
【管理組合様】東京都世田谷区マンション ルーフバルコニー防水工事 費用公開
2025/08/21
目次
工事の全体像とポイント
東京都世田谷区にある地上9階建てのマンションで、ルーフバルコニーの防水工事を行いました。今回の工事は、複数階にわたり設けられているバルコニーのうち、特に屋根の役割を兼ねるルーフバルコニー部分を対象としたもので合計8部屋分の広い施工範囲となりました。こうした場所は、居住空間の延長として利用される一方で、常に風雨や紫外線にさらされており、防水機能の劣化が建物全体の耐久性に直結します。
まずは施工前の準備として高圧洗浄を実施。表面の汚れや既存防水層の劣化を徹底的に洗い落とし、既存の長尺シートを撤去しました。撤去後に現れた下地コンクリートには部分的な損傷が見られたため、カチオンモルタルで補修を行い、密着性を高めるための下地調整を施しました。
今回の防水層にはウレタン塗膜防水(通気緩衝工法)を採用。これは、下地からの水蒸気を適切に逃がしつつ、柔軟で高い防水性能を長期間維持できる工法です。特に、築年数を重ねた建物や改修工事において有効で、防水層の膨れや剥離を抑える効果があります。
防水層の硬化・乾燥が完了した後は、新たに長尺シートを敷設し、見た目の美しさと安全性を兼ね備えた仕上がりに。滑りにくく、耐候性にも優れているため、住民の皆さまが日常的に安心して利用できる空間が整いました。
施工は全体を1工区、2工区に分けて段階的に行い、7月初旬から9月初旬にかけて、真夏の厳しい条件下でも安全・品質を最優先に完了させました。
ルーフバルコニーは「屋根」と「生活空間」の両面を担う重要な部位です。だからこそ、防水性能の維持は快適な暮らしと建物保全のために欠かせません。
防水工事の必要性と適切な改修周期について
建物にとって「防水工事」は、外壁や屋上、バルコニーなどからの雨水の侵入を防ぎ、構造体や室内環境を守るために欠かせない重要なメンテナンスです。特に日本のように四季があり、台風や豪雨、湿気の影響を強く受ける地域では、防水性能の維持が建物の耐久性と資産価値に直結します。
■ 防水工事が必要な理由
防水層が劣化すると、雨水がじわじわと建物内部に侵入し、コンクリートの中性化や鉄筋の腐食、さらには漏水による内装の損傷といった深刻な被害へと発展します。これらは一見すると目に見えないため、放置されやすいのが特徴ですが、放置するほど修繕費用がかさみ、結果的に大規模な工事が必要になるケースも少なくありません。
■ 防水工事にはさまざまな種類があります
防水工事には、建物の構造や利用環境に応じて以下のような工法が選ばれます
- ウレタン塗膜防水:液状のウレタン樹脂を塗布し、継ぎ目のない防水層を形成。柔軟性があり、複雑な形状にも対応。
- シート防水(塩ビ・ゴム系):あらかじめ成形された防水シートを貼り付ける工法。工場品質の安定した仕上がりが特徴。
- アスファルト防水:熱で溶かしたアスファルトを重ねる工法。耐久性に優れるが、重量があるため用途が限定される。
- FRP防水:ガラス繊維と樹脂を組み合わせた硬質な防水層。主にバルコニーやベランダに使用される。
■ 防水工事の改修サイクルの目安
防水層の耐用年数は使用する工法や材料、環境条件によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです:
- ウレタン防水:10~12年
- シート防水:13~15年
- FRP防水:10年程度
- アスファルト防水:15~20年
定期的な点検と適切なタイミングでの改修が、トータルコストの抑制と建物の長寿命化につながります。
■ 防水工事を検討されている方へ
「築年数が10年を超えてきた」「バルコニーの床に細かなひびが目立つようになった」「室内に湿気や雨染みのようなものが出てきた気がする」——そんなちょっとした気づきが、防水劣化のサインかもしれません。気になる症状が見られた場合は、放置せずに信頼できる専門業者に早めの点検を依頼することが重要です。初期段階で適切な対応を行えば、将来的な雨漏りや高額な修繕工事を未然に防ぐことが可能になります。
工事金額:1020万円
洗浄工事


防水工事
1工区






2工区






■参考リンク:シーカジャパン株式会社
長尺シート工事
1工区


2工区


■参考リンク:タキロンマテックス株式会社
監修:一級建築士・一級建築施工管理技士 石川繁雄