サラセーヌによるウレタン塗膜防水とは?単価や工法について解説!
2025/08/08
建物の耐久性を維持するうえで、防水工事は非常に重要な役割を果たします。特に日本のように四季があり、雨の多い気候では、建物内部への雨水の侵入を防ぐための対策が欠かせません。なかでもウレタン塗膜防水は、複雑な形状の屋上やベランダにも対応できる柔軟性があり、リフォームや新築の現場で幅広く採用されています。その中でも「サラセーヌ」というブランドは、ウレタン防水材の中でも特に高品質で、信頼性に優れた製品としてプロの施工業者に選ばれています。
本記事では、サラセーヌがどのような製品であるかを解説するとともに、その工法、使用場所、他製品との違い、施工費用の目安、そしてDIYの可否まで詳しく取り上げます。初めて防水工事を検討している方や、既存の防水層を更新したいと考えている方にとって、判断材料となるような内容を網羅的にお届けします。
目次
サラセーヌとは?
サラセーヌとは、AGCポリマー建材株式会社が製造・販売している高性能なウレタン塗膜防水材のシリーズ名です。国内はもちろん、海外でも多くの実績を持つサラセーヌは、防水材としての基本性能に加えて、施工性・安全性・メンテナンス性に優れているのが大きな特徴です。施工業者の間では「扱いやすい」「信頼できる」といった評価が多く、防水材選定の定番ブランドとして認知されています。
開発元の情報(AGCポリマー建材)
AGCポリマー建材は、ガラスメーカーとして知られる旭硝子(現・AGC株式会社)のグループ企業であり、防水材や塗料などの高分子建材を手掛けています。建築現場におけるニーズを反映し、耐久性・耐候性・作業効率に優れた製品開発に力を入れており、その成果として誕生したのが「サラセーヌ」シリーズです。
製品ラインナップ
サラセーヌには多様なニーズに対応するために、複数の製品が用意されています。
- サラセーヌK:密着工法向けのスタンダードタイプ。新築・改修のどちらにも対応可能。
- サラセーヌT:絶縁工法に最適なタイプで、下地に問題がある現場でも安心。
- サラセーヌHQ:紫外線や風雨に強い高耐候性仕様。屋上などの厳しい環境に。
- サラセーヌEZ:一液性で使いやすく、施工が簡単なため小規模補修やDIYに適している。
それぞれの製品には専用の下塗材・中塗材・上塗材が用意されており、用途や目的に応じたシステム提案が可能です。
サラセーヌの特徴とメリット
- 優れた防水性能:厚みを確保しやすく、つなぎ目のないシームレスな仕上がり。
- 柔軟性と追従性:動きのある下地でも防水層が破断しにくく安心。
- 工期短縮に貢献:乾燥が早く、工程管理がしやすい。
- 豊富な製品バリエーション:現場ごとの条件や用途に応じた柔軟な選択が可能。
- 環境にも配慮:低VOCタイプやF☆☆☆☆認定品もあり、施工中の安全性にも配慮されています。
他のウレタン塗膜防水との違い
一般的なウレタン防水材と比べ、サラセーヌは製品の安定性と性能の信頼性に優れています。特に工場出荷時の品質管理が厳しく、ロットごとの性能のブレが少ないため、現場での仕上がりにムラが出にくいのが特徴です。また、AGCの技術力を活かした高耐候性や耐久性も魅力で、施工後の維持管理コストの面でも優位性があります。
サラセーヌの施工単価【工法別の価格相場】
サラセーヌを使用した防水工事を検討する際、最も気になるのが「実際にいくらかかるのか」という点でしょう。
ここでは、サラセーヌの施工単価について詳しく紹介します。
【サラセーヌ工法別施工単価一覧表】
施工単価は工法や建物の状態、施工面積によって大きく変動しますが、ここでは、工法別の詳細な単価をご紹介します。
| 工法名 | 単価(円/㎡・税別) | 適用場所 | 耐用年数 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 密着工法 | 4,500~6,500 | 新築・軽度改修 | 10~12年 | 最も経済的 |
| 通気緩衝AV工法 | 6,000~8,000 | 屋上・改修工事 | 12~15年 | 湿気対策に優れる |
| 通気緩衝QV工法 | 6,500~8,500 | 屋上・重歩行対応 | 12~15年 | 自着層付きで施工性良好 |
| 通気緩衝HV工法 | 7,000~9,000 | UR適合・高品質仕様 | 12~15年 | 最高グレード |
| 絶縁工法 | 5,500~7,500 | 劣化下地の改修 | 10~12年 | 下地への影響を軽減 |
施工面積による単価変動について
