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シート防水とは?メリットやデメリット、施工方法、費用相場を徹底解説!

シート防水を知りたい人

シート防水を知りたい人

シート防水とは?屋上・屋根をシート防水で施工するメリットは?
防水シートを使う防水工事のデメリットは?費用はいくら?

大規模修繕では、コストパフォーマンスに優れるシート防水を採用するケースが多いです。

しかし「シート防水って具体的にはどんな工事を行うの?」「外壁塗装とは違うの?」と疑問に思っているかたは多いようです。

そこで今回は、シート防水の工法の種類や費用相場、メリット・デメリットなどを徹底解説していきます。

大規模修繕をお考えのかたは、ぜひ参考にしてみてください。

シート防水とは

シート防水とは、塩化ビニール製やゴム製のシートを既存の防水層の上から貼る防水工事です。

シートを貼り付ける工法なので、一度に広い場所に施工することが可能です。

また、シート防水で使われるシートは厚さが均一なので、広範囲をムラなく施工できる利点があります。

おもに陸屋根(平らな屋根)になっている、マンションやビルの屋上で活躍します。

シート防水は耐用年数が長めで費用も高すぎないので、バランスのよい工法と言えるでしょう。

ちなみにシート防水は、シートがぴったり収まる四角形の場所でしか使えません。

シート防水の耐用年数

シート防水の耐用年数は10~15年前後が一般的です。

記事の後半でご紹介する「ウレタン防水」や「FRP防水」よりも耐用年数は長めで、「アスファルト防水」よりも耐用年数は短めです。

ただし使われるシートの材質によって耐用年数は異なるので注意が必要です。

 耐用年数
塩ビシート13~15年
ゴムシート10~12年

ゴムシートのほうが厚さがないので、傷みやすい傾向にあります。

基本的には塩ビシートのほうが普及しています。

シート防水の工期

シート防水では、一般的に2~4日で施工が完了します。

工期が1~2日程度のFRP防水よりも長めですが、3~10日ほどかかるウレタン防水や、5~7日ほどかかるアスファルト防水よりもスピーディに施工できます。

もちろん、施工する面積などによっても工期は変動します。

シート防水のメリット・デメリット

ここではシート防水のメリットやデメリットをご紹介していきます。

シート防水のメリット

シート防水には、次のようなメリットがあります。

  • ウレタン防水やFRP防水と比べると耐久性が高め
  • アスファルト防水など、他の防水工事よりも価格がお手頃
  • 下地の上から被せるだけなので、過去のシート防水以外の下地にも施工できる
  • 広範囲を一度に施工できるので、工期が短くて済む

シート防水は室外機や貯水槽などが少ない、50㎡以上の広い場所に適しています。

下地を選ばないので、2回目以降の防水工事でもおすすめの方法です。

シート防水のデメリット

シート防水には、以下のようなデメリットがあります。

  • 施工難易度が高いので、施工してくれる専門業者が少なめ
  • つなぎ目を十分に接着しないと強風などで剥がれる恐れがある
  • 機械的固定工法ではドリルを使うので、施工中は振動が発生する
  • 凹凸がある場所や、形状が複雑な場所への施工には向かない(シートの隙間から水が入り込む恐れあり)

シート防水は、室外機など固定されているものが多い場所には向きません。

また使われるシートはサイズ調整が難しいので、広さが50㎡以下のベランダなどでも不向きです。

シート防水に適した屋上のタイプ

メリットとデメリットを踏まえると、シート防水に適した屋上のタイプは以下のとおりです。

  • 貯水槽や室外機などの固定された設置物が少ない場所
  • 広くて平坦な場所(50〜300㎡)
  • 2回目以降の防水工事

シート防水は下地に防水シートを被せる工法なので、シート防水を施工するなら設置物が少なく、かつ広くて平坦な場所が適しています。

上記のような条件の屋上に防水工事を行うなら、ウレタン防水よりもシート防水を選んだほうが費用対効果が見込めるでしょう。

また、シート防水は下地を選ばずに施工できるという特徴があります。既存の防水層の影響を受けず、建物への負荷もないので、2回目以降の防水工事を控えている場合はシート防水がおすすめです。支出を抑えることができ、工期も短く済みます。

逆にシート防水が不向きな場所は、設置物が多い場所や、ベランダなど施工面積が狭い場所、風が強い場所です。また、劣化が激しい場所も不向きです。隙間が多くできてしまうからです。

シート防水で使う防水シートの種類

シート防水で使われるシートには次の2種類があります。

塩ビシートゴムシート
特徴・耐久性/耐摩耗性/防水性が優れている
・劣化してくると硬くなる
・柔軟性があるため地震に強い
・耐久性が低い
耐用年数13〜15年10〜12年

