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ウレタン防水工事にトップコートとは?必要性・種類・長持ちさせるコツを解説

ウレタン防水は日本で最も多く行われている防水工事なので、自宅にウレタン防水を行っているという方も多いのではないでしょうか。

建物を雨や水害から守る防水工事は、できるだけ長持ちさせたいですよね。

そこで今回は、ウレタン防水とトップコートについてや長持ちさせるコツなど、ウレタン防水についてを徹底解説します。

自宅でウレタン防水を行っている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

ウレタン防水とトップコート

そもそもウレタン防水とトップコートとはどんなものなのかをよく知らない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、ウレタン防水とトップコートを使用した防水工事について解説します。

ウレタン防水は、日本の防水工事としてよく選ばれるだけのメリットが多くあるので、確認してみてください。

ウレタン防水とは

ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を使用して防水層を形成する工法のことです。

ベランダやバルコニーで使用されることの多い工法でしたが、近年ではウレタン樹脂の研究が進み耐久性がアップしたことにより、屋上などでも使用されるようになりました。

ウレタン防水には目立ったデメリットがないことが特徴と言えるため、日本の防水工事において主流となっています。

一般的なウレタン防水の耐用年数は10〜12年ほどで、塗装したトップコートは3〜5年ほどを目安に塗り替えを行います。

トップコートの塗り替えを行うことで防水層を保護し、ウレタン防水の寿命を伸ばすことが可能です。

しかし近年開発された材料の中には、トップコートを5年おきに塗り替える必要がないものもあります。

トップコートとは

トップコートとは、防水層の1番上に塗装されるもののことを言います。

トップコートの役割は、紫外線などの刺激から防水層を保護することです。

トップコートを塗布して防水層を保護することで、防水層の劣化を起こしにくくして寿命を伸ばすことができるというメリットがあります。

トップコートもウレタン防水と同様に、徐々に劣化していくものです。

しかし定期的にトップコートの塗り替えを行うことで、結果的に防水層全体の寿命を伸ばし、大規模改修の頻度が減ることで費用の節約にもつながります。

ウレタン防水にトップコートが必要な理由

ここまでウレタン防水とトップコートをセットで紹介してきましたが、「なぜウレタン防水にはトップコートが必要なの?」と感じている方もいるのではないでしょうか。

ウレタン防水にトップコートが必要な理由を4つです。

上記の理由について以下で詳しく解説していきます。

ウレタン防水層を紫外線から守るため

トップコートの1番大きな役割は、ウレタン防水層を紫外線から守ることです。

ウレタン防水がよく使用されるベランダやバルコニー、屋根などの部分は、建物の中でも最も紫外線の影響を受ける場所だと言えるでしょう。

紫外線の影響を多く受ける場所では、どうしても防水層の劣化も早まってしまいます。

そんな紫外線から防水層を保護するために必要となるのが、トップコートです。

防水層を保護することは、建物への水の侵入を予防して建物全体の寿命を伸ばすことにもつながります。

遮断熱効果

「遮断熱効果」とは、太陽の熱を伝わりにくくするトップコートの役割のひとつです。

太陽の光を多く浴びる場所では、太陽の熱が伝わって室温が上昇します。

トップコートの遮断熱効果によって熱の侵入を防ぐことで、夏の室温上昇を軽減することができます。

また、室温の問題だけではなく建物自体にとっても、季節や時間帯によって温度差が大きいことは好ましくありません。

温度差によって起こる鉄骨や鉄筋の収縮によって、建物の劣化が早まってしまうからです。

トップコートの持つ遮断熱効果で、このような建物の劣化を予防することもできます。

しかし、この遮断熱効果の性能はトップコートの種類によっても異なります。

トップコートには種類があり、原料によって遮断熱効果の性能も異なるため、注意して選ぶようにしましょう。

ゴミがつかないようにするため

トップコートを塗布する前のウレタン防水層には、実は粘着性があります。

この粘着性により、ウレタン防水層が剥き出しの状態ではゴミやほこりがくっついてしまうことになり、一度くっついたゴミやほこりはなかなか綺麗に取り除くことができません。

