シート防水の上にウレタン防水は施工可能なのかを知りたい人
防水シートはウレタン防水で使う?
塩ビシートにウレタン防水は施工できる?
シート防水の上にウレタン防水の塗布は可能?
ウレタン防水とシート防水の違いは?
シート防水と塗膜防水の種類を知りたい!
「シート防水の上からウレタン防水の施工はできるのか」「シート防水とウレタン防水のどちらを選べばいいのか」と悩んでいませんか?防水加工は建物の保護に欠かせない工事であり、防水層に劣化症状が現れた場合、補修や再塗装が必要です。
今回の記事では、シート防水の上からウレタン防水を施工する際の工法や注意点について詳しく解説します。シート防水の上からウレタン防水を施工することは可能ですが、専用のプライマーを使用することや下地処理をしっかり行うことが重要です。また、塩ビシート防水やウレタン塗膜防水の比較・施工方法・改修工事のポイントについても触れていきます。
屋上やその他の場所での防水工事を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
シート防水の上にウレタン防水は施工可能
実はシート防水の上からでも、ウレタン防水を施工することができます。
重ね塗りが可能であることがウレタン防水の特徴で、過去に施工したシートを撤去する必要がありません。
そのため、シート防水の上からウレタン防水を施工する場合には、処分費用がかからないことがメリットです。
ただし、既存の防水シートの状態はしっかりと専門業者に確認してもらいましょう。
劣化や破損が起きていれば補修や交換が必要となる可能性もあります。
また、新しく施工するウレタン防水材は、必ず既存シートの材料と相性の良いものを選びましょう。
シート防水の上にウレタン防水を施工する際の注意点
シート防水の上にウレタン防水を施工することは可能ですが、施工の際には気をつけなければいけないポイントがあります。
ここでは、シート防水の上にウレタン防水を施工する際の注意点を2つ紹介します。
シート防水専用のプライマーをウレタン防水前に使う
シート防水の上からウレタン防水を施工する際は、必ず専用のプライマーを使用して行います。
ウレタン防水は本来有機溶媒を使用するものですが、シート防水との相性が悪いです。
そのため、シート防水の上からウレタン防水を施工する際は、使用できる防水材が限られることになります。
既存シートの上から相性の悪いプライマーを使用すると、防水層の変形や早期劣化などの無視できない症状が起こるリスクが高いです。
このような理由から、シート防水の上からウレタン防水を施工する際は、塩ビシートやゴムシートなど既存シートの材料に合わせて、それぞれの専用のプライマーを使用しなければいけません。
シート防水の上からウレタン防水を行う工事現場では、有機溶媒が使用されておらずシート防水との相性がいい「ダイフレックス」というメーカーの商品がよく使用されています。
ダイフレックスは防水専門のメーカーで信頼度が高く、防水材やトップコート、コーキングなどのさまざまなダイフレックスの商品が現場で選ばれています。
ウレタンを貼るシート防水上の下地処理を行う
シート防水の上からウレタン防水を施工する際には、下地処理をしっかりと行う工程が欠かせません。
既存のシート防水の状態を確認し、浮きや剥がれなどの劣化症状が現れている場合は切除や補修を行うなどの対応が必要です。
また、既存シートの状態に関わらず、上からウレタン防水を施工する際には高圧洗浄をかけて下地を調整します。
既存シートに汚れが付着したままでは、密着度が下がるなどの施工不良につながってしまう可能性があるからです。
このように、下地の補修や調整をしっかりと行ってから施工することで、後々の不具合や施工不良を予防することができます。
シート防水交換のサイン|ウレタンを貼る前に見つける劣化症状
シート防水に限らず、防水層の徐々な劣化は避けられない問題で、いずれは補修や交換を行う必要があります。
ここでは、シート防水の劣化症状を紹介します。
シート防水を交換するべきタイミングのサインとなる症状なので、ぜひしっかりと確認しておきましょう。
- 表面のひび割れ
- 維ぎ目部分・シート端の劣化
- シートの浮きや破れ
