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マンション大規模修繕でバルコニー・ベランダの荷物は片付ける?必要な事前準備は?

大規模修繕時のバルコニー・ベランダで必要な準備を知りたい人

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屋上、外壁、廊下などのマンション共用部分が対象となる修繕工事ですが、各家庭のバルコニーも共用部分となるため、工事に含まれます

バルコニーは専有部分だと勘違いされやすいですが、実は共用部分です。

特にバルコニーは個人空間でもあり、敷タイルやガーデニングのプランター、屋外工具など様々な私物が置かれていることが多いです。

片付けが億劫になるからといって、自分の家庭だけ修繕を止めてもらうわけにもいきません。

そこで本記事では、直前になってバタバタしないよう、大規模修繕時のバルコニーで必要な準備について紐解いていきます。

大規模修繕以外にも中規模修繕、小規模修繕がありますが、いずれのケースでも当てはまるので、ぜひご覧いただき、ご自身の住居修繕時にお役立てください。

大規模修繕工事はバルコニーやベランダも工事の範囲になります

バルコニー・ベランダの区分は共有部分です。

ベランダ・バルコニーは個人的な所有物が置けたり、区分所有者、またその家族の出入りしかないため、一見専有部分と考えがちですが、一般的に管理規約上「規的共用部分」とされています。

ベランダ・バルコニーには「専用使用権」が設定されていて、日常は専有部分的に使用できるのです。

また、マンションの共用部分は区分所有法第4条において、2種類に分類されています。

法定共用部分(第1項)

法定共用部分とは、廊下や支柱、耐力壁、外壁、エレベーター室、駐車場などのように構造上の独立性と利用上の独立性を持たず、その性質上当然に共用部分とされる部分のことを指します。

規約共用部分(第2項)

規約共用部分とは、専有部分を規約により共有部分にする部分のことを指します。

例えば、専有部分である101号室や別棟にある付属の建物を集会室などを多目的広場や集会室に利用したい場合、規約で定めて区分所有者全員の利益のための共用部分とすることです。

バルコニー・ベランダは規約共用部分として定められています。

なぜなら、バルコニー・ベランダは全住民が緊急事態時の避難経路として使用するからです。

ベランダには非常口や避難はしごが設置されていて、各住戸間の間仕切りは簡単にやぶけることができます。

したがって、ベランダ・バルコニーは緊急時の避難経路確保の観点において規約共用部分であり、通常時は各専有部分の区分所有者だけが使用できる「専用使用権」が設定されています。

バルコニー・ベランダで行う工事の内容

バルコニーで行う工事内容は、一般的に以下のとおりです。

  • シーリング工事
  • 下地・タイル補修
  • 高圧洗浄工事
  • 防水補修工事
  • 室内側の外壁塗装
  • 鉄部塗装
  • 窓やサッシの修理・交換

シーリング工事

バルコニーにおいて、サッシ廻りや建具廻りには雨など、水が入り込まないように、シーリング材で埋めています。

大規模修繕工事でのシーリング工事は、劣化したサッシ廻りなどのシーリング材を撤去し、清掃、プライマー塗付、シーリング材の充填、へらで押さえるなど、細かな工程での作業を施します。

塗料、シーリング材で周りを汚さないように養生をしっかり行いますが、汚れやにおいが気になる方は事前に作業員などに確認して、窓を閉め、網戸の撤去をしておく、などの対策は考えておきましょう。

