
【企業様】東京都港区ビル 大規模修繕工事 費用公開
2025/07/24
工事の全体像とポイント
東京都内にある地上5階建てのタイル張りのビルにて、5月初旬から7月初旬まで大規模修繕工事を実施しました。建物の外装は常に風雨や紫外線の影響を受けているため、年数の経過とともに少しずつ劣化が進みます。今回の工事では、外観を美しく整えるだけでなく、建物の安全性と耐久性を高めることを目的として、足場設置から防水まで幅広い工程が行われました。まずは、安全に作業を進めるために仮設足場を設置し、外壁全体を確実に施工できる環境を整えました。その後行われた下地補修工事では、タイル部分とモルタル部分でそれぞれ異なる方法が取られています。タイル面では、浮いてしまったタイルの補修や割れた部分の貼り替え、さらには目地の欠損部を修復しました。モルタル面については、鉄筋の腐食によって膨らみが生じる鉄筋爆裂の補修、浮きやひび割れ、欠けてしまった部分の補修を実施し、下地を安定させました。こうした下地処理が、その後の工事の品質を大きく左右します。シーリング工事では、外壁の隙間をしっかりと埋めるために材料を使い分けています。タイル面には密着性と耐久性に優れた変成シリコン、モルタル面には柔軟性があり汚れにくいウレタンノンブリードを採用しました。これにより、雨水の侵入を防ぎつつ、美観も保たれる仕上がりになっています。続いて行った洗浄工事では、外壁や防水部分にこびりついた汚れやカビ、劣化した塗膜を高圧洗浄で丁寧に落としました。この工程により、新しく施す塗料や防水材の密着が高まり、仕上がりの持ちも格段に良くなります。塗装工事では、外壁モルタル面、雨樋、鉄部にシリコン塗料を使用し、耐久性と美観を両立させました。屋外の厳しい環境にも強いシリコン塗料は、色あせや劣化を防ぎながら建物の印象を一新してくれます。さらに天井部分には通気型塗料を採用し、湿気を逃がしつつ仕上げることで、内部の環境にも配慮した施工となっています。防水工事では、屋上や塔屋は施工対象外としつつも、5階から3階にかけての複数のバルコニーを施工しました。採用したのは通気緩衝工法と呼ばれる方法で、下地に含まれた湿気を逃がしながら新しい防水層を形成するものです。これにより、将来的な膨れや剥がれを防ぎ、長く安心できる防水性能を確保しました。今回の大規模修繕工事は、建物を美しく保つだけでなく、今後も長く安全に使い続けるための大切なステップでした。外壁、塗装、防水といった複数の工程が連携し合うことで、ビル全体が新たな価値を持ってよみがえったといえます。
通気緩衝工法のとは
建物を長く安心して使うために欠かせないのが防水工事です。その中でも「ウレタン塗膜防水の通気緩衝工法(つうきかんしょうこうほう)」は、近年マンションやビルの修繕工事で多く採用されている方法のひとつです。防水層の下地に湿気がこもりやすい建物でも効果を発揮する点が特徴で、メリットと注意点を知っておくことで適切な選択につながります。
まず、この工法の大きな特徴は「通気シート」を敷き、その上にウレタン塗膜防水を施工することです。通気シートには微細な通気路があり、下地に含まれた湿気や水分を逃がす役割を果たします。さらに脱気筒を設置することで、内部の水蒸気が上方向へ効率よく排出される仕組みになっています。これにより、防水層の膨れや剥がれを防ぎ、耐久性を高めることが可能です。
メリット
- 下地の湿気に強い
従来の密着工法では、下地に水分が残っていると防水層が膨らむ「ふくれ」が発生しやすくなります。通気緩衝工法は湿気を外に逃がせるため、湿気が多い環境や既存下地の状態が気になる場合でも安心です。 - 改修工事に適している
古い防水層や下地の上からでも施工しやすく、大規模修繕工事やリニューアルに向いています。既存の防水層をすべて撤去する必要がないため、廃材の発生も少なく、工期やコストを抑えられる場合があります。 - 柔軟性と追従性
ウレタン塗膜防水自体が弾力性のある材料なので、下地の動きや振動に追従しやすいのも特長です。特に地震や温度変化の多い日本の気候に合っています。
デメリット
- 厚みが必要で工期が長くなることがある
通気シートを敷いた上に複数層のウレタン塗膜を塗り重ねるため、完全に硬化するまで時間がかかります。そのため天候に左右されやすく、工期が長めになる傾向があります。 - 初期費用が比較的高い
材料費や手間がかかる分、密着工法などに比べると初期コストは高めです。ただし長期的に見れば、防水層のトラブルを減らせるため、結果的に維持費を抑えられるケースも少なくありません。 - 施工管理の重要性
通気シートの張り方や脱気筒の設置が不十分だと、本来の効果を発揮できない場合があります。高い技術力と経験を持つ施工業者に依頼することが欠かせません。
工事金額:1000万円
仮設足場工事



■参考リンク:仮設工業会認定済足場材
下地補修工事
タイル貼替え



タイル浮き補修



ひび割れ補修(0.3㎜未満)


モルタル浮き補修



鉄筋爆裂補修


欠損補修


■参考リンク:コニシ株式会社
シーリング工事
外壁(タイル面)


サッシ廻り(タイル面)


サッシ皿上


ドア廻り


■参考リンク:サンスター株式会社
洗浄工事
薬品洗浄

高圧洗浄



塗装工事
外壁(モルタル面)


外壁(花壇)


天井(モルタル)


雨樋


端子盤


手摺


■参考リンク:日本ペイント株式会社
防水工事
バルコニー


■参考リンク:シーカジャパン株式会社
各種申請手続き
【道路使用】
■参考リンク:愛宕警察署
■参考リンク:警視庁

監修:一級建築士・一級建築施工管理技士 石川繁雄