サラセーヌの施工単価は、工事面積によって大きく変動します。
これはメーカーの標準価格体系にも反映されており、小規模物件ほど㎡あたりの単価が高くなる傾向があります。
- 300㎡以上:標準価格(上記表の価格帯)
- 100~300㎡:標準価格の30%増し
- 50~100㎡:標準価格の50%増し
- 50㎡未満:標準価格の50%増し以上
例えば、通気緩衝QV工法で標準単価7,000円/㎡の場合、50㎡のベランダでは約10,500円/㎡になることもあります。
これは、材料の最小ロット、職人の移動コスト、足場設置などの固定費が影響するためです。
総額費用の構成要素
実際の見積もりには、防水層の施工単価以外にも以下の費用が含まれます。
- 下地処理費:ひび割れ補修、高圧洗浄など(5,000~15,000円/㎡)
- ドレン改修:1箇所あたり30,000~50,000円
- 脱気筒設置:1箇所あたり15,000~25,000円(通気緩衝工法の場合)
- 笠木・立ち上がり防水:1mあたり1,500~3,000円
- 足場代:600~1,200円/㎡(高所作業の場合)
- 廃材処分費:一式10,000~30,000円
これらを含めた総額では、100㎡の屋上で通気緩衝工法を採用した場合、80万円~120万円程度が一般的な相場となります。
見積もりを取得する際は、これらの内訳が明確に記載されているかを必ず確認しましょう。
サラセーヌによるウレタン塗膜防水の工法と特徴
サラセーヌは多様な施工環境に対応するため、いくつかの異なる工法で使用されます。建物の構造や下地の状態、立地条件に応じて最適な工法を選択することが、防水性能を長期間維持するカギとなります。
サラセーヌの工法選択ガイド
サラセーヌには複数の工法があり、それぞれ特性や適用場所、コストが異なります。最適な工法を選択することで、長期的なコストパフォーマンスを最大化できます。
ここでは、各工法の詳細な比較と選び方のポイントをご紹介します。
【サラセーヌ工法総合比較表】
| 項目 | 密着工法 | 通気緩衝AV工法 | 通気緩衝QV工法 | 通気緩衝HV工法 | 絶縁工法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 施工単価 | 約4,500~6,500円/㎡ | 約6,000~8,000円/㎡ | 約6,500~8,500円/㎡ | 約7,000~9,000円/㎡ | 約5,500~7,500円/㎡ |
| 下地との接着 | 完全密着 | 通気層あり | 通気層あり | 通気層あり | 絶縁シート使用 |
| 膨れリスク | やや高い | 低い | 低い | 最も低い | 低い |
| 施工性 | 容易 | やや複雑 | 良好 | やや複雑 | 複雑 |
| 耐用年数 | 10~12年 | 12~15年 | 12~15年 | 12~15年 | 10~12年 |
| メンテナンス頻度 | 5年ごと | 5~7年ごと | 5~7年ごと | 7~10年ごと | 5年ごと |
| 適用建物 | 新築・木造 | RC造改修 | RC造改修 | 大型施設 | 劣化建物 |
密着工法の特徴
下地に直接ウレタンを塗布する最もシンプルな工法です。施工が簡易で工期も短く、コストを抑えられるのが最大のメリット。
新築や築浅物件で下地の状態が良好な場合に最適です。
ただし、下地の動きや湿気による膨れのリスクがあるため、木造住宅や湿気の多い環境では注意が必要です。
通気緩衝AV工法の特徴
通気緩衝シート(AVシート)を敷設し、下地からの湿気を逃がす構造です。
既存防水層の改修に適しており、膨れの発生を大幅に抑制できます。シート幅は1m、長さ40mロールで、厚み1.8mmが標準仕様。
施工単価は密着工法より1,500~2,000円/㎡程度高くなりますが、長期的な耐久性を考慮するとコストパフォーマンスに優れています。
通気緩衝QV工法の特徴
自着層付き通気緩衝シート(QVシート)を使用する工法で、AV工法の進化版です。
シート幅1.04m、長さ15mロールで、接着剤不要で施工できるため作業効率が向上。
重歩行対応が可能で、屋上駐車場や頻繁に人が歩く共用廊下に最適です。
単価はAV工法より500~1,000円/㎡高めですが、施工性の良さで工期短縮が期待できます。
通気緩衝HV工法の特徴
独立行政法人都市再生機構(UR)の保全工事に適合する最高グレードの工法です。
HVシートは自着層付きで品質基準が最も厳格。大規模マンションや公共施設など、高い信頼性が求められる現場で採用されます。