下地・タイル補修工事

マンションの大規模修繕工事は、外壁タイルのひび割れ・欠損・浮きなどを補修していきます。

タイル・モルタル部分の不良箇所を削ったり、穴を開けたり、施工しやすいようにするため、ベランダでは騒音や埃が発生します。

また、その後は塗料の塗付、材料充填など、においも発生するでしょう。

工事期間中は窓を閉め、洗濯物は室内に干しましょう。

外壁の高圧洗浄工事

シーリング工事、外壁の下地・タイル補修など、施工が終わると、バルコニーの床・天井、床などを高圧洗浄し、塗料や材料の密着性を高めます。

高圧洗浄は洗浄水が飛散しますので、バルコニーでは洗濯物を干すことができません。

また、広い範囲での洗浄水の飛散が考えられるので、左右、上下の部屋の高圧洗浄の日程も確認しておくべきでしょう。

防水補修工事

床面に雨が浸透するのを防ぐための工事です。

下地である床材の上に塗料を重ねて塗り、防水層を形成し、その上に防水層を守るためのコーティングを行います。

ただし、一度行えば永続的に効果が続くわけではありませんので、修繕工事のたびに塗り直しを行うことが多いです。

室内側の外壁塗装

ベランダの外壁にひび割れ等があれば、樹脂で埋めて塗装を塗り直します。

かつては、塗料の匂いで気分が悪くなることがありましたが、近年は匂いのきつくない塗料が主流であり、昔ほど気分を害することは少なくなっています。

鉄部塗装

バルコニー・ベランダの手すりやパーテーション、庇など、鉄でできている箇所は経年により劣化します。

鉄部の劣化とは、下記の現象を指します。

  • チョーキング
  • 変退色

チョーキングとは、チョークのような粉が付着する劣化現象で、錆や変色、退色も経年による劣化症状です。

マンションの大規模修繕工事の際には、鉄部にも劣化がみられる場合、塗装を施し、劣化の進行を防ぎます。

塗装期間中は、外壁などに塗料が付着しないようにビニールなどで養生を施します。

そのため、塗装工事期間中もバルコニー・ベランダの使用に制限が掛かり、洗濯物を干せないだけではなく、外部にも出れないので、スケジュールの確認をしておきましょう。

窓やサッシの修理・交換

窓ガラスやサッシも修繕の対象となります。

劣化や破損している場合は修理や交換が可能ですが、窓ガラスの割れについては個人負担としているマンションもあります。

マンションによって異なるため、ご自宅のガラスが破損している場合は、事前に確認しておきましょう。

バルコニー・ベランダの修繕工事に必要な準備

バルコニーの修繕工事では、基本的に以下の準備が必要となります。

  • バルコニー・ベランダの片づけ
  • 網戸の取り外し
  • 洗濯物・物干し竿の撤去
  • 洗浄時に水が入らないための対策

バルコニー・ベランダの荷物や植物の片付け

まずはバルコニーの片づけをします。

バルコニーの修繕時には、ガーデニング用のプランターや机、椅子、物置、敷タイルなど基本的にバルコニーにあるものはすべて撤去します。

工事内容は一般的に、サッシ周りのシールの打ち替えや、塗装、防水等です。

小さなプランターなど、ちょっとした私物であっても工事の妨げとなるため、すべて撤去し室内等へ持ち込みましょう。

※ゴミコンテナへの不用品撤去について

修繕業者によっては、修繕時にコンテナを設置し、片付け時に不要となった私物の廃棄が可能な場合もあります。

詳細については修繕業者等へ確認してみてください。

バルコニー・ベランダの網戸の取り外し

網戸も取り外しましょう

網戸が設置されたままの場合、作業員の方や作業工具等が作業中に接触して破損する恐れがあります。

また、外した編戸をバルコニーに置かれるケースもありますが、工事の妨げとなるため室内等へ持ち込むようにしましょう。

洗濯物・物干し竿の撤去

一般的なバルコニーにはどの居住区でも洗濯物を干し、物干し竿が設置されていますね。

マンションの大規模修繕において、バルコニー・ベランダでも作業が行われるため、工事期間中は洗濯物を干すことはできません。

なぜなら、マンションの大規模修繕では、バルコニー内の外壁補修・塗装工事が含まれるからです。

マンションの大規模修繕工事中に、バルコニー・ベランダに洗濯物を干せない理由は以下の通りです。

  • 足場の設置の際に粉塵が飛散する
  • 下地補修工事で高圧洗浄をする可能性があり、汚水が衣服に付着する
  • 塗装工事で塗料・塗料のにおいが衣類に付着する
  • 防水工事に使用する防水材・防水材のにおいが衣類に付着する

マンションの大規模修繕工事はさまざまな工程を足場を設置した面から進め、高圧洗浄、補修、塗装の間には乾燥期間も必要です。

工事期間中にバルコニー・ベランダを使用できないとなると日常生活にかなりのストレスが掛かりますが、工事のスケジュールによっては、バルコニーを使用できる日もあります。

施工業者や、マンションの管理組合などから事前にアナウンスされる工事スケジュールなどに気を配り、洗濯物をバルコニーで干せる期間を確認しておきましょう。

また、工事スケジュールは、マンションのエントランスなどに設置される工事用掲示板で確認ができます。

工事用掲示板には、工事の進捗状況、住居者に向けたお知らせなどが日々更新されます。

こまめにチェックして、ベランダに洗濯物を干せる期間を把握しておくといいでしょう。

物干し台について、工事期間中はどこかに撤去しておく必要があるの?と疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