- 水たまり
- 雑草が生えている
以上の5つの症状は、すべてシート防水交換のサインとなる劣化症状です。
表面のひび割れやシートの浮きや破れ、目に見える劣化を放置しておくと、雨水の侵入経路となって雨漏りを起こしたり、シートの更なる劣化を引き起こしてしまったりします。
シート上の水たまりは問題ないように思えますが、水たまり部分はシートが非常に劣化しやすいです。
水たまりが発生する原因として排水口の詰まりや陸屋根の歪みなどが考えられるため、直接的な原因を改善することが重要です。
また、水たまりのある部分には雑草も生えやすくなります。
雑草の根が防水層を劣化させることがあるため、放置できない症状のひとつです。
シート防水の上にウレタン防水を施工する流れ
シート防水をウレタン防水に変える際は、特定の手順を踏んで慎重に工事を行います。
シート防水の上からウレタン防水を施工する際には、「通気緩衝工法」というウレタン樹脂を下地に密着させずに防水する施工方法がおすすめです。
ここでは、この通気緩衝工法における施工の流れを解説します。
シート防水の上にウレタン防水を施工する流れ1.高圧洗浄
シート防水の上からウレタン防水を施工する際は、下地を整えることが重要です。
まずは高圧洗浄を行うことで、既存シートに付着した汚れや劣化した破片を洗い流します。
既存シートを清潔な状態にすることで、新しい防水層との密着度が上がります。
既存の防水シートの劣化状態が酷い場合は防水シート撤去します。防水シート撤去後はケレン清掃を行い、仮防水材を塗布します。
シート防水の上にウレタン防水を施工する流れ2.プライマー塗布
プライマーを塗布することで、
- 塗装を剥がれにくくする
- サビや腐食を防ぐ
- 表面を均一で滑らかに整える
などの効果が期待できます。
既存のシート防水と新しく使用するウレタン防水材の両方と相性のいい、専用のプライマーを使用することが重要なポイントです
シート防水の上にウレタン防水を施工する流れ3.入隅シールを充填
入隅シールを充填し、立ち上がり部と床の隙間を埋めます。
シート防水の上にウレタン防水を施工する流れ4.自着シート(=通気緩衝シート)を敷く
下地が整ったら、自着シート(=通気緩衝シート)を丁寧に敷いていきます。
この通気緩衝シートと呼ばれる防水シートを使用することが、通気緩衝工法の特徴です。
下地に水分が残っていても施工できるため、下地の完全乾燥が難しい場合やすでに雨漏りを起こしている場合などでもよく選ばれる工法です。
下地と防水層の間に通気緩衝シートを敷くことで、通気性を確保し湿気による防水層の膨れを予防します。
シート防水の上にウレタン防水を施工する流れ5.維ぎ目部分にジョイントテープを貼り付け
自着シートの維ぎ目部分にジョイントテープを貼り付けて隙間を埋めます。
ジョイントテープを貼ることで、ウレタン防水材が下地に入り込まないようにします。
シート防水の上にウレタン防水を施工する流れ6.脱気筒を設置
脱気筒とは、防水層とコンクリートなどの下地との間に発生する水蒸気を排出する役割を持つ筒のことです。
脱気筒の働きで防水層の下で発生する水蒸気の逃げ場を作ってくれるため、水蒸気によって防水層に気泡や膨れができてしまうことを予防します。
防水工事の中には脱気筒を設置する工法と設置しない工法のどちらもありますが、通気緩衝工法では脱気筒を設置します。
シート防水の上にウレタン防水を施工する流れ7.ウレタン塗布
ウレタン防水材を塗布して、防水層を形成します。
ウレタンの塗布は全体に均等に行うことが重要なポイントです。
均一な厚みですべての部分に塗布することで、高い防水効果を発揮します。
ウレタン防水材は基本的に2〜3回塗り重ねます。
シート防水の上にウレタン防水を施工する流れ8.シート 防水 の 上 に ウレタントップコート塗布
トップコートは、防水層を保護して耐久性を高めるために塗布します。
トップコートを塗布することで、紫外線や物理的な刺激から防水層を守り、防水層全体の寿命を伸ばします。
特にウレタン防水で形成した防水層は紫外線に弱いため、トップコートの塗布は重要です。
トップコートは、5〜6年に一度再塗装を行うことがおすすめです。