塩ビシート

塩ビシートは、塩化ビニール素材で作られたシートのこと。

ゴムシートよりも耐久性があるのが特徴です。摩擦や紫外線、物理的な衝撃にも強い傾向があります。

現在、シート防水工事で主に用いられている防水シートはこの塩ビシートが主流で、機械式固定工法で施工されるのが一般的です。しかし、機械式固定工法・密着工法、どちらの工法でも施工可能です。

塩化ビシートのデメリットは、劣化してくると硬くなり、断裂しやすくなることです。つまり、亀裂やひび割れは塩化ビシートの劣化を示しているので、それらを見つけた際は早めに防水工事を行いましょう。

ゴムシート

ゴムシートは、合成ゴムから作られたシートです。

伸縮性があり軽量なのが特徴です。また、塩化ビシートよりも安く施工することができます。

しかし、鳥のついばみや飛来物の衝撃で破れてしまうほど耐久性が低く、紫外線に弱い傾向があります。そのようなデメリットがあるので、現在ではゴムシートよりも塩ビシートが主流になっています。

ゴムシートの工法は密着工法が主流ですが、機械式固定工法に対応したゴムシートも開発されているので、どちらの工法でも施工可能です。

シート防水の工法の種類

シート防水では、次の2つの工法が一般的です。

  • 密着工法
  • 機械的固定工法

以下で密着工法、機械的固定工法それぞれのメリット・デメリットについて解説していきます。

密着工法

密着工法は、シートを専用の接着剤で貼付ける工法です。

【メリット】

  • 風圧に強い
  • 工期が比較的短い

【デメリット】

  • 下地の影響をもろに受ける
  • 職人の技術力が必要

下地と防水シートを接着剤で直に接着させるので、風圧で防水シートが飛ぶことは起こりにくいです。ただ、直に下地と接着している分、防水シートは下地の影響をもろに受けます。つまり、下地部分が劣化すれば、防水シートも劣化していきます。

密着工法は通気性がないので、濡れた状態の屋上には施工できません。濡れた状態で密着工法をしてしまうと、水蒸気によって防水層が膨れてしまうからです。施工する際は充分に下地部分を乾かす必要があります。

シートと下地をぴったりと接着する密着工法は、以下のような手順で行います。

  1. 下地処理
  2. 接着剤の塗布
  3. シートの貼付け
  4. つなぎ目の接着
  5. 垂直部分へのシートの貼付け
  6. シート同士の隙間を接着
  7. トップコートの塗布

1.下地処理

まずは下地に付着している砂ぼこりや汚れを清掃します。

ヒビ割れなどがある場合は、補修もしておきます。

2.接着剤の塗布

下地またはシートの裏に接着剤(プライマー)を塗り、接着力を高めます。

3.シートの貼付け

セメントなどの接着塗料を流しながら、シートを敷いていきます。

この際、シートがシワにならないように気を付けます。

その後はローラーやモップで空気を抜いていきます。

4.つなぎ目の接着

シート同士のつなぎ目を接着します。

溶剤や熱風で溶かして接着していきます。

5.垂直部分へのシートの貼付け

床面との垂直部分(立ち上がり)へもシートを張り付けていきましょう。

6.シート同士の隙間を接着

シート同士の隙間をシーリング材で埋めます。

7.トップコートの塗布

保護のために防水層の表面にトップコートを塗り、シート防水の完成です。

機械的固定工法

機械的固定法は、下地に取り付けた鋼板の皮膜を溶かすことでシートを接着させる工法です。
「絶縁工法」「通気工法」などと呼ばれることもあります。

【メリット】

  • 下地の影響を受けにくい
  • 防水層が膨れにくい

【デメリット】

  • 騒音が発生する
  • 職人の技術力が必要

下地と防水シートを直接接着させる密着工法に対し、機械的固定工法は下地と防水シートの間に絶縁用シートを敷き、通気性を確保して湿気を逃します。そのため、防水層の膨れが起こりにくいです。

下地・絶縁用シート・防水シートを接着させる際は専用の固定ディスクを等間隔に設置して機械でとめていくのですが、その際、振動音が発生します。かなり大きな音なので、近隣住民・入居者とのトラブルが起こる場合があります。また、施工難易度が高いため、実績が豊富な業者を選ぶ必要があります。

貼付けたシートが浮いた状態になる機械固定法は、次の手順で工事を行います。

  1. 下地処理
  2. 絶縁用シートを敷く
  3. 固定金具の取付け
  4. シートの貼付け
  5. 役物の取付け
  6. シート同士の隙間を接着
  7. トップコートの塗布