基本的には、マンションの新築時から備え付けられている物干し掛などは、施工業者が撤去・再設置を行いますが、自分で設置したものは住居者自身が撤去・再設置を行わなければいけません。

物干し台は自分で撤去し、自宅で保管しておきましょう。

しかし、高齢の方など、ご自身で行えない場合は施工業者・管理組合などに相談してみましょう。

施工業者もベランダ・バルコニー修繕工事のプロなので、多くのケースにおいて柔軟な対応が可能です。

面倒で力が必要な物干し台の撤去をプロに任せるのも、選択肢の一つとして知っておきましょう。

洗浄時に水が入らないための対策

バルコニーの修繕工事では、天井や外壁、雨どい等の再塗装を行いますが、事前に高圧水洗浄を行い古い塗膜や埃を洗い流します。

その際に水が室内へ浸入しないよう、窓はしっかり閉めておいてください。

作業中に高圧洗浄の水流や、接触等ちょっとしたことで窓が動いてしまう可能性もあるため、鍵も閉めておくことをお勧めします。

また、高圧洗浄では一箇所に集中して水を吹きかけるため、水の侵入防止のため、室内側の窓枠に乾いたタオルや古新聞を置いておくとより安心です。

荷物の仮置き場やごみコンテナの設置を検討【管理組合】

マンション大規模修繕工事では、ベランダの床板の張り替えや手すりの改修、防水工事など、各戸のベランダにも手が入ります。

そのため、工事エリアを確保するため、一時的にベランダの荷物を撤去・保管する必要があります。

工事現場からは大量の廃材やごみが出ますが、通路に置くわけにはいきません。

そこでごみコンテナの設置スペースを確保しなければなりません。

十分なスペースを確保できないようであれば、近隣の空き地などを借りるなど、柔軟な対応が求められます。

実例としてA団地の大規模修繕では、空き家の駐車場を荷物置き場に利用することで費用はかかりましたが、入居者の理解も得られたそうです。

B団地では、ごみコンテナ設置場所が不足したため、近くの公園の端を借りざるを得なくなりました。

実例からもわかるようにマンション大規模修繕工事において、ベランダの荷物の一時置き場や、工事ごみの処理場所の確保は必須です。

管理組合は工事前に、十分な検討と対策を講じる必要があります。

大規模修繕でベランダやバルコニーの使用制限される期間

マンション大規模修繕工事でベランダやバルコニーの工事が入る場合、一時的にそれらの使用を制限せざるを得ない期間が発生します。

修繕内容や工事規模により、数日から数週間程度の制限期間が想定されます。

管理組合は事前に入居者にその旨を通知し、理解を求める必要があります。

使用制限期間は複数の工程に分かれ、合計すると1ヶ月近くにもなる可能性があります。

Aマンションでは、ベランダ工事に伴い1世帯あたり5日間の使用制限を設けました。

休日は避け、平日のみ工事を進めたことで、入居者への影響を最小限に抑えられたそうです。

一方Bマンションでは、ある入居者がベランダに荷物を残したまま外出し、床板の張り替え工事に遅れが生じた事例がありました。

事前の通知不足が原因でした。

ベランダやバルコニーの大規模修繕工事では、安全を期すため工事期間中の使用制限は避けられません。

実例からわかるように管理組合は工事の内容と制限時期を事前に入居者へ十分に通知し、理解と協力を求める必要があります。

ベランダやバルコニーの大規模修繕時の注意点

ベランダやバルコニーの大規模修繕時の注意点について、見ていきましょう。

荷物の撤去や処分は時期で行う必要がある

マンションのベランダやバルコニーの大規模修繕に伴い、各戸の入居者は荷物の撤去や処分を行う必要があります。

その際、時期を逃さないよう注意が必要です。

管理組合から指定された期日までに、荷物の撤去や処分を完了させることが求められます。

期限に遅れると、工事に支障をきたす可能性があるため入居者は早めに対応を心がける必要があります。

ベランダの修繕工事では、入居者による荷物の撤去が欠かせません。

管理組合は十分に前もって入居者へ通知し、理解と協力を求める必要があります。

ベランダやバルコニーの大規模修繕は拒否できない

マンションの共有部分であるベランダやバルコニーの大規模修繕については、区分所有者は拒否することができません。

ベランダやバルコニーはマンションの共有部分であり、建物の維持管理は区分所有法で義務付けられています。

