マンション大規模修繕工事は、10~15年周期で実施される大規模な投資です。特に2回目の工事では、修繕積立金だけでは予算が不足するケースも多く、効率的なマンション管理が求められます。
そこで注目したいのが、大規模修繕コンサルタントの活用です。設計監理から施工業者の選定基準まで、専門家によるコンサルティングを受けることで、適切な工事計画の立案が可能になります。小規模マンションでも、コンサルタント費用以上の工事費用削減効果が期待できます。
本記事では、大規模修繕コンサルタントの選び方や相場、具体的な業務内容について、管理組合の皆様に役立つ情報を詳しく解説します。
目次
大規模修繕について解説
大規模修繕とは、マンションやビルなどの集合住宅において、外壁のひび割れや塗装の剥がれ、屋上の防水工事や設備の劣化など、建物全体の劣化を防ぎ、修繕するために行われます。建物全体の劣化を防ぎ、長期的な安全性と快適性を維持するために行われる大規模な修繕工事です。通常、10年から20年ごとに計画され、外観の美観を保つだけでなく、建物の構造や設備の性能を向上させることを目的としています。
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マンション大規模修繕のコンサルタントって何?
マンションの大規模修繕コンサルタントとは、建築や設備の専門家で、主に以下の役割を担います。
- 長期修繕計画の見直しと適正修繕積立金の算出
- 修繕工事の内容や優先順位の提案
- 設計監理業者や施工業者の選定支援
- 修繕工事の工程管理や費用の適正チェック
結論としてコンサルタントは、経験とノウハウに基づき、計画的で無駄のない大規模修繕を実現する専門家です。
マンション管理適正化推進機構の調査によると、コンサルタント監修の有無で工事費が約20%も違うことがわかっています。
模に応じて数百万円~数千万円と幅がありますが、工事費全体に占める割合は1割以下と抑えられています。
マンション大規模修繕のコンサルタント費用は
マンション大規模修繕コンサルタントの費用相場は、一般的に工事費用の3〜5%程度とされています。
この相場は、国土交通省が公表している「マンション修繕積立金に関する調査結果」でも確認できます。
具体的な費用構成は以下の通りです。
- 事前調査費用
- 長期修繕計画策定費用
- 設計監理費用
- 工事監理費用
例えば、総工事費用が5,000万円の場合、コンサルタント費用は150万円〜250万円程度が目安となります。
マンション大規模修繕でのコンサルタント費用の目安
コンサルタント費用は、マンションの規模によっても異なります。
一般的な費用の目安は以下の通りです。
- 小規模マンション(30戸未満):100万円前後
- 中規模マンション(30〜100戸):200万円前後
- 大規模マンション(100戸以上):500万円以上
国土交通省の調査によると、30戸未満の小規模マンションでは平均137万円、100戸以上の大規模マンションでは平均848万円の費用がかかっています。
マンション大規模修繕のコンサルタント費用に影響する要因
マンションの戸数や規模に加え、以下の要因もコンサルタント費用に影響を与えます。
- 建物の老朽度合い
- 修繕工事の内容・規模
- コンサルタント企業の知名度・実績
特に建物が古くなるほど、調査や工事の負担が大きくなるため、コンサルタント費用も高くなる傾向にあります。
また、大手企業のコンサルタントは費用が高めですが、経験と実績が豊富です。
したがって、適切なコンサルタント選定と見積もり比較が重要になります。
費用面だけでなく、経験・実績、サポート体制なども総合的に検討する必要があります。
マンション大規模修繕は数千万円から数億円の大がかりなプロジェクトですから、専門家のサポートは不可欠と言えるでしょう。
マンション大規模修繕でコンサルタントを雇うと費用は高くなる?