1.下地処理

まずは下地の劣化部分を補修しましょう。

この時きちんと補修しておかないと、シートの下で雨漏りを起こしてしまう恐れがあります。

凹みなどがある場合も埋めておきます。

2.絶縁用シートを敷く

下地の上に絶縁用シートを張ることで、湿気が逃げやすくなります。

3.固定ディスクの取付け

次に、下地とシートを固定するディスクを取付けます。

4.シートの貼付け

固定ディスクの上にシートを貼付けます。

5.役物の取付け

施工箇所の端や排水口周りに「成形役物」を取付け、水はけを良くします。

6.シート同士の隙間を接着

シート同士の隙間にシーリング材を施して埋めていきます。

7.トップコートの塗布

最後に、シートの表面を保護するトップコートを塗って完成です。

防水シートの単価相場

シート防水の費用相場は1㎡あたり4,000~8,000円ほど。

もちろんこの金額は、下地の劣化状況などによっても異なります。

密着工法と機械固定法、それぞれの費用相場は以下のとおりです。

 塩ビシートゴムシート
密着工法4,500~5,000円/㎡4,000~5,000円/㎡
機械固定法5,500~7,000円/㎡5,000~6,000円/㎡

シート防水の施工費用は、資材・工法・施工面積・設置物・人件費によって異なりますが、30坪の敷地・80㎡の屋上に施工した場合の費用相場は約80~100万円です。

シート防水を適正価格で施工するには、複数の業者で相見積もりを取ることが大切です。

最低でも3社で相見積もりを取りましょう。

価格が高すぎるのも良くありませんし、安すぎて手抜き工事が行われるのも避けたいです。

業者に見積もりを出してもらう際は、見積書に「材料名や数量などの内訳が詳細に書かれてあるか」ということをきちんとチェックしましょう。

あとから数量の間違いなどが発生すると、追加費用が発生してしまう場合があるので要注意です。

シート防水の注意点

シート防水は広く行われているものの、主流の工法ではないので、技術者が少ない傾向にあります。

そのため、シート防水を行いたい場合は業者選びが重要です。

シート防水を取り扱っていない業者も多いので、業者選びの際には過去の施工実績を提示してもらうと安心です。

シート防水を行うタイミング|劣化症状

シート防水はどんなタイミングで行うのが良いのでしょうか?