ただしトップコートにもさまざまな種類があり、再塗装は10年おきでも問題ないものや遮熱効果があるものもあります。
トップコートの種類についてこだわって、専門家と相談しながら決めるのもいいでしょう。
シート防水とウレタン防水を比較
ここまでシート防水の上からウレタン防水を施工する際について細かく解説してきましたが、実際シート防水とウレタン防水にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは、シート防水とウレタン防水のメリット・デメリットを比較して紹介します。
シート防水とウレタン防水の特徴比較
シート防水とウレタン防水のそれぞれの特徴を、メリット・デメリットにわけてまとめました。
シート防水 | ウレタン防水 | |
メリット | ・広範囲をムラなく施工できる ・耐用年数が比較的長い ・価格がお手頃 ・下地を選ばず重ねて施工できる | ・温度変化に強く伸縮性があり、ひび割れが起こりにくい ・継ぎ目がない ・重量が軽く建物への負担が少ない ・複雑な形状の場所にも施工できる ・重ね塗りができる |
デメリット | ・四角形の場所にしか施工できない ・施工難易度が高く、施工してくれない業者もある ・シートの継ぎ目が弱点 複雑な形状の場所には施工できない | ・完成度が職人の技術に依存する ・塗料の硬化までに4〜5日かかる ・衝撃に弱い |
このように、どちらの工法にもメリット・デメリットはあります。
どちらの工法でも重要になるのが、施工業者選びです。
シート防水はシート自体の品質は保証されていて広範囲にムラなく施工できることが魅力ですが、施工自体の難易度が高いため対応していない業者も多いです。
シート防水に対応しているか、十分な実績があり信頼できるかどうかを考慮して依頼しましょう。
ウレタン防水は最も多く行われている防水工事ですが、その完成度は職人に依存します。
液体状の樹脂を塗布するので複雑な形状の場所にも対応できることがメリットですが、全体が均一な防水層を形成できるかどうかは職人の腕次第です。
そのため、ウレタン防水の場合も実績を十分に確認してから依頼することをおすすめします。
シート防水とウレタン防水どちらが安い?価格比較
次に気になるのは、ふたつの工法にかかる費用の差ではないでしょうか。
そこで、シート防水とウレタン防水の価格相場をまとめました。
シート防水 | ウレタン防水 | |
価格(1㎡あたり) | 塩ビシート:4,500〜7,000円 ゴムシート:4,000〜6,000円 | 3,000~7,500円 |
価格相場は大差なく、どちらもコストパフォーマンスのいい工法だと言えます。
費用相場も参考にしつつ、それぞれの工法のメリットや施工したい場所の環境に合わせて、専門業者と相談しながら工法を決めることがおすすめです。
防水工事でよくある質問
Q
防水工事の種類にはどんなものがありますか?
A
主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。
Q
防水工事の費用はどのくらいかかりますか?
A
工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。
Q
工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。
Q
防水工事のタイミングはいつが良いですか?
A
一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。
シート防水の上にウレタンを貼るまとめ
既存の防水層に劣化が起きたら、補修や再工事は欠かせません。
防水工事にもさまざまな種類があるため、専門業者に相談しながらメンテナンスや補修を行いましょう。
- シート防水の上からウレタン防水は施工できる
- 専用のプライマーを塗布することが必須
- 実績があり信頼できる施工業者を慎重に選ぼう
防水工事を行う際は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね。
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