単価は最も高額ですが、20年以上の長期使用を見据えた物件では検討価値があります。
絶縁工法の特徴
絶縁シートで下地と防水層を完全に分離する工法です。下地のひび割れや動きの影響を受けにくく、既存防水層の劣化が激しい改修現場に適しています。ただし、シート敷設の手間がかかるため施工費はやや高めです。
サラセーヌはさまざまな部位で使用されており、以下のような箇所に特に適しています。
- マンション・アパートの屋上:通気緩衝工法が最適
- バルコニーやベランダ:密着工法でも十分な性能を発揮
- 共用廊下や外階段:重歩行仕様にも対応可能
- 工場や倉庫の床面:耐摩耗性の高い仕上げで対応
- 木造住宅の屋根下地:通気性を確保しながら施工可能
サラセーヌのウレタン防水は、適切に施工され、定期的なメンテナンスが行われた場合、10〜15年の耐用年数が見込まれます。特にトップコートは紫外線や風雨からウレタン層を保護する重要な役割を担っており、5年ごとの再塗装が推奨されています。
また、サラセーヌシリーズでは、トップコートの種類にも選択肢があり、遮熱タイプや耐候強化タイプなど、使用環境に合わせた選定が可能です。これにより、ライフサイクルコストを抑えながら、長期にわたり美観と防水性能を維持できます。
サラセーヌ防水の施工費用と価格相場
防水工事を検討する際に、多くの方がまず最初に気になるのが「どのくらい費用がかかるのか」という点です。とくにサラセーヌのような信頼性の高い製品を使う場合、性能の良さと比例してコストも気になるところでしょう。ここでは、サラセーヌを用いたウレタン塗膜防水工事の費用相場、工法ごとの違い、そして見積もりの際に知っておくべきポイントについて詳しく解説します。
一般的な費用目安(1㎡あたり)
施工内容や建物の状況によって価格は異なりますが、以下はあくまで目安としての相場です。
| 工法 | 費用相場(税別) | 特徴 |
|---|---|---|
| 密着工法 | 約4,500〜6,500円/㎡ | 標準的な工法。新築や軽度改修に適する |
| 絶縁工法 | 約5,500〜7,500円/㎡ | 下地劣化がある建物に向く、安全性重視の工法 |
| 通気緩衝工法 | 約6,000〜8,500円/㎡ | 湿気を逃がす効果があり、長寿命化に貢献 |
※上記費用には下地処理費や廃材処分費などは含まれていないことが多いため、見積もり時には内訳の確認が重要です。
費用に影響する主な要素
- 下地の劣化状況:ひび割れや膨れなどがある場合、補修費が加算されます。
- 建物の形状や立地条件:高層建築や狭小スペース、作業環境が悪い場合には、施工手間が増加し費用に反映されます。
- 製品グレードの選定:サラセーヌの中でも高耐候性や遮熱性能を持つグレードは単価が高め。
- 施工面積と一括発注の有無:広い面積での一括発注の方が、単価を抑えやすくなります。
- 地域相場と施工業者の技術力:都市部と地方で価格差が出ることもあり、業者の実績や保証内容でも差が生じます。
DIYでの使用は可能か?
近年ではDIYでの防水工事を検討する方も増えています。サラセーヌシリーズの中には、一般ユーザーにも比較的扱いやすい一液型タイプ(例:サラセーヌEZ)もありますが、ウレタン防水は非常に繊細な施工工程が求められるため、DIY施工には多くの注意点が存在します。
DIYのリスクと限界
- 下地処理の難しさ:適切なプライマー処理や清掃がされていないと、すぐに防水層が剥がれるリスクがあります。
- 均一な塗膜厚の確保が困難:塗りムラによって防水効果が大幅に低下する可能性があります。
- 道具や材料の管理が複雑:乾燥時間、気温、湿度によって硬化反応が変化し、素人には判断が難しいケースもあります。
- 保証が一切つかない:施工不良が起きた場合でも、材料メーカーも責任を負わないことがほとんどです。
プロに依頼すべき理由
- 建物診断の正確さ:施工前の劣化診断に基づき、最適な工法と製品を選定可能。
- 長期保証付き:多くの施工業者では5〜10年の保証がついており、トラブル時も安心。
- 高品質な仕上がり:プロの技術で膜厚・仕上がりの美しさ・耐久性すべてに優れた結果が得られます。
- 安全対策が万全:高所作業や足場設置が必要なケースでも、安全かつ確実に作業が進められます。
サラセーヌに関するよくある質問【FAQ】
ここでは、サラセーヌに関するよくある質問を紹介します。
わかりやすく解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
- サラセーヌの通気緩衝工法は密着工法より何円高いですか?