防水シートの取り替えの目安は劣化症状が現れたときです。

劣化症状の出現は防止シートの寿命が尽きたことを意味しています。

シートの寿命が尽きる前に防水工事を実施するのがおすすめですが、下記の症状が屋上に出ている場合は早めに防水工事を行いましょう。

  • 表面のヒビ割れ
  • 維ぎ目部分・シート端の劣化
  • シートの浮きや破れ
  • 水たまり
  • 雑草が生えている
  • 雨漏り

具体的にどのような症状なのかを下記で解説していきます。

表面にヒビ割れが発生した時

ヒビ割れが発生した場合も、シート防水を施しましょう。

外部からの負荷には耐えられても、経年劣化で徐々にヒビが発生するケースが多いです。

シート防水では塩ビシートに可塑剤が加えられているので、本来は柔軟性があります。

しかしこの可塑剤は徐々に気化していくので、ヒビが発生してしまうのです。

繋ぎ目部分の劣化やシートが剥がれた時

シートが剥がれた際は、新たにシート防水を施す必要があるでしょう。

ただし部分的な剥がれであれば、シート防水を行わず修繕するだけでもOKです。

つなぎ目部分のシーリング材が劣化した場合も修繕が必要でしょう。

シートが膨れている時

シートが膨れている場合も、新たにシート防水をする必要があります。

シートが下地に密着している状態でないと、十分な防水性能が発揮されないのです。

水たまりがある時

シート防水の表面に水たまりがある場合、シート防水の施工を検討する必要があります。

水たまりがある部分はシートが劣化しやすいです。

水たまりは、排水口の詰まりや陸屋根の歪みなどが原因で発生します。

また、水たまりがあると雑草も生えやすいです。

雑草の根っこが防水層を劣化させる恐れがあるので、早めの対処が必要です。

雑草が生えている時

屋上の端や、放置した穴・破れから雑草が生えることがあります。

雑草が生やした根は下地の劣化を招き、雨漏りを引き起こします。

不用意に雑草を抜いてしまうと防水層や下層部の下地を痛めるため、専門の業者に処置を任せるのがおすすめです。

雨漏りしている時

雨漏りがある場合もシート防水をし直すことが必要です。

雨漏りを放置すると建物の内部から劣化してきて、建物自体の寿命が短くなる恐れがあります。

シート防水のメンテナンス方法

ここではシート防水のメンテナンス方法をご紹介していきます。

きちんとメンテナンスすることで、シート防水の寿命が延ばせるでしょう。

トップコートの塗り替え

数年に一度の頻度でトップコートの塗り替えを行うのがおすすめです。

トップコートとは、防水層の1番上に塗装される塗料で、防水効果はないものの、防水層を紫外線から守る役割があります。

防水シートは紫外線やオゾン、熱に対して強いですが、少なからずそれらのダメージは受けます。だからこそ、防水機能を持続させるために、紫外線を遮断するトップコートは重要です。

トップコートは防水シートほど耐用年数は長くないので、塗り替えが必要です。

以下は塗り替えの目安です。

  • 合成ゴム系シート:5年に1回
  • 塩化ビニール系シート:5〜10年に1回

排水溝(ドレン)周りの掃除

排水溝(ドレン)が詰まると水たまりができ、防水層の劣化を招きます。

そのため、排水溝周りを定期的に掃除するのがおすすめです。

屋上やベランダには落ち葉やゴミなどが飛来します。それらは雨によって排水溝に流されますが、建物外には排出されないので、排水溝周辺に溜まったり、奥に詰まったりします。

排水溝は2〜3週間に1回くらい点検し、落ち葉やゴミがたまっていたら除去するようにしましょう。

部分補修

部分的に防水シートの剥がれや破れが起こった場合、補修工事ができる場合があります。

シートの剥がれの場合|熱溶着で補修

シートの剥がれは強風や鳥の害によって起こりますが、わずかな剥がれであれば熱溶着などを施すことでメンテナンスできます。

シートの膨れの場合|脱気筒を設置

シートの膨れは「脱気筒」を使うことでメンテナンスできます。

膨れは、下地から蒸発した水分がシートを押し上げることで起こります。

そこで水蒸気を外へ逃がす役割を持つ脱気筒が活躍するというわけです。

ヒビ割れの場合|パッチ処理で補修

ヒビ割れは経年劣化で発生しやすいです。

少しのひび割れなら、ヒビ割れ部分を塞ぐ「パッチ処理」をすることでメンテナンスできます。

雨漏り

雨漏りは、シートの剥がれや膨れ、ヒビ割れなどが原因で総合的に起こる場合が多いです。

シートを補修したりパッチ処理を施したりすることで改善できる場合もありますが、雨漏りの影響で屋内が腐食していることもあるので要注意。

しっかりと雨漏りの原因を突き止め、総合的にメンテナンスすることが大切です。

シート防水以外の防水工事は?

シート防水以外にも、防水工事にはさまざまな種類があります。

塗膜防水

防水性能を持つ塗料を塗って乾燥させることで、防水層を作る工法です。

つなぎ目のない仕上がりになるので、見た目も良くなります。

塗膜防水では「ウレタン防水」や「FRP防水」が一般的です。

ウレタン防水ではウレタン樹脂を使い、FRP防水ではFRP(繊維強化プラスチック)を使って施工します。

アスファルト防水

アスファルト素材のシートを、熱で溶かして下地に接着する工法です。

耐久性が高く、頻繁にメンテナンスをするのが難しいビルの屋上などへの施工に適しています。

道路のアスファルトのように、仕上がりはザラザラします。

ちなみにシート防水とは異なり、シート同士のつなぎ目は重なりません。

まとめ

以下はこの記事のまとめです。

  • シート防水とは、塩ビシートやゴムシートを既存の防水層の上から貼る防水工事
  • シート防水のメリットは、下地を選ばずに施工が可能で、寿命が長く、耐久性に優れており、低コスト・短期間で工事が完了する
  • シート防水は、凹凸があるところや複雑な形状の施工には不向きであり、工法によっては工事中に騒音が発生し、一ヶ所の破損がシート全体に大きな影響を及ぼす
  • 工法には密着工法と機械的固定工法があり、現在は機械的固定工法がシート防水工法の主流

シート防水は広範囲の防水工事に適しています。

比較的安価で耐久性もあるのでおすすめです。

施工後は定期的なメンテナンスを欠かさないようにすると、シート防水の寿命を延ばせます。

施工業者選びも大切です。

入念に現地調査をしてくれたり、工事中の進捗報告を丁寧に行ってくれる業者だと、安心して任せられるでしょう。

ぜひ今回の記事を参考に、大規模修繕を成功させてみてくださいね。

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