ウレタン防水が劣化する原因を知りたい人
ウレタン防水が劣化する原因は?
ウレタン防水が劣化するとどうなる?ひび割れが起こる?
ウレタン塗膜防水の劣化症状の種類は?
ウレタン防水の浮きの補修方法は?
防水は建築物において、非常に重要な役割を果たしています。なかでもウレタン防水は、その耐久性や施工の容易さから、屋上やベランダなど広く採用されている工法です。しかし、シート防水をはじめとするウレタン防水なども、時間の経過とともに劣化し、その結果、浸水や漏水などの問題が発生することがあります。
この記事では、ウレタン防水の劣化状況について詳しく解説し、防水層のひび割れや膨れ・浮きなどの劣化のサインや補修方法、劣化対策についても紹介します。
劣化のサインを見逃さないためにも、ぜひこの記事を参考に対策を講じてみてください。
目次
劣化が起こるウレタン防水とは?
ウレタン防水は、建築物の屋根や床、壁など、幅広い用途で使用される防水材料の一つです。
ウレタン樹脂を主成分としており、その特徴として耐久性や柔軟性があります。
比較的価格も安く、施工しやすい点で、多くの建物に施されている防水材料です。
ウレタン防水を塗布することで表面を均一に覆い、水や湿気の侵入を防ぎます。
また、ウレタン樹脂は耐候性に優れており、紫外線や気温変化による劣化を抑えることが可能です。
このような特性から、ウレタン防水は屋根やテラスなど、水密性が求められる箇所で広く使用されています。
ウレタン防水が起こす劣化症状
ウレタン防水の一般的な劣化症状は、次の6つが挙げられます。
- チョーキング現象
- 防水層の減耗
- 防水層のひび割れ
- 防水層の剥がれ
- 防水層の浮き・膨れ
- 防水層の亀裂・破断
具体的な症状について、下記で解説していきます。
ウレタン防水が起こす劣化症状1.チョーキング現象
チョーキングとは、防水材料が経年劣化により粉状になってしまう現象のことです。
防水材料が粉状になることで、塗膜に光沢がなくなり、ひび割れや剥がれが起きる可能性があります。
チョーキング現象が発生したということは、ウレタン防水の防水性能が落ちている証拠です。
チョーキング現象が起こった場合は、長期間放置すると防水層がボロボロになる可能性があるため、ひび割れよりも補修の緊急度が高いといえます。
日本では、物の表面に微細な汚れがあるように見える時「粉が吹く」と表現することが多く、黒板に使うチョークになぞらえてチョーキング現象と呼ばれています。
ウレタン防水が起こす劣化症状2.防水層の減耗
防水層の減耗とは、防水層の厚さが減少する症状のことです。
雨や風、紫外線などの影響によって起こる現象で、防水材料が劣化して薄くなっていくことを指します。
防水層の厚さが減少すると、下地のひび割れや塗膜の破断、剥離などの不具合が発生する可能性が高いです。
また、トップコートの消失によって防水層が減耗・消失することもあります。
防水層の厚さの減少は、建物の耐久性を低下させるため、早期に対処する必要があります。
ウレタン防水が起こす劣化症状3.防水層のひび割れ
防水層のひび割れは、建物の防水性を低下させる原因となる問題です。
主に、防水層の上部に施されているトップコート(上塗り)部分からひび割れていきます。
ひび割れが発生すると、雨水や地下水が侵入し、建物内部に浸水することがあります。
また、凍結や融解によってひび割れが拡大することもあるので、ひび割れが発生した場合は早急に修復することが必要です。
ウレタン防水が起こす劣化症状4.防水層の剥がれ
防水層の剥がれは、防水膜が下地や前回の防水層から浮いている状態を指します。
防水層に剥がれが起きている場合、防水膜に亀裂やめくれが生じている可能性があります。
ウレタン防水は屋外で塗装されていることが多いため、紫外線や雨・風などの要素によって劣化しやすくなります。
表面のトップコートが劣化して剥がれることもあります。
ウレタン防水が起こす劣化症状5.防水層の浮き・膨れ
防水層の浮きや膨れは、防水層と既存下地の間に水が入り込むことで発生することが多い劣化症状です。
防水層の膨れは、防水層内部の水分によって起こるため、目視で確認することが可能です。
膨れている部分を触ると内部に水が溜まっていることもあります。
膨れは、ウレタン防水などの密着工法で起こる現象で、正しく機能している場合は平らな状態で防水効果を発揮しますが、膨れていたら早急な補修が必要です。
ウレタン防水が起こす劣化症状6.防水層の亀裂・破断
防水層が破れる原因は、防水層の内部に入った雨水です。
雨水が入り込むと、熱によって気化してシートや塗膜が膨らみ、膨れている箇所が破断してしまうことがあります。