- 一般的に、通気緩衝工法は密着工法と比較して1,500~2,500円/㎡程度高くなります。具体的には、密着工法が4,500~6,500円/㎡であるのに対し、通気緩衝AV工法は6,000~8,000円/㎡、QV工法は6,500~8,500円/㎡が相場です。
この価格差は、通気緩衝シートの材料費(1,200~1,800円/㎡)と、シート敷設の手間賃が上乗せされるためです。また、通気緩衝工法では脱気筒の設置(1箇所15,000~25,000円)も必要となり、50~100㎡程度の面積では脱気筒2~4箇所が標準的です。
ただし、通気緩衝工法は膨れのリスクが低く、耐久性も2~3年長いため、長期的なメンテナンスコストを考慮すると、実質的な差は縮まります。改修工事の場合は、通気緩衝工法を選択することで将来の補修費用を抑えられる可能性が高いでしょう。
- 100㎡未満の小規模物件だと単価はどれくらい上がりますか?
- サラセーヌの標準価格体系では、100㎡未満の場合、標準単価の30~50%増しとなります。例えば、通気緩衝QV工法の標準単価が7,000円/㎡の場合、以下のように変動します。
・50㎡のベランダ:7,000円×1.5=10,500円/㎡(総額約52万5千円)
・80㎡の小規模屋上:7,000円×1.3=9,100円/㎡(総額約72万8千円)
・120㎡の中規模屋上:7,000円×1.3=9,100円/㎡(総額約109万2千円)
小規模物件で単価が上がる理由は、材料の最小ロット購入、職人の移動コスト、養生や片付けの固定作業時間が面積に関わらず発生するためです。
また、狭小スペースでは作業効率が落ち、工期が延びることも価格上昇の要因です。
戸建て住宅のベランダなど小面積の場合、相見積もりを取ることで、小規模工事を得意とする業者を見つけられる可能性があります。
- サラセーヌQV工法とAV工法の価格差はどれくらいですか?
- 一般的に、QV工法はAV工法より500~1,000円/㎡程度高額です。
AV工法が6,000~8,000円/㎡であるのに対し、QV工法は6,500~8,500円/㎡が相場となります。
価格差の主な理由は、QVシートが自着層付きであるため、材料コストが高いことです。
ただし、QV工法は接着剤の塗布工程が不要なため、施工時間は1~2日短縮されることが多く、工事期間を重視する場合はメリットがあります。
また、QV工法は重歩行対応が標準仕様であり、屋上を活用したい場合や共用廊下など人の往来が多い場所では、追加仕様なしで対応できる点も考慮すべきです。総合的なコストパフォーマンスを比較する際は、用途と建物の使用状況を踏まえて判断しましょう。
- 見積もりが相場より高い場合の対処法を教えてください
- 見積もり金額が相場より明らかに高い場合、以下の手順で対処することをおすすめします。
まず、見積もり内訳を詳細に確認してください。「一式」表示が多い見積もりは要注意です。材料費、施工費、下地処理費、足場代、諸経費などが明確に分かれているか確認しましょう。
次に、複数業者(最低3社)から相見積もりを取得します。同じ工法・同じ面積で比較することで、適正価格の相場感がつかめます。その際、安さだけでなく、保証内容や施工実績も比較ポイントとして重視してください。
また、不要な項目が含まれていないかも確認が必要です。例えば、築浅で下地状態が良好なのに大規模な補修費が計上されている場合や、必要以上に高グレードな材料が選定されている場合があります。
最後に、業者に価格の根拠を説明してもらうことも有効です。誠実な業者であれば、なぜその価格になるのか論理的に説明できるはずです。説明が曖昧な場合は、別の業者を検討することをおすすめします。
まとめ|サラセーヌで高品質な防水工事を実現
サラセーヌは、長年にわたり実績を重ねてきた信頼のウレタン塗膜防水材です。密着・絶縁・通気緩衝といった多彩な工法に対応し、建物の状態や立地に合わせた最適な防水処理が可能となります。
DIY施工も部分的には可能ですが、防水層という建物保護の要とも言える部分である以上、専門業者への依頼がベストな選択です。見積もり時には工法の違いだけでなく、保証内容やアフターサービス、過去の施工実績もチェックすることをおすすめします。
安心・高耐久な防水工事を求めるなら、サラセーヌの導入を前向きに検討してみてください。