特にベランダ・バルコニー・屋上はゴミが溜まりやすい場所でもあるので、ゴミやほこりがくっついて取りにくいとなると非常に厄介ですよね。

ウレタン防水層にトップコートを塗布すると、ウレタン防水特有の粘着性をなくしてゴミをくっつきにくくする効果が期待できます。

掃除も簡単になりますし、雨や水でも一緒にゴミが流れてくれるので、無理なく清潔に維持することができるようになるでしょう。

滑り止め効果

ウレタン防水層は粘着性があると紹介しましたが、一方で雨で濡れると滑りやすくなるという特徴もあります

バルコニーや屋上は雨が降った後に歩くこともある場所なので、滑って転倒するリスクが高いです。

そこで効果的なのが、滑り防止のチップを混ぜたトップコートです。

屋外で歩行する可能性のある部分には、この滑り防止のチップを混ぜたトップコートを塗布するようにしましょう。

ウレタン防水に使うトップコートの種類

トップコートにはいくつかの種類があり、それぞれの材料の違いによって特徴も異なります。

ここでは、ウレタン防水によく使用されるトップコート2種類について詳しく紹介します。

アクリルウレタン系フッ素系
耐久年数3〜5年10年程度
遮断熱性低い高い

アクリルウレタン系

アクリルウレタン系のトップコートは、ウレタン防水において多く使用されているメジャーなトップコートです。

施工が比較的簡単でコストパフォーマンスも良いため、一般的な住宅のバルコニー・ベランダ・屋上などに広く使用されています。

最近では、アクリルウレタン系のトップコートの中でも遮断熱性が高いものもあります。

求める性能がある場合は事前に専門業者に伝えておくと、材料選びに反映してもらえるでしょう。

フッ素系

フッ素系のトップコートは、耐用年数が長く遮断熱性にも優れています。

機能性が高い一方で、費用が高額となることが多く、アクリルウレタン系に比べて倍近くの値段となることもあります。

そのため、一般家庭への普及度はあまり高くなく、商業施設などで使用されていることが多いです。

ウレタン防水のトップコートを塗り替えるタイミング

ウレタン防水のトップコートは、定期的なメンテナンスが欠かせません。

適切なタイミングでトップコートの塗り替えを行うことで、防水層の寿命を伸ばすことができます。

トップコートの塗り替えのタイミングとしては、

  • 劣化症状が出たとき
  • 3~5年ごとに塗り替える

以上の2つをポイントとして覚えておくといいでしょう。

トップコートの塗り替えは、基本的に3〜5年ごとに行うことが推奨されています。

しかしそれ以前であっても、トップコートに劣化症状が出ていれば塗り替えを検討する必要があります。

トップコートの劣化症状

トップコートが徐々に劣化していくことは、避けられない問題です。

トップコートの塗り替えの目安にもなる劣化症状は4つです。

トップコートの劣化症状一覧

防水層をしっかり保護するためにも、劣化症状にできるだけ早く気づいて対処できるよう、覚えておくといいでしょう。

チョーキング現象

チョーキング現象とは、トップコートが粉状に剥がれる現象のことです。

剥がれた粉状のものがチョークの粉のように見えるため、わかりやすい劣化症状です。

チョーキング現象は、トップコートの表面が剥がれることによって発生します。

トップコートの機能が弱まっているサインなので、早急な塗り替えの検討が必要です。

剥がれ・浮き

トップコートの剥がれや浮きは、防水層の収縮によって発生します。

建物の動きや気温の変化などによって起きる収縮はトップコートにとって負担となり、徐々に剥がれや浮きなどの劣化症状として現れます。

トップコートの剥がれや浮きの部分は、水の侵入経路のなるリスクが高いです。

剥がれや浮きを見つけたら、トップコートの塗り替えを検討しましょう。

カビ・苔・草

カビや苔、雑草などの草がトップコート上に発生することもあります。

常に日陰になる場所や湿度の高い場所に位置するトップコートでよくみられる劣化症状です。

カビ・苔・草の発生は問題ないようにも思えますが、

  • トップコートの更なる劣化を促進してしまう
  • 苔が生えた部分が滑りやすくなり、転倒のリスクがある
  • 雑草の根がトップコートを超えて防水層に到達している場合もある