剥がれた部分から雨水が侵入し、下地のひび割れとともに防水層が切れる現象が起こるのです。
この現象は、ワーキングジョイントなど動きの発生する箇所で発生することがあります。
ウレタン防水が起こす劣化症状ごとの補修方法
ウレタン防水において、一般的に発生する劣化症状別の補修方法を表にまとめて解説します。
ウレタン防水の劣化症状 | 補修方法 |
チョーキング現象 | トップコートの再塗装 |
防水層の減耗 | トップコートの再塗装 |
防水層のひび割れ | ・ひび割れが小さい場合→ひび割れ箇所を埋めてトップコートの再塗装 ・ひび割れが大きい場合→防水層の再施工 |
防水層の剥がれ | 防水層の再施工 |
防水層の浮き・膨れ | 通気緩衝工法 |
防水層の亀裂・破断 | 防水層の再施工 |
表の上から下へと下がっていくにつれて、劣化症状の重症度が高くなっていきます。
劣化症状が軽微なものであれば、トップコートの再塗装で対処可能です。
また、トップコートは定期的に塗り直す必要があり、5年周期で塗り直すことが推奨されています。
また、劣化症状が重度である場合は防水層の再施工が必要です。
ウレタン防水の通気緩衝工法とは
通気緩衝工法は、建物の外壁や屋根などの防水層の下に、通気層を設ける工法です。
通気緩衝工法では、防水層と外気との間に一定の空間を作り、建物内部の湿気や熱を外部に排出する役割を果たします。
ウレタン防水において、防水層の浮きや膨れが見つかった場合は、通気緩衝工法で対処することが多いです。
通気緩衝工法では、通気層の設置により建物内部の湿気や熱を調整することができます。
これにより、建物の耐久性や防水性能を向上させることが可能になるのです。
ウレタン防水が劣化しないための対策
ウレタン防水における長期的な耐久性を確保するためには、以下のような劣化対策があります。
ウレタン防水が劣化しないよう適切な厚みで施工する
ウレタン防水は、適切な厚みで施工されることで、長期的な耐久性を確保することができます。
施工時には、厚みを十分に確保し、均等に塗布することが重要です。
下地の傷みがあればウレタン防水施工前に修復する
ウレタン防水を施工する前に、下地の傷みやひび割れを修復することが必要です。
下地が傷んでいる場合、防水層が剥がれる原因となります。
劣化が早期発見できるようウレタン防水を定期的にメンテナンスする
定期的なメンテナンスによって、ウレタン防水の劣化を防止することができます。
ウレタン防水の防水層に効果的なメンテナンス方法は次のとおりです。
- トップコートの塗り替え|5年に1回程度
- 排水溝の掃除|3ヶ月に1回程度
メンテナンスに加え、点検も重要です。
定期的にメンテナンスと点検を行うことで、防水層は長持ちします。
ウレタン防水の劣化対応が得意な施工業者は注意して選定する
ウレタン防水は、施工業者の技術力によって耐久性が左右されるため、信頼できる業者を選定することが重要です。
実績や技術力などを確認し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
防水工事でよくある質問
Q
防水工事の種類にはどんなものがありますか?
A
主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。
Q
防水工事の費用はどのくらいかかりますか?
A
工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。
Q
防水工事のタイミングはいつが良いですか?
A
一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。
ウレタン防水の劣化に関するまとめ
ウレタン防水の劣化状況や補修方法、対策について解説してきました。
ウレタン防水は、耐久性や施工の容易さから広く採用されていますが、時間の経過とともに劣化し、浸水や漏水の問題が発生する可能性が高いです。
ウレタン防水の劣化症状としては、チョーキング現象、防水層の減耗、ひび割れ、剥がれ、浮き・膨れ、亀裂・破断が挙げられます。
劣化したウレタン防水を補修する方法としては、トップコートの再塗装、防水層の再施工、通気緩衝工法(絶縁工法)があります。
また、ウレタン防水において長期的な耐久性を確保するには、適切な施工や施工後のメンテナンス、そして施工業者の選定に注意することです。
適切な処置を行い、ウレタン防水の性能を長持ちさせましょう。
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