクリア塗料を塗布することで、汚れや雨染みの付着を防止し、鉄筋の腐食を抑える効果が得られます。

定期的な洗浄と再塗布を行うことで、コンクリート特有の風合いを長く維持できます。

コンクリート打ち放しの劣化サイン

  • 雨染みや黒ずみが目立つ
  • 鉄筋の錆びによる赤茶色のシミ(錆汁)
  • 表面が粉を吹いたように白く変色している(中性化)

これらの症状が見られる場合、すでにコンクリート表面が劣化し始めているサインです。

放置すると鉄筋の腐食が進行し、構造そのものの耐久性が低下します。

早めに専門業者に点検を依頼し、クリア塗装または再仕上げ工事を行うことが推奨されます。

外壁の種類ごとの選び方ポイント

マンション外壁の種類は多様ですが、建物の規模や立地条件によって最適な選択肢は異なります。

ここでは、選び方のポイントを整理します。

マンションの規模・立地別に適した外壁を理解しよう

マンションの種類主な特徴適した外壁
高層マンション耐火性・防水性を重視タイル・ALC
中層マンションコストとデザインのバランス重視モルタル・サイディング
デザイナーズマンション意匠性・デザイン性を重視コンクリート打ち放し

立地によっても選び方が変わります。海沿いや降雨量の多い地域では、防水性の高い塗膜仕様が推奨されます。

都市部では、美観やメンテナンス周期を考慮し、タイルまたはサイディングが好まれる傾向にあります。

コスト・デザイン・耐久性のバランスで選ぶ

外壁材の選定では、初期費用だけでなくメンテナンスコストと耐用年数のバランスを取ることが重要です。

外壁の種類におけるメンテナンスコストと耐用年数の比較表

外壁材外壁材デザイン性耐久性メンテナンスコスト
タイル高い高い非常に高い低い(長寿命)
ALC中程度普通高い中程度(塗装必要)
モルタルやや低い高い(自由度大)普通中程度(ひび割れ補修)
サイディング安い高い(種類豊富)普通高い(定期塗装必要)
コンクリート打ち放し中程度非常に高いやや低い(中性化注意)中程度(撥水処理必要)

このように、タイルは初期費用が高くても長寿命、サイディングは安価で定期塗装が必要、ALCは断熱性が高く補修しやすいなど、それぞれの特徴を理解して判断する必要があります。

専門業者に相談し、建物の現状と予算に合わせて最適な外壁材を選びましょう。

マンションの外壁に関するよくある質問(FAQ)

マンション外壁の種類に関して寄せられる疑問をまとめました。

ここでは、素材ごとの見分け方や塗装周期、費用の違いなど、所有者や管理組合が知っておきたい基本的な質問に専門家がわかりやすくお答えします。

Q1. 自分のマンションの外壁種類を見分ける方法は?

タイルは凹凸があり硬質な焼き物調、サイディングは板状の継ぎ目が特徴です。

ALCは目地が広くパネル状、モルタルは滑らかでコテ跡が見られることがあります。

コンクリート打ち放しは無塗装の質感で見分けられます。判断が難しい場合は専門業者の診断を受けると確実です。

Q2. 外壁の種類によって塗装周期は変わりますか?

はい、素材によって最適な塗装周期が異なります。ALCやモルタル、サイディングは10〜15年ごとの塗装が目安で、タイルやコンクリートはシーリングや撥水剤の再施工が10年程度で必要です。

Q3. 外壁の種類ごとに使う塗料は違う?

異なります。モルタルやサイディングには弾性塗料、ALCには透湿性の高い塗料、コンクリート打ち放しにはクリア塗料や撥水剤が適しています。

塗料の選定を誤ると早期劣化の原因になるため、素材に合った塗料を選ぶことが大切です。

Q4. 外壁の種類で費用差はどのくらいありますか?

外壁材や施工範囲によりますが、一般的な相場は1㎡あたり2,000〜8,000円ほどです。

タイルが最も高く、モルタルやサイディングは比較的安価です。

劣化の状態によって補修費が変動するため、正確な見積もりは現地調査が必要です。

Q5. 外壁を後からリフォームや変更することは可能?

可能ですが、マンションの場合は共用部扱いとなるため、管理組合の承認が必要です。

デザイン変更を伴うリフォームは難しいケースもあるため、現行の外壁材に合わせた補修や塗装が一般的です。

まとめ|外壁の種類を理解することがマンション長寿命化の第一歩

マンション外壁には、タイル・ALC・モルタル・サイディング・コンクリート打ち放しの5種類があり、それぞれに異なる特徴とメンテナンス方法があります。

外壁の種類を正しく理解することは、適切な修繕計画を立てるうえで欠かせません。

建物の立地や用途に合った外壁を選び、定期的に点検・補修を行うことで、マンションを長く快適に維持することができます。

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