マンション大規模修繕工事でコンサルタント会社を雇うと、その分費用が高くなることは事実です。
しかし、適切なコンサルタントを選ぶことで、中長期的に見れば費用対効果が高まります。
プロのアドバイスを受け、計画的かつ確実な修繕を行えば、今後の修繕費の抑制や資産価値の維持につながるからです。
理由1:コンサルタントが修繕の専門家
修繕工事の内容を建物の状況に合わせて立案するのは容易ではありません。
老朽化した箇所の的確な把握が欠かせませんし、工事方法や資材選定のノウハウも必要不可欠です。
コンサルタント会社には、一級建築士などの有資格者や、長年修繕工事に携わってきた経験豊富なスタッフが在籍しています。
彼らが専門知識と経験を活かして適切な工事計画を立案し、設計・監理を行うことで、確実な修繕が可能になるのです。
理由2:計画的な修繕で将来コストを削減
国土交通省の調査によると、マンション管理組合が過去に計画的な修繕を行っていないケースでは、次回修繕費用が約2.3倍に跳ね上がっていました。
一方、計画的な修繕を行っていたケースでは、次回の修繕費が抑えられていることが分かっています。
コンサルタントを活用すれば、建物の状況に合わせた計画的な修繕が可能になります。
今回は高額な費用がかかっても、次回の修繕費を大幅に抑えられるというメリットがあるのです。
理由3:資産価値の維持につながる
修繕を怠れば建物は老朽化が進み、価値が下がってしまいます。
マンション購入を検討する人は、きちんと修繕がされているかどうかを重視します。
マンション修繕状況の良し悪しは、売却価格に大きな影響を与えます。
適切な計画と工事を行えば、資産価値を維持・向上させることができます。
マンション大規模修繕における費用対効果を考えればコンサルタント雇用は賢明
コンサルタントを雇うと、その分修繕費用は高くなります。
しかし、修繕工事は適切な計画と管理が欠かせません。
コンサルタントの専門知識と経験を活用することで、中長期的に見れば費用対効果が高まるはずです。
今回の費用をいとわず、プロの力を活用することが、マンション資産の維持・向上につながる賢明な選択だと言えるでしょう。
大規模修繕工事でよくある質問
Q
大規模修繕工事の期間はどのくらいかかりますか?
A
大規模修繕工事の規模や建物の状態によりますが、およそ3ヶ月〜4ヶ月程度かかることが多いです。
Q
工事中の生活にどんな影響がありますか?
A
足場の設置やメッシュシートで覆うため、室内が少し暗くなることがあります。また、塗装や防水作業時には洗濯物が干せないなどの制限があります。
Q
バルコニーやベランダの利用はどうなりますか?
A
バルコニーやベランダの壁面塗装や床面の防水作業時には、使用が制限されることがあります。
Q
工事期間中、エアコンは使えますか?
A
基本的には通常通り使用できますが、場合によっては一時的に使用が制限されることもあります。
Q
大規模修繕での工事の騒音や臭気はどうなりますか?
A
塗装の臭気やドリルの騒音、粉塵などが発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。
Q
大規模修繕工事に対する費用が不足する場合はどうすればよいでしょうか?
A
できるだけ早い時期に長期修繕計画に基づき積立金を見直し、資金不足にならないようにするのが最善です。実際に資金が足りないことが判明した場合には、時期をずらしたり、工事の範囲を見直したり、一時金の徴収や借入の可能性を探ったりと、様々な方法で計画を調整できます。ご予算に応じて資産価値を損なわないベストなプランをご提案いたします。
Q
修繕工事の前に現地調査が必要なのはなぜですか。どういうことを行うのですか?
A
築年数、周囲の環境や場所によって劣化の度合いは異なりますので、各部の劣化状況を把握し、適切な修繕方法を見極めるためには現地調査が欠かせません。外壁タイルの浮きやコンクリートの中性化、鉄部の錆など、部位ごとに幅広くチェックします。
Q
大規模修繕工事の費用相場は一般的にいくらですか?
A
大規模修繕工事の費用について一般的な相場としては、1戸あたり約100万円前後が目安です。マンション全体の規模が大きい場合には、修繕費用が1億円を超えることもあります。また、マンションの劣化が激しい場合や、質の高い塗装を希望する場合には、さらに費用が高くなることがあります。