そのため、工事の必要性が認められれば、個人の意向に関わらず大規模修繕は実施されます。

ベランダやバルコニーの大規模修繕工事は、区分所有者の同意がなくとも強行できます。

ただし管理組合は、工事の必要性を十分に説明し、入居者の理解を得るように努める必要があります。

荷物の保管場所がない場合の対応

ベランダやバルコニーの大規模修繕工事に際し、入居者が荷物を一時的に保管できる場所がない場合の対応が課題となります。

場所の確保が困難な場合は、外部の貸し倉庫の利用なども検討する必要があります。

ベランダの修繕工事に伴い、各戸の荷物の一時保管場所を準備することは、管理組合の重要な役割です。

自力で場所を確保できない入居者に配慮し、適切な対応を取る必要があります。

自力で荷物が移動できない場合の対処

ベランダの大規模修繕工事においては、高齢者世帯など、自力で荷物の移動が難しい場合の対処が課題となります。

管理組合では早めに対策を講じる必要があります。

マンションの高経年化に伴い、高齢の単身世帯が増加しています。

国土交通省の調査では、マンション居住世帯の約3割が高齢者世帯とされています。

こうした世帯では、体力的にベランダの荷物を自力で移動することが難しい場合があります。

介護を受けている方などは特に支援が必要です。

一方で、荷物を放置すれば工事に支障が出るため、管理組合として何らかの対応を取らざるを得ません。

入居者負担を減らすためにも、一定のサポートが求められます。

ベランダ修繕に伴う高齢者世帯などへの荷物移動支援は、管理組合の重要な役割です。

適切なサービスを用意し、費用の一部を修繕積立金から捻出するなどして、入居者の負担を軽減することが求められます。

ルーフバルコニーの場合はタイルの片づけも行う

マンションの最上階等、広いルーフバルコニーのあるお部屋に住んでいる場合、日当たりの良さを利用してガーデニングをされているケースも多いかと思います。

敷タイル、ガーデン用の椅子、机、ウッドデッキなど、様々な私物を置かれている場合には、これらも全て撤去してください。

その際に、取り外しが難しい私物があれば、業者によっては撤去のお手伝いを要請できる(有償のケースもあり)ので、一度ご相談してみてください。

冒頭記述したとおり、修繕工事は定期的に訪れます。

そのたびに大規模に片付けをするのが億劫に感じる場合は、敷タイルの購入をお勧めします

おすすめは積水化学工業の『RIENA』です。

こちらは、1辺が30㎝四方のタイルです。

持ち運びが容易なタイルであり、床に並べて上から押すだけで簡単に繋げることができます。

また、取り外す際も容易であり、重ねて持ち運べる点から嵩張る心配もありません。

カラーバリエーションも豊富で、アイボリー、ライトグレー等5色から選べます。

ぜひ参考にしてみてください。

片付けたものの保管場所

工事期間中はバルコニーに置いている私物は基本的にはすべて自宅保管をしなければいけません。

なぜなら、マンションの大規模修繕工事はバルコニーで高圧洗浄、補修工事、塗装工事などが行われ、外壁、軒天(バルコニーの天井)

内壁、床がその対象になり、物があると施工が困難だからです。

バルコニーに置いているもので、撤去や廃棄を行わないものについては、マンションの共有部分を保管場所として利用できることがあります。

大規模修繕の計画中に、バルコニーに不要なものはないか、事前に確認しておくのも、片付けをスムーズに済ませるコツだといえるでしょう。

また、高価な物や生き物がいる水槽などは共用部分での預かりはできないと考え、室内での保管場所を確保しておきましょう。

まとめ

大規模マンションのバルコニー修繕工事について見てきました。

バルコニーの修繕工事にあたっては、直前になっても慌てることの無いよう、事前の準備が欠かせません。

修繕工事のために準備をするのは大変ですし、また工期が長く数日程度では済まないために不便を強いられることも多いですが、修繕後は新築時のようなきれいなバルコニーが戻ってきます

そんな生まれ変わったバルコニーで再び、ガーデニングができると思うとワクワクしませんか。

そのような日々が再び巡ってくることを想像して、修繕工事を乗り越えましょう。

以前よりもさらに快適になったバルコニーで気持ちのいい日々を送れますようお祈りしています。

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