このようなリスクが考えられます。

放置していると防水性能が低下する危険性もあるので、早めにメンテナンスを行いましょう。

しかし、雑草がトップコート上に生えている場合は、抜けばいいという問題ではありません。

雑草の根がすでに防水層に到達していた場合、抜いた根の部分が水の侵入経路となり防水性能は大きく低下します。

いつから生えていたかわからない雑草は特に、むやみに自分で抜かずに業者に相談することをおすすめします。

摩耗

トップコートは、人が歩いたり重いものを動かしたりすることで磨耗します。

特に人が歩くことの多いベランダやバルコニーでよくみられる劣化症状です。

トップコートの摩耗は、防水層を守るコーティング機能が低下しているということです。

放置していると防水層へのダメージにもつながります。

ウレタン防水のトップコートを長持ちさせるコツ

ウレタン防水を保護する役割のあるトップコートは、できるだけ長持ちさせたいですよね。

トップコートの寿命を伸ばし長持ちさせるためのコツを、2つ紹介します。

ウレタン防水のトップコートを長持ちさせるコツ

簡単に実践できるコツなので、ぜひ覚えて今日から始めてみてくださいね。

排水溝の清掃

ベランダや屋上には、雨水などを流すための排水溝が設置されています。

この排水溝を定期的に清掃して清潔に保つことが、トップコートの寿命を伸ばすことにもつながります。

トップコートを長持ちさせるためには、トップコート自体を清潔に保つことが重要です。

この際、排水溝に汚れが詰まっていて水の流れが悪いと、トップコート上に本来流れていくはずの雨水や汚れが溜まってしまうことになります。

トップコート上に汚水やゴミが溜まった状態が続くと、トップコートの劣化スピードが上がります。

このような理由から、トップコートを長持ちさせるためにはトップコートの清掃だけではなく排水溝をきれいに保つことも重要です。

定期な目視での確認

トップコートを長持ちさせるためには、トップコートに異変がないかを定期的に確認することがおすすめです

トップコートの劣化症状は、ひび割れや剥がれなど業者に依頼しなくても自分で発見できるものも多いです。

劣化症状が軽いうちに気づくことができれば、補修も小さく簡単に終わる可能性があります。

劣化症状に気づかなかったり放置していたりして重症化していれば、補修工事もそれだけ大掛かりなものになる可能性が高いです。

そのため、定期的にトップコートの状態を確認して、異変があればできるだけ早く補修を行うことが重要です。

ウレタン防水トップコートの塗り替え工事にかかる費用

ウレタン防水のトップコートは、一般的に3〜5年での塗り替えがおすすめです。

定期的に塗り替えを行うとなると、気になるのは工事にかかる費用ですよね。

ウレタン防水のトップコート塗り替え工事にかかる費用の相場は、1,600〜1,700円/㎡ほどです。

当然ながら、施工を行う面積が広くなるほど価格は高くなります。

トップコートを施工している面積を把握して、一度の工事にどれくらいかかるのか把握しておくと安心です。

トップコート塗り替え工事の依頼先とは

トップコート塗り替え工事を行いたいと考えた際に、どのような業者に依頼するべきか知っていますか?

「塗り替え」という言葉から塗装業者を連想する方も多いのではないでしょうか。

実は、トップコート塗り替え工事の依頼先として最適なのは「防水業者」です。

トップコートは確かに塗る作業ですが、工事の中で重要となるのは防水層を保護することです。

トップコートの塗装だけであれば防水の関する知識がなくてもできてしまいます。

塗装のプロである塗装業者なら、とてもきれいにトップコートを塗装してくれるでしょう。

しかし、防水の知識がなければ防水層の状態を判断したり適切な材料を選んだりすることができません。

トップコートの塗り替えを依頼した段階ですでに防水層がダメージを受けていて、大規模な補修が必要となることも少なくありません。

このように防水の知識から適切な工事を行うためにも、トップコート塗り替え工事は必ず防水の専門業者に依頼しましょう。

まとめ

今回は、日本で最も多く使われている「ウレタン防水」と、それに欠かせないトップコートについて詳しく解説しました。

  • ウレタン防水にトップコートの塗装は欠かせない
  • トップコートには防水層を紫外線から保護する役割がある
  • トップコートは3〜5年を目安に塗り替えが必要
  • トップコートの塗り替えは防水に関する知識を持った専門業者に依頼する

今回の記事を参考に、できるだけトップコートや防水層を長持ちさせて適切なタイミングで補修を行ってくださいね。

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